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介護で大変なことをランキング形式で解説!負担を和らげるポイントとは

介護で大変なことをランキング形式で解説!負担を和らげるポイントとは
セゾンのくらし大研究 編集部

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セゾンのくらし大研究 編集部

豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

介護は尊い行為である一方で、心身の負担や時間的・経済的な困難を伴うことが少なくありません。この記事では、介護者が直面する「大変なこと」をランキング形式で紹介しながら、健康面や生活への影響など、注意するべきポイントをわかりやすく解説します。さらに、専門家への相談方法や介護サービスの活用など、具体的な対処法も提案します。介護中の方はもちろん、これから介護に向き合う方にとっても、心身の負担を軽減しながら無理なく続けられる介護を実現するためのヒントをお届けします。

この記事を読んでわかること
  • 介護はひとりで抱え込まず、地域包括支援センターなど専門家に相談できる心強いサポート体制がある
  • 介護者コミュニティでの悩み共有により、孤独感や精神的負担を軽減できる具体的な方法がわかる
  • 介護保険サービスや民間サポートサービスを柔軟に組み合わせて、介護負担を大幅に軽減できる

介護で大変なことをランキング形式で紹介

介護で大変なことをランキング形式で紹介

介護は多くの人にとって、身体的にも精神的にも大きな負担を伴うものです。ここでは、複数の介護情報サイトなどの調査結果を参考に、介護において大変なことをランキング形式で紹介します。介護の現場で直面する難しさを理解することで、より効果的な介護支援や対策を考えるきっかけになるでしょう。

1位:介護対象者とコミュニケーションを取ること

介護において最も困難を極めるのは、要介護者とのコミュニケーションです。特に、認知症が進行すると、言語によるコミュニケーションは壁に突き当たります。医療法人社団風林会リゼクリニックの調査によると、介護経験者の51.7%が、介護で大変なこととしてコミュニケーションを挙げています。

認知症の方は、自身の感情や要求を適切に伝えられなくなり、介護者の言葉も理解しづらくなります。そのため、言葉以外の微妙な変化を読み取る繊細な観察力が求められます。表情の変化、仕草、目の動き、わずかな反応など、非言語的なサインを通じて相手の内面に寄り添う共感力も必要となります。

介護者には、相手の尊厳を守りながら、忍耐強く、温かいコミュニケーションを続ける姿勢が求められます。言葉が通じなくても、相手の感情に寄り添い、安心感を与える関係性こそが、介護における本当のコミュニケーションといえます。

参考:医療法人社団風林会 リゼクリニック|2021年「敬老の日」直前/40~50代男女1100名に聞く「老後と介護」調査(PR TIMES)

2位:日中や夜間の排せつを介助すること

介護における大きな課題の2つ目は、日中および夜間の排せつ介助です。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査でも、就業継続が困難と考える介護者にとって、夜間の排せつ介助は大きな不安を感じる介護のひとつとなっています。

特に夜間の排せつは、介護者の睡眠を妨げ、身体的・精神的な負担を大きく増加させます。日中の排せつ介助も、要介護者のプライバシーと尊厳を守りながら適切にサポートする難しさがあります。介護者は、単に身体的な介助だけでなく、要介護者の羞恥心や不安にも配慮しなければなりません。

排せつ介助は、就労継続の可否を判断する重要なポイントとなっており、多くの介護者が大きなストレスを感じているのです。

参考:三菱UFJリサーチ&コンサルティング|全国の在宅介護実態調査データの集計・分析結果 〔概要版〕

3位:介護と自分の生活を両立させること

介護は、仕事や育児、家事など、介護者自身の生活に大きく影響します。要介護度が重くなると、24時間の見守りが必要となり、介護者の時間的余裕は著しく減少します。働き盛りや子育て中の介護者にとって、この両立は極めて困難となります。

介護には身体的なケアだけでなく、準備や後片付けなど多くの時間と労力が求められます。睡眠時間の確保さえ困難になることもあり、介護者自身の生活や健康が脅かされるリスクもあります。介護サービスや家族の協力を最大限に活用し、自身の負担を軽減することが重要です。

4位:食事の用意や介助をすること

食事の介助は、要介護度が高くなるほど複雑で時間のかかる作業となります。単に食べさせるだけでなく、食材をミキサーで細かくしたり、トロミをつけたりと、多くの手間が必要です。

経済的な負担も無視できません。専門的な調理器具や介助用品の購入、ときにはホームヘルパーへの依頼など、追加のコストがかかります。介護用スプーンやストローキャップなどの自助具を活用しながら、できる限り負担を軽減する工夫が求められます。

5位:入浴を介助すること

入浴介助は、身体的にも精神的にも最も負担の大きい介護の一つです。要介護者を抱きかかえる際の体力的な負担に加え、本人の羞恥心から介助を拒否されることも少なくありません。さらに、溺れたり、ヒートショックを起こしたりといったリスクもあり、細心の注意が求められます。

介護者の身体的・精神的負担を軽減するため、入浴頻度を調整したり、訪問入浴サービスを利用したりすることが推奨されます。浴室の手すりや滑り止めマットなどの安全対策も、介護負担を大きく軽減してくれます。

6位:徘徊に対応すること

徘徊は、認知症の進行に伴う深刻な症状で、要介護者が自宅を突然飛び出してしまうリスクがあります。介護者だけで常時見守ることは困難なため、行方不明になる危険性もあります。

そこで活用したいのが、自治体などが提供する見守りサービスです。また、要介護者に適度な運動や趣味を提供することで、徘徊に必要なエネルギーを消費して予防につなげることもできるでしょう。

7位:移乗を介助すること

移乗介助は、ベッドから車いす、車いすからベッドなど、さまざまな場面で行われる身体的負担の大きい介護のひとつです。不適切な体勢は介護者の腰痛や、要介護者のけがにつながる可能性があります。

可能であれば、自治体の家族介護教室に参加するなどして、安全で負担の少ない移乗方法を学びましょう。要介護者と介護者、双方の身体的リスクを最小限に抑えるための専門的な技術を身につけることができます。

8位:外出時の介助をすること

通院介助は、介護者にとって大きな時間的・精神的負担となります。高齢者の受診や移動には多くの配慮が必要で、服装や持ち物、排せつなど、細かな気遣いが求められます。

頻繁に通院しなければならないと、介護者自身の予定を立てるのが難しくなります。そこで、家族の協力やホームヘルパーの通院介助サービスなどを活用することである程度の負担を軽減できます。柔軟な対応が、介護の質を保つポイントとなります。

9位:服薬を管理すること

要介護者が多くの薬を服用している場合、服薬管理は最も神経を使う介護のひとつです。薬の飲み忘れを防ぎ、正確に服用させるには大変な労力を要します。特に認知症の場合、薬の服用を拒否されることもあります。

医師や薬剤師に相談し、服薬ケースやカレンダーを活用したり、薬の剤形を変更したりすることで、管理の負担を軽減できます。個々の状況に合わせた柔軟な対応を心がけましょう。

10位:身だしなみのケアを介助すること

身だしなみのケアは、要介護者の清潔さと尊厳を保つために重要ですが、同時に介護者にとっては負担の大きい介護でもあります。介護者は、要介護者の好みや習慣を尊重しながら、できるだけ負担の少ない方法を見つける必要があります。

ドライシャンプーやウェットティッシュの活用など、効率的でありながら要介護者の尊厳を守るケア方法を工夫することが大切です。

介護で大変なときに気をつけるべき注意点とは

介護で大変なときに気をつけるべき注意点とは

長期間の介護は、介護者の身体的、精神的、経済的側面に大きな影響を与えます。介護は献身的な行為ですが、同時に介護者自身のウェルビーイングを脅かす可能性があります。

ここでは、介護によって生じるさまざまな負担に注目し、介護者自身の生活の質を守るための重要なポイントを解説します。介護は一人で抱え込むものではなく、適切なサポートが欠かせないものなのです。

介護によって健康を損ねていないか

長期間の介護は、介護者の心身の健康に深刻な影響を与える可能性があります。食事や排せつ、入浴の介助などは身体的な負担となり、腰痛や慢性的な疲労を引き起こす場合があります。特に、要介護度が重くなるほど、介護者の身体的負担は増大します。

精神面では、24時間体制の介護によるストレスや将来への不安、自分の時間がないことによるフラストレーションが、介護うつや燃え尽き症候群のリスクを高めます。

介護者と要介護者の共倒れを防ぐためにも、自身の健康管理を最優先する必要があります。定期的な休息、専門家のサポート、家族や地域との連携が健康を守る重要な鍵となります。

介護に時間を割くことが負担になっていないか

介護は、多くの時間を消費し、介護者の生活を根本的に変えてしまう可能性があります。仕事や家事、育児との両立は困難となり、友人との交流や趣味、旅行など、自由な時間が著しく制限されます。24時間体制の介護は、介護者から自由な時間を奪い、社会的な活動を制限してしまうのです。

このような時間的制約は、孤立感やストレスを生み出します。介護保険サービスの活用、家族間での役割分担など、時間を効率的に管理し、介護者自身の生活の質を維持する工夫が不可欠です。自分の時間を確保することは、より質の高い介護を続けるためのポイントとなります。

介護による経済的負担が重くないか

介護は、想像以上に経済的な負担を伴います。介護サービスの利用者負担、紙おむつや食事代などの直接的な出費に加え、介護のために仕事を制限したり離職したりすることによる収入減少は、家計を大きく圧迫します。また、公的介護保険が適用されない費用や、住宅改修、介護用品の購入なども、経済的な負担を増大させます。

さらに、介護離職は長期的なキャリアへの影響も懸念されます。再就職が難しくなったり、将来の収入機会を失ったりするリスクがあります。

勤務先の介護休暇制度の活用、各種経済的支援制度の利用、ファイナンシャルプランナーへの相談などを通じて、経済的な安定を維持するための工夫が欠かせません。

介護で大変なときの対処法を解説

介護で大変なときの対処法を解説

介護は長期にわたり、介護者自身の心身を追い詰めてしまう可能性があります。介護疲れや孤立感、経済的な負担など、介護者が直面する課題は多岐にわたります。しかし、一人で抱え込む必要はありません。

ここでは、介護の負担を軽減するための具体的な対処法を紹介します。専門家への相談、同じ悩みを持つ人々とのつながり、サービスの見直しなど、介護者自身を守るためのアプローチを解説します。

専門家に相談し介護サービス利用を検討する

介護の負担が限界に近づいていると感じたら、すぐに専門家に相談することが重要です。地域包括支援センターや自治体の福祉窓口は、介護保険サービスについての詳細な情報を提供してくれます。

介護保険サービスには、訪問介護、通所介護、短期入所サービスなど、要介護者の基本的なニーズをカバーする多くのサービスがあります。しかし、介護保険だけでは対応しきれない細やかなニーズや、より柔軟な支援が必要な場合もあります。

そこで、地域包括支援センターや自治体の福祉窓口を活用すれば、介護保険でカバーできるサービスと、追加で検討すべき民間サービスについて、具体的な助言をもらえるはずです。

早めに相談し、公的サービスと民間サービスを適切に組み合わせることで、より包括的で効果的な介護支援を実現できます。ひとりで抱え込まず、専門家の知識と経験を活用することが、介護負担を軽減する最も重要な第一歩なのです。

同じ立場で介護をしている人と悩みを共有する

介護はどうしてもひとりで抱え込み、孤独になりがちです。そこで、地域の介護者の会、オンラインコミュニティ、SNSなどを通じて同じ経験をしている人とつながることで、心理的な負担を軽減するとともに、実践的な知恵を得ることができます。

これらのコミュニティでは、似た境遇の人々と悩みを率直に共有できます。単に感情を吐き出すだけでなく、具体的な介護のコツや対処法、心の支えになるアドバイスを得られることもあります。また、自分だけが苦労しているわけではないという安心感も得られます。

悩みを共有することは、新たな視点や解決策を見出す重要な機会となり、介護に対するストレスや孤独感を軽減する効果的な手段なのです。

ケアプランの見直しや施設入居を検討する

介護保険サービスを利用中であっても、要介護者の状態は常に変化します。そこで、定期的にケアプランを見直し、介護保険でカバーされるサービスが現在のニーズに十分対応できているか確認することが重要です。

介護保険が適用されるサービスには一定の制限があり、すべての個別のニーズを完全にカバーすることは難しいのが現状です。例えば、より頻繁な見守りサービス、夜間の特別なケア、外出支援、家事代行など、保険適用外のきめ細かなサポートが必要になることもあります。

そこで、ケアマネージャーと相談しながら、民間の介護サービスを補完的に活用することを検討しましょう。民間の介護サービスは、公的サービスでは対応しきれない柔軟で個別化されたニーズに応える選択肢となります。介護保険と組み合わせて、より包括的で質の高いケアを実現することができるのです。

おわりに

介護は、決してひとりで抱えるべきものではありません。専門家への相談や、同じ経験を持つ人とのつながり、必要に応じたサービス活用など、頼れる選択肢はたくさんあります。何より大切なのは、自分自身の健康と心のゆとりを守ることです。

介護は長期化することも多く、だからこそ介護者自身のケアを忘れてはいけません。時には休息を取り、自分の限界を知り、周囲の力を借りることが、よりよい介護につながります。ひとりで抱え込まず、周囲のサポートを最大限に活用してください。

献身的な介護は、非常に尊い行為です。誰かの支援を求めることは決して弱さではなく、むしろ賢明な選択なのです。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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