「親の介護は私がしなければ」「兄弟がいないから全部自分で抱え込むしかない」。一人っ子の方の多くが、将来の介護に不安を感じているのではないでしょうか。介護には身体的・精神的な負担だけでなく、経済的な不安もつきものです。特に一人っ子の場合は、介護の負担を分散できる兄弟姉妹がいないため、その重圧はより大きなものとなります。
しかし、介護の不安を一人で抱え込む必要はありません。地域包括支援センターでの相談や介護保険サービスの利用など、あなたをサポートしてくれる制度や仕組みは数多く存在します。
この記事では、一人っ子ならではの介護の悩みと、事前の備えについて具体的に解説します。読み終えた後には、介護への不安が軽減され、具体的な対策のイメージが描けるはずです。
- 一人っ子の介護では身体的・精神的・経済的負担が大きくなるため、早めの準備と対策が重要
- 元気なうちに親と介護方針を話し合い、施設入所の可能性も含めて将来の方向性を共有すること
- 地域包括支援センターや民生委員など、介護に関する相談窓口を事前に把握しておくと安心
- 介護保険サービスや各種軽減制度を活用することで、一人っ子の介護負担を効果的に軽減可能
親の介護をする一人っ子が抱える5つの悩み
親の介護は誰にとっても大きな負担となりますが、特に一人っ子の場合は介護の負担を分散できる兄弟姉妹がいないため、さまざまな不安や悩みを抱えることになります。
ここでは、一人っ子が親の介護をする際に直面する5つの主な悩みについて詳しく解説していきます。
介護をする体力が続かない
在宅で親の介護をする場合、食事の準備や着替えの手伝い、排泄介助、入浴介助など、日常生活全般のサポートが必要となります。これらの介護は体力的な負担が大きく、特に一人っ子の場合は交代要員がいないため、その負担は年々重くなっていきます。
また、施設入所を選択した場合でも、入所時の手続きや施設との連絡調整など、さまざまな対応が必要です。デイサービスを利用する場合も、送迎の手配や緊急時の対応など、継続的な体力的負担は避けられません。
精神的な負担が重くのしかかる
一人っ子の場合、兄弟姉妹のように介護を交代してくれる人がいないため、精神的な負担が特に大きくなります。「親の介護は全て自分がやらなければ」というプレッシャーから、強いストレスを感じやすい傾向にあります。
特に親が認知症を患っている場合は、暴言や被害妄想、徘徊などの症状への対応も必要となり、さらなる精神的負担が加わります。介護の悩みを相談できる相手が少なく、孤独感を深めてしまうことも少なくありません。
介護費用の負担が大きい
親の年金や貯金だけでは介護費用が不足する場合、その不足分を一人で負担しなければならない状況に直面することがあります。オムツや食事などの日々の消耗品費用に加え、住宅のバリアフリー工事や介護用具の購入など、まとまった費用が突発的に必要になることもあります。
兄弟姉妹がいれば費用を分担できますが、一人っ子の場合はそれらの経済的負担を全て自分で背負うことになり、自身の生活にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
自分の時間が取れず孤独を感じる
一人っ子による介護では、介護を代わってくれる人がいないため、自分の時間を確保することが難しくなります。友人との付き合いや趣味の時間が削られ、次第に社会との接点が減少していきます。
さらに、介護に時間を取られることで仕事との両立が困難になり、社会から孤立してしまうリスクも高まります。この孤独感は、介護者自身の精神的健康を損なう恐れがあります。
虐待につながる可能性が生じる
親には長生きしてほしいと願う一方で、終わりの見えない介護生活に疲れ果ててしまうことがあります。介護期間は平均で4年7ヶ月とされていますが、10年以上続くケースも珍しくありません。
このような長期的な介護による極度の疲労やストレスは、最悪の場合、暴言や暴力といった虐待や介護放棄につながる可能性があります。厚生労働省の調査によると、令和3年度の高齢者虐待の相談・通報件数は36,378件に上っており、深刻な社会問題となっています。
介護が本格的に始まる前にやっておきたいこととは?
思わぬ事故や病気によって、親の介護は突然やってくるかもしれません。「したくない」と感じる気持ちは自然なものですが、事前に準備をしておくことで、介護への不安を軽減することができます。特に一人っ子の場合は「私ばかり」負担を強いられることになりがちなので、早めの対策が重要です。
介護の方針を決めておく
親がどのような介護を望むのか、元気なうちに直接話し合っておくことが大切です。「住み慣れた自宅で過ごしたい」「病気が悪化したときの延命治療について」など、本人の意思を確認しておきましょう。認知症等により判断能力が低下してからでは、こうした希望を正確に把握することが難しくなります。
協力してくれる人を見つけておく
遠距離介護を余儀なくされたり、仕事が忙しかったりと、一人っ子の場合は誰かに頼らなければ介護ができないこともあります。自分だけで全てを抱え込む必要はなく、周囲のサポートを得ることも大切です。以下、具体的な協力者の候補と注意点を見ていきましょう。
元気な親に頼る
両親が存命の場合は、元気な方の親に介護を担ってもらうことも選択肢の一つです。厚生労働省の調査でも、介護者と要介護者の関係では配偶者が最も多い割合を占めています。
ただし、介護する側の親も高齢であることが多いため、共倒れを防ぐための配慮が必要です。定期的な連絡や訪問、介護サービスの利用などを通じて、介護者の体調変化にも気を配りましょう。
親戚や自分の配偶者に頼む
親の兄弟や近所に住む親戚に協力を依頼することも考えられます。また、独身でない場合は、配偶者や子どもの協力を仰ぐことも検討できます。
ただし、民法第877条第1項で定められている扶養義務は直系血族と兄弟姉妹のみにあるため、事前に十分な話し合いが必要です。介護の分担や費用負担について明確にし、任せきりにならないよう注意しましょう。
施設に入所する可能性も考えておく
特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護付き有料老人ホームなど、親の症状や状況に応じた施設入所も選択肢の一つです。
ただし、「施設に入れられる」というネガティブな印象を持つ親も少なくないため、事前に十分な対話を重ね、納得してもらうことが重要です。
相談先があることを知っておく
介護が始まる前に、相談できる窓口を把握しておくと安心です。地域包括支援センターでは、保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーといった専門家が総合的な相談に応じています。
また、民生委員は地域に密着した相談相手として、介護に関する情報提供や助言をしてくれます。さらに、自治体の介護保険窓口では、介護保険制度の利用方法や各種サービスについて相談することができます。
一人っ子が親の介護と自分の生活を両立する方法
介護の負担は、一人っ子に特に重くのしかかります。ここからは、親の介護をしながら自分の生活も大切にできる具体的な方法をご紹介します。
人に頼って自分の生活を大切にする
一人っ子の場合、兄弟姉妹がいないため介護の精神的・身体的・金銭的負担が一極集中しがちです。「自分しかいないから」と無理をし過ぎると、体調を崩したり介護うつを発症したりするリスクも高まります。
親の介護は長期戦となることも多いため、自分だけで抱え込まず、専門家や周囲の力を借りながら両立を図ることが大切です。
軽減制度を活用して経済的負担を減らす
介護保険をはじめとする各種公的制度を活用することで、経済的な負担を軽減することができます。主な制度は以下の通りです。
高額介護サービス費
1ヶ月の介護サービスの利用者負担額が上限を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。課税所得に応じて上限額が設定されており、例えば課税所得380万円未満の世帯では月額44,400円が上限となります。
高額療養費
医療費の自己負担額が月の上限を超えた場合に、超過分が支給される制度です。年収や所得に応じて上限額が定められています。
高額介護合算療養費
医療保険と介護保険の自己負担額を合算して年間の限度額を超えた場合に、超過分が支給される制度です。世帯の所得状況に応じて限度額が設定されています。
介護保険負担限度額認定制度
所得の低い方を対象に、施設利用時の居住費・食費の負担を軽減する制度です。特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの利用時に適用されます。
介護サービスを利用する
訪問介護では食事や入浴、排せつなどの介助を自宅で受けることができ、デイサービスやデイケアでは日中の介護を専門スタッフに任せることができます。また、ショートステイを利用すれば、数日間の休息を取ることも可能です。
一人っ子の場合、こうした介護サービスを上手に組み合わせることで、介護の負担を軽減しながら自分の時間も確保できます。介護の質を保ちつつ、自身の生活との両立を図るためにも、積極的な活用を検討しましょう。
親の介護を考える一人っ子の方はくらしのセゾンの「親サポセレクト」へ相談を
一人っ子として親の介護に向き合う方々の不安や悩み軽減のためにおすすめのサービスが、セゾンカードでおなじみのクレディセゾンのグループ会社「くらしのセゾン」が提供している「親サポセレクト」(選べる親御さまサポートサービス)です。
「親サポセレクト」は、離れて暮らす親の日常的な見守りから、緊急時の対応、将来的な課題まで、経験豊富な専任スタッフが親の暮らしを総合的にサポートしてくれます。
「いつも」のサポート|家事代行や見守りなど
「親サポセレクト」では、高齢になった親の日常生活をきめ細やかにサポートする体制が整備されています。外出付き添い代行サービスでは、通院や買い物はもちろん、冠婚葬祭への同行まで、親御さまの外出を安全にお手伝いします。足腰の衰えを感じる方も、専門スタッフと一緒なら安心して外出を楽しめます。
毎日の暮らしをより快適にする家事代行サービスも充実しています。買い物の代行から、掃除、洗濯、食事の準備まで、親の体力や体調に合わせて必要な家事をサポート。さらに、庭木の手入れや家財の整理など、住まいの環境を整えるくらしのサービスも提供しています。
「もしも」のサポート|入院・施設入居のお手伝いなど
突然の入院や施設入居の際も、専門スタッフが親御さまと一人っ子の方々をしっかりとバックアップします。入院前の準備から、介護施設のご紹介・見学同行、入居時の引っ越しまで、スムーズな移行をサポート。入院中や施設入居中も、買い物の付き添いや各種手続きの支援など、必要な援助を提供します。
親の介護に関する不安や悩みをお持ちの一人っ子の方は、まずは無料の資料請求をしてみてはいかがでしょうか。
おわりに
親の介護に直面する一人っ子の不安や負担は決して小さくありません。しかし、地域包括支援センターでの相談や介護保険サービスの利用など、さまざまなサポート体制が整っています。また、事前に親と介護の方針を話し合い、協力者を見つけ、公的制度や民間サービスの活用も検討しておくことで、将来の不安を軽減することができます。
介護は決して一人で抱え込む必要はありません。専門家や周囲のサポートを得ながら、親の介護と自分の生活を両立させることが可能です。早めの準備と適切な支援の活用が、よりよい介護生活への第一歩となります。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。