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【医師監修】貧血になった際の対処法とは?原因から予測される病気について解説

【医師監修】貧血になった際の対処法|原因から予測される病気について解説
村上 友太 医師・医学博士

監修者
村上 友太 医師・医学博士

福島県立医科大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、福島県立医科大学脳神経外科学講座に入局。2019年同講座助教。2022年3月より、東京・新橋にある東京予防クリニックの院長として、一般内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。脳神経外科専門医、脳卒中専門医、神経内視鏡技術認定医、抗加齢医学専門医。認知症学会会員、内科学会会員。医師の副業プラットフォーム「頼めるドクター」を主宰

貧血は発症するとめまいや立ちくらみ、疲労感などの症状が現れます。女性の場合は生理中などに発症しやすく、貧血の症状がひどいと日常生活にまで影響を及ぼしかねません。貧血は日頃から予防することも大切ですが、発症した場合の対処法を知っておくことで日常生活への影響を最小限にすることができます。このコラムの内容を参考に貧血時の対処法と予防策を知り、日常生活で貧血に困らないように役立ててください。

1.貧血とは

貧血とは

貧血とは体内のヘモグロビン(鉄を含むタンパク質)が不足して、血液中のヘモグロビン濃度が低くなった状態を指します。貧血になると酸素を身体中へ運ぶ機能が低下して、動悸や息切れ、めまいなどを引き起こします。 

貧血は男性よりも女性の方がなりやすいです。理由として生理による血液や鉄分の不足、食生活の嗜好の違いによって鉄分摂取の経路が不足している点が挙げられます。また、妊娠中の女性は胎児への血液の供給も相まって、普段以上に貧血になる可能性が高くなります。 

血液中のヘモグロビンの様子

ヘモグロビン濃度は成人男性では13~17g/dL、成人女性では11~15g/dLが正常の目安となる範囲となり、それ以下の数値の場合を貧血と考えます。

検査項目 基準値
ヘモグロビン濃度
(g/dL)
男性:13.7~16.8
女性:11.6~14.8
赤血球数
(10U+2076/μl)
男性:4.35~5.55
女性:3.86~4.92
ヘマトクリット
(%)
男性:40.7~50.1
女性:35.1~44.4
参照元:日本医師会ホームページ

1-1.貧血の症状

貧血になると酸素を身体中に運ぶ機能が低下するため、身体のあちこちに影響が及びます。軽い症状もあれば、倒れるくらいひどい症状もありますし、貧血の発症原因によっては大きな病気を示唆する症状の場合もあるので、貧血自体を軽く見てはいけません。貧血の兆候を素早く掴んで適切な対処をするためにも、以下の症状を確認して素早く貧血に気付けるようにしましょう。

【貧血の症状】

  • 疲れやすい・眠れない

貧血で身体が酸素不足になると、筋肉の機能が落ちたり脳の動きが鈍ったりするので疲労感や倦怠感を感じやすくなります。

  • めまい・立ちくらみ

酸素を運ぶ機能が低下して脳に酸素が充分に行き渡らないと、めまいや立ちくらみを引き起こします。ひどい場合は失神してしまう場合もあるので注意が必要です。

  • 動悸、息切れ

軽い運動に関わらず、いつもより心臓の拍動を強く・速く感じたり、ゼーゼーと息が切れて苦しさを感じる状態を指します

  • 血色が悪くなる

顔の頬に現れる赤みはヘモグロビンの色素によるものです。なので、ヘモグロビン濃度が薄くなって貧血になると、頬の赤みが消えて青白い顔色に変化します。『顔面蒼白』ともいいます。

  • 氷食症になる

氷食症とは『氷をガリガリと食べたくなる』『氷がそばにあると安心する』といった症状を引き起こす病気で、鉄の補給が治療法であることが知られています。

  • 爪が割れる、横筋が入っている

   「血」が不足すると爪が割れる、横筋が入るなど、爪にトラブルが起こりやすくなるといわれています。貧血の自覚症状がなくても、最近爪が割れやすいな・・と感じている方は貧血予備軍の可能性があります。

1-2.鉄分の重要性

鉄分は身体の機能を正常に働かせる重要な役割があります。鉄分が不足すれば身体の正常な機能の維持が難しくなり、生活のあらゆる面に悪影響を及ぼすでしょう。 

例えば日常生活において、疲れやすくなったり倦怠感を覚えやすくなったりと体調面の不調を実感しやすくなるだけでなく、顔色が悪くなったり、爪が割れたりと外観面にも悪影響を及ぼすことがあります。 

また、日頃からスポーツに取り組んでいる方への悪影響もあります。鉄分が不足して筋肉を動かすのに必要な酸素が運ばれなくなると、スポーツ中の動きが鈍くなったり、息切れがしやすくなったりして本来のパフォーマンスが出せなくなります。 

2.貧血時の対処法

貧血時の対処法

貧血の症状が出始めた場合、気を失いそうなくらいひどい症状の時は救急車を呼んだり、ご自身で病院に行ったりする必要があります。軽症の場合は自宅でできる対処法を実施してみてください。 

【貧血時の対処法】

貧血によるめまいや立ちくらみを感じた場合は、外出先であってもその場にしゃがむなど低い姿勢をとり、目を閉じて安静にしましょう。またできる範囲で着用してるズボンのベルトやボタンを緩め、症状が治まるのを待ちます。その際に水分補給は控えるようにしましょう。もし屋内などで横になれる場合は、応急処置としてショック体位をとりましょう。しばらく安静にしても症状が収まらない場合は、救急車を呼ぶようにしましょう。

ショック体位

2-1.食事やサプリメントで鉄分を摂取する

鉄分の摂取が不足することで発症する『鉄欠乏性貧血』は、食事を意識すれば改善します。もし、貧血の症状がすでに出てしまっている場合は、市販のサプリメントで摂取することもおすすめです。ただ症状がないもしくは軽度の場合は日頃の食事から鉄分を摂取することをおすすめします。 

日頃の食事から摂取する方がその他の栄養素もバランス良く取れるので、健康な身体を作りやすいです。食事で鉄分を効率良く摂取するには以下の食材を食べることをおすすめします。 

【鉄分が多く含まれる食材】

  • 豚肉
  • ⽜肉
  • 鶏肉
  • レバー
  • 大豆製品
  • 緑黄色野菜
  • 海藻

これらの食材と合わせてビタミンCが多く含まれる食材(赤ピーマン、ブロッコリー、キウイなど)を摂取すれば、鉄分の吸収効果をさらに高めることができます。

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2-2.貧血に効くツボを押してみる

貧血の症状が出ている時におすすめの、血流を良くするツボがあるので覚えておくと便利です。ツボ押しはいつでもできる上に、即効性も期待ができるので困った時にはまず試してみてください。 

【貧血に効くツボ】

  • 血海(けっかい)

膝のお皿内側から指3本分上にあるツボ。親指で3秒かけてゆっくり押し、押した状態で3秒キープするのを繰り返すと血の巡りが良くなります。

  • 足三里(あしさんり)

膝下のくぼみから指4本分下にあるツボ。親指や中指を使い、指が食い込むくらいの強さで6秒間押すと病気予防や胃腸の調子回復に効果的です。

  • 太白(たいはく)

足の親指の付け根あたりにある骨付近にあるツボ。人差し指で優しくゆっくり擦ることで消化器の働きを高められます。

3. 貧血の原因から予測される病気

貧血の原因から予測される病気

貧血はヘモグロビンの濃度が低下すると発症します。ヘモグロビンの濃度が低下する原因は主に2種類あり、どちらが原因かによって予測される病気の種類が変わります。単純に生理や鉄分の摂取不足による貧血なら良いのですが、病気が原因の場合は早急に治療が必要になるので、貧血が発症した時は直ちに原因を突き止めるようにしましょう。 

【原因別の貧血から予測される病気】

  • 鉄欠乏性貧血

へモグロビンの材料である鉄が不足して貧血症状になることを指し、貧血の中で一番多く見られる病気です。ヘモグロビンは鉄分とタンパク質から作られるため、鉄分が不足すると貧血になります。血液検査ですぐに測ることができるので、貧血の疑いがある方は病院で検査をしてもらいましょう。

  • 再生不良性貧血

骨髄の造血幹細胞が減少することで、赤血球を含めた血液の成分すべてが不足して起こる貧血です。

  • 二次性貧血(続発性貧血)

病気などを原因とし、炎症が長期間に及ぶことで起こる貧血です。主な原因としては、ウイルス・細菌への感染、膠原病、腎臓や肝臓の疾患、胃がん、大腸がん、甲状腺機能低下症(橋本病)、慢性腎臓病、心臓病などが挙げられます。

  • 悪性貧血

赤血球を作るために必要なビタミンB12、葉酸が不足して起こる貧血です。

3-1.骨髄の異常

ヘモグロビンは骨の中にある骨髄という臓器で作られています。骨髄に異常があるとヘモグロビンが作られなくなることがあり、それが原因で貧血になったりします。骨髄の異常は主に以下のような病気が考えられるので知っておきましょう。 

【骨髄の異常から予測される病気】

  • 白血病
  • 腎臓の機能低下

これらの病気はヘモグロビンの数値以外に白血球や血小板、クレアチニンなどの数値も異常になっているので、血液検査をすれば比較的簡単に診断できます。

3-2.がんや胃潰瘍

大腸がんや胃潰瘍になると消化管から慢性的に出血している状態が続いて、血便や血尿の症状が現れます。出血状態が続くとヘモグロビンが慢性的に体外へ流れ出ていくので、貧血状態に陥りやすいです。なので、日頃から鉄分の摂取を意識しているにもかかわらず、慢性的に貧血状態が続く場合は体内の出血を疑いましょう。 

また、がんは骨髄で赤血球を作る働きを抑制する悪影響があるので、出血を伴っていなくても貧血の状態になります。貧血に気付いて対処をしても改善せず、検査をしても出血が見受けられない場合はがんの可能性が高いので手遅れになる前に貧血の原因は突き止めましょう。 

4. 貧血の予防方法

貧血の予防方法

貧血を予防しながら生活を送ることで、万が一がんや骨髄異常の病気が発症しても気付きやすくなります。大きな病気をすぐに察知できる健康状態を作り上げるためにも、貧血予防は日頃から意識的に取り組むようにしましょう。 

【貧血の予防方法】

  • 鉄分を多く含む食材を食べる
  • 鉄分の吸収を妨げる栄養素に注意する
  • 鉄製の調理器具を使う

4-1.鉄分を多く含む食材を食べる

鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。

【ヘム鉄】

吸収されやすい種類の鉄分で、肉類などの動物性の食品に含まれています。効率良く鉄分を摂取するならヘム鉄を意識的に料理に組み込むのがおすすめです。

【非ヘム鉄】

吸収されにくい種類の鉄分で、野菜などの植物性の食品に含まれてます。非ヘム鉄を効率良く吸収させるには、吸収を促進するビタミンCと一緒に食べると良いです。 

以上のことから、鉄分を効率良く摂取するには『ヘム鉄』を多く含んだ食材を摂取するのが最も効率的です。以下の表では、ヘム鉄を多く含む食材がまとめられているので、これらの食材を日々の料理に加えることを意識してください。

【鉄分(ヘム鉄)を多く含む食材】

食品名 加工状態 含有量
煮干し(かたくちいわし) 18.0mg
豚レバー 13.0mg
しじみ 8.3mg
ビーフジャーキー 6.4mg
赤貝 5.0mg
ほっき貝 4.4mg
牛レバー 4.0mg
あさり 3.8mg
ホタテ 2.2mg
牡蠣 2.1mg

参照元:日本食品標準成分表

鉄分に関するさらに詳しい内容を以下の記事で取り上げているので、効率的な鉄分の摂取方法を知りたい方はぜひ確認してください。

4-2. 鉄分の吸収を妨げる栄養素に注意する

非ヘム鉄の吸収を促進するビタミンCのような栄養素があれば、一方で鉄分の吸収を妨げる栄養素もあります。普段から意識的に鉄分を摂取しているにもかかわらず、慢性的に鉄分が不足しがちな方は以下の栄養素が含まれた食材を一緒に食べてしまっているかもしれないので注意してください。 

【鉄分の吸収を妨げる栄養素】

  • 食物繊維

野菜に含まれていることが多く、摂取し過ぎると腸内に残っている鉄分を絡め取って排出してしまいます。

  • フィチン酸

玄米や麦芽に含まれる栄養素で、鉄と結びついて体外へ出す作用があります。

  • リン酸塩

鉄吸収阻害物質として作用する栄養素です。

  • タンニン

緑茶や紅茶に含まれており、非ヘム鉄の吸収を妨げます。

4-3.鉄製の調理器具を使う

貧血予防のためには鉄分を効率良く摂取する意識が大切です。鉄分は鉄鍋を使って調理をすることで、食品に吸収されやすい鉄分が溶け出すので比較的簡単に摂取できます。この方法なら鉄分を多く含む食材が手元になくても、それを使って調理することである程度の鉄分を摂取できるでしょう。

また、鉄製の調理器具から鉄分を少しでも多く取り出したければ、酸性の食材を使いましょう。トマトなどの酸性食材を使えば鉄がさらに溶けやすくなるので、さらに効率良く鉄分が摂取できます。

おわりに

貧血は体内のヘモグロビンが不足している状態のことを指します。貧血になると脳やその他の臓器に血液を通じて酸素が行き渡りにくくなるので、めまいや動悸などの症状が現れます。 

また、ヘモグロビンが不足する原因は鉄分の摂取不足以外に骨髄異常や大腸がん、胃潰瘍などが考えられます。なので、貧血の症状が出た時に鉄分不足として簡単にまとめてしまうのは危険です。貧血の症状が続く場合はなるべく早く病院へ行って、血液検査などで本当に問題がないかを確認しておくことをおすすめします。

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