生前から自分の葬式準備に取り組むことで、「理想の葬式を行える」「死後に家族の負担を減らせる」など多くのメリットを受けられます。自分と家族が納得できる葬式を行うためには、納骨方法や具体的な費用、喪主などを明確にしておくことが大切です。今回の記事では、生前に自分の葬式準備を進める重要性や必要な準備、手続きをスムーズに進めるために活用すべきものなどを解説します。
この記事を読んでわかること
- 生前に自分の葬式準備を進めることで、家族の負担を軽減できる
- 準備の際は、自分が希望する葬式方法や費用、喪主、納骨方法などを決めておく
- エンディングノートに財産の内訳や親しい友人の連絡先、口座情報などをまとめておくことで、万が一の際に家族を迷わせない
- プロへの相談も活用することでスムーズに葬式準備を進められる
自分の葬式準備の重要性
生前の間に、「自分の葬式準備」を進める重要性は増しています。重要性が増している理由は、主に以下の3つです。
- 自分の理想的な葬式を行ってもらえるため
- 家族になるべく葬式準備の負担をかけないため
- 大まかに葬式の予算を把握するため
自分が亡くなった後に「どのように見送られたいか?」という希望を持つ方もいるはずです。
例えば「親友や家族だけでひっそり見送ってほしい」「好きだった音楽を葬式で流したい」などが挙げられます。生前に準備を進め、打ち合わせで希望を共有することで、理想的な葬式を行ってもらえるでしょう。
上記の葬式の希望を共有することで、万が一の際に家族も落ち着いて葬式準備を進められます。もし自分の希望を伝えていなければ、「誰を葬式に呼べば良いのか?」「どこで葬式を行うか?」などをすべて決めなければなりません。
家族からしても、親しい人物が亡くなった直後に焦って葬式準備を進めるのは、精神的な負担となります。生前に自分の葬式準備を進めることで、上記のような家族の負担を減らせるでしょう。
また、生前に準備をしておけば、大まかな葬式の予算も把握できます。予算を把握できれば、万が一に備えて「どれくらい資金を準備すれば家族に負担をかけないか?」という点を考えられます。
自分の葬儀準備で決めておきたいこと
生前から自分の葬式準備を進める場合、以下のポイントを決めましょう。
- 誰が費用を負担するか?
- どこで葬式を実施するか?
- 喪主は誰にお願いするか?
- 納骨方法をどうするか?
誰が費用を負担するか?
誰が葬式の費用を負担するのか決めておきましょう。
形態にもよりますが、 一般的な葬式の費用平均は「約200万円」といわれています。具体的には以下のような項目にお金がかかります。
- 葬式の会場代
- 火葬代
- 僧侶などへのお布施代
- 参列者の飲食代
- 返礼品代
このように、葬式費用は決して安くないため「誰が負担するのか?」を決めておかなければ、支払いを巡って家族間でトラブルに発展しかねません。とくに「配偶者が全額支払うべき」というように一方的に決めてしまうと、もめる可能性は高いでしょう。自分の葬式が原因で、家族が険悪になるのは避けたいはずです。
上記のようなトラブルを防ぐためにも、生前の間に自分や家族、親戚同士で話し合い、費用を負担する人物を決めておきましょう。相談したうえで遺書に負担する人物を明記しておけば、家族間のトラブルを避けられます。
なお、葬式費用の詳細については以下の記事でも解説しています。
関連記事:葬儀費用の平均目安は?知っておくべき内訳と費用を抑える方法とは?
どこで葬式を実施するか?
具体的な葬式の実施場所を決めておきましょう。
葬式の実施場所の希望については、人によってさまざまです。例えば以下のような希望が考えられます。
- 大規模なホールで葬式を行ってほしい
- 自宅で小規模に葬式を行ってほしい
- 先祖代々お世話になっている菩提寺で葬式を行ってほしい
- そもそも火葬式を希望するので会場は必要ない
場所の希望がある程度決まっていれば、生前に見学しておくのも良いでしょう。見学の際は、会場の雰囲気だけでなくスタッフの対応の良さや交通アクセス、駐車場の有無、会場設備、(遠方からの参列者を考慮して)宿泊の可否などもチェックしておきます。
会場選びの際は、自分が信仰している宗派も考慮が必要です。例えば「自分はキリスト教を信仰しているので教会で葬式を行ってほしい」という希望があれば、場所選びも変わってきます。
また、自分の葬式でしてほしいことがあれば決めておきましょう。例えば「好きな音楽を流してほしい」「生前の映像を流して偲んでほしい」などが挙げられます。自分の希望を実現できるかは会場ごとで異なるため、事前確認が必須です。
このように、会場を決める際は葬式形態の希望や宗派などを考慮して選びましょう。
喪主は誰にお願いするか?
家族や親戚同士のトラブルを避けるために、「喪主を誰にお願いするか?」という点も生前に決めておきましょう。
喪主については、一般的に「配偶者→長男→長男以降の男性→長女→長女以降の女性→故人の両親→故人の兄弟姉妹」という順番で決めます。ただし、上記の順番は絶対ではないため、自分の遺言書で喪主を指名することもできます。喪主を指名する場合は、「なぜ依頼したいのか?」という点を伝えると相手も納得してくれるでしょう。
喪主は葬式当日の段取り把握や参列者対応、お布施の支払い、葬式会社との打ち合わせなど、多くの負担がかかる役割です。少しでも喪主の負担を減らすために、お願いする相手を早めに決定して自分の希望を伝えておき、万が一の事態が起きた際にスムーズに動けるよう配慮しましょう。
納骨方法をどうするか?
具体的な納骨方法を決めておきましょう。
日本は仏教の教えに沿った葬式が主流であるため、「四十九日法要に合わせて先祖代々のお墓に納骨する」ということが一般的です。しかし現在は、以下のように納骨方法も多様化しています。
- 樹木葬:霊園内の樹木をシンボルとして根本に納骨する
- 散骨:海や山、森など故人と縁のある場所にご遺骨を撒いて納骨の代わりとする
- 納骨堂:室内に設けられた専用スペースに納骨する
- 永代供養墓:一定期間は墓地管理者がご遺骨を管理し、その後は他のご遺骨と合わせて供養する
- 手元供養:ご遺骨でアクセサリーなどを作り家族が身につけられるようにする
どの納骨方法を選ぶかによって、必要な手続きや費用などは異なります。例えば手元供養を選ぶのであれば、葬式会社だけでなく、ご遺骨を砕く専門の事業者探しも必要です。また、方法によっては先祖代々のお墓に納骨しないことになるため、親族から反対される可能性もあります。
こうした事情を考慮し、生前のうちに納骨方法を決めておき、親族などへの説得を行うことが大切です。本人が事前に必要なことを決めておけば、死後に家族へ負担をかけずに済みます。
自分の葬式準備で用意しておきたいもの
自分の葬式に向けて事前に準備するものとして、主に以下が挙げられます。
- 葬式に必要な費用
- 遺影写真
- 葬式に呼ぶ方の連絡先リスト
葬式に必要な費用
事前に葬式で必要な費用を準備しておきましょう。
上記で解説したように、葬式では平均して約200万円かかります。費用を準備しておかなければ、自分の死後に家族へ負担がのしかかるため、可能な限り生前に準備しましょう。
葬式費用を準備する手段としては、例えば以下が挙げられます。
- 自分で貯金しておく
- 葬儀保険を活用する
- 冠婚葬祭互助会を活用する
- 葬式会社と生前契約を交わす
一番シンプルな方法が、貯金しておくことです。葬式の予算を大まかに出しておくことで、生前に必要な具体的な貯金額を求められます。貯金を活用する場合は、事前に口座情報や暗証番号などを記録しておき、家族がスムーズに手続きできるようにしましょう。
葬儀保険も活用できます。葬儀保険とは、葬式費用の準備を目的として加入する保険のことです。毎月の保険料が安価であり、商品によっては保険金を最短翌日に受け取れます。医師の診察書が不要なケースも多いため、手軽に加入して多額の葬式費用を準備しやすいでしょう。
葬儀保険については、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:葬儀保険ってなに?デメリット・メリットや選ぶ際のポイントを紹介
また、冠婚葬祭互助会も便利です。冠婚葬祭互助会とは、会員になって積み立てた掛け金を自分の葬式費用に充当できる制度のことです。規定のプランを使えば互助会員は葬式費用が割引されるため、負担そのものを軽減できます。
葬式会社によっては生前契約制度も活用しましょう。生前契約とは、自分が健在の間に葬式会社と契約を結ぶことです。葬式内容や予算の見積もりなどを行い事前に費用を支払えるため、万が一の事態が起きた際に家族の負担を抑えられます。
遺影写真
生前に遺影写真も準備しましょう。遺影写真を準備しておかないと、写真を探す手間が家族に発生します。
遺影写真は、葬式だけでなく、仏壇に飾るなど長期間にわたって使われるものです。多くの人目に触れるため、自分で気に入った遺影写真を使いたい方もいるでしょう。アルバムからお気に入りをピックアップしたり、写真館で生前に撮影したりすることがおすすめです。
具体的には以下のような基準で写真を選ぶと良いでしょう。
- 撮影された時期で選ぶ
- 人柄が伝わる写真を選ぶ
- ピントがぼけていない写真を選ぶ
- 背景や他人の映り込みに注意して選ぶ
遺影写真の詳しい選び方や飾り方などについては、以下の記事で解説しています。
関連記事:遺影写真の上手な選び方から正しい飾り方まで徹底解説!知って役立つ処分方法もお届け
葬式に呼ぶ方の連絡先リスト
葬式に呼ぶ相手の連絡先リストも必要です。
配偶者などの家族であっても、故人の交友関係をすべて把握しているわけではありません。交友関係を知らない状態で、葬式に呼ぶ方をピックアップして連絡するというのは大変な作業です。とくに葬式に参列してもらう場合は、相手の予定調整も踏まえて早めの連絡が必要になるため、家族の負担も大きくなります。死後に家族の負担を減らすためにも、来てほしい旧友などの連絡先をリスト化して共有しましょう。
リストを作る際は「葬式に来てほしい方」「訃報連絡のみの方」というように分類しておくと、連絡する際に優先度を判断できます。また、連絡相手をリストアップすることで参列者数も大まかに把握できるため、必要な葬式会場の規模や予算を検討する材料になるでしょう。
自分の葬式準備をスムーズに進める方法
このように自分の葬式準備を進めるにあたっては、費用や会場、納骨方法など、さまざまなことを決める必要があります。葬式準備をスムーズに進めるには、以下のコツを押さえましょう。
- エンディングノートを作る
- プロに相談する
エンディングノートを作る
葬式準備をスムーズに進めるためには、生前にエンディングノートを作成しておきましょう。
エンディングノートとは、自分の死後に備えてさまざまな情報を記載するノートのことです。エンディングノートの形式や記載内容などにルールはないため、自分の好きなことを気軽に何度でも書き直して保存できます。エンディングノートに記載する項目の例は以下のとおりです。
- 葬式に関する希望
- 遺品や財産の内訳
- 自分が認知症などで正常な判断を下せなくなったときの医療や介護の希望
- 自分が亡くなったことを知らせてほしい方の連絡先
- 口座情報
- 各種SNSやアプリ、契約サービスなどのIDおよびパスワード
- 家族や周囲の人物への感謝の気持ち
上記のような項目を残しておくことで、自分の死後に家族へかける負担を減らせます。例えば「葬式の希望」「親しい友人の連絡先」をエンディングノートに記載しておけば、自分が亡くなった後に、家族が葬式方法を選んだり参列者をリストアップしたりする手間が省けます。また、「財産の内訳」があれば相続内容も明確になるため、行政手続きなどもスムーズに進むでしょう。
このように、エンディングノートを作成しておくことで、葬式だけでなく自分の死後に関する家族の負担を減らせる点が魅力です。
エンディングノートで書く内容や注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:自身の人生を総括する「エンディングノート」とは?その書き方を解説!
遺言書との違い
エンディングノートと遺言書の大きな違いは以下の2点です。
法的拘束力 | 記載に関するルール | |
エンディングノート | なし | なし |
遺言書 | あり | あり |
エンディングノートに法的拘束力はありません。法的拘束力はないため、例えば「財産の相続」についてまとめても、相続人は記載内容に従う必要がないため注意しましょう。一方で、記載項目や記入方法などのルールもないため、いつでも気軽に作成できます。
遺言書には法的拘束力があるため、要件を満たしていれば相続についても強制力を持たせられます。一方で、記載内容については以下のようなルールがあるため、エンディングノートほど気軽には作成できません。
- 日付・書名・押印が必須
- 財産目録以外は手書きしなければならない
- 訂正箇所は押印して直した箇所について記載する
遺言書の中で一般的な「自筆証書遺言」については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:自筆証書遺言の書き方|作成のポイントや準備物、例文を解説
プロに相談する
具体的な葬式準備や進め方について、プロに相談することも有効です。
現在では葬式会社はもちろん、その他の民間企業やNPO、自治体といった多くの組織が、葬式やエンディングノート、遺言書など終活全般のサポートを行っています。無料で利用できるものも多く、以下のように葬式をはじめとした幅広い内容を相談できます。
- いつから自分の葬式準備を始めるべき?
- 自分の希望を叶えられる葬式方法はある?
- 葬式にはいくらくらい必要?
葬式は自分の死後に行う大切な儀式です。家族としても本人の希望を尊重して準備を進めたいでしょう。しかし、知識のない状態で準備を進めると、きっと疑問点が出てくるはずです。疑問点や不安が生まれた際、プロに質問して解消できる環境があるというのは心強いでしょう。
「セゾンの相続」へ相談するのもおすすめ
上記のような悩みを解消してスムーズに葬式準備を進めたいのであれば、「セゾンの相続 お葬式サポート」がおすすめです。経験豊富な提携専門家のご紹介も可能ですので、自分で葬式を準備する際に抱えがちな以下のような悩みについて、アドバイスを受けられます。
- 具体的に何を準備すれば良いの?
- 葬式費用や当日の段取りで家族に迷惑をかけたくないけど何をすべき?
- 自分の死後、料金の安さだけで葬式会社を選んでほしくないけど何をすれば良いの?
ご相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
おわりに
「生前から自分の葬式準備を進めておく」というのは大切なことです。希望の葬式方法や大まかな費用、喪主、納骨方法などを決めておくことで、自分の死後の手続きをスムーズに進められます。
とくに家族からすると、自分の身近な方が亡くなり精神的に疲弊しているときに、0から葬式手続きを行うのは大きな負担です。エンディングノートの作成やプロへの相談なども活用し、できるだけ生前に葬式準備を進めることで、そうした家族への負担を和らげられます。
葬式に必要な費用を工面する時間も確保できるため、自分の希望に合わせて早めに準備していきましょう。