身寄りのないおひとりさまの中には、自身の死後の葬儀がどうなるのかについて気になっている方も多いのではないでしょうか。
生前に準備しておかないと自身の意向を反映できないので注意が必要です。
この記事では、身寄りのない人の亡くなった場合における葬儀の流れ、葬儀費用、給付制度、生前にやるべきことなどについて解説します。身寄りのない方で、葬儀について気になっている方は、是非参考にしてください。
(本記事は2024年3月21日時点の情報です)
- 身寄りのない人の死亡件数は増加傾向にある
- 身寄りのない人が亡くなった場合、管轄する自治体が葬儀や埋葬をしてくれる
- 故人の遺産から葬儀や埋葬にかかった費用を捻出するが、場合によっては給付制度を利用できる
- 自身の意向を死後に反映したい、他人に迷惑をかけたくない人は生前に終活することをおすすめ
身寄りのない人の死亡は10万人を超える(平成30年4月〜令和3年10月)
身寄りのない人の葬儀について考える際は、身寄りのない人がどのくらい亡くなっているのか現状を事前に把握することが大切です。
総務省行政評価局が2023年3月に公表した「遺留金等に関する実態調査 結果報告書」によると、 2018年4月1日~2021年10月31日までの期間の死亡件数は10万5,773件です。
なお、この調査では死亡時に遺体の引き取り手がいなかった人を身寄りのない人と定義しています。少子高齢化が進行する日本においては身寄りのない人の死亡件数の増加が懸念されています。
身寄りのない人が亡くなった場合の葬儀はどうなる?流れを解説
身寄りのない人が亡くなった場合、病院で亡くなった場合と自宅で亡くなった場合では葬儀の流れが異なります。
どのように流れが異なるのかについて詳しく見ていきましょう。
病院で亡くなった場合の流れ
身寄りのない人が病気やケガなどを理由に病院で入院している最中に亡くなった場合は、まず病院が各地方自治体に向けて連絡します。
これは行旅病人及行旅死亡人取扱法という法律に基づく流れで、行旅病人及行旅死亡人取扱法とは、行旅人(身元を持たない人、身分を証明するものを持たない人)が病気または死亡した際、所在地を管轄している市町村が救護することを求める法律です。
病院から連絡を受けた各地方自治体は、身寄りがない人なのかどうかを確認します。身寄りがないと確認できた場合は、火葬または埋葬の手続きに進みます。
火葬や埋葬を行うのは、死亡した市町村内です。身分証にて本籍地や所在地を確認できた場合でも、遺体の引き取り手がいないため、亡くなった地域で火葬・埋葬されることになるのです。
自宅で亡くなった場合の葬儀の流れ
身寄りのない人が病院で亡くなるとは限りません。身寄りのない人の中には、一人暮らしをしていて自宅で亡くなるケースも多いです。
自宅で亡くなった場合は、発見した人が警察や消防などに通報して、管轄する自治体が病院の場合と同様に火葬や埋葬を進めることになります。つまり、亡くなった場所に関係なく、各自治体が火葬や埋葬をしてくれるのです。
自宅で亡くなった場合に問題視されるのは、発見までに時間がかかる可能性があることです。病院で亡くなった場合は、そのようなことは基本的にありません。しかし、身寄りのない人が自宅で亡くなった場合、発見までに時間がかかる可能性が高いです。
その場合は、遺体の腐敗が進んで発見した人や、賃貸物件だと特殊清掃が必要になることでオーナーに迷惑がかかることになります。第三者に迷惑をかけないためにも、生前に見守り・駆けつけサポートを契約するなどの対策をしておきましょう。
身寄りのない人の葬儀費用はどうなる?給付制度も解説
身寄りのない人が亡くなった場合、管轄する各地方自治体が葬儀・埋葬を行ってくれるということは分かりましたが、誰が葬儀費用を負担するのでしょうか。
故人に財産がある場合、それを葬儀費用に充てることが可能です。財産がない場合は、以下の制度を利用することが可能です。
- 葬祭費補助金
- 埋葬給付金
- 相殺扶助制度
それぞれの給付制度について詳しく解説していきます。
葬祭費補助金
葬祭費補助金は、葬儀を行う人に給付される補助金です。国民健康保険、社会保険、後期高齢者医療保険などの加入者が亡くなった場合に請求することが可能です。
請求先は故人が住民登録をしていた自治体の保険年金課で、自治体によって請求できる金額は違い、1~7万円程度となっています。
埋葬給付金
埋葬給付金は、埋葬を行う人に対して給付される補助金です。故人が共済保険に加入、勤務していた法人が健康保険の加入員だった場合に請求できます。
請求先は共済組合または健康保険組合で、補助金の金額は5万円となります。
葬祭扶助制度
葬祭扶助制度は、葬儀を行う人に葬儀費用を支給する制度です。故人が生活保護を受けており、かつ故人の遺族も生活保護を受けているなどのように、葬儀を行う人に金銭的な余裕がないと認められるケースで支給されます。
民生委員といった故人の遺族以外も申請できますが、制度の利用条件をクリアする必要があります。申請先は申請人が故人の遺族かそれ以外の関係者かで異なり、自治体によって葬儀費用も異なるのが特徴で、大人は20万9,000円以内、12歳未満の子どもは16万7,200円以内が目安です。
身寄りのない人が生前にやるべきこと
身寄りのない人は死後に周りの人に迷惑をかける可能性があります。自身の意向を反映する、周りに迷惑をかけないためには、生前に以下のようなことをやっておくことをおすすめします。
- 任意後見契約を締結する
- 身元保証サービスを利用する
- 遺言書を用意する
- 葬儀会社に事前に相談しておく
- 死後事務委任契約を締結する
- 生前葬も検討してみる
それぞれのやるべきことを詳しく説明していきます。
任意後見契約を締結する
任意後見契約は、後見人を指定し、自身の財産の管理や身上監護(必要な医療や福祉サービスが受けられるように手配・契約を行うこと)を任せることです。認知症によって判断能力が低下しても、任意後見契約を締結していれば契約内容に基づいた財産の管理や身上監護が行われるので安心です。
しかし、任意後見契約を手結できるのは判断能力が衰える前でなくてはならないので、早めに契約を締結しましょう。
身元保証サービスを利用する
身元保証サービスとは、契約先が身元保証人になってくれるサービスです。病院に入院する、または介護施設を利用する際は、身元保証人を求められるのが一般的です。
しかし、身寄りのない人は身元保証人を確保することができません。有料ではあるものの、身元保証サービスを利用すれば身元保証人になってくれるため、万が一の事態が生じても安心です。
遺言書を用意する
遺言書とは、自身の死後に関する意向を明確にするために作成する書類です。遺言書を作成すれば、遺言書の内容に基づいた遺産分割や死後の手続きが行われるので安心です。
ただし、ルールに従って作成した遺言書でなければ効力がありません。事前にルールを確認してから遺言書を作成しましょう。
葬儀会社に事前に相談しておく
葬儀会社に相談しないまま生前に意向だけを伝えていた場合、実現できない内容だった、費用が足りないなどの理由で意向が実施されない可能性があります。
自身の意向を確実に反映するには生前に自身の意向を葬儀会社に伝え、実現可能か、費用がいくらか確認しておくことが大切です。
死後事務委任契約を締結する
死後事務委任契約は自身の死後に必要な手続きを第三者に委任する契約です。死後事務委任契約では以下のような内容を委任できます。
- 行政手続き
- 連絡対応
- 葬儀対応
- 遺品整理
- 病院や施設の退去手続き
- 契約の解約や費用の清算
- デジタル遺品の整理
死後事務委任契約について詳しく知りたいという方は、以下の記事をご覧ください。
生前葬も検討してみる
生前葬とは、生前に葬儀を行うことです。自身の意向を確実に反映できるだけではなく、葬儀を行う家族の負担を軽減できます。
しかし、生前に葬儀を行うということになかなか理解を得られない可能性があります。また、生前に葬儀を行っても、死後の火葬・埋葬は必須なので二度手間になる点もデメリットです。
生前葬について詳しく知りたいという方は、以下の記事をご覧ください。
身寄りのない人でも身元保証や死後事務手続きなど可能なおすすめサービス
また、おひとりさまにおすすめなのが、おひとりさま総合支援サービス「ひとりのミカタ」です。ひとりのミカタの主なポイントは以下の通りです。
- 提供元はクレディセゾンのグループ会社なので安心・万全のサービス
- 身元保証から死後事務手続きまで終活を幅広くサポート
- おひとりさま向けのセミナーや生前整理・遺品整理の相談も可能
それぞれについて詳しく見ていきましょう。なお、身元保証サービスについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
提供元はクレディセゾンのグループ会社なので安心・万全のサービス
「ひとりのミカタ」を提供する「くらしのセゾン」は日本の大手クレジットカード会社の1つであるセゾンカードでおなじみの株式会社クレディセゾンです。
提供元の規模が大きく安心できるというだけでなく、経験豊富な専門士業事務所や専門サービス会社と提携し、万全のサポートが受けられる点が魅力です。
身元保証から死後事務手続きまで終活を幅広くサポート
「ひとりのミカタ」では、もしもの時の入院や高齢者施設入居時の身元保証、緊急連絡先代行、終末期のエンディングサポート(死後事務手続き)まで幅広くサポートしています。
死後事務委任契約では死後の手続きのサポートのみが対象ですが、毎日のくらしを安心・安全に送るための多彩なメニューから、必要なときにタイムチャージ制等で利用ができる、生活サポートサービスを受けられる点も魅力です。
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おひとりさま向けのセミナーや生前整理・遺品整理の相談も可能
身寄りのない人の中には、終活について誰にも相談できず悩んでいる方も多いことでしょう。
「ひとりのミカタ」では、身寄りのないおひとりさまの終活をシリーズとしたオンラインセミナーや生前整理または遺品整理の相談も無料で行っています。
終活について何をどうすればいいか悩んでいる方は、是非ご相談ください。
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おわりに
身寄りのない人の中には、自身の死後の葬儀や埋葬などに不安を抱いている方もいることでしょう。もし、身寄りがない人が亡くなっても、基本的には管轄する自治体が葬儀や埋葬を行ってくれるので問題ありませんが、費用負担を誰がするのか、自身の意向が反映されないという問題は残ります。
上記の問題を解決するには、生前に葬儀や埋葬などの意向を明確にしておくことが大切です。また、終活を行っておけば、他の人に迷惑をかけずに済むため、時間のあるうちに「ひとりのミカタ」のようなサポートサービスを利用しながら終活を行っておくことをおすすめします。
クレディセゾングループが提供する、おひとりさま総合支援サービス「ひとりのミカタ」は、入院や高齢者施設入居時の「身元保証」、もしものときの「緊急連絡先」、ご逝去後の「エンディングサポート(死後事務手続き)」など、おひとりさまの毎日の暮らしや終活のさまざまなお悩みごとを総合的に支援するサービスです。
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