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生涯年収の平均を徹底解説!サラリーマンや公務員の実態を大公開

生涯年収の平均とは?サラリーマン、公務員、学歴別、業種別に紹介
セゾンのくらし大研究 編集部

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毎月の給与額については即答できても、生涯年収を聞かれるとすぐには答えられない方も多いのではないでしょうか。しかし、住宅や教育、老後の貯蓄などのライフプランを考える際には、収入の全体像を把握することが欠かせません。

そこでこの記事では、生涯年収について以下の内容を解説します。

  • 生涯年収の基礎知識と計算方法
  • サラリーマンの生涯年収
  • 公務員の生涯年収
  • 生涯年収の推移
  • 生涯支出
  • 生涯年収を最大化する戦略
  • 資産運用のやり方

生涯年収が理解できれば、豊かな未来が広がります。ぜひ参考にしてみてください。

生涯年収の基礎知識と計算方法

生涯年収とは

まずは生涯年収について、基本的な知識を押さえておきましょう。ここでは、以下について解説します。

  1. 生涯年収とは
  2. 生涯年収と手取りの違い
  3. 生涯年収の計算方法
  4. 平均値と中央値の違い

それでは順に見ていきましょう。

生涯年収とは

生涯年収とは、個人が一生涯を通じて得る収入の総額を指します。基本給やボーナス、残業代などが含まれ、多くの場合、退職金もあわせて計算します。

生涯年収は働く期間や職業、居住地域、定年後の再就職の有無などによって個人差が大きいのが特徴です。豊かな人生を送るためにも、自分の生涯年収を把握し、長期的な視点で資産形成に取り組みましょう。

生涯年収は手取り額ではなく総支給額

生涯年収は通常、総支給額で計算しますが、実際の手取り額はこれより少なくなります。これは、税金や社会保険料などが差し引かれるためです。一般的に手取り額は総支給額の75~85%程度です。

具体例を挙げると、生涯年収が2億円の場合、手取りは約1億5,000万円~1億7,000万円程度になります。つまり、総支給額と手取り額の差は3,000万円~5,000万円にもなるのです。

生涯の手取り金額を知りたい場合は、生涯年収の目安額から15~25%を差し引くことで、おおよその金額を算出できます。老後の資産形成のために生涯年収を調べる場合は、より現実的な計画を立てられるよう、手取り額で計算されることをおすすめします。

生涯年収の計算方法

生涯年収を計算する方法の1つとして、年代別の平均年収から算出するやり方があります。ここでは、転職・求人dodaが集計した「平均年収ランキング(98業種の平均年収/生涯賃金)」のデータを用いて算出してみました。

2022年9月から2023年8月までの1年間における年代別平均年収は以下のとおりです。

  • 20代:352万円
  • 30代:447万円
  • 40代:511万円
  • 50代:607万円

大学卒業から60歳まで働くと仮定した場合、平均年収に年数をかけると次のようになります。

  • 20代(7年間): 352万円✕7年=2,464万円
  • 30代(10年間): 447万円✕10年=4,470万円
  • 40代(10年間): 511万円✕10年=5,110万円
  • 50代(10年間): 607万円✕10年=6,070万円
  • 60歳(1年間): 607万円

各年代の収入を合計すると、生涯年収は約1億8,721万円になります。自分の推定年収で計算すれば、生涯年収の概算金額を比較的簡単に把握できるでしょう。

平均値と中央値の違い

生涯年収は通常平均値で表されますが、この方法には課題があります。一部の高所得者が数値を押し上げる傾向があるため、必ずしも一般的な収入水準を反映していない可能性があるのです。

この問題に対処するため、生涯年収を中央値で表すこともあります。平均値は極端な数値に影響されやすく、ボリューム層から外れた結果になりがちです。一方、中央値はデータを数値順に並べた際の中央の値を指すため、極端な数値の影響を受けにくいメリットがあります。

生涯年収の実態をより正確に把握するには、平均値と中央値の両方を参照することをおすすめします。

サラリーマンの平均的な生涯年収

サラリーマンの生涯年収

会社員の生涯年収はどれくらいなのか、気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは、生涯年収について以下の分野別に解説します。

  1. 雇用形態別
  2. 学歴別
  3. 企業規模別
  4. 業種別
  5. 職種別
  6. 地域別

ぜひ参考にしてみてください。

雇用形態別の生涯年収

サラリーマンと一言で言っても、実際の雇用形態はさまざまです。ここでは、正社員と非正社員という大きな区分で生涯年収を比較してみましょう。

大学卒男性大学卒女性
正社員2億7,330万円2億2,780万円
非正社員1億4,010万円1億1,920万円

※同一企業に定年まで勤めた場合の生涯賃金。退職金は含まない。

出典:労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2023ー労働統計加工指標集ー」

上の表を見ると、大学卒男性の場合、正社員と非正社員の間に1億円以上もの差があることがわかります。この差が生じる理由として、以下2つの要因が考えられます。

  • 正社員は昇給しやすい傾向にあるのに対し、非正社員は基本給が上がりにくい
  • 非正社員の大半はボーナスが支給されない

退職金を含めて計算すれば、この差はさらに広がるでしょう。結果として、勤続年数が長くなるほど正社員と非正社員の収入格差は広がる傾向にあります。

学歴別の生涯年収

次に学歴別の生涯年収を比較してみましょう。

男性女性
大学院卒4億840万円3億3,660万円
大卒3億2,020万円2億5,370万円
高専・短大卒2億9,500万円2億1,840万円
高卒2億6,020万円1億8,910万円

※学校卒業後にフルタイム正社員で働き、60歳で退職金を受けとって、その後は平均引退年齢まで非正社員を続けた場合の生涯賃金

出典:労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2023ー労働統計加工指標集ー」

これを見ると、学歴が上がるにつれて生涯年収も増加する傾向が見られます。高卒と大学院卒を比較するとおおよそ1.5倍もの差があり、日本社会における学歴の影響力が依然として大きいことがわかります。

多くの企業で、学歴が採用や昇進の重要な判断材料として使われている現状を反映しているといえるでしょう。

企業規模別の生涯年収

企業規模別ではどのように違うのか比較してみましょう。

【男性】

10〜99人100〜999人1,000人以上
大卒2億1,530万円2億4,830万円3億440万円
高専・短大卒2億490万円2億3,270万円2億8,790万円
高卒2億350万円2億2,970万円2億6,540万円

【女性】

100人未満100〜1000人未満1000人以上
大卒1億9,580万円2億1,210万円2億4,830万円
高専・短大卒1億7,980万円1億9,280万円2億1,390万円
高卒1億5,160万円1億7,220万円1億9,750万円

※同一企業に定年まで勤めた場合の生涯賃金。退職金は含まない。

出典:労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2023ー労働統計加工指標集ー」

この表から、企業規模が大きくなるほど生涯年収も増加していることがわかります。100人未満の小規模企業と1,000人以上の大企業を比較すると、おおよそ1.3倍の開きがあります。

業種別の生涯年収

サラリーマンの生涯年収は業種によっても大きく異なります。上位の5業種を見てみましょう。

業種平均年収
総合商社2億8,840万円
IT/通信2億6,146万円
金融2億5,784万円
メーカー2億4,932万円
インターネット/広告/メディア2億2,913万円

出典:転職サイトdoda「平均年収ランキング(生涯年収・生涯賃金)【最新版】」

生涯年収が最も多い業種は総合商社、次いでIT/通信、金融と続きます。ちなみに、10位の小売/外食は1億8,850万円となっており、1位の総合商社とは約1億円の開きがあります。

職種別の生涯年収

職種別の生涯年収もチェックしてみましょう。

職種平均生涯年収
専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人)2億9,526万円
企画/管理系2億8,198万円
技術系(IT/通信)2億6,039万円
営業系2億5,190万円
技術系(電気/電子/機械)2億3,894万円

出典:転職サイトdoda「平均年収ランキング(生涯年収・生涯賃金)【最新版】」

高度な知識や経験を要する専門職の生涯年収が最も高く、約3億円に迫る結果となっています。ちなみに、10位と11位の事務職や販売職は1億6千万円台にとどまっているため、専門職との間に1億円以上の開きが生じています。

地域別の生涯年収

サラリーマンの平均的な生涯年収を地域別に見ていきましょう。以下の表は、生涯年収の高い順に並べています。

地域平均生涯年収
関東2億3,669万円
東海2億1,182万円
関西2億0,869万円
北信越1億9,824万円
中国/四国1億9,697万円
北海道/東北1億9,230万円
九州/沖縄1億9,206万円

出典:転職サイトdoda「平均年収ランキング(生涯年収・生涯賃金)【最新版】」

生涯年収は関東地方が最も高く、北海道、九州、四国などの地方の約1.2倍あります。地域間格差が明確に表れていますが、実際は生活コストの違いも考慮する必要があるでしょう。

公務員の平均的な生涯年収

公務員の生涯年収

公務員の収入は学歴とどのような関係があるか、地方公務員の場合を例に比較してみましょう。総務省「令和5年地方公務員給与の実態」によると、平均給料月額は以下のとおりです。

  • 高卒:318,488円
  • 大卒:334,003円

実は公務員の場合、生涯年収は大卒より高卒のほうが多くなるケースもあります。これは、給料の差が比較的小さいうえに、高卒の勤務年数が大卒より4年長いからです。

次に、国家公務員と地方公務員の生涯年収について詳しく見てみましょう。ただし、公務員の生涯年収の金額は年齢や地域、退職金などによって大きく変わるため、あくまで参考値としてご覧ください。

【国家公務員】

公務員についても見てみましょう。公務員の年収は学歴と関係があるのでしょうか。人事院が実施した令和2年度国家公務員給与等実態調査によると、20歳未満の高校卒での平均給与月額は165,198円、同じく大学卒で213,015円。国家公務員は継続年数によって収入の上がる年功序列ですので、学歴によってさらに生涯年収にも差が出ることになります。

生涯年収
総合職約2億4,000万円
一般職約2億円

※人事院「令和6年国家公務員給与等実態調査」のデータをもとに、ボーナス4.5ヵ月分、38年間勤務で計算(退職金は含まない)

省庁で働く国家公務員は一般職と総合職に大別されます。

  • 一般職:1府12省庁や税関、労働局などの機関に勤務する職員
  • 総合職:国の政策の企画・立案をはじめ、統計や調査といった国家の中枢を担う重要な役割を果たす。キャリア官僚とも呼ばれる

総合職と一般職の生涯年収を比較すると、やはり総合職のほうが多くなっています。ただし、内閣官房内閣人事局「国家公務員の給与(令和6年版)」のモデル給与例を見ると、役職によって大きく数値が異なっているため、実際の生涯年収はより大きな開きがあると考えられます。

【地方公務員】

生涯年収
政府指定都市2億5,525万円
都道府県庁2億4,020万円
市役所2億3,734万円
町村役場2億1,640万円

※総務省「令和5年地方公務員給与実態調査結果等の概要」のデータをもとに、ボーナス4.5ヵ月分、38年間勤務で計算(退職金は含まない)

このように、地方公務員の生涯年収は勤務する自治体の規模によって異なります。公務員の生涯年収は民間企業と比較すると、条件による格差は比較的小さいといえるでしょう。

生涯年収の推移

生涯年収の推移

生涯年収の推移はどのようになっているのでしょうか。「ユースフル労働統計-労働統計加工指標集-」の2022年版と2023年版を見ると、同一企業型の生涯年収は1990年代後半から2000年代初頭をピークに減少傾向にあります。

この傾向は、男性、女性、企業規模を問わず共通しており、ピーク時と直近では、おおよそ3,000〜4,000万円もの差が生じています。

2023年以降は給与の上昇傾向が確認できるものの、同時に物価も上昇しているため、実質賃金の向上は難しい状況です。つまり、収入増加が必ずしも生活水準の向上につながっていないのが現状といえるでしょう。

先行きが不透明な現代社会において、老後生活に向けたライフプランを考えることはより重要になっていくでしょう。

生涯年収と生涯支出を比較

一生涯にかかる支出

ライフプランを立てる際は、生涯年収だけでなく生涯支出についても把握しておく必要があります。ここでは、人生における主な支出内容と、収支のバランスについて解説します。

主なライフイベントにかかる費用

人生における主なライフイベントでは、どのくらいの費用が必要なのか確認してみましょう。

これらを合計すると約7,000万円になります。子どもが複数人いる場合、教育費が追加で必要になる点には注意が必要です。例えば子どもが2人いる場合、約7,700万円まで膨らむ可能性があります。

このほかにも、車の購入資金や介護費用、住宅の補修費など追加でコストが発生する可能性が高いため、主なライフイベントの総費用は1億円程度を見込んでおくとよいでしょう。

日常生活にかかる費用

現役時代の生活費は現在の支出から計算できますが、それに加えて老後の生活費用も考えておかなくてはなりません。

総務省統計局の「家計調査年報告(家計収支編)2023年(令和5年)」によると、高齢の夫婦無職世帯の月間生活費は平均250,959円です。実収入から年金などの社会保障給付を差し引いた「可処分所得」は月あたり平均213,042円であるため、、毎月約38,000円の不足金が生じます。30年の老後生活を想定すると、この不足分を補うために約1,368万円が必要になります。

また、金融庁の「令和元年金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」では、夫婦2人世帯で公的年金以外に2,000万円が必要と試算されています。この報告書は発表後に「老後2,000万円問題」として社会的に大きな話題となりました。

今後の物価上昇を考慮すると、老後に必要な資金はさらに増加する可能性があります。

生涯支出が生涯年収を超えるケースに備える

人生における主なライフイベントでは、1億円程度の資金が必要になります。これに日常の生活費などを加えると、生涯支出の総額は、約3億円に達すると言われています。

「まじめに働いていれば食べていける」と考えがちですが、現実はそう単純とは限りません。人によっては生涯支出が生涯年収を超えるケースも少なくありません。とくに、収入が比較的少ない方はこの差額を埋めることが大きな課題となるでしょう。

生涯年収を最大化する5つの戦略

将来に向けてできること

ここでは、安心して老後を迎えられるよう、生涯年収を最大化するための戦略を5つご紹介します。

  1. 自己投資で市場価値を高める
  2. 複数の収入源を確保する
  3. 定年後のセカンドキャリアに向けて準備する
  4. 家計を見直して支出を減らす
  5. 長期的視点で資産運用を行う

それぞれ詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1. 自己投資で市場価値を高める

生涯年収を増やすためには、継続的な自己投資が欠かせません。新しいスキルを習得したり、資格を取得したりすると自分の市場価値を高められます。

無理に自身の求める条件に合ったポジションジャンルをねらうのではなく、自分の特性に合った方面で専門性を高めていくと良いでしょう。自分の市場価値が高まればやがて収入がアップして、生涯年収の増加につながります。

2. 複数の収入源を確保する

副業で安定した追加収入を得ることも、生涯年収を増やすために有効な手段です。例えば、動画編集の仕事を請け負ったり、オンラインショップの運営を手がけたりすることで、本業以外の収入源を確保できます。

難しく感じるようであれば、まずはクラウドソーシングサイトなどで小さな仕事を受注してみるのも良いかもしれません。多様な収入源を持つことで、予期せぬ状況にも柔軟に対応できるようになるでしょう。

3. 定年後のセカンドキャリアに向けて準備する

人生100年時代といわれる昨今、定年後も働き続ける方が増えています。セカンドキャリアへの移行をスムーズにするためには、早めの準備が重要です。

趣味を活かした仕事や、これまでの経験を生かしたコンサルタント業務など、自分に合った仕事を今から探し始めましょう。

「自分にはこれといった特技がない」という方は、60歳の定年後、再雇用で働き続けるのも賢明な選択肢です。再雇用期間中は多くの方が、元の給与の60~70%程度の収入を得ています。例えば、定年前の年収が700万円だった場合、再雇用で65歳まで働くと、年間420~490万円程度の収入を確保できます。定年後も収入を得続けることで、生涯年収は大幅にアップするでしょう。

4. 家計を見直して支出を減らす

生涯年収を増やすには、支出を抑えることも忘れてはなりません。まずは家計簿をつけて、無駄な出費がないか確認してみましょう。比較的楽に節約できるポイントは、以下のとおりです。

  • 固定費を削減する
  • 保険を見直す
  • 使用頻度の少ないサブスクリプションサービスを解約する

これらを見直すと、毎月の支出が楽に抑えられます。

節約したお金は資産運用に回して、生涯年収を増やしましょう。例えば、月々の支出を3万円削減し、浮いた資金を年利5%で運用した場合、30年間で約2,497万円の資産形成が可能です。ただし、投資は元本割れのリスクを伴うので、あくまで余裕資金で運用しましょう。

5. 長期視点で資産運用を行う

収入を増やして支出を減らしたら、次は資産運用で「増やす」ことを考えましょう。投資資金を貯めるには先取り貯蓄がおすすめです。給与が振り込まれたらすぐに投資用の口座に資金を移したり、自動引き落としを利用したりして貯めていきます。

初心者の方に適した資産運用方法として、投資信託の積立投資が挙げられます。少額からで良いので、毎月定額を積み立てる習慣をつけましょう。長期的な視点を持ち、コツコツと資産を育てていくことが生涯年収の最大化につながります。

最近はアプリやウェブサイトを通じて、手軽に取引できるサービスが増えています。これにより、初心者でも気軽に資産運用を始められるようになりました。ただし、投資は元本割れのリスクを伴うため、十分な知識を身につけてから始めましょう。

生涯年収を増やすための資産運用5ステップ

生涯年収の平均

生涯年収を増やすには、効果的な資産運用が欠かせません。ここでは、資産運用を始めるための5ステップをご紹介します。

  1. 現在の収支状況を把握する
  2. 資産形成の目標を設定する
  3. 投資金額を決める
  4. 金融商品を決める
  5. 定期的に見直す

これらを実践することで、将来安定した生活が期待できます。

1. 現在の収支状況を把握する

資産運用を始める前に、まずは自分の経済状況を正確に把握しましょう。月々の収入と支出を分析することで、貯蓄に回せる金額が明確になります。

具体的には、給与明細や通帳、クレジットカードの利用履歴などを3ヵ月分チェックしてみてください。家計簿アプリを利用するのもひとつの方法です。

次に、毎月の固定費と変動費を区別して無駄な支出を洗い出します。そのうえで、毎月どのくらいの金額を貯蓄に回せるか検討してみましょう。

2. 資産形成の目標を設定する

次に、資産形成の具体的な目標を設定します。例えば「マイホーム購入」や「子どもの教育費」「車の購入」などのために「〇年後に△△万円貯める」といった具体的な目標を立てます。

日本FP協会が提供しているライフプランニングのテンプレートをダウンロードして活用してみるのもおすすめです。

3. 投資金額を決める

目標を設定したら、次は毎月の投資金額を決定します。この金額は、収入から生活費や固定費を差し引いた余剰資金から設定します。ただし、予期せぬ出費に備えて、最低3~6ヵ月分の生活費は手元に残しておいてください。

元本割れリスクを回避するには、長期運用がおすすめです。そのため、近い将来に使う予定のある資金は銀行預金などで管理しておきます。投資を始める際は無理のない金額から始め、慣れてきたら徐々に増やしていくとよいでしょう。

4. 金融商品を決める

金融商品を決める前に、iDeCoやNISAについて理解しておきましょう。

  • iDeCo(個人型確定拠出年金):自分で積み立てる年金制度。原則60歳まで引き出せない
  • NISA(少額投資非課税制度):株式や投資信託などの金融商品から得られる配当や売却益が非課税となる制度

どちらも節税対策になるので、投資をする際はぜひ利用を検討しましょう。なお、iDeCoやNISAは制度名であり、金融商品ではありません。まず金融機関で口座開設をし、その後、指定された金融商品の中から自分の投資方針に合う商品を選択します。

初心者におすすめの金融商品は、幅広い資産に分散投資ができる投資信託です。とくにインデックスファンドは運用コストが低く、長期的な資産形成に適しています。金融商品は、自分のリスク許容度や投資目的に合わせて選びましょう。

5. 定期的に見直す

投資信託で積み立てを始めたら、基本的には放置して大丈夫です。毎月定額を積み立てることによりリスク分散ができているので、値動きに一喜一憂することなく、長期的な視点で運用を続けることが大切です。

ただし、年に1回程度、以下についてチェックしましょう。

  • 目標の進捗状況
  • 投資先の運用成績
  • ご自身の経済状況の変化

必要に応じて、投資金額や投資先の見直しを行ってください。これにより、常に最適な資産運用を継続できるでしょう。

生涯年収に関するよくある質問

生涯年収について、多くの方が気になる疑問をQ&A形式で解説します。

退職金は生涯年収にどう影響する?

退職金は生涯年収を大きく押し上げる要因となります。厚生労働省による「令和5年就労条件総合調査」によると、平均的な退職給付制度の合計金額(勤続35年以上の場合)は以下のとおりです。

  • 大学・大学院卒(管理・事務・技術職):2,037万円
  • 高卒(管理・事務・技術職):1,909万円
  • 高卒(現業職):1,471万円

ただし、これらはあくまで平均値です。実際の退職金は、勤続年数や役職、企業の業績などによって大きく変動します。自社の退職金制度を確認して、将来の生活設計に役立てましょう。

年金は生涯年収にどう関係する?

老後の収入源である年金も、生涯年収の重要な一部です。受給額は日本年金機構から年1回、誕生日前に送られてくる「ねんきん定期便」を参照しましょう。この通知にはこれまでの加入期間や保険料納付状況、将来の年金見込み額などが記載されています。

年金の受給額は、加入期間や保険料の納付状況によって変わります。例えば、夫が平均的な賃金で40年間就業し、妻が専業主婦である場合の夫婦2人の老齢年金支給額は、月額23万円程度です。

毎年「ねんきん定期便」を確認し、必要に応じて追加の資産形成を検討しましょう。

おわりに

生涯年収や一生涯にかかる支出を考えることは、ライフプランを設計する上でとても大切です。収入や支出は人によってさまざまですが「老後を安心して暮らしたい」「老後の生活を有意義にしたい」という願いは、多くの方に共通するものではないでしょうか。

「生涯年収を最大化する5つの戦略」

  1. 自己投資で市場価値を高める
  2. 複数の収入源を確保する
  3. 定年後のセカンドキャリアに向けて準備する
  4. 家計を見直して支出を減らす
  5. 長期視点で資産運用を行う

目標を実現するためには、早い段階から計画的に家計を管理することが大切です。5つの戦略を実践し、生涯年収を増やして自分らしい豊かな人生を築いていきましょう。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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