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つみたてNISA(積立NISA)とiDeCoの違いを6つの項目で徹底比較!おすすめの運用方法も解説

セゾンのくらし大研究 編集部

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「つみたてNISA(積立NISA)とiDeCoの違いを知りたい!」

「運用するならどちらを選べば良い?おすすめの運用方法は?」

と考えていませんか?

つみたてNISAとiDeCoの2つの制度は長期で積み立て投資を行えば、資産形成をしやすいメリットがあります。しかし、税制優遇という点で似た制度だからこそ、どちらを利用すれば良いか迷いますよね。

資産運用の面で見ればどちらもお得な制度ですが、老後の貯蓄や子どもの学費など目的に合わせて、加入を考えることも重要です。このコラムではつみたてNISAとiDeCoの特徴を踏まえたうえで、以下の内容を解説していきます。つみたてNISAとiDeCoの加入を検討している方は、資産形成のヒントにしてみてください。

  • つみたてNISAとiDeCoの違いを比較
  • つみたてNISA・iDeCoの利用がおすすめの方の特徴
  • 運用時のシミュレーション
  • 投資資金に余裕があるなら併用がおすすめ
  • 口座開設におすすめのサービス

※本記事は、2023年以前のNISA制度について記載しています。新NISA制度については以下の記事をご確認ください。

つみたてNISAとiDeCoの特徴をサクッと解説

つみたてNISAとiDeCoを比較する前に、それぞれの制度について簡単に解説しますので、制度の特徴を押さえておきましょう。

つみたてNISAとは

NISAを日本語にすると少額投資非課税制度となります。投資の代表格である株や投資信託では、通常得られる利益に対し20.315%の課税がかかりますが、つみたてNISAを活用すると、運用期間に受け取った配当や売却益に対して税金がかかりません。これがつみたてNISAの大きなメリットです。

つみたてNISAの詳しい仕組みは、以下のコラムで解説しているので、参考にしてみてください。
関連記事:つみたてNISAの仕組みとは?運用のメリットや失敗しないための対策も解説

なお2024年以降、新しいNISA制度が始まり、仕組みが大幅に変更されます。

現行NISAの非課税枠は、2024年から始まる新しいNISAと別枠なので、新しいNISAのスタートを待たずに、早めに現行NISAを始める方がメリットは大きいでしょう。

新しいNISA制度に関しては金融庁の以下サイトを確認するようにしてください。
金融庁「新しいNISA」

iDeCoとは

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後に備えて自分でできる年金制度です。つみたてNISAと同じように投資信託などで運用することで、老後に備えるための資金を用意することができます。

運用を行って得た利益が非課税になることに加えて、iDeCoでは掛金が所得控除の対象となるため、結果的に所得税や住民税が少なくなる、2つのメリットを享受できます。しかも月額5,000円から投資をスタートできるので、若年層あるいは投資初心者の方にとって始めやすい制度になっています。

つみたてNISAとiDeCoの違いを6つの項目で徹底比較

つみたてNISAとiDeCoの2つの制度についての比較は以下のとおりです。

 つみたてNISAiDeCo
年間の投資上限400,000円144,000円〜816,000円 ※条件によって異なる
非課税期間20年75歳まで
対象商品長期運用・分散投資に優れた 投資信託 ETF投資信託 定期預金 保険
非課税の対象運用で得た利益(運用益)運用で得た利益(運用益)
税制度の優遇なし受取り時の所得控除 掛金が全額所得控除
途中引き出しいつでも可能原則60歳まで不可
手数料なしあり

参照元:金融庁  iDeCo公式サイト

つみたてNISAとiDeCoの違いを理解するため、それぞれ詳しく見ていきましょう。

投資できる金額

1年間で投資できる金額は、つみたてNISA:400,000円で、iDeCo:144,000円〜816,000円です。つみたてNISAは限度額が年間400,000円と一律のに対し、iDeCoの投資額は職業や企業によって異なります。

会社員の方は勤務先の制度によって条件は異なり、企業型確定拠出年金(企業型DC)のない会社員の方は、月額23,000円まで投資できます。他の条件については、以下のコラムにまとめたので、参考にしてみてください。

関連記事:2022年10月からは企業型DCに加入している方もiDeCo に加入できるようになります

投資できる期間

投資できる期間は、つみたてNISA:20年間で、iDeCo:加入後から65歳までです。つみたてNISAは投資を開始した年から20年間運用できます。例えば、50歳でスタートすると69歳まで毎年40万円ずつ積み立てながら運用することができます。

iDeCo65歳まで資金を拠出できるので、20代のうちから加入すれば、30年以上積み立てができます。ただし加入時期が遅くなるほど、積立期間は短くなるので、50代以降の方はつみたてNISAとどちらが良いかを積み立てる資金の使い道等からよく検討する必要があります。

節税のメリット

2つの制度とも運用利益は非課税ですが、iDeCoは支払った掛金は、全額所得控除を受けられます。

例えば課税所得500万円のサラリーマンの方が、毎月1万円ずつ運用利回り3%で30年間積み立てたとき、運用益は約220万円となります。さらに掛金に対する所得控除の合計が108万円となりますので、合計のプラス金額はさらに大きくなります。ただし、収入のない専業主婦(主夫)や扶養の範囲内で働いている方は、控除対象になる所得がないので節税のメリットはありません。

扱う金融商品

つみたてNISA対象とる金融商品は、金融庁の定めた基準をクリアした投資信託やETFが対象です。シンプルな運用をしていたり、運用手数料が過大ではないなど金融庁が長期投資に適しているというお墨付きの商品から選べるので、投資初心者の方におすすめできる制度になっています。

iDeCoが扱う金融商品は幅広く、投資信託のほかに定期預金や保険も対象です。それぞれの意向に合わせた運用が可能ですので、リスクの度合いや資金の目的に応じて商品を組み合わせると良いでしょう。

引き出しの自由度

つみたてNISAで運用している資金はいつでも引き出しができるのに対し、iDeCoは60歳になるまで原則引き出せません。子どもの学費や住宅の購入費用など、60歳前に引き出す可能性のある方は、つみたてNISAの加入を検討した方が良いでしょう。

また、iDeCoは60歳まで引き出しができないため、計画的に掛金を設定する必要があります。生活するうえで無理のない金額を投資に回しましょう。

手数料

つみたてNISA口座は開設費や管理費などはかかりませんが、iDeCoの口座を開設すると以下の諸経費がかかります。

口座開設手数料2,829円(税込)
※開設時のみ
口座管理手数料月額171〜800円前後 
※金融機関によって異なる

参照元: iDeCo公式サイト

最低投資額である5,000円のように金額が少ない場合や預金や保険など利回りが大きくない商品を選ぶときには、口座管理手数料が高くついてしまうこともあるので注意が必要です。できるだけ口座管理手数料の安い金融機関を選びましょう。

つみたてNISA・iDeCoの利用がおすすめの方

つみたてNISAとiDeCoのどちらがおすすめかということは一概にはいえません。利用する方によって、つみたてNISAがおすすめの場合もありますし、iDeCoがおすすめの場合もありますし、両方利用するのがおすすめの場合もあります。それぞれの特徴を解説していきますので、ご自身がどちらに向いているか考えてみましょう。

つみたてNISAの利用がおすすめの方

つみたてNISAの利用がおすすめの方は、資産運用をしながらライフイベントに合わせて自由に引き出したい方です。

20〜40代の方は結婚や出産、住宅の購入や教育資金などで、まとまったお金が必要になるかもしれません。その場合、つみたてNISAであれば、急な出費が必要な場面にも対応できます。また、50代後半以降の方がiDeCoを選んだ場合65歳までしか積み立てることができないので、20年間の長期でつみたてができる、つみたてNISAの加入を優先するのも一つの方策です。

iDeCoの利用がおすすめの方

老後の貯蓄をつくりたい方は、iDeCoの利用がおすすめです。ただし、原則60歳までは引き出しができないので、毎月の積立額は生活に支障が出ない範囲に抑えましょう。

自営業やフリーランスの方は、会社員より受け取れる公的年金の額が少ないので、iDeCoを積極的に活用することで、老後の資産をより多く用意することが可能となります。

つみたてNISAとiDeCoを活用した資産運用シミュレーション

つみたてNISAやiDeCoが資産形成に良いと聞くけど、実際に運用してみないとどのくらい利益が増えるかイメージしにくいですよね。こちらでは、つみたてNISAとiDeCoを活用した資産運用についてシミュレーションしますので、運用する前の参考にしてみてください。

つみたてNISAの資産運用シミュレーション

つみたてNISAの資産運用を以下の条件に当てはめると、シミュレーション結果は表のとおり、​​約292万円のプラスにつながります。

  • 毎月の拠出(投資元本):33,333円
  • 運用利回り:年利3%
  • 運用期間:20年間
投資元本の合計7,999,920円
20年後の資産10,921,909円
投資の運用利益2,921,989円
運用益非課税になったメリット584,397円
参照元:大和証券

※シミュレーション結果は、税制優遇のメリットをイメージしていただくための概算値であり、実際の金額とは異なりますので充分にご注意ください。
※本シミュレーションでは、NISA口座や買付にかかる各種費用は計算に含まれておりません。

通常積み立てた場合、20.315%の税金がかかるので、節税効果の高いつみたてNISAを利用するメリットは大きいです。

iDeCoの資産運用シミュレーション

iDeCoのシミュレーションとして、以下の条件に当てはめて計算すると、所得控除と増益分を合わせると約360万円のプラスです。

  • 年齢:40歳の会社員
  • 課税所得:500万円
  • 毎月の掛金(投資元本):23,000円
  • 運用利回り:年利3%
  • 運用期間:20年
掛け金の合計5,520,000円
20年後の資産7,536,192円
投資の運用利益2,016,192円
掛金所得控除による減税額1,656,000円
※住民税は10%で計算
参照元:大和証券

※シミュレーション結果は、税制優遇のメリットをイメージしていただくための概算値であり、実際の金額とは異なりますので充分にご注意ください。
※本シミュレーションでは、iDeCoへの加入時にかかる手数料、年間の管理手数料が計算に含まれておりませんので、ご注意ください。

ただし、受け取り時の方法は注意しないと、せっかく運用で増やしたお金に税金がかかるケースがあります。iDeCoの受け取り方法は、以下3つから選べます。

  • 一時金形式
  • 年金形式
  • 一時金形式と年金形式の併用

退職金制度のある会社員や公務員の方が、退職金と合わせて一時金で受け取る場合、退職所得の控除額を上回る可能性があります。年金形式で受け取ると、iDeCoの受け取り金と年金の合計額に対し税金がかかります。年金と他の所得の合計が年間1,000万円以下の場合、全額控除になる年金額は以下のとおりです。

  • 65歳未満:年間60万円まで全額控除
  • 65歳以上:年間110万円まで全額控除

年金収入のある方は、iDeCoの年金額と合算すると課税される可能性が高いです。iDeCoの一時受取と退職金の受給額が退職所得控除を上回らなければ、一時受け取りを選択すると課税されません。

また、退職所得控除を上回るケースでは、受け取り時期をずらせば非課税で受け取れます。退職所得控除が合算される期間は、以下のとおりです。

  • iDeCo:前年以前14年以内
  • 退職一時金:前年以前4年以内

つまり60歳でiDeCoを一時受け取りで受給したあと退職金を65歳以降に受け取れば、退職所得控除として合算されないため、非課税で受給できます。iDeCoの受給期間が近くなったら、できるだけ納税額を抑えて受け取れる方法を検討しましょう。

参照元:金融庁

投資資金に余裕があるならつみたてNISAとiDeCoの併用がおすすめ

ご紹介したつみたてNISAもiDeCoも、資産をつくるうえでメリットが大きいですが、投資資金に余裕があるなら、つみたてNISAとiDeCoの併用が一番おすすめです。40歳の会社員が、つみたてNISAとiDeCoを20年間、それぞれの限度額まで運用したときを想定した際のシミュレーションは以下のとおりです。

  • 年齢:40歳の会社員
  • 課税所得:500万円
  • つみたてNISAの拠出(月額):33,333円
  • iDeCoの掛金(月額):23,000円
  • 運用利回り:年利3%
  • 運用期間:20年
掛け金の合計13,519,920円
20年後の資産18,458,102円
投資の運用利益4,938,182円
iDeCoの掛金所得控除による減税額1,656,000円
※住民税は10%で計算
参照元:大和証券

※シミュレーション結果は、税制優遇のメリットをイメージしていただくための概算値であり、実際の金額とは異なりますので充分にご注意ください。

※<iDeCo>本シミュレーションでは、iDeCoへの加入時にかかる手数料、年間の管理手数料が計算に含まれておりませんので、ご注意ください。
※<NISA>本シミュレーションでは、NISA口座や買付にかかる各種費用は計算に含まれておりません。

iDeCoとつみたてNISAを合わせると、500万円弱の運用利益が出せる計算です。さらに所得控除分が165万円ほどになりますので、投資をすることの効果はさらに大きくなります。一方、限度額まで投資できるほど余裕がない場合でも、運用の目的に応じて配分を変えることで併用のメリットを活かせます。

例えば、つみたてNISAを多めに支払ったうえで、iDeCoは必要最低限の投資額に抑える方法が挙げられます。この方法なら老後の資金を用意しつつ、急な出費に対応できるようになります。

おわりに

つみたてNISAとiDeCoは、ともに長期運用を目的とした資産形成をしやすくする制度です。以下の特徴を踏まえて加入すれば、目的とする資産を効率的に増やせるでしょう。

  • つみたてNISA:資産運用と目的に応じて自由に引き出したい
  • iDeCo:老後への蓄えを増やしたい

2つの制度は併用できるので、投資資金に余裕のある方は両方に加入することで、それぞれの税制メリットの恩恵を余すことなく受けることができます。当コラムを参考に、今後の資産設計に役立ててください。

※本ページは2023年2月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。最新情報については、随時金融庁の以下サイトを確認するようにしてください。
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