家を担保にお金を借りる方法はありますが「最終的に住まいがなくなるのでは・・・」「事業資金を作りたいが、持ち家を担保にするのは怖い」という不安を持たれる方は多いでしょう。
家を担保にお金を借りるときは、デメリット以上に、高額の融資を低金利で借りられるメリットがあります。本記事では、まず家を担保にお金を借りるデメリットを紹介し、次にメリットや具体的な方法、条件を紹介します。
家を担保にお金を借りることへの不安を明確にできるため、ぜひご一読ください。


家を担保にお金を借りるデメリット5選

家を担保にお金を借りるときのデメリットは、以下の5つです。
- 返済が滞ったときに家を失うリスクがある
- 融資実行までに時間がかかる場合が多い
- 手数料や諸費用が高額になる可能性がある
- 不動産価値の下落により追加担保や追加支払が発生する場合がある
- 年齢制限により借りられない可能性がある
中には家を失ったり費用が高額になったりなど、高額のお金を借りることに起因する大きなデメリットもあります。ひとつずつ見ていきましょう。
返済が滞ったときに家を失うリスクがある
家を担保にお金を借りると、返済が滞ったときに家を失うリスクが挙げられます。
返済が滞った場合、まず行われるのは返済の督促です。督促をしても返済が行われず融資額の回収が困難であると判断されると、金融機関は担保物件である家を差し押さえ、競売にかけます。競売による売却代金で借入金の回収が行われるものの、売却代金は市場価格よりも安くなりがちです。売却額が借入額に満たない「担保割れ」となった場合、追加の返済を求められます。追加返済が高額で用意できない場合、自己破産を余儀なくされる場合もあるでしょう。
競売にかけられる前に自ら売却する「任意売却」であれば、市場価格に近い値段で売却できる見込みは高まります。しかし、任意売却ができるのは競売の入札結果を発表する日(開札日)の前日までです。いずれにせよ、返済が滞ることで家を失うリスクがあることに変わりはありません。
融資実行までに時間がかかる場合が多い
家を担保にしてお金を借りると、融資実行までに時間がかかるケースが多くなります。不動産の評価や審査、法的手続きに時間がかかることが理由です。審査が早いことが特徴であるセゾンファンデックス「不動産担保ローン」でも、審査完了まで最短3営業日はかかります。
家を担保にお金を借りる際は、申込から融資実行まで数週間から1ヵ月程度の期間が必要です。手続きに時間がかかるため、無担保のキャッシングやカードローンのように即日でお金を手に入れられない点がデメリットとなります。
手数料や諸費用が高額になる可能性がある
家を担保にお金を借りる際は、次のような手数料が発生します。
費用名 | 手数料の目安 |
事務手数料 | 無担保ローンより高めの、借入額の1.0~3.0%程度 |
抵当権設定登記費用 | 債権金額 × 1000分の4 |
印紙税 | 契約金額により変動(200円~60万円) |
不動産調査料 | 不動産担保ローン:5万円~15万円 リバースモーゲージ:融資額の1.65%程度 リースバック:事業者により異なる |
司法書士報酬 | 約22,000円~150,000円 |
参考元:
借入額に連動する費用もあることから、高額な借入ほど手数料が高くつきます。
不動産価値の下落により追加担保や追加支払が発生する場合がある
担保にした家の価値が下落した際に、追加担保を求められる点も忘れてはいけません。家を担保にお金を借りるのは、ほとんどが長期です。長い期間が経つと市場の状況が変化するため、借入額よりも不動産の価値が下落する「担保割れ」により、追加支払が発生する場合があります。
特に、亡くなった後に借入金を返済するリバースモーゲージで担保割れすると、差額分を一括で支払わなければならないケースがあります。お金に困っている状況で追加支払が発生すると、さらなる借金を重ねたり自己破産に追い込まれたりする可能性がある点も、考慮に入れておきましょう。
年齢制限により借りられない可能性がある
年齢制限により、家を担保にお金を借りられない可能性もあります。多くの金融機関では申込や完済に年齢制限を設けているため、年齢によっては借りられないかもしれません。特に亡くなってからの返済となるリバースモーゲージは、年齢の下限制限が50~60歳程度とされています。
家を担保にお金を借りるメリット4選

家を担保にお金を借りることには、デメリットだけでなくメリットも存在します。家を担保にお金を借りるメリットは、主に次の4点です。
- まとまった資金を調達できる
- 資金用途が比較的自由である
- 金利が低く返済負担が小さい
- 長期的な返済プランを立てられる
デメリットとメリットを両方知っておくことで、納得してお金を借りられるでしょう。
まとまった資金を調達できる
家を担保にお金を借りる一番のメリットは、まとまった資金を調達できることです。不動産の価値に応じて、数百万~数億円の大きな融資を受けられます。この金額は、無担保ローンではなかなか借りられません。
担保価値に応じて融資額の上限も高くなるため、生活資金だけでなく事業資金や大規模な投資にも対応可能です。
資金用途が比較的自由である
資金用途が比較的自由である点も、家を担保にお金を借りるメリットのひとつです。通常のローンでは、フリーローンを除き「住宅資金」「教育資金」など用途が決まっていますが、家を担保にお金を借りた場合、幅広い用途に活用できます。
- 事業資金
- 住宅リフォーム費用
- 教育資金
- 医療費
ただし、いくら用途が自由とはいえ、ギャンブルや投機などへの使用は許されていません。自由に使えるのは、あくまで「生活や事業に必要な範囲内」です。
金利が低く返済負担が小さい
家を担保にお金を借りた場合の金利は、1.0~10.0%程度と、低めに設定されています。高額な家が担保になっているため、万一返済が滞った場合の貸倒れリスクが低いことが理由となっています。
参考までに、金利が年9.9%~15.0%の場合における月返済額について、以下の表にて比較してみました。なお、シミュレートの条件は以下になります。
- 元金:500万円
- 返済期間:25年(300ヵ月)
- 返済方法:元利均等返済
- ボーナス払い:なし
金利(年) | 月返済額 | 総返済額 | 累計利息 |
---|---|---|---|
9.9% | 45,083円 | 約13,525,000円 | 約8,525,000円 |
12.0% | 52,661円 | 約15,798,000円 | 約10,798,000円 |
15.0% | 64,041円 | 約19,212,000円 | 約14,212,000円 |
このように、家を担保にお金を借りるとカードローンよりも金利を低くできるため、毎月の返済額や総返済額を抑えられるます。
長期的な返済プランを立てられる
家を担保にお金を借りると、最長で30年程度の長期返済が可能となります。長期的な返済プランを立てられるため、月々の返済負担を軽減できる点がメリットです。
長期間にわたって計画的に返済できるため、資金繰りも安定します。サービスによっては完済時の年齢制限が設けられているものの、借入期間を長期間にすることで、無理のない返済計画を立てられるでしょう。
家を担保にお金を借りる3つの方法

家を担保にお金を借りる方法は、主に次の3つです。
- 不動産担保ローン
- リバースモーゲージ
- リースバック
いずれもお金を借りながら今の家に住めますが、下表のような違いがあります。
不動産担保ローン | リバースモーゲージ | リースバック | |
---|---|---|---|
借入の形式 | 不動産を担保にした融資 | 不動産を担保にした融資 | 不動産の売却と賃貸契約 |
対象者 | 資金調達が必要な個人・法人 | 老後資金が必要な個人 | 自宅を現金化しつつ住み続けたい個人・法人 |
返済方法 | 元本と利息を定期的に返済 | 利息のみを返済し、元本は死亡後に売却で返済 | 家賃を支払いながら住み続ける |
借入限度額 | 評価額の100% | 評価額の50~60%程度 | 評価額の60~80%程度 |
不動産の所有権者 | 不動産の購入者 | 不動産の購入者 | ローン会社 |
年齢制限 | 下限:20歳 上限:なし | 下限:50~60歳 上限:80~85歳 | なし |
金利 | 市場金利に基づ (一般的に高め) | 市場金利よりやや高め | 売却価格に基づくため変動が少ない |
返済期間 | 通常数年〜数十年 | 借入者の死亡時まで | 定期借家契約の場合は2〜3年 |
不動産担保ローン
不動産担保ローンは、担保に入れる家の価値に応じてお金を借りられるサービスです。地価や築年数といった諸条件を元にした「家の価値」で、融資額は決まります。月ごとにローンを返済し、所有権を手放さずに不動産に住み続けられます。
家を担保にするため、高額かつ低金利での融資を受けられるメリットがあります。
一方でデメリットとして、融資の返済が滞った場合は、家を競売にかけなければならないことが挙げられます。任意売却よりも安値になる傾向があるため、高額な損失を被る場合もあるでしょう。
リバースモーゲージ
リバースモーゲージも、不動産担保ローンと同じく家を担保にお金を借りるサービスです。不動産担保ローンとの大きな違いは「契約者が亡くなったら、家を売却して借りていた額を返済する」ことにあります。亡くなったときに返済をするので、毎月の支払は利息だけです。
リバースモーゲージは、住んでいた家にそのまま住めます。売却しないので、所有権の移動はありません。亡くなってからの返済となることから、対象は主に高齢者で、年齢に「下限」を設定されている点が大きな特徴です。
長期の融資であることから、将来の価格下落リスクを考慮して、借入限度額は評価額の50〜60%程度となります。
リースバック
リースバックは「家を売却し、売却したお金を受け取る」サービスです。家を一度売却することから、担保にしてお金を借りる不動産担保ローンやリバースモーゲージとは少し性質が異なります。
リースバックの借入限度額は、評価額の60~80%程度です。ローン会社へ家を売却して賃貸借契約を締結するため、売却した家にそのまま居住が可能です。まとまったお金ができた段階で、売却した家を買い戻すこともできます。
将来的に買戻しも見越したうえでお金を借りたい方向けのサービスといえます。
家を担保にお金を借りる仕組み~抵当権とは~

そもそも、なぜ家を担保にお金を借りられるのか、気になる方は多いでしょう。
家を担保にお金を借りられるのは、家に「抵当権」が設定されているためです。抵当権は民法369条1項で、次のように定められています。
かみ砕いて説明すると、抵当権とは「自分が住んだまま借入金の担保として家を差しだした場合、他の債権者(お金を貸している人)より先に、貸し付けている者が返済を受けられる」権利です。抵当権の設定により、万一返済が滞ったとしても、家を担保にお金を貸した事業者が最優先で債務を解消できます
抵当権は、法務局で「抵当権設定登記」を行うことで付与され、登記事項証明書(登記簿)に記載されます。
抵当権は複数付与できる
ひとつの不動産に対して、抵当権は複数の付与が可能です。複数の抵当権を付与した場合、最初の抵当権は「第1抵当権」、2番目の場合は「第2抵当権」と、付与された順番でナンバリングされます。抵当権の弁済は番号順です。したがって、ひとつの不動産に複数の抵当権が付与されている場合は、第1抵当権が最優先に弁済され、第1抵当権が弁済された段階で初めて第2抵当権の弁済に入ります。
不動産担保ローンやリースバックはすでに抵当権がついていて、契約時に「第2抵当権」が付与される不動産でもお金を借りられるケースがあります。しかし、リバースモーゲージは、すでに当該不動産に抵当権が付与されていると利用できません。
家族名義の家でも許可があれば担保にできる場合がある
自分名義の家でなくても、担保にできるサービスもあります。例えば、セゾンファンデックス「事業者向け不動産担保ローン」は、3親等以内の名義であれば抵当権の設定が可能です。
ただし、他人名義の家を担保にお金を借りるときは、必ず名義人の許可を得てから行ってください。たとえ親族であっても、勝手に家を担保にすることはトラブルの原因となりかねません。
勝手に担保にしてしまうと、返済が滞ったときに競売にかけられ、持ち主が家を失う可能性があります。競売にかけられた家の売却代金だけでなく、損害賠償や慰謝料まで請求される事態も考えられます。
家を担保にお金を借りる条件

家を担保にお金を借りるには、審査基準を満たし、かつ必要書類を提出しなければいけません。ここからは、審査基準と必要書類について解説します。
審査基準
家を担保にお金を借りる際は、次のような審査基準があります。
- 物件の評価額
- 本人の返済能力や信用情報
- 年齢
- 健康状態
良好な健康状態であることは、特にリバースモーゲージを申し込む際に必須です。例えば、本人が認知症になってしまうと、リバースモーゲージは利用できなくなります。
必要書類
家を担保にお金を借りる際は、以下の書類が必要です。会社や市区町村役場に依頼すべき書類もあるため、なるべく事前に揃えておきましょう。
種類 | 具体例 |
---|---|
本人確認書類 | ・運転免許証 ・パスポート ・マイナンバーカード |
収入証明書類 | ・源泉徴収票 ・給与明細 ・年金証書 ・所得証明書 ・確定申告書 |
不動産確認書類 | ・登記事項証明書 ・権利書(登記識別情報通知) ・固定資産税通知書 |
権利書がない場合、司法書士に依頼すると権利書の代わりとなる「本人確認情報」を作成してもらえます。法務局の「事前通知制度」も利用可能です。
家を担保にお金を借りる3つの注意点

家を担保にお金を借りるときは、無計画ではいけません。必要以上にお金を借りると返済できなくなるだけでなく、家を失う可能性があります。注意点は、次の3点です。
- 借入限度額の目安を確認する
- 将来の返済計画を立てる
- 信頼できる金融機関やローン会社を選ぶ
以下の点を考慮したうえで、計画的に融資を受けましょう。
借入限度額の目安を確認する
家を担保にお金を借りるときは、借入限度額の目安を確認してください。使いたいサービスにより、借入限度額の上限が変わるからです。不動産担保ローンの場合、評価額と借入限度額はさほど変わりません。しかし、リバースモーゲージでは、評価額の50%程度となる場合があります。
借入限度額のパーセンテージが低い場合、利用したいサービスではそもそも希望額が借りられないこともあるかもしれません。家を担保にお金を借りるときは、借入限度額の目安を確認し、希望する借入額が通るかどうか、事前に確認しましょう。
将来の返済計画を立てる
将来の返済計画を立てることも大切です。早く負債を減らしたい一心で負担の大きい返済計画を立てたとしても、病気やけがをしてしまい、将来返済できなくなる可能性があります。家を売却するリースバックであっても、家に住み続けるために家賃の支払いが必須です。
家を担保にお金を借りた場合、支払いも長期にわたります。先々の収入と支出を考え、数十年にわたって無理なく返済できるよう、長期的な目線で支払計画を立てましょう。
信頼できる金融機関やローン会社を選ぶ
家を担保にお金を借りる際は、信頼できる金融機関やローン会社選びも欠かせません。選ぶ際のポイントを、以下にピックアップしてみました。
- インターネットで口コミを調べる
- 金利や手数料を見る
- 問い合わせ時の対応やスタッフの説明が丁寧かどうかを確認する
金利や手数料は、高すぎるのも安すぎるのもよくありません。口コミやホームページを見て、設定が妥当かどうかを判断しましょう。
家を担保にお金を借りたい個人事業主はセゾンファンデックス「事業者向け不動産担保ローン」をご検討ください

家を担保にお金を借りるサービスはいくつかありますが、個人事業主の方であればセゾンファンデックス「事業者向け不動産担保ローン」をご検討ください。セゾンファンデックス「事業者向け不動産担保ローン」は個人事業主向けの不動産担保ローンになります。
「事業者向け不動産担保ローン」は事業用融資なので、総量規制の対象外です。金融機関から借入れがあったり過去に断られたりした場合でも、事業計画書により個別に融資の可否を判断します。最短3営業日で融資の結果が出るので、急いで資金を準備したいときに便利です。
個人事業主は法人に比べると、どうしても審査で不利になる傾向があります。審査に対して不安がある方も、お気軽にお問い合わせください。


まとめ:家を担保にお金を借りるときは資金繰りがしやすいサービスを選ぼう

家を担保にお金を借りる方法は、主に以下の3種類です。
- 不動産担保ローン
- リバースモーゲージ
- リースバック
商品によっては借入するために条件があるため、メリットやデメリットを比較しつつ選ぶと良いでしょう。
家を担保にお金を借りる際は、将来の資金繰りがしやすい商品を選ぶことが大切です。金利や借入期間を見たうえでご自身の状況を考慮し、無理なく返済できるように設定すると良いでしょう。
特に個人事業主でお金に困っている方には、申し込みの間口が広いセゾンファンデックス「事業者向け不動産担保ローン」をご検討ください。


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