保険についてもっと知ろう(その4)

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保険についてもっと知ろう(その4)

保険についてもっと知ろう」の前3回分はお読みいただけましたでしょうか。解説ばかりで退屈に思われたり、「保険ってやっぱり難しい」と思って立ち止まりそうになったりされた人もいらっしゃるかと思います。もう少し保険の概要といえることについてお伝えしていきますので、頑張ってついてきてくださいね。

1.保険について知る意味

あなたは保険とどのように付き合っていらっしゃるでしょうか。あなたにとって保険とはどんなものでしょうか。

これまで何度かお伝えしていますが、多くの人は社会人になって勤務先に来ている保険会社の人にすすめられるまま保険に入り、年末調整の時に思い出すだけなのではないかと思います。したがって、「保険についてもっと知ろう(その1)」であらためてご質問したうちの最初の2つ(A. 現在どのような保険に加入されているか把握できていますか?B. 現在加入されている保険の内容をご自身で説明できますか?)について答えられる人は多くはないでしょう。

ところで、あなたは保険にいくら払っているか、人生において保険に対する支払いの合計額がいくらになるか把握していらっしゃいますか?人生における大きな買い物、というと住宅=家、といわれていますが、実は保険も大きな買い物で、人生では2番目に大きな買い物といわれているのです。住宅購入ほど大きく注目されないのは、トータルいくら支払うことになるのかが保険の契約時点では分からないことや月々の支払額がそれほど大きくないことなどが理由だと思います。できれば月々の支払額(=保険料)からトータルでいくら支払うことになるのか計算してみてください。結構な金額になり驚かれることと思います。なお、ここでいう「保険」は民間のものを指します。

これほど大きな額を支払うものにもかかわらず、どのような保険に加入しているのか、保険の内容を把握していないというのは考えてみれば不思議で、おかしな話です。さらにいえば、「分からないから」とすすめられるままよく調べることなく加入した、ということも私からすると不思議で、おかしな話に聞こえます。というのも、衝動買いを除けば、お金を支払う時には、支払ったことによって得られるもの(モノだけでなく体験や感情など)を吟味し、支払っても良いものかどうかを検討するのが一般的な行動だからです。特にそれがある程度まとまった金額であれば慎重になるのではないでしょうか。相当なお金持ちの人を除けば、高額なものを衝動買いした(何も調べず吟味・検討せず購入した)という話は聞いたことがありません。スーパーのチラシを比較して、例えば人参は〇〇スーパーの方が安い、大根は△△スーパーの方が安い、と1円でも削ろうとしている話を見たり、聞いたりされたことはあるのではないでしょうか。

保険についてもっと知ろう(その1)」で保険証券のことを、「保険についてもっと知ろう(その2)」で保険約款や契約のしおりについてご説明したのは、実際に保険証券や契約のしおりをご覧いただき契約されている保険の内容を把握していただきたかったからですが、その背景には前述でご説明したようなことがあるのです。もちろんこのような状況になってしまうのは保険をすすめる側にも責任はあると思いますが、保険の加入者が賢くなることは大事なことだと思っています。

2.民間保険の種類

2.民間保険の種類

第1章をお読みいただき保険の内容を把握してみようというモチベーションが上がりましたでしょうか?保険についてもっと知ろうという思いになっていただけているということを前提に、これまでの3回のコラムでお伝えしていない保険の概要についてご説明します。

今回もまた質問からスタートします。民間保険の種類はいくつあるでしょうか?

この質問に答えるために、給与所得者の人であれば「保険についてもっと知ろう(その2)」の第2章と同じように年末調整の保険料控除申告欄に記入した保険を思い出しながら数を数えられるのではないかと想像しますが、答えは「生命保険」と「損害保険」の2種類です。どちらも見たり聞いたりされたことがあると思いますが、これら2つについて説明できますでしょうか。

生命保険とは、「人」が保障の対象である保険です。人の生存または死亡に関して保険金が支払われるもので、死亡した場合に備える保険、将来の年金に備える保険などが生命保険です。

一方、損害保険とは、モノや行為が補償の対象である保険です。自動車保険、火災保険などがこれに該当します。

両者の違いは色々と挙げられますが、特に知っておいていただきたいのは「保険金」の違いです。

生命保険の場合、契約で定めた金額(=保険証券に記載されている保険金の額)が原則支払われます。保険に加入する際、保険金が支払われる事象が発生した場合いくら支払われるのかという金額を決め、実際その事象が発生したらあらかじめ決めておいた金額が支払われる、これが生命保険です。

一方損害保険の場合は、契約で定めた金額満額が支払われないことがあります。損害保険とは実際の損害に対し契約した範囲内で保険金が支払われるのが原則であり、損害額によって支払われる金額が変わるのです。例えば火事が発生し家屋の一部に損害が出てそれを回復させた場合、契約では上限額を100万円としていても、実際の損害額が30万円であれば支払われる保険金は30万円となります。また、損害が出た部分を火事が起きる直前の状態より価値が不当に高い状態にしてしまうと価値相当の金額しか支払われません。もし損害の算定額が30万円であった場合、補修するならばついでにと追加の補修を行い合計で100万円かかったとしても、損害の算定額分の30万円しか保険金は支払われないのです。

保険において「査定」という言葉を見たり聞いたりされた人もいらっしゃるかと思いますが、これは損害保険の中で使われます。事故が起きた時の支払いについては、前述でご説明したように損害額がいくらなのかを「査定」した結果の金額が支払われることになります。

3.ケーススタディ

ここで1つ考えていただきたいことがあります。

あなたの資産、大丈夫ですか(その3)」の第1章でお出しした例をここで改めてご説明します。このコラムではリスク管理の必要性をお分かりいただくために以下の例を示しました。

Aさんは、老後資金のためにと頑張って資産形成に努め、1,000万円貯めることができました。とある休日、お天気が良いので自転車で買い物に出掛けました。気持ちが良く特に予定がないので普段通ったことのない道を通ってみようと思い、知らない道を進んでいきました。ところが途中で道に迷ってしまい、現在地を確かめるためにスマホで検索しながら自転車に乗っていたところ、それに気を取られてハンドル操作を誤り、通行人とぶつかってしまいました。倒れたその人に駆け寄ると頭から血が流れており意識が朦朧としています。病院に搬送されたその人は一命は取り留めたものの半身不随となってしまいました。

このケースの場合、Aさんはぶつかった「人」に対し金銭を支払うことになります。その人が20代、30代前半でお子様が小さいという場合、1億円近くになる場合もあります。

上記ケースをお読みいただいて、このようなことが万が一起きた場合に備え保険契約をする必要があると思われた人がいらっしゃると思います。では、この場合に加入する保険は、どんなものでしょうか。調べられた方はいらっしゃるでしょうか。

これは「個人賠償責任保険」です。損害保険に分類されます。ただし、これは特約になるため単独では契約できません。自動車保険、火災保険、傷害保険に付加する形での契約となります。毎月の保険料は現在200円以下です。

おそらく「個人賠償責任保険」という保険の存在は多くの人には知られていないと思います。今回ケーススタディとして取り上げたのは、この保険を知っていただきたいから、ということではありません。このような保険があるのにすすめられなかったと保険会社の人やファイナンシャルプランナーを責めて欲しいわけでもありません。

リスク管理というものがどういうものか、保険をどのように捉えるのかということをあらためて考えていただきたかったからです。大事なのは、何の保険に加入するかではなく、自身(の家庭)にどのようなリスクが存在しうるのかをまず算定しなければならないということです。

あなたの資産、大丈夫ですか」のコラムをお読みいただき、リスクを洗い出したという人はどのくらいいらっしゃるでしょうか。くどいようですが、行動しないと変わりませんので、まだリスクの洗い出しができていない人はぜひ着手していただければと思います。そのうえで、保険についての記事をお読みいただくと、より理解が深まると思います。

あらためて保険の役割などをご認識いただくことで、保険についての理解が深まれば幸いです。

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