発見!くらしの厳選記事

カワグチ家の「親子三世代物語」|第六話「学校に行きたくない私に祖母がしてくれたこと」
更新日
公開日

カワグチ家の「親子三世代物語」|第六話「学校に行きたくない私に祖母がしてくれたこと」

こんにちは。イラストレーターのカワグチマサミです。

好きなものはゲーム、苦手なものは家事。9歳の息子と、夫と三人で暮らしています。

【カワグチ家親子三代物語】では、長い間、すれ違っていた親と向き合う話や、義理親との関係、私の息子と親とのエピソードなどを連載しています。

カワグチ家三世代紹介

小学生のとき、私は寝ることが大好きでした。

寝てるときだけは、辛いことも忘れられるから。

起きてたら、嫌でも現実を見ないといけないから。

夜でもおかまいなしに騒がしい生活

夜でもおかまいなしに騒がしい生活だったので、寝坊することがよくありました。

母に促され、お昼から学校に行くこともありましたが、

担任の先生から「また遅刻か!理由を言いなさい!と怒られる

他の家とは違う、「変わった」自分の家のことを学校のみんなに知られたくなくて、私は先生に本当の理由を話すことができませんでした。

先生から見た私は、「寝坊をするダラけた生徒」と思われていたことでしょう。

特に小学四年生の担任とは相性も悪く、学校に通うことが辛い時期がありました。

「今日は学校に行くのがしんどい」というときは、母を安心させるために、学校に行くふりをしました。

そして、その足で、近くの公園で時間を潰したり、祖母の家に向かうこともありました。

祖母は実家の近くで一人暮らしをしていました。

大正生まれの戦争も経験している祖母。

当時にしては珍しいキャリアウーマンでシングルマザーでもありました。

「結婚よりも働きたい」と、女学校に二つ通い、

「戦争よりも好きなことをしたい」と、戦時中に海外留学しようとしたこともあったそうです。

昭和時代には浮きまくりのぶっとびばーちゃんです。

私が生まれてからも、習い事をしたり、旅行をしたりと、家でじっとしていることはほとんどありませんでした。

昭和時代には珍しくアクティブな祖母

そんなあっちこっち行っている祖母が、運良く家にいるときは、私をあたたかく迎えてくれました。

祖母「学校は?」
祖母「じゃあ、おばあちゃんと遊ぶ?」
カワグチ「うん!」

祖母は、私をいろんなところに連れて行ってくれました。

ある時は、スーパーで買い物をして料理をしたり、

神社仏閣を巡りながら歴史の話をしたり、

秘境のようなところに連れていかれたり、

絵を描いたり。

絵を描いたり、買い物や、料理、神社巡り、秘境めぐり等

そして、何度も私に確認するように聞きました。

祖母「楽しいか?」
カワグチ「楽しい!」

私が楽しいことと出会うたびに、祖母は喜んでくれました。自分のことのように。

そしてどこか安堵したような、表情でもありました。

そんな祖母を見て、私も安心できました。

無理して学校行かなくとも、他の子と違ってもいいんだ!
ここにいていいんだ

祖母は私に、好きなことを見つけて欲しかったのだと思います。

好きなことを続けたら、得意なことになる。

得意なことを続けたら、それは人生を豊かにする味方になってくれる。

種を育て花が咲くように。

この先、家にいることが辛くても、

学校に行くのがしんどくても、

社会に出てつまづいても、

祖母自身がいなくなっても、

それでも私が生きていけるように。

私の味方を増やしておきたかったのだと思います。

祖母の思いは、私の味方を増やしておきたかったんだ!

実際に、イラストレーターになって12年目になって

「今まで学んだことで何が大切だったか?」と聞かれたら

祖母が体験させてくれたことだと、迷わず答えることができます。

しんどいときはサボっていい
一日一日を楽しんで好きなことを見つけて育てること

それは祖母が亡くなってからも、

いや、祖母がいなくなってからの方が、深く刻みこまれました。

大好きな祖母の思い出を、言葉を、忘れたくなくて。

だから、私がイラストレーターになろうと決めたことは自然なことでした。

誰からも応援されなくても、好きなことを育て続けました。

ーそして祖母が亡くなって30年近くが過ぎた今ー

息子は当時の私と同じ10歳になりました。

運命のイタズラなのか、偶然なのか、遺伝なのか…

ソウ「ママ、今日学校休んでいい?」

四年生になってクラスの人数が増えたからか

担任との相性が悪いのか

今まで頑張り過ぎてきたのか

はっきりとした理由はわかりませんが、

「学校に行くのがしんどい」と言うようになりました。

親になると、こどものことは自分のこと以上に、悩みます。

子どもを信じたい気持ちと、子どもを守りたい気持ちとを葛藤しながら。

辛そうな息子の顔を見るたび、学校と話し合いをするたび、

不安で、心配で、身体が重くて、体調が優れない時期が続きました。

カワグチ「学校行かせたほうがいいのかな・・・」

落ちて、落ちて、底まで転がり落ちこんで…

思い出したんです。

祖母が私にしてくれたことを。

祖母「じゃあ、おばあちゃんと遊ぶ?」
カワグチ「うん!」
ここにいていいんだ

心から安心した10歳の頃の私を。

親が子どもを思う将来への心配とか、期待とか、周りの目とか関係なく、

「自分はここにいていいんだ」と思える居場所を作ってもらえたことの安心感。

だから、

カワグチ「じゃあ、今日はアマと遊ぼっか!」
ソウ「パア!」
あ、この顔・・・私も小さい頃。こんな顔してたんだろうな
おばあちゃんも笑ってくれたんだ

息子の好きなことを見つけに行きます。

おばあちゃんが私の好きなことの種を育ててくれたように。

息子はどんな花が咲くのだろう?

ソウ「科学館!プラネタリウム見たい!」