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相続した不動産を売却する方法とは?利用できる特例や税金についても解説

【c2019下書き済み】相続した不動産を売却する方法とは?利用できる特例や税金についても解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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相続で不動産を受け継いだり、その後売却したりした場合、状況に応じて税金がかかります。しかし、税務上のさまざまな特例が設けられているため、要件に当てはまれば節税することは可能です。

今回は、相続するに当たり不動産を受け継ぐ可能性が高い方のために、利用できる税務上の特例について解説します。基本的にご自身から手続きしないと特例の適用が受けられませんので、この記事を参考にし、忘れずに手続きをしましょう。

この記事を読んでわかること

  • 相続で不動産を受け継いだり、その後売却したりした場合、状況に応じて税金がかかる
  • 税務上のさまざまな特例が設けられているため、要件に当てはまれば節税することは可能
  • 代表的な特例としては「相続税の取得費加算の特例」「小規模宅地等の特例」「3,000万円の特別控除」「マイホーム売却による3,000万円の特別控除」の4つ
  • 実際に不動産を売却する際は、登録免許税や印紙税などの他の税金もかかることもある
相続不動産の有効活用
相続不動産の有効活用

相続した不動産を売却するまでの流れについて

相続した不動産を売却するまでの流れについて

相続した不動産を売却するまでの基本的な流れは以下のとおりです。

  1. 遺言書の確認
  2. 相続財産の確認や相続人の特定
  3. 遺産分割協議を行う
  4. 相続登記を行う

それぞれの段階について、さらに詳しく解説します。

遺言書の確認

最初に、有効な遺言書が存在するかを確認しましょう。あった場合は、その内容に従って相続を進めます。なお、遺言書があったとしても、以下のいずれかに当てはまる場合は無効になる恐れがあるので注意が必要です。

  • 具体的な日付が書かれていない
  • 本人の筆跡と明らかに違うなど、偽造・変造された可能性がある

相続財産の確認や相続人の特定

遺言書の有無の確認と同時並行で、相続財産の有無の確認や相続人の特定をしましょう。相続財産の有無を確認する方法は財産によっても異なるので、一例を紹介します。

金融機関の預貯金利用していた金融機関を特定し、残高証明書の発行依頼や通帳の記帳をする
有価証券証券会社の取引残高報告書やネット証券会社の管理画面を確認する
不動産固定資産課税明細書や固定資産評価証明書を確認する
貴金属・自動車貸金庫の中身を調べたり、価格調査をしてリスト化したりする
負債信用情報機関に開示請求をする

また、相続人の特定は以下の流れで行います。

  1. 故人(被相続人)の戸籍謄本等を本籍地の市役所で取得する
  2. 取得した戸籍の情報を元に、前本籍地の戸籍や、戸籍に記載されている関係者の戸籍等を取得し、相続人が誰なのかを確認する
  3. 相続人全員が確認できたら、取得した情報をもとに相続人の相関図を作成する

遺産分割協議を行う

相続人の特定ができたら、遺産分割協議を行います。有効な遺言書がない場合だけでなく、有効な遺言書があった場合でも、相続人全員が遺言の内容に反対しているなら遺産分割協議を行って最終的な取り分を決める流れです。

また、遺産分割協議がまとまったら、合意した内容をまとめて遺産分割協議書を作成しましょう。パソコンを使っても構いませんが、以下の点には気をつけてください。

  • 作成日付を入れる
  • 相続人、被相続人の続柄や氏名を明記する
  • 誰がどの財産を相続するのか明確にする
  • 後で発見された遺産の取扱いも明らかにしておく
  • 相続人全員が実印で署名押印する
  • 人数分を用意し、相続人が各自1通ずつ所持する

相続登記を行う

不動産を相続した場合は、法務局で名義変更の手続きをしなくてはいけません。専門用語では相続登記といいます。手続きの際には、前述した遺産分割協議書以外に以下の書類が必要です。

  • 被相続人が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本類
  • 住民票の除票
  • 相続人の住民票や相続人全員分の印鑑登録証明書
  • 法定相続情報証明書(あれば)

相続税の申告や納税を行う

相続税の申告や納税を行う

相続財産が、相続税の基礎控除額を超える場合は、相続税の申告・納税が必要になります。基礎控除額とは、わかりやすくいえば「ここまでなら相続税がかからない」という金額のことで、「3,000万円+600万円×法定相続人数」で求めることが可能です。

例えば、相続人が「被相続人(夫)の妻と長男」だった場合、法定相続人は2人で、基礎控除額は4,200万円となります。つまり、相続した財産の額が4,200万円以下であれば、相続税は発生しません。

相続した不動産を売却

相続した不動産に住む予定がないなら、売却します。一般的な売却方法の例は以下のとおりです。

個人売買家族・親族や友人・知人に購入を持ちかけ、話がまとまったら売買契約を結び、引き渡す。
仲介不動産会社に依頼し、購入希望者を探してもらい、条件に合意できたら購入希望者との間で売買契約を結ぶ。不動産会社には成功報酬として仲介手数料を払う。
買取不動産会社に依頼し、物件を買い取ってもらう。仲介手数料は不要。

確定申告

相続した不動産を売却して利益が出た場合、所得税・復興特別所得税・住民税がかかります。

売却した年の翌年の2月16日から3月15日(当日が土日祝日の場合は休み明けの平日)に確定申告をしなくてはいけません。

相続不動産における税制優遇制度

相続不動産における税制優遇制度

相続した不動産については、さまざまな税制優遇制度が設けられています。条件にあてはまる制度は積極的に活用しましょう。ここでは、以下の4つの制度について解説します。

  • 相続税の取得費加算の特例
  • 小規模宅地等の特例
  • 3,000万円の特別控除
  • マイホーム売却による3,000万円の特別控除

相続税の取得費加算の特例

相続税の取得費加算の特例とは、相続により引き継いだ財産を相続が発生した日の翌日から3年10ヵ月以内に売却した場合に利用できる特例です。

つまり、相続人が支払った相続税のうち、売却したものに対応する部分の相続税を取得費に加算できます。

不動産の売却益(譲渡所得)の計算にあたっては、売却価格から取得費(その不動産を手に入れるための費用)と譲渡費用(売った時の諸経費)を差し引いて計算する仕組みです。取得費が増えるとその分売却益が減るため、結果として節税になります。

例えば、1億円の土地を相続し、1,500万円の相続税を支払った方がいたとしましょう。その後、この方が土地の半分(5,000万円分)を売却したら、支払った相続税の2分の1に当たる750万円を所得費に加算できます。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、要件を満たせば、相続税の計算において土地の評価額を一定割合まで減額できる制度のことです。

一般的な居住用の民家の場合(特定居住用宅地等)の場合、330㎡までの部分について、評価額の80%を減額可能です。

3,000万円の特別控除

亡くなった方が住んでいた家など、不動産を売却した際に利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税・復興特別所得税・住民税を払わなくてはいけません。

3,000万円の特別控除とは、住居用財産(不動産)の「譲渡所得」から3,000万円を控除する特例を指します。譲渡所得の計算にあたって差し引ける金額が増えるため、結果として節税になる仕組みです。以下の要件を全て満たせば3,000万円特別控除を利用できます。

  • 相続開始の直前まで被相続人だけで住んでいた
  • 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋である
  • マンションではない
  • 相続の時から譲渡の時まで事業用、貸付用または居住用に供されていたことがない

なお、亡くなった方が老人ホームに入っていた場合は、以下の条件を満たせば3,000万円の特別控除が利用できます。

  • 被相続人が相続開始の直前まで老人ホーム等に入所していた
  • 被相続人が老人ホーム等に入所した後も、誰かに貸したり、事業用に使ったりはしていない

マイホーム売却による3,000万円の特別控除

被相続人が亡くなった後、同居していた相続人が自宅を売却した場合は、「現に居住している家屋やその家屋とともに譲渡する敷地の譲渡」となるため、マイホーム売却による3,000万円の特別控除が利用可能です。

先ほど紹介した3,000万円の特別控除と同様、譲渡所得の計算にあたって3,000万円を控除できるので節税できます。

相続した不動産を売却した際に発生する税金とは?

相続した不動産を売却した際に発生する税金とは?

相続した不動産を売却した場合、状況に応じてさまざまな税金が発生します。ここでは、以下の4種類の税金について、詳しく解説します。

  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 譲渡所得税
  • 住民税や復興特別所得税

印紙税

印紙税とは、印紙税法によって定められた文書に対して課税される税金のことです。契約書や領収書などの不動産売買の際に交わす各種書類にもかかります。なお、印紙税は一般的な税金とは違い、課税される文書に収入印紙を貼って、消印をすることで納める仕組みです。

印紙税の額は書類の種類と契約金額によって決まります。不動産売買契約書(第1号文書)の場合の印紙税の金額は以下のとおりです。

契約金額印紙税額
1万円未満非課税
10万円以下200円
10万円を超え50万円以下400円
50万円を超え100万円以下1,000円
100万円を超え500万円以下2,000円
500万円を超え1,000万円以下10,000円
1,000万円を超え5,000万円以下20,000円
5,000万円を超え1億円以下60,000円
1億円を超え5億円以下100,000円
5億円を超え10億円以下200,000円
契約金額の記載のないもの200円

登録免許税

相続で不動産を受け継いだ場合、名義変更手続=相続登記をしなくてはいけません。相続登記は法務局で行いますが、その際に支払うのが登録免許税です。以下のいずれかの方法で支払います。

  • 現金
  • 印紙(税額が30,000円以下の場合)
  • インターネットバンキング
  • クレジットカード
  • 電子マネー
  • QRコード決済

なお、相続登記の場合の税率は、土地・建物ともに不動産の価格の0.4%です。ただし、一定の場合には登録免許税はかかりません。

譲渡所得税

不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得税を払わなくてはいけません。税率は不動産の所有期間によって決まる仕組みで、短期譲渡所得になるか、長期譲渡所得になるかで以下のように異なります。

概要税率
短期譲渡所得売却した年の1月1日現在で所有期間5年以下30%
長期譲渡所得 売却した年の1月1日現在で所有期間5年超 15%

なお、譲渡所得税は国税であるため、国に対して支払います。

住民税や復興特別所得税

不動産を売却して利益が出たら、住民税や復興特別所得税も支払います。住民税とは、地方自治体が提供する公共サービスに充てるための税金で、お住まいの市区町村に収める仕組みです。

また、復興特別所得税とは、2011年3月に発生した東日本大震災からの復興施策に充てるための税金で、所得税の上乗せ分(付加税)として扱われます。先ほど紹介した譲渡所得税と同様、所有期間によって税率が異なります。

概要税率(復興特別所得税)税率(住民税)
短期譲渡所得売却した年の1月1日現在で所有期間5年以下0.63% 9%
長期譲渡所得 売却した年の1月1日現在で所有期間5年超 0.315% 5%

相続した不動産の売却で注意したいこと

相続した不動産の売却で注意したいこと

相続した不動産を売却する際には、通常の不動産売却とは違う部分がありますので注意しましょう。特に注意すべきポイントに絞って解説します。

共同相続登記の場合は共有者全員の同意が必要

共同相続登記をした後に不動産を売却する場合、共有者全員の同意が必要になります。

相続登記は、相続人が1人の場合(単独相続登記)の場合でも、複数人の場合(共同相続登記)の場合でも行うことが可能です。ただし、複数人相続人がいる状態での登記=共同相続登記を選択した場合、財産も相続人全員で共有します。

つまり、ご自身だけでなく、他の相続人となる方の持ち物でもある以上、勝手に処分はできません。特に、不動産を共同相続登記した場合、トラブルが起こりがちですので注意してください。

売却後の分配は贈与になることも

単独相続登記をした不動産を売却し、その後、法定相続人に売却代金を分配した場合は、贈与税がかかることがあります。

これを避けるためには、遺産分割協議書に「代表の相続人の名義で相続登記をしてそのあとで換価分割する」と記載しなくてはいけません。つまり、遺産を現金に換えて、その後相続人同士で公平に分けたことがわかる状態にしておけば問題ありません。

逆に、記載を忘れてしまうと、単独相続登記をした相続人から他の相続人に現金を分けることが相続と無関係と判断され、贈与税が課税されます。トラブルを防ぐためにも、遺産分割協議書の作成を司法書士などの専門家に依頼することも視野に入れましょう。

不動産の取得費計算について

不動産の取得費や所有期間は、被相続人から相続人に引き継がれます。つまり、相続によって取得した土地・建物を売却した場合の取得費は、被相続人がその土地・建物を購入した時の購入代金や購入手数料をもとに計算する仕組みです。

また、所有期間については、被相続人が取得した時から、相続人が取得し、その後譲渡した年の1月1日までの所有期間に基づき判定されます。

特例を利用できるか確認が必要

相続した不動産を売却した場合の税務上の特例には、さまざまなものがあります。ただし、どの特例にも要件が設けられているため、実際に利用できるか、2つ以上の特例を併用できるかは判断が難しいところです。正確な判断のためにも、専門家に相談しましょう。

セゾンの相続 相続不動産の有効活用」では、相続した不動産を売却した場合の税務上の特例に関する相談にも対応できる専門家のご紹介が可能です。「これってどうなるのだろう?」という疑問がおありでしたら、お気軽にご連絡ください。

セゾンの相続 相続不動産の有効活用の詳細はこちら

相続不動産の有効活用
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おわりに 

今回紹介した相続により得た不動産に関する税務上の特例は、自動的に適用されるわけではありません。ご自身が要件に当てはまるかを判断し、必要な手続きを行わないといけないものもたくさんあります。

本来使えるはずの特例を、知らなくて使わなかったとすれば非常にもったいないです。事前に「セゾンの相続 相続手続きサポート」を通じて専門家に相談し、ご自身やご家族が、どのような特例を使えるかを知っておきましょう。相続が発生したら何かと慌ただしくなるため、できる限り早い段階から、コツコツと準備するのをおすすめします。

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