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要介護5とは?利用できるサービスや給付金制度を徹底解説

要介護5とは?利用できるサービスや給付金制度を徹底解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

要介護5は、5段階の要介護区分の中で最も重度な状態です。
そのため、介護をするご家族の中には「どのような介護サービスをどのくらい利用できるのだろう?」「介護費用を払い続けることができるのだろうか?」と不安に思う方もいるでしょう。

そこで、本記事では、要介護5の方が利用できるサービスや給付金制度について紹介します。
要介護5の方を介護するご家族や、これから要介護認定を受ける方は、ぜひ参考にしてください。

この記事を読んでわかること

  • 要介護5は、食事や入浴、排泄など日常生活全般に介護を必要とする状態。
  • 家族だけの介護では負担が大きいため、在宅サービスの利用や施設入所も検討していく必要がある。介護サービスを利用すると経済的な負担も増えるが、区分支給限度額の範囲内であれば介護保険が適用される。
  • また、高額介護サービス費など、介護費用の負担を軽くするための公的制度も整えられている。申請することで減免や給付を受けられるため、介護費用の支払いに不安のある方は手続き方法を確認しておくと安心。
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要介護5とは?概要と認定までの流れをチェック

要介護5とは?概要と認定までの流れをチェック

要介護5は、要介護認定の7段階の中で、最も介護を必要とする段階です。

ここでは、要介護5の状態と要介護4との違い、要介護認定を受けるまでの流れを見ていきましょう。

要介護5とは? 

要介護5は、食事や入浴、排せつなど日常生活のほぼすべてに介助が必要な状態です。

立ち上がったり、歩いたりすることもほとんどできないため、日中もベッド上で寝たきりの状態で過ごし、寝返りをする際にも介助が必要です。精神面では、全般的な理解力・思考力の低下が見られ、意思の疎通が難しい場合もあります。

寝たきりの場合では、褥瘡(床ずれ)予防のために、定期的な体位変換のケアが必要です。また、口から食べる機能が低下すると、流動食の準備や経管栄養(胃ろう)の管理が必要となります。

このように、要介護5では、専門的な介護を行う場面も増えることから、家族にかかる介護の負担が大きくなります。

要介護4との違い

要介護4と要介護5のいずれも、重度の介護が必要な状態です。日常生活を送る上で多くの介護を必要とする点では違いはありません。

しかし、要介護4では、食事や着替え、立ち上がり、歩行などの日常動作の中に「できること」も含まれていますが、要介護5は、日常生活のほとんどの場面で全面的な介護が必要です。

また、要介護5になると、認知症が進行して意思疎通が難しい場合や、経管栄養(胃ろう)や在宅酸素などの医療的なケアを必要とするケースも少なくありません。

このように、要介護4と要介護5では、介護の必要性に大きな違いがあります。

介護区分の決定方法は?認定までの流れをチェック

要介護認定とは、介護を必要とする方にどの程度の介護量が必要かを役所が判定することです。

要介護認定の流れは以下のとおりです。

  1. 要介護認定の申請を行う
  2. 認定調査・主治医意見書
  3. 一次判定(コンピューター)
  4. 二次判定(介護認定審査会)
  5. 要介護度の決定
  6. 結果通知

要介護認定を受けるには、市区町村の窓口へ申請が必要です。申請すると、市区町村の認定調査員が自宅や入院先の病院へ訪問し「認定調査」を行います。

次に、認定調査の結果に基づいて一次判定(コンピューターでの判定)がなされます。

二次判定(介護認定審査会)では、一次判定の結果と、申請者のかかりつけの医師(主治医)が記載した「主治医意見書」を照らし合わせて、総合的な審査と判定を行います。

以上の手続きに基づき、市区町村が要介護認定を行い、結果が通知されます。

要介護5の区分支給限度額

要介護5の区分支給限度額

次に、要介護5の区分支給限度額について確認しておきましょう。

区分支給限度額とは

介護保険で在宅サービスを利用する場合は、要介護状態の区分別に1ヵ月当たりの上限額(区分支給限度額)が決められています。

要介護者は、その支給限度額の範囲内で自分の希望するサービスを組み合わせて利用することになります。

要介護度が高くなれば、必要なサービスの量も増えていくため、支給限度額も高く設定されています。

要介護5のおよその限度額

要介護5の支給限度額は、およそ362,000円です。

介護サービスの料金は、1割(所得に応じて2割または3割)を利用者が自己負担することになるため、要介護5で限度額をすべて使った場合の自己負担は約36,000円です。(1割負担の場合)

なお、上限額を超えて介護サービスを利用した場合は、超えた分は介護保険が適用されないため、全額自己負担(10割)となります。

ただし、限度額は地域や利用者によって異なる場合があるため、担当のケアマネジャーや市区町村の担当窓口に確認が必要です。

要介護5で利用できる主なサービス

要介護5で利用できる主なサービス

ここでは、要介護5で利用できる介護サービスを紹介します。

上述した区分支給限度額の範囲内であれば、1〜3割の自己負担で利用可能です。

訪問タイプのサービス

訪問タイプのサービスとは、サービス事業者が自宅へ訪問して、介護や看護、リハビリなどが受けられるサービスです。訪問タイプのサービスには、以下のような種類があります。

  • 訪問介護(ホームヘルプ)
  • 訪問入浴
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリ
  • 夜間対応型訪問介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護

訪問介護は、ヘルパーが自宅を訪れ、身体介護や家事援助をしてくれます。訪問入浴は、自宅に簡易浴槽を持ち込み、入浴できるサービスです。自宅での入浴が難しい方や、介護施設での入浴に抵抗のある方に向いています。

医療系のサービスでは、訪問看護と訪問リハビリがあります。看護師や理学療法士などのリハビリスタッフから、療養上の世話や診療の補助、リハビリの指導が受けられます。

夜間対応型訪問介護は、他のサービスが利用できない夜間の時間帯に訪問介護が受けられるサービスです。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、24時間体制で定期巡回と随時対応をしてもらえるサービスです。介護と看護の両方が受けられます。

通所タイプのサービス

日帰りで施設や事業所に通って介護またはリハビリなどを受けるサービスです。通所タイプのサービスは、外出や人と交流する機会を持てるため、閉じこもりや孤立の解消や、認知症の予防につながります。

代表的なサービスは以下のとおりです。

  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリ
  • 地域密着型通所介護
  • 療養通所介護
  • 認知症対応型通所介護

通所介護(デイサービス)では、食事や入浴、排せつなどの介助や機能訓練などが受けられます。 

通所リハビリは理学療法士などのリハビリ専門スタッフから専門的なリハビリテーションが受けられるサービスです。常勤の医師が配置されているため、医療的ケアや体調管理が必要な方も利用できます。

地域密着型通所介護は、利用定員が18名以下の小規模なデイサービスのことです。療養通所介護は、看護師が手厚く配置されているのが特徴のデイサービスで、看護師による観察や医療ケアが必要な方が利用できます。

認知症対応型通所介護は、認知症の方を対象としたデイサービスです。認知症の方一人ひとりの症状に合わせた専門的なケアが受けられます。

なお、地域密着型通所介護、療養通所介護、認知症対応型通所介護の3つは「地域密着型サービス」のため、事業所のある住所に住民票のある方のみ利用できるデイサービスです。

複合型タイプのサービス

複合型タイプのサービスとは、通い・訪問・宿泊サービスを組み合わせて利用できるサービスのことです。

以下の2種類があります。

  • 小規模多機能型居宅介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

小規模多機能型居宅介護は、登録定員が29名以下の小規模な事業所です。利用できるのは施設と同じ地域に住む方に限られます。ひとつの事業所でさまざまなサービスが利用できるため、利用者にとっては「いつも会う顔なじみのスタッフからケアしてもらえる」という安心感が得られます。特に、環境の変化が苦手な認知症の方におすすめです。

看護小規模多機能居宅介護は、小規模多機能型居宅介護に「訪問看護」を加えたサービスです。医療ニーズの高い方が、介護と医療のサービスを一体的に受けられるメリットがあります。

短期間の宿泊が可能なサービス

 介護施設などに短期間入所できるサービスには、以下の2種類があります。

  • 短期入所生活介護(ショートステイ)
  • 短期入所療養介護

短期入所生活介護(ショートステイ)は、特別養護老人ホームなどの介護施設に、短期入所療養介護は、介護老人保健施設や介護医療院、療養病床を持つ病院などに、いずれも1泊2日から連続30日を上限に入所できるサービスです。

受けられるサービスは、食事の提供や入浴、排せつなど日常生活に必要な介助や、機能訓練、レクリエーションなどです。短期入所療養介護は医療ニーズが高い人向けのサービスで、医師や看護師による医療的なケアや、リハビリ専門スタッフによるリハビリテーションが受けられるのが特徴です。

施設に入居するタイプのサービス

介護施設や老人ホームにはいろいろな種類があります。

代表的なものは、以下の5種類です。

  • 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
  • 介護老人保健施設(老健)
  • 介護療養型医療施設
  • 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)
  • 介護医療院

特別養護老人ホームは、要介護3以上の方が終身で利用できる介護施設です。介護老人保健施設は、専門的なリハビリテーションを受けて在宅復帰することを目的としている施設のため、長期入所ができないことが特徴です。

介護療養型医療施設は、病院に併設されていることが多く、医療ニーズが高く長期療養が必要な方が入所できます。

介護医療院は、介護と長期的な医療が必要な方が入所できる施設です。プライバシーに配慮した環境で、生活施設としての側面も持っています。

有料老人ホームなどの特定施設は、民間が運営する介護施設です。民間ならではの独自性のあるサービスが受けられます。

小規模型の入所施設として、以下のサービスも利用できます。

【グループホーム】

  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護

グループホームは、認知症のため介護を必要とする高齢者が5〜9人で共同生活を送る施設です。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は、入所定員が29人以下の特別養護老人ホームのことです。地域密着型特定施設入居者生活介護の入居定員も29人以下で、対象となる施設は有料老人ホーム、軽費老人ホームなどがあります。

小規模施設の特徴は、アットホームな雰囲気で過ごせることです。人数が少ない分、スタッフや他の利用者とコミュニケーションを深く取ることができます。

要介護5で利用できるお金に関する制度 

要介護5で利用できるお金に関する制度

 ここでは、要介護5で利用できるお金に関する制度をご紹介します。

福祉用具のレンタル

介護保険サービスでは、福祉用具をレンタルする際にも介護保険が適用されます。

介護保険でレンタルできる福祉用具は、以下の13品目です。

  • 車いす
  • 車いす 付属品
  • 介護ベッド
  • 介護ベッド 付属品
  • 床ずれ防止用具
  • 体位 変換器
  • 認知症老人徘徊感知機器
  • 移動用リフト
  • 手すり
  • スロープ
  • 歩行器
  • 歩行補助つえ
  • 自動排泄処理装置

福祉用具のレンタルは、要介護度に応じてレンタル可能な品目が異なります。要介護5以上の方は、上記の福祉用具を全てレンタル可能です。

高額介護サービス費制度

高額介護サービス費制度とは、1ヵ月間に支払った介護サービスの利用料の自己負担額の合計が、負担限度額を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。利用者本人や家族の負担を軽減することができます。

所得によって上限額が決まっており、所得が一定以下の世帯は、上限額も低く設定されています。上限額を超えると自治体から申請書類が送られてくるため、自治体の窓口へ行き、申請を行う必要があります。2回目からは、手続きなしで申請可能です。

なお、医療費が高額になったときは「高額療養制度」、医療費と介護費の合計が高額になった場合には「高額医療・高額介護合算療養費制度」もありますので、該当する場合は利用して負担を軽くしてもらいましょう。

住宅改修の補助金

家の中をバリアフリーにする改修工事をする場合、要介護認定を受けた方なら要介護度に関係なく、補助を受けられます。

もらえるお金(支給額)の上限は、1人につき 200,000円です。200,000円までは、1〜3割の自己負担で工事が可能です。

例えば 、住宅改修の費用に200,000円かかった場合、自己負担1割の方は20,000円の負担で済みます。

補助を受けるには、自治体の窓口に事前申請が必要です。申請前に工事を始めると補助を受けられないため、担当のケアマネジャーに相談しましょう。

補助の対象となる住宅改修の範囲は、以下のとおりです。

  • 手すりの設置
  •  段差の解消
  •  引き戸などへの扉の取り替え
  •  洋式便器などへの便器の取り替え
  • 滑りの防止・移動の円滑化などのための床材の変更
  •  上記の工事に付帯して必要となる住宅改修

自治体によっては、独自の助成制度を設けているところもあります。介護保険の支給額に上乗せできる場合もあるため、事前の確認が必要です。

障害者控除 

障害者手帳の交付を受けていなくても、要介護認定を受けている方で、一定の障害があると認められる場合に「障害者控除」を受けられる可能性があります。

ただし、自治体によって認定基準が異なるため、まずは役所の介護保険窓口に相談が必要です。

該当する場合は、役所に申請すると「障害者控除対象者認定書」が交付されます。確定申告の際に認定書を提出すれば、障害者控除が受けられます。

申請書は、自治体の窓口や地域包括支援センターで受け取ることができる他、自治体のホームページからダウンロードも可能です。

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おわりに 

要介護5は、食事や入浴、排せつなど日常生活全般に介護を必要とする状態です。家族だけの介護では負担が大きいため、在宅サービスの利用や、施設入所も検討していく必要があります。

介護サービスを利用すると経済的な負担も増えていきますが、区分支給限度額の範囲内であれば、介護保険を適用してサービスが利用できます。

また、介護費用の負担を軽くするための公的制度や給付金制度も整えられていますので、経済的な不安がある方は、手続き方法を確認しておきましょう。

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