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LOH症候群とは?男性更年期症状の乗り越え方

LOH症候群とは?男性更年期症状の乗り越え方
辻村 晃

監修者

順天堂大学医学部付属浦安病院泌尿器科 教授

辻村 晃

Dクリニック東京 医師。日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医、日本生殖医学会 生殖医療専門医。生殖医学、性機能障害の治療に注力し、不妊に悩む数多くの夫婦をサポート。「Dクリニック東京」は、AGA(薄毛)治療を中心に、男性ホルモンに着目した男性更年期や男性美容皮膚の診療など、男性の多様化する悩みに寄り添っている。

「更年期」とは、一般的には閉経前後の女性に、ホルモンの変化に起因したさまざまな悩みや症状が起こる期間をいいますが、実は男性にも更年期があります。「男性更年期障害」が初めて提唱されたのは1979年で、理解が広まり始めたのは2000年代になってからです。

昨今は医学的な名前として「LOH症候群加齢男性性腺機能低下)」と呼ばれることもあり、一般企業の講習会などでも盛んに取り上げられているようです。その症状と対策をここで学んでおきましょう。

男性更年期とは?

男性更年期とは?

成長期、思春期、更年期と、人生にはホルモンの影響を受ける期間があります。

男性更年期に関与しているのが、男性ホルモン「テストステロン」です。何種類かある男性ホルモンのうち全体の約95%を占めるホルモンで、睾丸で作られ、20代をピークに加齢とともに減少し健康に影響を及ぼします。40歳では2~5%、70歳では30~70%(診察の手引き/医学図書出版)程度の数値低下があり、個人差があるといわれます。

男性更年期の期間

女性更年期の期間は閉経前後10年といわれますが、男性更年期にはいつからいつまでという期間がありません。そのため男性更年期は年齢層の幅が広く、早い方は30代で症状を訴える方もいたり、70代以降になって発症する方もいます。そのタイミングは人によって異なりますが、特に男性更年期症状を訴える方が多いのが50代といわれています。 

男性更年期の認知度は低い

厚生労働省の「更年期症状・障害に関する意識調査/2022年7月」によると、「男性にも更年期にまつわる不調があること」について、40代では「知らない」と答えた方が47.4%。また「聞いたことがあるが、内容について詳しく知らない」と答えた50代は47.5%、60代は50.9%。更年期を一番気にしたい世代でも、2人に1人がその内容を把握していないのが現状です。日常的な疲労と勘違いしやすいので、見過ごしていることもあるかもしれません。

男性更年期障害の診断に国際的に使用されている「AMS」という自己診断チェックシートを用いた調査(Dクリニック調べ)によると、「自分自身は男性更年期であると思わない」と大半の方が答えているのに対し、実は男性更年期症状・障害の範疇の方が約7割もいることが明らかになっています。不調があるのに自覚している男性が少ないことが考えられます。

出典:Dクリニック(2024年11月実施 WEB調査・全国50~60代男性300名)

男性更年期症状・障害とは?

男性更年期症状・障害とは?

顔がほてる、汗をかきやすい、イライラする、寝つきが悪いなどといった不調は更年期の女性に多くみられる症状ですが、男性でも同じような症状に悩まされることがあります。男性更年期の症状についてみていきましょう。

男性更年期症状によるトラブル

男性ホルモンのテストステロンは、筋肉量の増加や骨密度の維持などの働きに関わっているだけでなく、「長寿ホルモン」「社会性ホルモン」「やる気ホルモン」とも呼ばれています。その分泌量が減少すると身体面だけでなく、精神面にも影響を与えます

女性の更年期症状では性的なことにはあまり注目されていませんが、それ以外は男性更年期も女性更年期と似た症状が起こります。

<男性更年期症状の一例>

身体的領域)

  • 疲れが取れない
  • なんとなくだるい
  • 眠れない
  • 味覚変調
  • 頻尿

精神的領域)

  • 仕事がつらい
  • 憂鬱になる
  • やる気がでない
  • 朝起きられない

性的領域)

  • 性欲の減退
  • 朝立ちの減少 
  • 性的能力の衰え 
  • 勃起の減退 など

AMSを用いた調査(Dクリニック東京 メンズ調べ)によると性的領域、心理的領域、身体的領域に悩みを抱えている方はほぼ同等数です。

出典:Dクリニック東京 メンズ(2024年11月実施 WEB調査・全国50~60代男性300名)

男性更年期障害のサインは?

男性更年期障害は、血液中の総テストステロン値が2.5ng/mL未満、もしくは遊離テストステロン値が7.5pg/mL未満になると、LOH(late-onset hypogonadism)症候群(加齢男性性腺機能低下)と診断されます。

ただし症状がある方で、数値として示される方は3分の1程度で、残りの約3分の2はテストステロンの値が正常範囲と言われています。

「何となくしんどい・だるい」「仕事に対する意欲がわかない」「疲れがあって眠れない」「男性力が低下している」「怒りっぽくなった」など、日常生活や仕事に少なからずの影響が出ていたり、家族に指摘されることはありませんか。LOH症候群は加齢が主な原因ですが、ストレスも大きく起因するので、病態が複雑です。放っておくと深刻な病気につながるケースもあります。 

LOH症候群の予防と緩和策

LOH症候群の予防と緩和策

厚生労働省の「更年期症状・障害に関する意識調査/2022年7月」では、更年期症状緩和のためにとった手段として、「特になにもしていない」というのがいちばん多い回答でした。

LOH症候群に罹患するとなかなか回復することができず、また時間が経つほどに改善が難しくなります。LOH症候群を予防するための行動と緩和策を講じましょう。

楽しいことをする

「楽しいこと」をしている方のほうが、テストステロンの値が高いといわれています。仕事以外に趣味を持ったり、友達と出かけるなど、自分が楽しいと思うことをやるとテストステロンが高く維持されます。褒められたりすることでもテストステロンの量は増えるといわれています。また笑うことでテストステロンが上がって元気になるという論文も発表されています。

筋肉量を増やす・運動を習慣化する

筋肉量を増やすことで、テストステロンの上昇が期待できます。効率的なのが太もものような大きな筋肉を動かすこと。スクワットなどが効果的です。

テストステロンは1日のうちでもその量が変化します。例えばサイクリングなどの運動中は、テストステロンが一気に増加しますが、運動をやめると一気に落ち込みます。そう聞くと運動することに意味はなさそうですが、週2、3回のジョギングやジム通いなど、運動を習慣にしている方は、テストステロン値が維持できるという報告もあります。 

睡眠時間を確保する

徹夜したり、睡眠不足になるとテストステロンは減少します。テストステロンは副交感神経が優位になるリラックス時に多く分泌されるといわれ、7時間程度の睡眠がテストステロン値をもっとも高めるというデータもあります。

ストレス管理をする

ストレスホルモンのコルチゾールが増えると、テストステロンは減少傾向になります。30代男性の更年期症状の要因はほとんどがストレスと言われ、また50代も加齢だけでなく、仕事のプレッシャーが引き金となって更年期症状を訴える方も少なくありません。部署移動などでストレス原因がなくなると、テストステロンの分泌が復活するというのはよくある事例です。

逆にリタイヤ後に社会生活の接点が減ったりすると、ワクワクがなくなり更年期症状を発症する方もいます。ストレスの原因を見直しましょう。

食生活を見直す

テストステロンの分泌に関わる成分といえば、玉ねぎに含まれる「アリシン」や、牡蠣などに含まれる「亜鉛」が挙げられます。こればかりを食べてテストステロンの数値を補うことはできないため、暴飲暴食を避け、基本的にはバランスの良い食事を心がけるようにしましょう。また太りすぎの方はテストステロン値が低いというデータがあります。食事面でのメタボ対策も必須です。

テストステロンの補充療法

海外では注射剤をはじめ、経口剤、皮膚吸収剤など、テストステロン補充の手段が複数あります。しかしながら日本では注射での治療が一般的です

クリニックではまず血液検査後、テストステロンの補充の治療を判断します。

海外ではテストステロン補充を始めたら一生の治療が推奨されてるのに対し、日本はテストステロン値の減少があっても、更年期症状がやわらいでくると治療は終了となります。 

市販薬や漢方薬の服用

市販薬にはテストステロンを補うクリーム(第一類薬品)などがあります。また医療機関によっては日本では未承認の海外製のクリームなどを処方される場合も。不安感やイライラを予防する漢方薬などを用いることもできます。 

LOH症候群かも?というときは

LOH症候群かも?というときは

キットで調べる

唾液で検査するなど、簡易なテストステロン計測法もあります。正確性は低いことがあるのであくまで目安程度と捉えましょう。

医療機関を受診する

気になる更年期症状があるとき、どの医療機関を受診すればいいか迷う方も多いようです。

更年期症状・障害に関する意識調査/2022年7月(厚生労働省)」による受診した診察科の項目では、40代の男性は「心療内科」「内科」、50代は「内科」「整形外科」があげられています。

どの症状がいちばん強く出ているかで医療機関を選びましょう。例えば男性更年期を疑う方は「泌尿器科」、不安感やイライラがある方は「心療内科」でまずは受診を。また昨今は「男性更年期外来」や「メンズヘルス外来」を設置している専門のクリニックも増えています。

通常の健康診断でテストステロンの検査を測ることはほぼないため、中年期以降、心身に何らかの異変を感じたときは、医療機関を受診してテストステロンの検査を受けてみるのも得策です。

健康的な楽しい生活を意識しよう

健康的な楽しい生活を意識しよう

男性の誰しもが有する更年期リスク。男性更年期のいちばんの対策はごく普通の「健康的な楽しい生活」を送ることです。この機会に改めて見直してみませんか。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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