毎日、買い物に行かない限り家の中にモノは増えないと思いがちですが、じわりじわりと増えて行くのが紙類です。ポストに入るDMや新聞に広告、家族が持ち帰る書類など、1枚ずつのだけでは気にならない量ですが、重要度の判別が難しく「とりあえず、置いておこう」と空きスペースに置いておくと、いつの間にか堆積していくやっかいな存在です。重要な書類だと思い残していたはずなのに、肝心な時には見つからずストレスを感じたことがある方も多いのではないでしょうか?小さなメモでさえ、簡単に捨てられないこともあります。このコラムでは、家に溜まってしまう紙類の片付けの基本をお伝えしていきます。
1.紙類の片付けの基本
1-1.種類を理解する
家の中にどれほどの種類の紙があるのか、考えたことはありますか?家族の人数が多ければ多いほど、人数に比例して紙類の種類も量も増えていくので、多くの家で紙の片付け問題を抱えています。人別以外に、住宅関係、学校等のお知らせ、税金などの公的な書類、地域情報、郵便物や年賀状、新聞やちらし、家電の説明書、保険証券、子どもの描いた絵等と書き出していくとキリがありません。そこで、本当に残す必要がある紙類は何なのかを明確にしましょう。
紙の片付けというと、ファイリング術を知りたくなる方が多いのですが、そもそもファイリングする必要がないものまでファイリング収納をしている場合も多いです。ファイリングとは一定期間保管する為なので、先に考えるのは「何を残す必要があるのか」ということになります。不必要な紙をファイリングすることは、コストも時間も場所も無駄になってしまいます。まず、紙類には保存が必要なものと、保存しなくて良いもの、見る必要さえもないものがあると認識してください。ご家庭によって残すべき紙は異なりますが、紙類を大きくカテゴリー分けにすると5つに分類できます。
【紙類5つの分類】
NO | カテゴリー | 紙類 |
1 | 暮らし | 生活に関わるもの全般 |
2 | お金 | 家計、確定申告、財産管理(保険証券、通帳、マイナンバーカード等) |
3 | 設備や家電 | 設備関連の保証書、取り扱い説明書 |
4 | 健康管理 | 病院書類、疾病履歴等 |
5 | 教育/学び関連 | 学校、塾、お稽古に関するもの |
これ以外は、メモやセールスDM、レシートなど短期的に残しても処分するものとなりファイリングは必要ありません。まずは、家の中にこのような紙類があると把握し、1週間どのような紙類が新たに入ってくるのか観察してみるのをおすすめします。
1-2.紙類を受け取ってからの流れを把握する
日々、どのような紙が家の中に入ってくるのか意識して1週間を過ごしていただくと、ご自身の無自覚さに驚く方が多いです。家の中に入ってくる紙類は大きく4つの対応ができます。
➀ポストから出してすぐに処分
ここに当てはまるものの代表は、ポストに入ってくる新聞広告、DM(ダイレクト葉書や封書)、買い物先でいただくクーポンやチラシです。ついつい、必要かもしれないと残してきた経験もあると思いますが、必ず行くショップ以外は考えずに処分できるように古紙回収ボックスを準備しておきましょう。大量に入っていてストレスを感じている方も多い新聞広告は、配達店舗に申し出ると新聞のみ配達してもらえます。また、ポストに「チラシお断り」という文言のステッカーを購入して貼っておくのもおすすめです。
➁確認後に処分
封書の郵便は、処理が先延ばしになりがちです。あきらかに広告と分かるものは、開けずに処分する、確認が必要な場合はすぐに開けるか、1日の中で時間を決めて開封する習慣を意識してみてください。封を開けるまでに時間がかかってしまう方が非常に多いので、部屋に持ち帰ると郵便物を置く場所を決め、そこですぐに開封できるようにカッターなどを準備しておくのをおすすめします。
また、出した書類をすぐに確認できない場合はA4クリアファイルに入れ、ファイルボックスに立てて収納しておくと探しやすいです。この時に注意していただきたいのは、1案件につき1クリアファイルにすることです。他の書類と混ぜて入れると、チェックするのに時間もかかってしまうからです。紙は上に積み重ねると、雪崩が起きてしまう可能性があります。葉書など書類サイズでないものもクリアファイルに入れると行方不明になりにくくなるので、すべてA4サイズに統一しておきましょう。注意点として、クリアファイルはキャラクターなど描かれていない透明のものをおすすめします。パッと見て内容が見えないと封筒に入っている状態と変わらないからです。
➂データに残してから処分
イベントまでの資料、行事予定など一定期間残しておきたいものはスマホで撮影するのがおすすめです。出先でも内容を確認できるので、とても便利です。またちょっとしたメモやレシピなどは、初めから無料で使えるEvernote(エバーノート)などメモアプリに記録しておくと、検索もかけられるので行方不明になることもありません。冊子など、枚数が多いものはスキャナーを使うと短時間でデータとして取り込めるのでおすすめです。最近では家電に付いてくる取り扱い説明書は、家電の番号でネット検索をすると基本的にメーカーのWEBサイトに掲載されていることが多いので、データにする必要がないかもしれません。またレシートや通帳は家計簿アプリや銀行のインターネットバンキングを利用すると、いつでもどこでも見ることができるので大変便利です。紙のまま残すかどうか迷う場合は、残すメリットがあるのか考えてみてください。
④ファイリングして保管
紙の状態で保管する必要があるものは、ファイリングしてすぐに探せる仕組みを作ります。家族の誰もが把握できるように1箇所に集中収納する「情報ステーション」を作るのがおすすめです。子どもが小さいうちは、子どもごとに書類を分けるか、「学校」「習い事」などカテゴリーで分けるのかを家族と相談して決めるのがおすすめです。あまり、細かく分類しすぎたり、手間をかけるファイリング(例えば穴を開けてファイルする)だと後回しになりやすいので、ファイルボックスに投げ込める楽な仕組みが良いです。
2.紙の収納でつまずかないために必要なこと
2-1. ジャンル分けできないもの対策
日々、家に入ってくる紙類ですが、すぐにジャンルに分けられない、家族に聞かないと分からないという状態のものが混ざってきます。そのために「未解決ボックス」を作っておくのがおすすめです。一時保留状態のものを集めておくと、時間ができた時にすぐに対応できるのです。また、提出日程が少し先のため、すぐ対応できない紙類の保管に悩む方も多いです。そういうのもこの「未解決ボックス」に入れておきます。合わせて付箋に提出期限を書くと探す時に便利です。そして、忘れてしまっても良いように必ず手帳やスマホカレンダーに記入しておきます。日程のメモに、「未解決ボックス」をチェックなど覚えるまでは場所も明記しておくと良いですね。今は、覚えることより、思い出させてもらうツールを賢く利用するのです。
2-2. 収納方法は楽で分かりやすいを最優先
紙1枚だけは薄く、かさばらないものですが、そこに記入されている情報により価値が大きく変わるので、紙の片付けは1枚ずつ確認する作業が大変で、処理に時間がかかってしまう方が多いです。常に保留状態にしないようにすることが大切となり、片付けが苦手な方は、いかに早く楽に分ける判断ができるのかが大きなポイントとなります。この時に、引き出しなど重ねてしまう収納を使うと負のミルフィーユ状態になってしまうので要注意です。あきらかに処分するものは、すぐに古紙回収ボックスに集め、なるべく早く家の外に出すようにしましょう。そして、保存した書類は、すぐに探せることが大切なので、透明度の高いクリアファイルを使い立てて収納する、バインダーも挟むだけなど簡単に収められるものを選びましょう。少しでも、面倒だなと感じるものは使わないと決めることも大切です。ファイルボックスで細かく分けるのが一般的ですが、カラーボックスなど棚ごとにカテゴリーを決め、この棚には「暮らし関係のみ」など決めると複雑にならずおすすめです。
おわりに
どの家でも紙類ほど増え続けるアイテムは他にないでしょう。これらに向き合うことは、時間も手間もかかるので後回しになりがちです。けれど、1枚でさえもどこにあるか理解できていると、ストレスフリーです。まず、今目の前にある1枚から取り組んでみてくださいね。