もしも介護が必要になったときは、老人ホームに入るのか、それともデイサービスなどを利用しながら在宅で暮らすのか。今回はご自身やご両親の介護について考える必要がある方に、介護にかかる費用についてご紹介します。
1.要介護認定って何?介護保険を利用するための初めのステップ
介護保険サービスを利用するには、まずは「要介護認定」を受けなければなりません。要介護認定は「どのような介護が、どの程度必要か」を判定するもので、次の5つの項目について判定が行われます。
(1)身体機能・起居動作
(2)生活機能
(3)認知機能
(4)精神・行動障害
(5)社会生活への適応
これらを判定し、「要支援1〜2」「要介護1〜5」「非該当」のいずれかの結果を出します。介護サービスが利用できるのは「要支援」「要介護」のいずれかに分類された方です。利用できる介護サービスには、「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3種類があります。
2.在宅介護・老人ホームの利用、それぞれかかる費用はどのくらい?
2-1.在宅介護の場合
在宅介護を選び、デイサービスなどを利用しながら介護をしていくという方法を選んだケースを考えてみましょう。介護保険サービスの利用者負担は、介護サービスにかかった費用の1割〜3割です。居宅サービスは利用できるサービスの量(支給限度額)が要支援・要介護度別に決められており、限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となります。
2-2.老人ホームを利用した場合
老人ホームには、個室や相部屋などの種類があります。どのような部屋を選ぶかによって自己負担額が異なります。厚生労働省「介護保険の解説—サービスにかかる利用料」のページには、次のような例が掲載されています。
<施設サービス自己負担の1ヶ月あたりの目安>
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の1ヶ月の自己負担の目安
○要介護5の人が多床室を利用した場合:約102,200円
○要介護5の人がユニット型個室を利用した場合:約139,500円
このように、施設サービスを利用する場合の自己負担はひと月約10万円以上が目安です。受けられるサービスの内容や、要介護者の希望も吟味して選びたいところです。
3.在宅介護には経済面以外の覚悟も必要に
デイサービスなどを利用しながら在宅介護をする場合、介護サービスの利用料以外にも、食費や住居費、日用品費などの費用がかかります。そして、実際に介護を行うご家族の体力や気力などの負担が大きくなることも忘れてはいけません。介護を受けている方の体調が深夜や休日などに急に悪化したときなどは、ご家族だけで対応する必要が迫られるかもしれません。
在宅介護を選ぶときは、費用の面だけでなく、介護を受ける方の健康状態や、体調を崩したときにすぐ相談ができる医療機関が近くにあるか、介護を分担できる方が何人いるか、などを総合的に考えて選ぶことが重要です。介護サービスを検討するときは、在宅・施設の費用を考えるだけでなく、介護にかかわる家族のことも考える必要があります。いざとなったときにお金の心配が負担になってしまわないよう、事前に準備しておくことも大切ですね。
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