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先物取引とはどんな取引?仕組みや特徴をわかりやすく紹介

先物取引とはどんな取引?仕組みや特徴をわかりやすく紹介
セゾンのくらし大研究 編集部

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資産運用のひとつとして、「先物取引」という方法をご存じでしょうか。特徴としては、少額の資産でも大きな取引を行うことが可能です。少額でも手を出しやすい反面、気を付けた方が良いこともある先物取引の、メリットについて詳しく解説していきます。

資産運用に迷っている方や先物取引の始め方がわからないという方は、ぜひご覧ください。

1.先物取引はやばい?そもそもどんな取引なの?

先物取引はやばい?そもそもどんな取引なの?

まずは、先物取引の基礎知識について解説します。仕組みや種類、税金についても触れるので参考にしてください。株式取引や信用取引との違いについても徹底解説しています。

1-1.先物取引とは将来の売買を約束する取引

先物取引とは、取引を行う数量や価格を決め、将来の売買を約束することです。取引の時点では、売買価格や数量のみの約束をしておいて、あらかじめ決められた期日に受け渡しを行います。事前に売買価格を決めておけるので、価格変動リスクを避けられるメリットがあります。

1-2.先物取引の仕組み

例えば、10万円の商品があったとします。

取引の時点で、10万円の宝石やダイヤモンドを来年のボーナスで買おうと決意しますが、来年の時点では、10万円で買えるとは限りません。ダイヤモンドなどは価格が変動するため1年後には、価格が上がることも考えられるからです。

そこで、1年後の決済日に10万円で購入する約束を店側と交わすことで、1年後には価格が値上がりしても値下がりしても10万円で手に入れることができます。もしも、ダイヤモンドが15万円に値上がりしていた場合は5万円安く手に入れることができます。逆に、5万円に値下がりしていた場合は5万円高く支払う必要があるということです。

先物取引は、将来の価格変動が分からないからこそ意味のある仕組みです。

1-3.先物取引の種類

先物取引には、「商品先物」と「金融先物」の2種類があります。

商品先物とは、原油やトウモロコシ、大豆、金、白金、電力などの商品を対象とした取引です。商品の単位によって売買されるのが特徴で、原油は1キロリットル、トウモロコシは1トン、金は1グラム当たりの価格となります。

金融先物とは、金融商品を対象とした取引です。日経平均株価をはじめ東証株価指数(TOPIX)、通貨や金利、債券を対象としており、4種類に分けられます。

金融先物の種類先物取引の対象取引可能商品
株価指数株価指数日経225先物
TOPIX先物
JPX日経インデックス400先物
TOPIX Core30先物
東証マザーズ指数先物
NYダウ先物
債権債権中期国債先物
長期国債先物
超長期国債先物
通貨外国通貨米ドル・ユーロ
シカゴのマーカンタイル取引所が有名
金利金利ユーロ円3か月金利先物
日本では東京金融取引所で上場・取引されている

1-4.先物取引における税金について

先物取引で得た利益には税金がかかります。先物取引で得た利益は「雑所得」となるため、申告分離課税の対象です。「先物取引にかかる雑所得等の金額」としての申告分が対象となり、所得に関わらず、20.315%(所得税15.315%、地方税5%)が課税されます。分離課税制度は、「源泉分離課税」と「申告分離課税」の2種類です。

「源泉分離課税」にかかる所得税は、先に所得税を控除しているため、利益を受けとるときはすでに納税済みです。「申告分離課税」は、利益があれば自分で申告する必要があります。先物取引は、申告分離課税です。

1-5.先物取引と信用取引の違い

先物取引に類似した取引で、「信用取引」があります。信用取引とは、証券会社から資金などを借りて取引する方法です。現物取引と同じ市場、価格で取引され、現物市場に「信用取引」という手法が加わったものです。

先物取引と信用取引の違うところは、先物取引には「借りる」「貸す」という行為がなく、決済は将来に先送りされることです。信用取引と先物取引は、レバレッジ(少ない資金で大きな取引をすること)をかけて取引するところは似ていますが、根本的には異なった取引です。

1-6.先物取引と株式取引の違い

先物取引と株式取引での大きな違いは、取引できる期間です。株式取引には特に取引期間が定められていないので値上がりのタイミングを待ち長期的に保有することもできますが、先物取引はあらかじめ取引できる期間が設定されており、設定された期日になると自動的に決済され損益が確定する仕組みです。

2.先物取引の特徴とは?

先物取引の特徴とは?

ここからは、先物取引の主な特徴を紹介していきます。

2-1.決済する際は基本的に差金決済

先物取引は、転売価格(買戻価格)と買建価格(売建価格)の差額で決済を行います。つまり、売買金額の差額分が利益となるシステムです。これを「差金決済」といいます。先物取引では売りからでも買いからでも取引をスタートできるので、相場が上がっても、下がっても利益を狙えることがポイントです。

2-2.限月という満期を設定

先物取引では、取引できる期限ごとに商品が分かれているので、期日までに保有銘柄の決済が必要です。この取引期限のことを「限月」と呼びます。

例えば、12月に期限が満了する取引であれば、12月が限月です。期日の前営業日が取引最終日なので、その日までに決済されていないものに関してはSQ(特別清算指数)により自動的に決済され、損益が確定されます。限月の設定は先物商品ごとに違うので、事前に確認しておきましょう。

2-3. 夜でも取引できる

株の取引が行われるのは、通常午前9:00から午後3:00までです。この時間帯は日中に仕事がある人には取引が行いにくいのが難点ですが、先物取引では夜間取引も行えます。

株価指数先物取引では、午前8:45から午後3:15までの日中立合と午後6:30から翌日午前6:00までの夜間の2つの取引の時間帯があります。そのため、仕事を終え夜家に帰ってからでも取引の時間を確保できます。

2-4. 証拠金を入れなければならない

証拠金とは、約束の履行を確実にするために当事者が差入れまたは預託する保証金のことです。担保として証拠金を差入れることで少額でも大きな取引ができます。

一定金額の証拠金を入れておけば、売買時に証券会社に支払う手数料以外の費用は発生しません。また、株の信用取引では、金利や管理費などの費用がかかることがありますが、先物取引の場合は金利などの費用の負担もありません。

ただし、決算の際に証拠金から損失額を引いたものがマイナスになった場合、追加で証拠金を差し入れる必要があるので注意しましょう。不足となった証拠金は翌営業日に差入れる必要があります。

2-5.売りから始められる

株式の現物取引は、買いからしか入れません。信用取引であれば、売りからも始められますが、費用面や、信用売りができないなどの制約が多く存在します。売りから始める取引のことを「空売り」 といい、空売りは株価が下落しているときでも利益を上げられるのがメリットです。先物取引の場合は、売りでも買いでも自由に取引を開始できます。

相場が上昇する予想をしたときは買いから、下落する予想をしたときは売りから取引を始められます。売りから始めて、予想通り相場が下落すれば、買い戻すことで利益が得られますが、予想に反して相場が変動した場合は損失が発生するので注意が必要です。

3.先物取引のメリット

先物取引のメリット

ここからは、先物取引のメリットについて紹介します。

3-1.レバレッジ効果で資金効率が高い

先物取引は、「てこの原理」のように少ない資金で大きな利益を狙うことができます。これを「レバレッジ効果」といいます。

例えば、日経225先物の商品を先物取引したとします。日経225先物が30,000円だった場合、注文数量の1単位である約定1枚あたりの金額は3,000万円です。証拠金は会社によって異なりますが、1,470万円と仮定します。日経平均株価の1,000倍なので、この場合の約定代金は約20倍です。

3-2.銘柄選びが簡単

先物取引には代表的な商品として、TOPIXや日経平均株価を対象(原資産)とする「TOPIX先物」や「日経225先物」などがあります。

名前の通りTOPIX先物はTOPIXが対象指数、日経225先物は日経平均株価が対象指数の商品です。これらの商品は株価指数が投資対象となるので、株式取引のように個別銘柄の選択や分析の必要がありません。ニュースや新聞などでも定期的に情報が発信されているので、情報収集もしやすく、分かりやすい商品なのもポイントです。

また、個別銘柄への投資の際に懸念される上場廃止や倒産リスクなども回避できます。

3-3.下落局面でも利益を狙える

先ほども紹介しましたが、先物取引は売りから始められることも大きな特徴の一つです。

例えば、相場が下落することを予想し新規に売り建てを行いました。その後、予想通り相場が下落したら、その時点で売建玉(反対売買されていない未決済銘柄)を安く買い戻すことで値下がりした差額分を利益として受け取れます。

信用取引でも同様に、個別銘柄を空売りして値下がり分を利益とする方法もあります。ただし、そもそも空売り自体ができない銘柄だったり、逆日歩(信用取引の売り手が負担することになる事前に想定不可なコスト)などの余分なコストが発生したりする可能性もあるので注意が必要です。その点、先物取引ではこのようなコストが発生することはありません。

しかし、相場が予想していたものと反対の方向へ変動した場合には、差し入れていた証拠金を上回る損失が発生する可能性もあるので、細かく情報をチェックしておくようにしましょう。

4.先物取引はリスクが大きいと言われる理由とは

ここでは、先物取引のリスクが大きいと言われる理由について解説していきます。

4-1. 少額で大きな取引ができる分リスクが大きい

先物取引は、少額の資金から大きな利益を狙うことができるのが大きな特徴ですが、その反面、相場の動きが予想と異なる場合は、その分損失も大きくなります。このように、リスクの高い投資でもあります。買い売りの予測を間違うと、大きな損失になるのがデメリットで、投資初心者はおすすめできません。

4-2.証拠金が不足した場合は追加入金が必要

証拠金が不足した場合は、追加で証拠金を納める必要があります。このことを「追証(おいしょう)といいます。追証は、証拠金額以上のお金を現金で納めるため、大きな額になる可能性があるでしょう。証拠金不足が解消されない場合は、全建玉を強制決済する場合があるので注意が必要です。

4-3.元本保証ではない

先物取引では、元本(元手の金額)の保証がされていないので注意が必要です。先物取引は、予想と反対の動きになったときに、元本を超える損失や追加の資金投入が発生することがあります。つまり、株価変動の動きによっては、証拠金以上の損失が発生するリスクがあるということです。

元本割れリスクを回避するには、ある程度資金に余裕を持たせて準備したり、日々の値動きをチェックしたりするようにしましょう。

4-4.長期保有の概念はない

一般的な株式取引や投資信託などは、保有期間に期日がありません。好きなタイミングで売買でき、長期的に保有することが可能です。しかし、先物取引の場合は、あらかじめ期日を決めて取引を行うので長期的に保有するという概念がありません。

そのため、将来や老後のために長期でコツコツ資産形成を考えている方には合いません。長期での資産運用を検討している方は、iDecoやNISAなどの投資方法を検討してみてください。

5.先物取引ができるおすすめの証券会社

先物取引ができるおすすめの証券会社

先物取引ができるおすすめの証券会社を紹介します。

5-1.楽天証券

楽天証券は低コストが特徴の証券会社で、はじめての方でも使いやすいです。

【主な特徴】

・楽天ユーザーであれば、楽天ポイントが貯まる
・商品先物やエネルギー先物など国内外に投資できる

銘柄名(先物)必要証拠金手数料/1枚
日経225先物 138万円275円(税込)
日経ミニ225先物13.8万円38.5円(税込)
マザーズ先物5万円41.8円(税込)

5-2.マネックス証券

マネックス証券は、先物取引専用アプリの「マネックストレーダー先物 スマートフォン」で逆指値やツイン指値注文が可能となっています。

【主な特徴】

・国内株価指数の取引のみなのでシンプルで分かりやすい
・注文方法がアプリやツイン指値注文など充実している

銘柄名(先物)必要証拠金手数料/1枚
JPX日経400先物SPAN証拠金額×掛け目ネットオプション価値の総額55円(税込)
日経225先物SPAN証拠金額×掛け目ネットオプション価値の総額275円(税込)
日経225ミニSPAN証拠金額×掛け目ネットオプション価値の総額275円(税込)

おわりに

先物取引の仕組みや特徴について解説しました。先物取引は、使い方によっては少額で大きな利益を得ることができますが、その分リスクも高い取引です。安易に開始すると、予想と反対の動きになった際に、大きな金額が必要になるので注意しましょう。投資での資産運用を考えている人は、特徴や注意点をしっかりと理解した上で、自分に合った投資方法を見つけてください。

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