最近、注目を浴びている不動産クラウドファンディングは手軽に始めることができ、不動産投資において選択肢の1つとして注目されています。ただ「よく名前は聞くけど一体どんな仕組みなのかわからない」「果たしてご自身に合っている手法なのかわからない」そう思われる方も多いかもしれません。
このコラムでは、不動産クラウドファンディングを活用した不動産投資手法について、わかりやすくお伝えしていきます。まずは不動産クラウドファンディングの仕組みをしっかり理解し、投資戦略のひとつとして活用していきましょう。
1.不動産クラウドファンディングとは
不動産クラウドファンディングとは、インターネットを通じて投資家が資金を拠出して不動産投資を行い発生した収益を投資家に分配する、新しい不動産投資法です。現物不動産の投資には多額の資金が必要ですが、クラウドファンディング方式の投資であれば、少額から不動産投資を始めることができます。
2.不動産クラウドファンディングが注目されている理由
それでは、なぜ不動産クラウドファンディングが注目されているのでしょうか。 その魅力として、下記があげられます。 現物不動産の投資と比較して違いを確認していきましょう。
- 少額から投資できる
- 管理面の手軽さ
- リスクを抑えた運用ができる
- 投資家保護の仕組みがある
- 融資対象にならない物件も運用できる
2-1.少額から投資できる
現物不動産への投資の場合、まず物件を購入するため、1,000万円単位の費用を金融機関から借り入れを行います。そのため金融機関への借り入れ審査や、月々のローン返済などの手間がかかります。一方で、不動産クラウドファンディングは企業によって1万円からと少額から投資できます。少額から気軽に始められる点は、メリットといえるでしょう。
2-2.管理面の手軽さ
現物不動産へ投資をする場合、不動産管理に関して、不動産管理会社などに委託する費用、物件のメンテナンス費用、マンション管理費など、物件の維持にかかる費用がかかりますが、不動産クラウドファンディングは、あくまで投資家として資金を拠出するので、その後の不動産管理などの手間は一切ないため、手軽に不動産投資を行うことができます。
2-3.リスクを抑えた運用ができる
現物不動産で運用する場合、1件あたりの物件購入価格も高いため投資対象は限られますが、不動産クラウドファンディングは、少額投資で行うことができるため、複数の案件へ分散投資に向いています。1つの投資対象に集中させず、複数に分散して投資する分散投資は、リスクも同時に分散することができるため、リスク回避につながるといわれています。
2-4.投資家保護の仕組みがある
不動産クラウドファンディングでは、お金を拠出する投資家側の投資家の損失を抑える仕組みとして、「優先劣後方式」のスキームを採用しているものもあります。
「優先劣後方式」とは、出資総額を優先出資として投資家から資金を集め、劣後出資として事業者自らが資金を拠出します。この場合の投資家を優先出資者、事業者を劣後出資者と呼びます。
優先出資者は、劣後出資者より利益を優先的に分配される権利があります。そのため、何らかの理由により運用益が少なくなった場合でも、優先出資割合に応じて、優先出資者に優先的に分配されます。また、償還時も優先的に優先出資者から償還されることとなっています。
案件対象の不動産価格が下落し売却時に損失が発生した場合、損失分はまず劣後出資者である事業者の出資分から毀損します。そのため、損失が劣後出資分の金額内である場合は、投資家の優先出資分の資金が負担を負うことがありません。ただし、劣後出資者の投資金全額を使っても損失がカバーできない場合、はじめて優先出資者の元本が毀損する仕組みです。
運営事業者及び、その取り扱い案件によって異なるため、優先劣後方式を採用しているか、優先劣後の出資割合はどうかなど異なりますので必ず案件詳細にて確認する事をおすすめします。
3.不動産クラウドファンディングの注意点
他の不動産投資手法にはない魅力もたくさんある一方で、不動産クラウドファンディングですが、注意点もあります。メリットだけではなく、注意点もしっかり理解しましょう。
- 元本保証ではない
- 流動性や換金性が低い
- レバレッジ効果は低い
- 案件選びのポイント
3-1.元本保証ではない
不動産クラウドファンディングでは、基本的に元本保証ではありません。案件によっては優先劣後方式を採用し投資家の損失リスクを抑える仕組みを入れていますが、必ず満期で元本が戻ってくるわけではない点をご注意ください。
例えば、投資家からの出資が4億円、事業者からの出資が1億円の合計5億円の不動産があるとします。もし3億円の損失が発生した場合、事業者は出資した1億円の損失を負担することになりますが、1億円を超える部分の2億円の損失に関しては投資家が損失を負担することになります。
事業主と投資家の出資割合は案件ごとにより異なりますので、必ず確認しておきましょう。また、海外案件の場合は、為替の変動により元本割れが生じることがあります。 案件を確認する際は、為替ヘッジの有無にも注意しましょう。
3-2.流動性や換金性が低い
基本的には運用期間が終了するまで、出資した資金は換金することができません。運用期間中は分配金のみを受け取ることになります。また、出資金が充分に集まらず、成立までに時間を要する案件もあります。成立するまで資金が拘束される場合もありますので注意しましょう。
3-3.レバレッジ効果は低い
現物不動産よりも不動産クラウドファンディングでは得られる利益率は低くなります。 例えば、現物不動産は金融機関から借り入れをすることで、手持ち資金よりも何倍もの資金を働かせることができます。 一方、不動産クラウドファンディングでは、現物不動産で利用できるレバレッジ効果は見込めません。今ある手持ち資金の範囲で、堅実に増やしたい方に向いているといえるでしょう。
3-4.希望案件に出資できない可能性もある
人気のある案件は応募が殺到し、希望どおり出資することができない場合があります。 高利回りが期待できるものや注目度の高い案件は、募集開始から数分で応募埋まってしまうこともあれば抽選方式により出資者を確定させる場合もあります。募集が始まったら、すぐに応募ができるように、事前の情報収集、会員登録をあらかじめ済ませておくようにしましょう。
4.案件選びのポイント
運営事業者が決まったら、次は自分にあった案件を選びましょう。下記に、案件選びのポイントをお伝えします。
4-1. 運用期間や最低投資金額
ご自身に合った運用期間や最低投資金額なのか、出資前に確認しましょう。不動産クラウドファンディングは基本的に中途解約ができませんので、運用期間満了まで投資資金が拘束されることになります。資運用期間満了から、実際に口座に入金されるまで、意外に時間がかかるものもあります。実際の口座への着金タイミングも含めて検討した方が良いでしょう。運用期間終了後にその資金を使おうと計画している場合は、想定したタイミングで着金されないリスクもあるので注意しておきましょう。
4-2.投資対象不動産の種類
不動産の種類により、想定される利回りは異なります。安定した利回りを狙うのであれば居住用不動産であり、居住用不動産より高い利回りを狙っていくのであればテナントビルやホテル、もしくは海外不動産などを対象とした案件を見てみるのが良いでしょう。居住用物件は一定の需要があるエリアであれば、安定した収益が見込めるものと考えています。
4-3.不動産情報の開示
不動産情報が開示されているものは、案件を選ぶうえでヒントになります。物件の住所や築年数・面積がわかると、国土交通省が公開する公示地価を参考に、おおまかな資産価値を知ることはできます。 また、収支シミュレーションの記載があれば、運営して得られる不動産収入は妥当なのか判断することができます。一般的には居住用不動産の利回りは3%~5%前後、宿泊施設や商業施設の利回りは4%~6%前後といわれています。
おわりに
不動産クラウドファンディングの仕組みや特徴についてお伝えしました。少額から投資できる点、優先劣後方式により投資家の毀損リスクを抑制するスキームなど、現物不動産にはない魅力がありました。口座開設から案件の申し込みまで、すべてWEBサイト上で完結できるのも不動産クラウドファンディングの魅力ともいえます。ぜひこのコラムを参考にご自身にあった投資を始めてみましょう。