終活は一人暮らしの方にとっても重要な取り組みです。身元保証人の確保から見守りサービスの利用、財産管理や遺言書の作成に至るまで、考慮すべき要素は多岐にわたります。この記事では、一人暮らしの方が終活で考えるべき内容や注意点、および利用できるサポートサービスについて詳しく解説していきます。終活を通じて、自分らしい人生の締めくくりを実現するための準備を始めましょう。
(本記事は2024年3月28日時点の情報です)
- 終活は一人暮らしの方にとっても必要であり、特に身元保証人の確保や財産管理などの準備が重要
- 一人暮らしの方が抱える老後のリスクには、孤独死や相続問題などがあり、これらは早めに対策を講じる必要がある
- 具体的な終活のステップとしては、エンディングノートの作成や医療・介護、葬儀・墓に関する事前の検討などがある
終活は一人暮らしでも必要なのか?
一人で暮らしていると、病気になったときや亡くなった後のことを誰に頼めばいいのか不安になるかもしれません。でも、大切なのは一人暮らしだからこそ、「終活」に取り組むことが必要だということです。
このあとは、おひとりさまの終活の特徴と、なぜ今注目されているのかについて見ていきましょう。
おひとりさまの終活とは?
「おひとりさま」とは、生涯独身の方だけでなく、配偶者と死別して一人暮らしになった方、子どもがいない方、親族と疎遠になっている方なども含まれます。つまり、自分の死後の対応を行ってくれる親族がいない方は、おひとりさまと言えるでしょう。
おひとりさまの終活の内容は、基本的には他の人が行う終活と変わりません。大切なのは、自分にもしものことがあったときに備えて、元気なうちから取り組むことです。具体的には、エンディングノートの作成や財産の整理、葬儀やお墓の希望を決めておくことなどが挙げられます。
おひとりさま向け終活が注目されている理由
おひとりさま向けの終活が注目されている背景には、65歳以上の一人暮らし世帯の増加があります。「令和2年版高齢社会白書」(内閣府)によると、65歳以上の一人暮らし世帯は年々増加傾向にあり、2015年には男性が約192万人、女性は約400万人に上っています。2040年にはさらに増加し、男性は約355万人、女性は540万人になると推計されています。
この増加の要因としては、昨今の未婚傾向、離婚率の増加、そして高齢化により配偶者を失くした人が長く一人暮らしを続ける可能性が考えられます。結婚していても子どもがいても、長生きすればおひとりさまになるリスクは高まるのです。
頼れる家族がいない状況で、おひとりさまが安心して老後を過ごすためには、元気なうちから終活に取り組むことが重要だと言えるでしょう。
おひとりさまが抱える老後のリスクとは?
おひとりさまが抱える老後のリスクとして、以下があります。
- 身元保証人が確保できない
- 孤独死
- 相続
- 葬儀や埋葬
- 周囲への影響
以降ではそれぞれについて解説します。
身元保証人が確保できない
一人暮らしの方々は、病院や介護施設への入院、あるいは入居に際して身元保証人や身元引受人が必要となります。身元保証人や引受人がいない場合、必要な医療や介護を受けることが困難になる場合があります。
そのため、身元保証人や引受人を確保するための対策を講じることが重要です。これには、信頼できる友人や身元引受サービスを提供する企業などに依頼する方法があります。
孤独死
孤独死は一人暮らしの方々が抱える大きなリスクの一つです。孤独死を防ぐためには、周囲との関わりを持つこと、早朝のラジオ体操やカフェでのコーヒータイムなどを通じて周囲の人との交流を深めることが推奨されます。
また、趣味のサークルへの参加や地域の交流会への参加も効果的です。
相続
相続人がいない場合、遺産は最終的に国庫に帰属します。自身の財産を希望する人に相続させたい場合は、適切な手続きを行い、遺言書を作成することが必要です。
遺言書により、血縁がない人でも相続人とすることが可能になります。
葬儀や埋葬
希望する葬儀や埋葬が行われるようにするためには、生前に葬儀社や墓地と契約を結ぶことが勧められます。葬儀社や墓地との生前契約を通じて、自身の希望に沿った葬儀や埋葬を確保できます。
周囲への影響
認知症になった場合など、周囲の住民に迷惑をかける可能性があります。家の管理や庭の手入れ、ゴミ問題などに対応するためにも、日頃から近隣住民との良好な関係を築いておくことが重要です。
これらのリスクを軽減するためには、終活を含む前向きな準備が不可欠です。周囲の人との関係を強化し、必要な契約を事前に整えることで、一人暮らしの方々も安心して老後を迎えることができます。
具体的にはどんな終活をすれば良い?
一人暮らしの方の終活では、自分の死後に困らないように、元気なうちからさまざまな準備をしておくことが大切です。
具体的に取り組むべき内容としては、以下があります。
- エンディングノートの作成
- 身辺整理
- 医療や介護について考える
- 葬儀や墓について考える
- 遺言書の作成
ここでは、一人暮らしの方におすすめしたい終活の内容について詳しく見ていきましょう。
エンディングノートの作成
エンディングノートとは、自分の個人情報や緊急連絡先、医療や介護に関する希望、葬儀・お墓の希望など、自身の死後に関する情報を書き記したノートのことです。一人暮らしの方の場合、家族に死後の希望を直接伝えられない分、エンディングノートを作成しておくことが特に重要です。
エンディングノートには、自分の氏名や生年月日、本籍地などの基本情報から、かかりつけ医や常用薬、健康状態などの医療情報、介護を受ける場合の希望、葬儀・お墓の希望、遺言の有無と保管場所など、できるだけ詳細に書いておくと良いでしょう。書き方に決まりはないので、市販のテンプレートを使ったり、自由にノートに書き出したりと、自分に合った方法で作成しましょう。
身辺整理
一人暮らしの場合、もしもの時に家族が駆けつけても、必要な物がどこにあるのかわからないと困ってしまいます。普段から整理整頓を心がけ、重要な書類は一箇所にまとめておくなどの工夫をしておくと安心です。
また、銀行口座や保険証券、年金手帳なども、死後に必要になることが多いので、きちんと把握し、分かりやすくまとめておくことをおすすめします。
また、デジタルデータの整理も大切です。パソコンやスマートフォン内のデータ整理も忘れずに行い、必要なデータは家族と共有しましょう。
医療や介護について考える
一人暮らしの方にとって、医療や介護についても事前に考えておくことが重要です。急な病気やケガの際に、すぐに頼れるかかりつけ医がいると心強いため、まずはかかりつけ医を見つけておきましょう。また、介護が必要になった場合に備えて、自宅で介護を受けるのか、介護施設に入るのかなども考えておくと良いでしょう。費用面なども含めて、色々とシミュレーションしておくことで、いざという時に慌てずに済みます。
終末期医療についても、どこまで延命治療を望むのか、人工呼吸器の使用は望むのかなど、自分の意思をあらかじめ書面に残しておけば、万が一の際に自分の望む最期を迎えられる可能性が高くなります。
葬儀や墓について考える
葬儀の手配やお墓の準備は、特に重要な終活の一つです。
望んでいる葬儀の規模や形式、どこで行いたいのか、どのように費用を工面するのかなどを検討し、可能であれば生前に葬儀社と契約を交わしておくのも一つの方法です。
お墓については、実家のお墓に入るのか、新たにお墓を購入するのか、樹木葬や海洋葬などを希望するのかなど、自分に合った方法を選びましょう。こちらも、生前にお墓を確保しておくことで、残された方の負担を減らすことができます。
遺言書の作成
財産がある一人暮らしの方は、遺言書を作成しておくことをおすすめします。
遺言書を残しておけば、自分の財産を自分の希望通りに分配することができます。例えば、療養看護してくれた親戚や友人に感謝の気持ちを込めて遺産を渡したり、NPO法人などに寄付をしたりすることも可能です。
ただし、遺言書を作成する際は、法的な決まりに則って正しく作成する必要があります。そのため、遺言書作成の際には弁護士や司法書士など、専門家に相談して作成すると安心でしょう。
一人暮らしの方が特に考えておきたいこと
一人暮らしの方は、将来自分に何かあったときに備えて、早めに終活の準備をしておくことが大切です。特に身元保証人の確保、見守りサービスの利用、ペットの飼育、財産管理や死後の事務手続きの委任、成年後見制度の活用などは検討が必要な事項でしょう。
ここでは、一人暮らしの方が終活で考えておきたい内容について詳しく見ていきます。
身元保証人の確保
一人暮らしの場合、病気やケガで入院したり、介護が必要になったりして施設に入居する際に、身元保証人を立てる必要があります。
身元保証人は本人に代わって医療同意書や契約書にサインをしたり、医療費や施設利用料の支払い、身柄の引き受けなどを行います。
頼れる家族がいない一人暮らしの方は、友人・知人に依頼したり、司法書士など専門家に身元保証サービスを依頼したりすることを検討しましょう。
見守りサービスの検討
一人暮らしの高齢者の場合、体調を崩したり事故にあったりしても、周りの人が気づくのが遅れてしまうリスクがあります。そのため、自治体や民間企業が提供している見守りサービスや訪問サービスに申し込んでおくのがおすすめです。
定期的に自宅を訪問してくれるので、もしもの時にも異変に気づきやすくなります。サービスの内容や料金は事業者によって異なるので、自分に合ったサービスを選びましょう。
ペットの飼育について検討
一人暮らしでペットを飼っている方は、自分に万が一のことがあった場合、ペットを預かってくれる人を見つけておく必要があります。
親族や知人に依頼できれば理想的ですが、適当な引き取り手が見つからない場合は、動物愛護団体などに相談するのも一案です。
ペットを託す際は、引き渡しの場所やタイミングも具体的に依頼しておきましょう。飼い主が急逝して誰にも気づかれないと、ペットが放置されてしまうおそれがあります。
財産管理委任契約の検討
体調不良や老化などで財産を自分で管理できなくなったときに備え、信頼できる第三者(弁護士など)に財産管理を委任する契約です。
任意後見制度とよく似ていますが、本人の判断能力低下は契約の要件ではありません。一方、任意後見のように公正証書作成や後見登記の手続きは不要なので、社会的信用は低いというデメリットもあります。
自分の状況に合わせて、任意後見と財産管理委任のどちらを選ぶか検討しましょう。
死後事務委任契約の検討
葬儀や埋葬をはじめとする死後の事務手続きを第三者(司法書士など)に委任する契約です。
一人暮らしで身寄りがない方の場合、自分が亡くなった後の手続きを託せる「死後事務受任者」を見つけておく必要があります。
契約内容には、葬儀・埋葬の方法や場所、必要な費用、遺品整理などについて具体的に盛り込みます。いざというときに希望通りの送られ方ができるよう、生前のうちに準備しておくことが大切です。
成年後見制度の検討
成年後見制度には、次の2種類があります。
- 任意後見制度
- 法定後見制度
任意後見は判断能力があるうちに自ら後見人を選び契約する制度で、将来認知症などで判断力が衰えても安心です。
一方、法定後見は本人の判断力が低下した後に家庭裁判所が後見人を選ぶ制度です。いずれも、財産管理や介護・医療契約の代行など、本人を支える重要な役割を担います。一人暮らしの方は、早めに成年後見制度の利用を検討しておくとよいでしょう。
以上のように、一人暮らしの方が終活で考えるべきポイントはいくつかあります。元気なうちから備えを始め、専門家にも相談して、納得のいく人生の終え方ができるよう準備を進めていきましょう。
おひとりさまの終活で注意すること
一人暮らしの方が終活を進める際は、費用面の確認や専門家への相談など、いくつか注意すべき点があります。
ここでは、おひとりさまの終活で特に気をつけたい内容について解説します。
費用面について
終活で行う契約や手続きには、それぞれ一定の費用がかかります。例えば、死後事務委任契約の場合、契約書作成料は約30万円、委任報酬は50〜100万円程度が相場とされています。
また、エンディングノートを作成する際も、公正証書にする場合は公証役場の手数料が約11,000円かかります。預託金など、その他の費用も発生する可能性があるため、あらかじめ資金計画を立てておくことが大切です。
1人で進めない
終活は、自分の人生の締めくくりに向けた大切な準備です。しかし、1人で進めようとすると、焦ってしまったり、抜け漏れが生じたりするおそれがあります。特に法律の専門知識が必要な手続きは、自分だけで行うのは難しいでしょう。
また、書店で販売されているエンディングノートは、自分の思いを整理するためのツールとしては有効ですが、法的拘束力はありません。財産の譲渡先など、法的効力を持たせたい内容については、遺言書の作成が不可欠です。
遺言書の作成には、法律の専門知識が必要です。インターネット上のテンプレートをそのまま使っても、不備があると無効になってしまうことがあります。しっかりと自分の意思を反映した遺言書を作るためにも、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
おひとりさまの終活には「ひとりのミカタ」
おひとりさまの終活におすすめなのが、「ひとりのミカタ」というサービスです。
「ひとりのミカタ」は、セゾンカードでおなじみのクレディセゾンのグループ会社「くらしのセゾン」が運営する、おひとりさまのための終活サポートサービスです。身元保証から葬儀の手配、さらには日常生活のサポートまで、シニア世代に必要なサービスを幅広くカバーしてくれます。
「ひとりのミカタ」が提供する主なサービスは、次の3つです。
- 信頼と安心のクレディセゾングループによる終活サポート
- 身元保証から葬儀の手配まで、ワンストップでサポート
- 会員優待割引で利用できるハウスクリーニングをはじめ、充実したライフサポートサービス
また、身元保証がメインの「エルダープラン」と、エンディングサポート(死後事務手続き)までカバーした「プラチナプラン」という2つのプランが用意されています。特に「プラチナプラン」では、24時間365日の見守り・駆けつけや、ご逝去後に発生するさまざまな行政手続きも生前に打ち合わせしたご希望に沿って行ってくれるので、いざという時も心強い味方になってくれます。
終活に不安を感じているおひとりさまは、ぜひ「ひとりのミカタ」に相談してみてはいかがでしょうか。
おわりに
一人暮らしの方にとって、終活は避けて通れない重要な課題です。おひとりさまが抱える老後のリスクを理解し、具体的な対策を講じることで、安心して人生の最終章を迎えることができます。エンディングノートの作成や身辺整理、医療や介護、葬儀や墓について考えるなど、早めの準備が大切です。特に身元保証人の確保や見守りサービスの利用、ペットの飼育についても検討しておくことをおすすめします。おひとりさまの終活は、費用面や一人で進めることの難しさなどの注意点もありますが、「ひとりのミカタ」のような専門サービスを活用することで、安心して終活に取り組むことができるでしょう。