銀行融資のリスケとは?
リスケとは「リスケジュール」のことをいい、債務返済を繰り延べるという意味です。本来的な意味は、債務者が取引後の経済情勢の変化などによって債務履行が困難となったとき、元本および利息の支払期日の繰り延べや返済条件の変更を行うというものです。
これを銀行融資のリスケに置き換えると、「融資を受けた企業・個人が資金繰りの悪化によって融資返済が困難となったとき、一定期間、返済を猶予してもらう、または返済条件を変更してもらうこと」となります。
銀行で融資のリスケはどれくらい行われている?
金融庁の「貸付条件の変更等の状況について 」によると、令和2年3月10日から令和3年12月末までの間に、中小企業者が銀行に対して行ったリスケの申込件数は721,217件です。
このうち、実行が67万7,211件、謝絶が6,893件、審査中が2万3,296件、取下げが1万3,817件です。リスケ実行率は99.0%であり、ほぼ実行されていることが分かります。
銀行融資のリスケ実行率が高いのは、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律 」によって、中小企業者からリスケの申し込みがあった場合は、できる限り柔軟に対応するよう金融機関に努力義務が課されているためです。その目的は、「金融の円滑化を通じた中小企業者の事業活動の円滑な遂行と雇用の安定」にあります。
銀行融資のリスケのメリット・デメリット
リスケは、申し込みをすればほぼ実行されることが分かりましたが、それだけで安心してはいけません。リスケをするということはどういうことかを理解しなければなりません。リスケのメリット・デメリットを理解したうえで、今後の方針を考えていきましょう。
メリット
リスケのメリットとして、以下のことが挙げられます。
- 時間的猶予が与えられる
- 法的措置を回避できる
リスケは、一定期間、返済を猶予してもらったり返済条件(返済額)を変更してもらったりすることです。これによって直接、資金繰りに余裕ができるわけではありませんが、事業を立て直す時間は与えられます。
一時的に資金繰りが苦しくなっているだけというような場合には、時間的猶予が与えられるのは大きなメリットとなります。
また、リスケは救済措置のひとつであるため、この間に法的措置をとるようなことはありません。このことは、精神的安定をもたらし、経営者は事業の立て直しに集中することができます。
精神的安定を得られるのも、大きなメリットといえます。
デメリット
リスケのデメリットとして、以下のことが挙げられます。
- 返済が免除されるわけではない
- 新たな融資を受けられない
リスケのデメリットは、先述のメリットと表裏一体の関係にあります。リスケのメリットとして、時間的猶予を与えられることを挙げましたが、裏を返せば時間的猶予しか与えられません。金銭的援助はないということです。
企業は、一定期間中に、銀行からの追加融資のない状況で、自力で事業を立て直し、再び契約どおり返済できるようにしなければなりません。これができないと、最終的には法的措置をとられ財産や信用を失うことになります。
銀行のリスケ中に資金調達するには?
銀行は、リスケ中に追加で融資をしてくれません。では、新たな資金調達を諦めないといけないのかといえば、そうとは限りません。銀行以外の資金調達先を探すのも、ひとつの選択肢になるのではないでしょうか。
銀行のリスケ中でも資金調達ができるものとして、「セゾンファンデックスの不動産担保ローン」「セゾンのリースバック」をご紹介します。融資事例もご紹介しますので、参考にしてみてください。
セゾンファンデックスの不動産担保ローン
まずは事例をご紹介します。状況を説明すると、以下のとおりです。
- 運転資金を借り入れている
- 1年半ほどの間、利息のみ支払い、返済を猶予してもらっている(=リスケ中)
- 半年後には通常どおりの返済に戻して欲しいとの要請
- 業績は持ち直しているものの、返済負担は重い
- 事業のさらなる持ち直しには、人件費を含む当座の運転資金が必要であり、追加融資を受けたいが、リスケ中では難しい
この事例は、セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローンで資金調達をした結果、以下の成果をあげています。
- 当面の人件費が確保できた
- 売上もアップした
- キャッシュフローが改善した
- 事業が軌道に乗り始めている
不動産担保ローンのポイントは、以下のとおりです。
- 所有している不動産を担保とすることで資金調達する
- 無担保ローンと比べて金利が低い
- 融資金額が大きい
- 返済期間が長い
- さまざまな資金ニーズに対応している
事例では、リスケ中のために追加融資を受けることが困難でした。しかし、不動産担保ローンを利用することで融資を受けることに成功しています。
その理由は、不動産担保ローンが不動産を担保とすることにあります。不動産を担保とすることで、審査の対象に不動産の担保価値が加わり、与信力が上乗せされたのです。
また、先述の成果をあげられた背景には、以下のような恩恵を受けられたということもあります。
- 借入れを長期借入れ(契約期間は25年)に組替え、月々の返済額を抑制
- 運転資金を追加で調達できた
以上、リスケ中の資金調達手段として「セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローン」をご紹介しました。
セゾンのリースバック
こちらもまずは事例をご紹介します。状況を説明すると、以下のとおりです。
- 業績が悪化し、銀行でのリスケを繰り返してきた(=リスケ中)
- 事業継続が難しい状況
- 銀行からは自社ビルの売却を勧められた
- 本社ビルのため売却することに抵抗がある
この事例は、セゾンの事業用リースバックで資金調達をした結果、以下の成果をあげています。
- 負債を解消できた
- 運転資金に回すこともできた
- 業績も徐々に回復している
リースバックのポイントは、以下のとおりです。
- 所有している不動産を売却することで資金調達する
- 売却した不動産のリース契約を結ぶ(借りて、賃借料を支払う)
- 退去しなくて良い
- 資金の使用用途は自由
- 将来的に再度購入する(買い戻す)ことも可能
事例では、事業継続が難しいため、銀行から自社ビルの売却をすすめられています。リスケ中のため追加融資を受けられないということです。自社ビルを売却すれば、当然、そこを立ち退く必要があります。そのことが懸念材料であることが分かります。
リースバックを利用した資金調達の場合、不動産を売却しますが、そこから立ち退く必要はありません。事例でも、自社ビルを売却していますが、転居はしていません。
売却先はセゾンファンデックスであり、リース契約を結ぶことで自社ビルをそのまま使い続けることが可能となります。もちろんリース料金を支払う必要はあります。
リースバックの場合、不動産を売却して現金化するため、当然のことながらその現金は売り主のものです。したがって、現金の使い道に制限はありません。この自由度の高さは、リースバックの魅力のひとつといえます。
また、売却した不動産を、将来的に再度購入することも可能です。一度現金化して事業を立て直し、資金に余裕ができてから再度購入すれば、結果的には不動産を手放していないことになります。
対外的にも不動産を一度売却したとは思われないでしょう。事例の企業も、3年後に自社ビルを再度購入したいとお考えのようです。
以上、リスケ中の資金調達手段として「セゾンの事業用リースバック」をご紹介しました。
おわりに
リスケは、一定期間、返済を猶予してもらったり返済条件(返済額)を変更してもらったりすることです。この期間に、事業を立て直すことが最優先事項となります。しかし、リスケ中、銀行からは追加融資を受けることはできず、時間的猶予が与えられるだけです。
この期間内に融資を受けようと思ったら、銀行以外からの資金調達を考えるしかありません。本コラムでは、「事業者向け不動産担保ローン」と「セゾンの事業用リースバック」を、事例を踏まえて紹介しました。
どちらもリスケ中に資金調達をし、事業を軌道に戻すことができました。成功の要因は、事業計画がきちんと立てられていたこともあるでしょうが、それを実行する資金を得られたことが大きいといえます。
資金調達の手段の1つとして、「セゾンファンデックスの不動産担保ローン」と「セゾンのリースバック」を検討してみてはいかがでしょうか。