『FX』と聞くと、投資方法の中でも「ギャンブル性が強いのではないか」とイメージをされる方が多くいらっしゃると思います。少額から大きな利益を狙えることが特徴のFXですが、仕組みやリスクをきちんと理解せずに始めてしまうと、かえって大きな損失を生み出してしまうことも…そうならないためにも、まずは仕組みを知ることから始めてみましょう。
これからFXを始める方へ向けて、必ず覚えておいていただきたい基礎知識をご紹介していきます。ぜひ最後までご覧ください。
1.FXとは
FXとは「Foreign Exchange(外国為替取引)」の略称で通貨の交換を意味します。最近では、「外国為替証拠金取引」を指し示すものとして一般的な言葉になっており、取引額の一部に相当する証拠金を預けるだけで「外国為替」の取引を行えるのが大きな特徴です。
2.FXで利益を得る仕組み
「FX=難しそう、ギャンブルだ」というイメージを抱きがちですが、簡単にいってしまえば、世界の国々の通貨を交換するという点は海外旅行の時に行う外貨両替と全く同じです。
海外旅行に出掛ける際、まずは円をその旅行先の国の通貨に両替する必要がありますよね。
例えば、アメリカに行くとしたら円をドルに両替します。この円とドルを両替する行為を「外国為替取引」といいます。帰国後、出発時に交換した外貨を再び両替して円に戻す時に、為替レートが変動した分だけの日本円が戻ってきます。
同じようにFXの取引でも、為替レートの変動に伴って利益が得られる仕組みになります。
為替レートが期待した方向に変動したタイミングで再び両替すれば「為替差額」という利益が得られます。FX取引では外貨を売買し差益を得ることを狙う目的で通貨を交換し、この外貨の売買の価格差を狙った取引を「差金決済」といいます。
3.FXの最大の魅力
3-1.少額で大きな取引ができる
FXとは、外国為替取引を「証拠金」で行う取引です。「証拠金」は取引を行う際に相手側に預け入れる「担保金」のようなものです。FXは必ず決済することが約束された『差金決済』という決済方法を採用した取引のため、総取引額の現金(キャッシュ)の受け渡しは必要なく、売買の損益の受け渡しのみで取引が完了します。
例えば、ドル/円が1ドル=100円の時に10,000ドルの取引をするとします。本来であれば100円×10,000ドル=100万円がなければ取引はできませんが、FXでは総取引額(100万円)の25分の1の金額から取引が可能です。つまり、10,000ドル(100万円)を買うのに4万円から取引ができます。
もし、1万円の損失が発生すれば預けている証拠金から差し引かれ3万円に、逆に1万円の利益が出た場合は預けている証拠金に加算され5万円になります。証拠金で取引できるFXは資金効率が良いため、レバレッジの効いた取引であるといわれています。
【レバレッジ(leverage)】は「てこの力」や「てこの作用」といった意味を持ちます。実際にてこを用いると、自身の加えた力がてこによって何倍にも増幅され、自力では動かせなかった重いものを持ち上げることが可能です。FXのレバレッジにも、てことよく似た働きがあります。担保として預けた証拠金の何十倍にも相当する資金を動かして取引できるからです。少ない資金で大きな金額の取引ができる仕組みを『レバレッジ』といいます。
この仕組みがFXがギャンブルだというイメージを作っているのですが、これは大きな誤解です。仕組みがあるというだけで使うかどうかは個人の選択であり、レバレッジを使いこなすことでリスクを抑えて利益を最大限にすることが可能となります。詳細は後半で詳しく解説していきます。
3-2.ほぼ24時間取引ができる
FXは土日・メンテナンス時間を除き平日なら基本的に24時間いつでも取引できるのも魅力です。外国為替取引の特徴の1つに、取引を行う場所または建物を特定する「取引所」が存在しないという点があります。(一部の限定的な取引は除きます)
電話やインターネットを介して、「買いたい人」「売りたい人」それぞれが個々に取引を成立させる方法が主流になっています。そのため、どこかの国や地域で取引している限り、いつでも取引に参加することが可能です。
昼間は仕事や家事で忙しい方でも夜の空き時間を使って取引できることから、さまざまなライフスタイルに柔軟に対応しやすい投資という一面も持っています。また、注文から決済までが早いので資金を回転させられることも魅力の1つです。
3-3.スワップポイントをもらえる
FXには、先程お伝えした価格変動による為替差益の他に、もう1つ大きな収益のチャンスがあります。それが「スワップポイント」による収益です。
FXは短期間で為替差益を狙う手法が主流ではありますが、長期間の運用でもメリットがあります。
FXの取引では、異なる2つの国の通貨の交換を行うと同時に、金利の交換も行われます。各国の金利は異なるため、その差額を調整する必要があり、その金利差額調整が「スワップポイント」となり、高金利通貨を買うとほぼ毎日利益を得ることが期待できます。
ただし、低金利通貨を買った場合や、高金利通貨を買った後で金利が低くなってしまうと、スワップポイントが支払いに転じてしまうことがあります。さらに、高金利通貨として知られる新興国通貨の取引においては突発的な相場の変動が起こりやすい点に注意をしなければなりません。
4.抑えておくべきFXのリスク
4-1.ハイリスクハイリターンになることも
FXはレバレッジ効果で少ない資金で大きな利益を狙うことができる反面、レバレッジをかけすぎると大きなリスクも伴います。
判断を誤るとロスカット(自動決済)により、預けた資金を失ったり大きな損失を出したりする恐れがあるので注意が必要です。どの投資方法にも共通しますが、FXは特にリスクコントロールがとても重要になります。
ロスカットとは
一定水準以上の損失が発生した場合にさらなる損失の拡大を防ぐための、投資家の保護を目的としたFXの制度の1つです。ロスカットが設けられていないと、預けた保証金を全額失うばかりか、追加で資金を払わなければならない場合もあります。このような意図しない決済を避けたい場合は、保証金を増やしたり、レバレッジを抑えるとロスカットの可能性が低くなります。
ロスカットも一見危険なものと思われがちですが、自身を守るための機能でもあります。リスクをすべてコントロールし正しい対策を講じることができれば、すべての材料を味方に付けて利益だけを大きくすることができるのもFXの利点です。上手に活用できるようになるために大切なノウハウを「おわりに」でご紹介しますので、そちらもぜひご覧ください。
4-2.為替や金利の変動により損をする恐れがある
常に変動している為替レートは、ビッグニュースや大口取引者の注文状況などさまざまな要因により、取引する通貨ペアのレートが急激に変動するリスクがあります。また、取引する通貨国の政策金利が急激に上昇したり低下したりすることでスワップポイントにも大きく影響するリスクもあります。
しかし、これらの経済指標もあらかじめ把握しておくことでそうした場面を避けて安全な時だけ取引を行うことも可能です。結局すべては使う側でコントロールできることであり、理解して対策を講じることさえできれば問題はありません。
おわりに
ギャンブルだと思われがちなFXですが、怖いからこそきちんとリスクを理解した上で資金管理・レバレッジコントロール・自動ロスカット等をしっかりと活用をすると、リスクは最小限に抑えて利益だけを大きく取るような取引を行うことがとても大事になってきます。
正しい知識をつけて、正しく対策をすることが大切です。
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きっと、しっかりとした知識をつけていくことで「FX=ギャンブル」という考えが変わっていくと思います。
このコラムが、ご自身の資産形成のための選択肢を広げるきっかけになれば幸いです。