多くの方にとって老後の暮らしやお金は不安に思う話題です。不安に思うのは、わからないことが原因となっているパターンが少なくありません。専門家に相談すればそのような不安も解消できるでしょう。
悩んでいる内容によって相談するべき相手が変わるので、悩みごと別にどの専門家に聞くべきかを把握しましょう。
悩み別お金の窓口早見表

まずは、ざっくりと相談先の種類と相談できる内容を知っておきましょう。下の表で各相談先が有料なのか無料なのかも合わせて確認できます。
なお、無料相談の条件(初回のみ、時間制限、商品購入前提等)は各機関で異なるため、詳細は各社で要確認となります。
![[図解]悩み別お金の窓口早見表](https://life.saisoncard.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/96f6a419c1b5c840dc212fe8b73e4b2b-1024x632.png)
※税務署の無料相談は個別の節税提案や継続的助言は対象外の場合があります。
相談する前に整理しておくべきポイント

まずはご自身がどのような内容について、相談したいのかを明確にすることが大切です。その内容によって適切な相談先が変わります。例えば、野菜を買いたいのであれば八百屋に行くべきで、魚屋に行っても徒労にしかなりません。
お金の相談も同じで、各相談先にはそれぞれ得意な領域があります。
相談したい内容が固まったら、問題解決につながりそうなFPや金融機関をネットで検索して比較してください。
また、専門家への相談は基本的に費用がかかります。
支払える上限額を決めておき、設定金額に沿う範囲の相談先を事前に探しておきましょう。
自治体によっては、専門家を招いて無料相談会やセミナーなどのイベントを開催しているところもあるので、お住まいの地域の行政がそのような企画を実施しているかを調べてみるのも有効です。
相談したい内容についての専門書籍を読めば、困り事が解消する場合もあります。専門家に相談したほうが確実ではありますが、書籍を購入するほうが費用が安くすむので、まずは書籍を読んでみるのもひとつの手です。
相談内容別の相談先

ケース1:全般的な家計の相談をしたい
家計全般についての相談はFP(ファイナンシャルプランナー)に相談しましょう。ただし、FPであれば誰でも良いということではありません。
FPによって得意分野に違いがあるので、条件にマッチする方を探して、相談の質を高めることが肝心です。
事前にネットや書籍などを調べて、有効なアドバイスをくれそうなFPの目星をつけておきましょう。
FPのなかでも「FP1級」や「CFP®資格」は、取得が難関な資格として知られています。
これらの資格を所持するFPは高度な専門知識を持つと考えられますが、資格保有が助言の品質を保証するものではない点にご注意ください。あくまで参考指標として活用し、実際の相談では担当者の経験や対応も総合的に判断することが大切です。
日本FP協会のサイト内にある「CFP®認定者検索システム」を利用すれば、CFP認定者を条件指定して検索できるので、希望に合致するFPを見つけるのに役立ちます。CFP認定者の検索システムでは、地域や対応分野によるスクリーニングもできます。
日本FP協会以外にも、豊富な実績を持つFPのなかから相談パートナーとなるFPを探して相談できる「FP Cafe」といったサービスもあります。
※当サイトとFP Cafeに利害関係はありません。掲載情報は更新される可能性があるため、最終的な条件・料金は直接サービス提供者にご確認ください。
FPの相談時間は1〜2時間程度ですが、対応するFPは事前の資料準備やアフターフォローなども必要で、一人ひとりの相談に多大な時間と労力をかけています。
相場よりも著しく安い料金で相談を受けているFPもいますが、適切な料金設定をしているFPのほうが信頼できるともいえます。相談料金の目安は1時間1万円から(税込・地域や案件の難易度、時間外対応により変動)と考えておくといいでしょう。
また、銀行や証券会社、郵便局の窓口、保険代理店などで、提携するFPに無料相談できるサービスを実施していることもあります。
ただし、無料の場合には保険などの高コスト商品に加入・購入させることを目的としているケースもあるため、注意が必要です。無料相談の条件は各社で要確認となります。
金融機関と提携しているFPの相談と独立系FPの相談では、中立性は各担当者・報酬体系により異なります。提携先や販売手数料の有無で利益相反が生じ得るため、相談時には担当者の立場や報酬体系を確認することをおすすめします。
![[図解]日本FP協会「日本FP協会が認定しているCFP®・AFP認定者(ファイナンシャル・プランナー)が設定している1時間当たりの相談料の調査結果」](https://life.saisoncard.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/6d013d57d1e9b533e9cbf2c7dd29015c-1024x576.jpg)
ケース2:運用商品選びを相談したい
運用商品の相談をしたい場合は銀行、証券会社、FPに相談できます。
銀行や証券会社は原則無料で相談できますが、提携先から手数料を得るために特定の保険商品を推奨される可能性がある点には注意しましょう。相談時には手数料・コスト・リスク説明を十分に確認し、金融商品取引法上の開示事項についても必ず確認してください。
ケース3:退職金運用を相談したい
退職金運用の相談先として、銀行、証券会社、FPに加え、保険代理店も挙げられます。
商品選びと同様、無料相談(条件は各社で要確認)はセールスを受ける可能性がある点に注意が必要です。退職金運用は額が大きいので、商品選び以上に慎重になりましょう。その際には、手数料やコスト、リスクに関する説明をしっかり理解してから判断することが大切です。
ケース4:節税対策を相談したい
税金対策と聞くと税理士をイメージされるかもしれません。しかし、会社員や公務員が税理士に相談することは非常に珍しいケースです。
「不動産投資をしていて確定申告の相談をしたい」といった場合でもなければ、税理士に相談する必要はないので、会社員や公務員の方はFPに相談しましょう。また、自治体で無料相談会などが開催されていることがあるので、そちらを活用するのも有効です。
自営業者の方であれば、税理士と顧問契約して依頼する場合もあるでしょう。
よく「年間売上高が1,000万円以上となったら契約した方がいい」と言われますが、これは目安の一つであり、必ずしも法的に求められるものではありません。相談料は1時間で10,000〜30,000円が目安(税込・地域により変動)とされています。
また、税務署でも無料相談を受けられます。ただし、相談内容は税務手続きや制度の一般的な説明に限られることが多く、個別の節税提案や継続的な助言までは対応していない場合があります。あらかじめ相談範囲を理解しておきましょう。
ケース5:保険の見直しを相談したい
保険を見直したい場合は銀行、保険代理店、FPが相談先として考えられます。
保険の相談においても銀行や保険代理店、保険販売を行っているFPは、企業として売りたい商品を優先してすすめてくることが考えられるので注意が必要です。
ただし、保険を扱っていないFPは、保険市場のトレンドを把握できていない可能性があるというデメリットもあります。
「保険ランキング」などのキーワードで検索すれば、人気の保険商品をランキング形式で掲載しているサイトが出てきます。
また新聞や雑誌など、大手メディア(紙・Web媒体問わず)の保険特集で現行商品のランキングに参加・監修しているFPなら、市場トレンドや新商品も踏まえた最低限の情報をおさえている可能性が高いでしょう。
それらのメディアで保険商品の選定や解説をしているFPを優先して依頼を検討しましょう。
もっとも、ランキングやメディア特集は広告やPRが絡む場合や、調査時点によって内容が変わることもあります。安心して選ぶためには、各社の公式サイトなどで最新の条件(特に広告の有無)や手数料、注意事項をチェックすることが大切です。
ケース6:相続を相談したい
弁護士、税理士、司法書士、行政書士が相談先として考えられます。司法書士や行政書士は書類の作成がメインのお仕事なので、弁護士や税理士に相談するのが現実的でしょう。
ただし医師でも整形外科や内科などさまざまな診療科があるように、弁護士や税理士も相続を得意としているとは限りません。相続を対応業務としているかどうかは事前にチェックしておきましょう。またFPでも相続を得意分野にしている方もいるので、そちらも選択肢に含めておきましょう。
そのうえで、選ぶべき相談先はタイミングによって変わります。相続には、相続放棄や限定承認の申述期限(原則3ヵ月)、相続税の申告・納付期限(同10ヵ月)といった期日が設けられています(起算日の扱いや熟慮期間の延長申立てなど例外もあります)。
被相続人が亡くなったあとの手続きは期限を意識する必要があるので、早めに実務に詳しい弁護士や税理士に相談しておくと安心です。
FPに相談するのは、被相続人がご健在のときに、将来の相続をどうすれば良いのかわからず不安になったときなど、時間的な余裕がある場合が適しています。1時間当たり1〜2万円が目安(地域により変動)です。
相続は相談先の弁護士、税理士の場合、費用は相続額に応じて変動するので、FPよりも高額になりやすい傾向です。行政で無料相談が開催されている場合もあるので、まずはそちらをチェックしましょう。
ケース7:住宅の住み替えやローン返済を相談したい
住宅のリフォームやローンについての相談は、銀行の相談窓口や不動産会社、FPなどに相談しましょう。
モデルルームの内見に行くと、不動産会社と提携するFPが常駐していて、無料でローンや物件購入に向けたお金の相談をしてもらえる場合があります。
モデルルームにいるFPは報酬体系により、2種類に分類されます。ひとつは、不動産会社から提携料の支払いを受け、来場者の相談に乗っているFP。
もうひとつが、相談者に住宅ローンを契約してもらうと不動産会社から成功報酬が支払われるFPです。前者に相談するのは問題ありませんが、後者は成功報酬のために提案内容が偏る可能性があり、無理なローンを強気に勧めてくることも考えられます。
そのため、このようなFPからの勧誘や提案をうのみにせず、自分にとって本当に有利かどうか、無理な返済にならないかを慎重に確認する姿勢が欠かせません。特に、条件の妥当性を判断するためには、複数社の提案を比較したり、書面で詳細を確認したりすることが有効です。
おわりに
専門家に相談すれば、わからないことやするべきことが明確になるので、不安の解消につながります。相談する際に心がけておきたいのが、専門家とはいえ、見解がわかれる場合があることです。
手間や料金などのコストは余計に発生してしまいますが、確実性や安心感を得るために、相談後に別の専門家へのセカンドオピニオンがおすすめです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の投資助言や勧誘を行うものではありません。記載内容は2025年8月29日時点の情報に基づいていますが、法令・制度・手数料等は将来的に変更される可能性があります。最新の情報は必ず各公的機関や金融機関の公式サイトでご確認ください。最終的なご判断は、専門家や公的機関からの情報を踏まえ、ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。