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今からでも大丈夫??人生100年時代における老後に向けた資産運用について

セゾンのくらし大研究 編集部

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豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

近年よく話題になっている老後資金2,000万円不足問題ですが、その不足分の2,000万円を補うためには、現状の家計を見直して節約するか、副業などで収入を増やすか、または年収が上がる先へ転職するなどのさまざまな方法が考えられます。そのなかで現実的に達成可能な方法の1つとして資産運用が挙げられます。

特に2020年から始まったコロナショックの影響で給与が減っている企業も多く、終息が見込めない未曾有の状況のなか、不安を抱えている方も多くいるのではないでしょうか。ご自身で働いて稼ぐには、身体は1つしかないのである程度の地点で限界が見えてきます。一方でお金に働いてもらうことで資産を増やすチャンスがあるとすれば、資産運用をしない手はありません。このコラムではコロナ禍でも実践できる資産運用についてご紹介します。

1.どうすればお金に不自由しない人生を送れるか

墓場までお金を持っていくことはできませんが、死ぬまでお金に不自由しない生活を送りたいというのは、みなさん同じ気持ちでしょう。

みなさんが老後のことを考えたときにまずすることは、「節約」してお金を貯めるといった行動ではないでしょうか。もちろん節約は大事ですが、ご自身で働く以上にお金が増えることはないので、かなり収入の高い方でない限りは、ゆとりある人生を送ることは難しいかもしれません。

またなかには「投資」というと、「ギャンブルの一種のようなもの」、「時と運によって成功できるもの」、「一部の人が楽をして稼ぐもの」として、あまり良いイメージを持っていない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

それでも「投資」で得た10万円も、「労働」で得た10万円も金銭的な価値は同じです。

また労働における対価は、その労働に費やした時間に対する対価であり、ご自身の時間を切り売りしているのと同じことと考えられます。一方で、「投資=お金に働いてもらう」は、自分の時間を消費することなく、収入を得ることでもあるため、非常に賢くスマートな方法といえます。 お金を稼ぐことに焦点を当てた場合、ご自身の労働だけでなくお金にも働いてもらう「投資」を組み合わせることで、より効率的に老後資金の準備ができるのではないでしょうか。

1-1.株式投資について

ここからは、「投資」である資産運用の方法についてご紹介していきます。

まず投資を代表する資産運用の方法として、株式投資があります。株式投資は長期投資の側面もありますが、一方で株を安く買って、高く売るといった短期の値動きから利益を確保する取引もあります。

株を保有して1日で利益を出すデイトレードや数日から数週間で利益を確保するスイングトレードなどがあります。このような投資手法は基本的にお金に働いてもらっているわけですが、一方で、常に注意深く株価を監視していなければならず、それなりの経験と知識を持つ専業トレーダーのような方でないと、利益を出すことは難しいといえるでしょう。

1-2.投資は、「長期」・「分散」・「積み立て」で行う

そこで重要になってくるのが、人生100年時代を見据えた「長期」・「分散」そして「積み立て」投資です。長期・分散・積み立ては投資における、普遍的かつ本質的な原理といえます。投資で避けたいのは、当然、損を出してしまうことですが、この長期・分散・積み立て投資をセットにすることで損失リスクを極力回避することができるといわれています。

①長期投資について

まず、長期投資についてです。デイトレードなどの短期トレードでは手元資金が2倍、3倍に、時には10倍以上に、といったことも多く起こりますが、逆に短期間で手元資金がゼロ、もしくはマイナスになることも多くあります。

長期投資は短期間で売買を繰り返すのではなく、長期にわたって金融商品をそのまま持ち続ける投資のことです。株を長く保有することによって、投資の平均収益率が安定する傾向になります。2倍、3倍といったことは通常難しいですが、仮に年3%の利回りで複利運用 (運用で得られた利益の再投資)すれば老後に必要な資金を作ることも十分に可能です。たとえば500万円を年3%で20年間複利運用した場合は、約900万円になります。長期投資は、時間を見方にして行う投資手法とも言い換えることができます。

②分散投資について

次に分散投資についてです。分散投資は大きなリターンを得ることではなく、大きく負けないことが目的となります。資産を守るために行う手法です。そのため資産・銘柄の分散、地域の分散、投資時間の分散などがあります。

資産・銘柄の分散とは、すべての資金をひとつの金融資産に集中させると、運用がうまくいかなかった場合にはマイナスの影響が資産全体に及ぶため、値動きの異なる複数の金融商品に分けることを指します。

地域の分散とは、異なる状況にある地域の資産・通貨を組み合わせて投資を行うことになります。こちらも資産・銘柄の分散と同じように、例えば、ひとつの通貨に集中していた場合、その通貨にマイナスの影響が出た場合は、資産全体に及びますが、逆相関の通貨を織り交ぜることにより、マイナスの影響を抑制することが可能です。 投資時間の分散とは一度に投資を行うのではなく、資金を投入するタイミングをずらすことです。いわゆる「ドルコスト平均法」です。ドルコスト平均法とは、中長期投資を前提とした手法です。一定期間ごとに一定金額で同じ銘柄・商品を購入する投資手法です。つまり、保有する銘柄・商品の価格が変動しても、常に同じ金額で購入することで、購入単価が平準化され、高値掴みのリスクを軽減させる効果があるといわれています。

③積み立て投資とは

積み立て投資とは、毎日、毎週、毎月など、あらかじめ設定したタイミングで一定の金額を購入する投資手法です。先ほど説明した「時間の分散」に近い考え方ともいえます。

ではここで、長期間積み立て投資をした場合、実際どのような結果になるか確認してみましょう。複利計算は、計算機で計算することもできますが、最近はスマートフォンのアプリで、複利計算できますのでぜひご活用ください。複利計算しながら、どのくらいの利率で運用すればどのくらいの金額になるのかを見るのも資金計画を考えるうえで大変参考になります。

・月3万円20年間の積み立て投資をした場合、利回りが年率3%の場合

 元金:720万円、運用後の金額:約1,300万円

時間を味方につけることで、元金720万円が約1.8倍の1,300万円まで増やすことができます。

続いて、同じ条件で投資期間を30年の場合、

・月3万円30年間の積み立て投資をした場合、利回りが年率3%の場合

 元金:1,080万円、運用後の金額:約2,620万円

このように、20年から30年に投資期間を伸ばすことで、半分の時間の10年で倍の2,600万円まで増やすことができます。

先ほど説明したとおり、老後の資産形成を考えた場合、積み立て投資は早くスタートすればするほど時間を味方にすることができます。少額投資で低リスク商品への投資を早く始めることで、リスクを抑えつつ長期投資の効果を得ることができます。

2.時間を味方につけて、地道に積み立て

この「長期」・「分散」・「積み立て」投資は、実は国も推奨しています。老後資金2000万円不足間題に注目が集まりましたが、発端となった金融審議会の報告書でも長期・分散・積み立て投資の重要性が強調されており、国民に広く推奨されています。

その他に国が主導となって整えている資産運用に活用できる制度として、「NISA」(ニーサ・日本版個人貯蓄口座)と「iDeCo」 (イデコ・個人型確定拠出年金)があります。金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して20.315%の税金がかかりますが、NISAもiDeCoもともに、運用益が非課税となるメリットがあります。この2つの制度もうまく取り入れることが老後の資産形成に役立ちます。 通常、投資信託の運用益に、約20.315%の税金がかかるということは、株取引で300万円の運用益が出た場合、約60万円の税金がかかるということになります。しかしNISAとiDeCoであれば、この60万円は手元に残ります。税制優遇を使わない手はありません。この60万円を再投資することで複利効果を得ることができるのです。

2-1.NISAについて

NISAとは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定額の範囲内で購入したものの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。NISAとは、「Nippon Individual Savings Account(日本版個人貯蓄口座)」の略称で、イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)がモデルになっています。

NISAには、一般NISAとは、別に「つみたてNISA」というものもあります。つみたてNISAは、積み立てにより長期にわたって運用することを前提とした制度設計になっています。

最大20年間の長期の非課税期間にわたって積み立て投資ができます。年間投資上限は原則40万円で、非課税期間20年の運用額の合計は最大800万円にもなります。

つみたてNISAで購入できる投資信託は、購入時の手数料がかからない商品や、信託報酬が低めに設定されているものなど、国の基準によって選出されている投資信託199本(2021年6月現在、投資信託192本、ETF上場投資信託7本)のなかから選ぶことができます。

低コストで運用できるため、少額から運用を始めたい方にとっても、安心して取り組めるおすすめの優遇税制制度です。つみたてNISAの最大のメリットは、積み立てたお金の引き出しは原則いつでも可能で自由度が高いため、いざ使いたいと思ったときには売却すると現金化もすぐにできる点が、iDeCoと異なり利点といえます。

2-2.iDeCoについて

iDeCoは自助努力の制度で、あなたのための年金をご自身で積み立てる制度です。あらかじめ用意された定期預金、保険、投資信託といった金融商品を自ら運用し、60歳以降に分割または一括で受け取る仕組みとなっています。

iDeCoのメリットは、掛金、運用益、給付を受けるときに税制優遇を受けられることにあります。特に、掛金が所得控除となる点はつみたてNISAにはないメリットです。運用期間中は何度売り買いしてもよく、売却益や分配金は非課税です。掛金の拠出は口座振替で行い、毎月5,000円から積み立てることができます。

iDeCoは利用者の職業や勤務先の企業年金制度の有無などによって、年間に拠出できる掛金の限度額が異なります。勤務先に企業年金がない会社員の場合、年間の拠出限度額は27.6万円で、自営業の場合は81.6万円となります。

また注意すべきことは、資金の引き出しは原則的に60歳になるまで不可となっている点です。また、受け取り時は資産全体が課税対象になるため、退職所得控除や公的年金等控除を適用して所得控除を受けることができます。

投資可能な年齢は法改正により、iDeCoに加入できる年齢が20歳以上60歳未満だったのが、2022年5月以降は上限年齢が5年延びて65歳未満までに延長されます。なお、65歳までiDeCoに加入できるのは、「国民年金の被保険者(加入者)」です。そのため、現在50代の方でも十分な投資期間を確保することができるようになりました。人生100年時代の先は長いので、老後資金と使途を決めている場合はiDeCoに振り分けるのもおすすめの方法です。

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3.投資において避けるべき3つのポイントについて

老後の資産運用のためのおすすめの手堅い投資方法を紹介してきましたが、本章では資産運用において避けるべき3つのポイントをお伝えしま

3-1.退職金をすべて使い投資デビューすること

退職金が口座に振り込まれると大きな資金を手にしたことから、投資を始めようとされる方が多いようです。しかしご自身で勉強せずにすすめられるままに、ひとつの金融商品や不動産、または何種類もの金融商品にすべての退職金をつぎ込んで、投資をスタートするといったことはおすすめできません。

前述のとおり、投資時間の分散などのリスク分散がまったくできていない状態で、一度に投資してしまうと、ある商品で損をしたときに、資産配分を変えるなどの修正さえもできなくなってしまいます。そういったことにも備えることができるよう投資時間の分散を意識して一度に資金を投入することのないように、注意しましょう。

3-2.相場が暴落したら積み立てをやめること

相場が暴落したタイミングで積み立てをやめるのも要注意です。相場が暴落して、そこで積み立てをやめてしまっては、今までの積み立て投資の意味がなくなってしまいます。

積み立て投資の最大のメリットは、淡々と購入を続けることで値段が下がったときに、たくさん買えるということです。その後、値段が戻ったときに利益が出やすくなります。積立期間中に相場が下がった際は、継続して購入するチャンス到来と捉えましょう。

3-3.余裕資金ではない、資金をつぎ込み投資を行うこと

老後の資産形成はもちろん大事ですが、今現在、生きているご自身を大切にしなければ未来などありません。資産形成をする余裕がまったくないにもかかわらず月々の積立金を拠出することで、生活が苦しくなるようでは元も子もありません。

重要なことは、投資している銘柄などの保有資産が大きく値下がりしても、精神的に負担にならない程度での金額にコントロールすることが大事です。経済的にも精神的にも、ゆとりを失わない範囲での拠出で投資することをおすすめします。

おわりに

ここまで投資について紹介しましたが、投資とはあくまでご自身の意志で、あなたの未来を切り開いていく1つのツールに過ぎません。どんなツールも使いこなせないことには意味がありません。どんなにハイスペックなスマホやパソコンがあっても、使い方が分からないようでは宝の持ち腐れになってしまいます。

これからの時代はますます情報格差、所得格差が広がっていくことが予想されています。年金を受け取れるのかどうか微妙な世代も出てきています。そんななかでご自身と家族の幸せのため、実りある人生を生きるうえでも、資産運用は強力な武器になります。ご自身で老後をどのように過ごしたいか考えてみると良いでしょう。

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