年末年始は忘年会やクリスマス、新年会と立て続けにイベントが続きます。アルコールや甘いものなど、たくさんのものを食べたり飲んだりする日が多くなるでしょう。
暴飲暴食の生活で一番負担がかかるのが胃腸です。東洋医学では、“胃は水穀の海”と称されます。水穀とは、口から入った飲食物のことをいいますが、これが海のように集まっているのが胃となります。
この年末年始の時期は、この海が大荒れに荒れる状況になり、しかもそれが人によっては連日続くわけですから、胃からしてもたまったものではありません。とはいえ、年末年始くらいはハメを外したいですし、こういった機会でもないと会えない人もいます。飲食を共にすることはコミュニケーションツールとしてもとても大切なものになりますから、ツボを使って胃腸の負担を減らしていきたいものですね。
そこで、胃腸を整えるツボをご紹介したいと思います。
足三里(あしさんり)
足三里は胃腸の症状には必ず使うといってもいいほど定番のツボです。胃につながる経絡の上にあるツボで、特に胃の消化力を助けてくれます。科学的な実験でも、胃の動きを高めたり、胃酸の分泌を促すことが証明されています。既述したように、「胃は水穀の海」となって飲食物がどんどん入ってきて処理しきれない状況にあります。足三里を使うことで、胃の消化力がアップして暴飲暴食の弊害を和らげてくれます。食べる前に推してもいいですし、食べた後に押しても良いです。強めに押しても大丈夫なところです。
足臨泣(あしりんきゅう)
足臨泣というツボは、胆嚢につながる経絡の上にあります。東洋医学では、脂の消化に胆嚢が深く関わっていると考えています。これは、西洋医学でも同じ見解となりますが、飲み会では揚げ物やフライしたものが多くなる傾向にありますので、胆嚢への負担も多くなります。特に注意が必要なのは、クリスマスで食べられるケーキなどのクリームやバターです。こういった乳脂肪分も胆嚢に大きな影響を与えます。胆嚢が弱くなると、胃腸の消化能力を下げてしまいますので、足臨泣を押してカバーしていきたいですね。ここも刺激を感じるくらい強めに押しても良いでしょう。
建里(けんり)
建里はお臍の上、親指を横にした幅で3本分のところにあります。この建里というツボの「建」の字には、文字通り“建てる”の意味があるわけですが、これは胃腸の働きを建てるという意味合いになります。建里を使って弱ってしまった胃を建て直しましょう。また、建里の上にある中脘というツボも胃に関係が深いツボですので、手のひらで建里と中脘を一緒に被せるようにして、時計回りにマッサージするのも効果的です。
合谷(ごうこく)
合谷は大腸に通じるツボの代表になります。東洋医学では、大腸は身体の中の水の動きを調整していると考えています。暴飲暴食で大腸も大忙しになります。そして、食べ過ぎたり飲み過ぎた余分な水分は、体の中に水毒となってたまってしまって不調を引き起こします。そこで、合谷を使って大腸を整えていきましょう。
以上のツボは、1回を3〜5秒くらいで3〜5回押してみてください。もしぎゅーっと痛気持ちいいくらいの反応があったら、すでに胃腸が弱っている可能性があります。そのような時は少し長めに押したり、回数を増やしてみてください。
おわりに
年末年始はとにかく忙しく、忘年会や新年会で胃腸に負担をかけがちになります。そのまま放っておくと免疫力を下げて風邪をひきやすくなることもあります。この時期に体調を崩すと、一年の計は元旦にありどころではなく、風邪で寝込んで寝正月なんてことにもなりかねません。
胃腸は全身に運ばれる栄養を作る重要な場所ですので、しっかりとしたケアもしておきたいところですね。また、胃腸は冷たいものに弱いので、なるべく温かいものを摂るようにしたり、カイロでお腹を温めるなどの予防措置も併せてして欲しいと思います。