今までの人生で視力が悪くなかった方でも、ある時期から新聞や雑誌を読んでいて、文字がぼやけてくることがあります。その症状は老眼の始まりの合図かもしれません。「自分は今まで目が悪かったことがない、ただの目の疲労だ」と思っている方もいるかもしれません。しかし、どんな視力が良い方でも加齢とともに老眼はやってくるのです。
そのような症状が起きた方は、このまま老眼が進み本格的に文字が読みづらくなる前に、老眼鏡の購入をおすすめします。しかし、今までメガネさえ買ったことないのに老眼鏡なんて何を選べば良いのか分からないという方もいるでしょう。今回のこのコラムでは、老眼鏡を選ぶ際に押さえておきたいポイントや注意点などについて、詳しく解説します。
1.いつから老眼が必要?老眼チェックをしよう
加齢により視界がボヤけてきたら「あれ、老眼かな」と思う方もいるでしょうが、決めつけてはいけません。まずは本当に自分が老眼になってしまったのかチェックする必要があります。そのチェック方法とはどのような方法があるのか、以下よりその2つの方法について説明しましょう。
1-1.セルフチェックをしてみよう
老眼?と最初に疑問に思ったら、まずは以下のセルフチェックをやってみましょう。
- 以前に比べて目が疲れやすくなった
- 辞書・取扱説明書の文字が見えづらくなった
- 新聞・本を読む際、遠ざけて見るようになった
- 目の疲労を感じると肩こりや頭痛も併発するようになった
- 商品パッケージ裏の成分表が見づらいと感じるようになった
- パソコンの細かい文字が見えづらくなったので、拡大するようになった
- 近いところを見たあとに遠くを見ると、最初は視界がぼやける
- スマホを見るとき、遠ざけて見ることが増えた
以上のチェックリストのうち、2つ以上の項目が「YES」の場合、老眼の可能性があります。「YES」が0〜2だけだった場合は、ただの目疲れであって老眼の心配はありません。
1-2.眼科で診てもらおう
セルフチェックで質問の答えに「YES」が多かった場合、老眼の可能性がありますが、すぐに老眼鏡の購入をしてはいけません。老眼ではなく一時的な眼精疲労の可能性もあり、また、目に関する他の症状が出ているかもしれないからです。
この場合、眼科に行って診察してもらうことをおすすめします。眼科は目に関する専門家であり、視力に異常がないかを診察してくれます。眼底、眼圧、視野の検査などによって診察し症状を確認してくれます。
通常では分からない眼底出血、緑内障、白内障といった病気も診察により見つけ出すこともできます。万が一、そのような病気になっている場合、一大事ですので、眼科にも足を運んで専門家にしっかりと診てもらいましょう。
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2.老眼鏡の種類を把握しておこう
セルフチェック、眼科での診察を受けて、それでも老眼鏡が必要となったとき、次にやるべきことは、老眼鏡にはどんな種類があるのかを知っておきましょう。どんな種類があるのか、よく把握しないまま購入してしまうと、後になって自分に適していないと分かって買いなおす、という失敗をしてしまいます。では、老眼鏡にはどのような種類があるのでしょうか。
2-1.近用レンズ
一般的に老眼鏡と呼ばれている代表格なのが、近用レンズの老眼鏡です。普段からかけることはないですが、新聞や雑誌などの細かい文字を読むときだけに使用するので、リーディンググラスという場合もあります。
近用レンズは、近くのものを見るのに特化したレンズなので、長時間の読書、または裁縫などの細かい作業を行う際に、目がしんどいと感じる方に向いているといっていいでしょう。
近くのものに関してはくっきりと見えますが、少し離れた場所のものを見た場合、パソコンの画面など、本や新聞を読むのより少し離れたものを読む場合は、不具合が生じるでしょう。この場合は、近用レンズを付けたままだと視界がぼやけるので、近用レンズの老眼鏡を外して肉眼で見た方が鮮明に見えます。常に近用レンズの老眼鏡を装着した状態ではなく、シチュエーションに合わせて老眼鏡を装着・外すという使い分けをすることが必要です。
2-2.近用ワイドレンズ
近々両用レンズという別名でも呼ばれているのが、近用ワイドレンズです。この近用ワイドレンズは、手の届かない距離の場所であってもクリアに見えて、近用レンズ(一般的な老眼鏡)の欠点である、少し離れた距離が見えにくいという点が改善されています。
近用レンズだと30cm以内のものであればクリアに見えますが、それ以上の距離があるとぼやけるという性能です。しかし、近用ワイドレンズは、レンズ上部に奥行きが出るように度数が変化するので、30cm以上の距離があっても、手元がギリギリ届かないくらいの距離であれば、鮮明に見えます。
2-3.中近両用レンズ
中近両用レンズは、手元から2〜3mという中間距離が鮮明に見えるように設計されたレンズです。近用レンズのように近い場所も見えながら、比較的遠目の場所もクリアに見えるので、かなり視力が下がっている方でも便利なレンズといえます。
このレンズの老眼鏡であれば、室内をひととおり見渡すことが可能です。少し距離のあるテレビやカレンダー、壁に貼られた用紙も、この老眼鏡であれば移動して近づく必要もありません。ただし、外出時や車の運転で遠くを見ると遠くの景色がぼやけるので、特に車の運転時の装着は危険なので向いていません。主に室内向けのレンズといっていいでしょう。
2-4.遠近両用レンズ
近場のもの、外の遠くの風景といった両方が鮮明に見えるのが、遠近両用レンズです。この遠近両用レンズは、レンズ上下の度数が異なっている仕組みで、上部が遠くを見る専門、ほぼ真ん中がパソコン画面などの中距離、下部が新聞や雑誌を読む近距離に対応しています。
上下はこのような仕組みですが、左右に目線を合わせるとゆがんで見えるので、横の目線は弱点といえるでしょう。また、中距離〜近距離はレンズのクリアに見える範囲が狭いので、ものを見るときは真正面から見ないといけません。
3.老眼鏡を選ぶ際のポイントとは
老眼鏡を購入する際、自分にぴったりの老眼鏡を入手するためには、どのようなポイントを押さえておく必要があるのでしょうか。失敗しない老眼鏡選びのポイントを説明します。
3-1.度数を選ぶ
購入した老眼鏡の度数が自分の視力より強い・弱い場合、老眼鏡をかけても視界がぼやけるだけです。そのため自分の今現在の視力を知ったうえで、自分に合った度数を選ぶことが大切です。加齢による視力の衰えに合った度数の一般的な目安は、次のとおりです。
- 40代前半 / プラス1.0
- 40代後半 / プラス1.5
- 50代前半 / プラス2.0
- 50代後半 / プラス2.5
- 60代前半 / プラス3.0
- 60代後半 / プラス3.5
上記の数字はあくまで一般的な目安であって、自分に合う度数は個人差があります。購入する前に実際に数種類の度数の老眼鏡を試してみて、視界がぼやけない鮮明に見える度数を見つけましょう。
3-2.フレーム・サイズを選ぶ
老眼鏡はさまざまなデザインがあり、なかにはおしゃれなものもありますが、見た目のかっこよさだけにとらわれずに、ぴったりのものを選びましょう。選ぶ際の大事なポイントは海外の輸入ものではなく、国産のものをなるべく選ぶことです。
輸入ものは西洋人の骨格に合わせて設計されているので、かけてみてもいまいちしっくりきません。国産であれば日本人の顔立ちを研究して設計されているので、フィット感のある、掛け心地が味わえます。また、重たかったり、フレームが硬かったりするものだと、掛け心地が悪い場合もあるので、軽さやテンプルのしなやかさも確認しておきましょう。
4.老眼鏡を購入する際の注意点
老眼鏡を購入する際、また購入したあとは注意点があります。注意点を解説します。
4-1.1本購入しただけで満足しない
先述した通り、老眼鏡のレンズはいくつかの種類があり、それぞれ機能が異なります。そのため、一種類だけ購入して満足するのではなく、数種類を所有していると便利です。
新聞や雑誌を読むときは近用レンズ、パソコンに向かうときは近用ワイドレンズや中近両用レンズ、車の運転、外出用は遠近両用レンズの老眼鏡といった具合に、複数の老眼鏡を使い分けると良いでしょう。
それぞれのレンズは近い箇所は見えるけれど遠くは見えにくいというメリットとデメリットがありますが、複数を持っていればどんなシチュエーションでも安心です。また、近用レンズの老眼鏡の場合、常時装着しているのではなく使用時だけ使うという方もいますが、いつでもかけられるように常に持っていないといけないという面倒さがあります。
その面倒さを回避するためにテンプル部分にひもが付いて首にブラ下げることが可能な老眼鏡もありますが、うっかり置き忘れてしまうこともあります。使用するために取ってくるという作業が面倒な方は、老眼鏡を複数購入して自宅の数カ所に置いておくと便利です。
4-2.専門店で購入する
現在は老眼鏡に限らずなんでもインターネットで購入できる時代です。インターネットで買える老眼鏡は購入時の手間が省けるだけでなく格安のものが多いですが、初めて老眼鏡を購入する際は専門店に行くことをおすすめします。
専門店に行けば、老眼鏡に関する確かな知識を持った専門家である従業員から、ためになるアドバイスをもらうことが可能です。度数・サイズ・予算といったこちらの都合に見合った、ぴったりの老眼鏡と出会えるでしょう。
おわりに
最近、視界がぼやけるようになったと思っても、それを放っておいてはいけません。その症状は老眼、または目に関する病気の可能性があります。まずはセルフチェックや眼科に行って、自分の目がどんな状態であるか確認しましょう。もし、老眼だと発覚したら、適当に安価な老眼鏡を買うのではなく、自分にふさわしい老眼鏡を見つけることが大事です。
今回のこのコラムでは、老眼鏡を購入するための大事なポイント、注意点について紹介しました。このコラムを参考にして、自分にぴったりな老眼鏡を見つけましょう。