更新日
公開日

終活を考える!相続の準備で必要なこととは?

セゾンのくらし大研究 編集部

執筆者

セゾンのくらし大研究 編集部

豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

終活のキーポイントとなる相続について考えたことはありますか?ご自身が亡くなったあとに、相続の手続きで愛する家族に苦労をさせたくないものですね。遺産をめぐって親族争いなど「私には大した遺産もないので心配ない」、「まだ元気なのですぐに準備する必要はない」と考えている方もいらっしゃると思いますが、最低限住んでいる自宅のことやご自身の葬儀のことなど、家族に迷惑をかけないための準備は必要です。あなたが元気なうちに相続への備えをしましょう。

まずは最初に取り組みたいポイントから紹介していきます。

ひとりのミカタ

相続対策について

なぜ相続争いはなくならないのでしょうか。どんなに仲の良い家族でも故人がしっかりと法的な手続きをしていなかったために、相続争いになるケースがあります。権利意識、平等意識の高まり、家族関係の希薄化、亡くなった方の不明確な意思などの背景などが往々にして影響していることが多いようです。

個人の幸せや利益を第一に考える世相が強まり、公的年金に対する不安も増していることから、「もらえるものはもらっておきたい」という方が多くなっているのかもしれません。

基本的に相続分は、長子か否かによらず法定相続分は平等です。しかしながらよく起こる事例として、長男夫婦が介護状態になった親を最後まで世話して看取ったようなケースで、次男が遺産分割で平等を主張した場合の対応です。おそらく長男は不服でしょう。それも日頃疎遠だと、いざ相続のときに打ち解けて話し合うのはなかなか難しいケースがあり、このような場合にご両親からの遺言書がないと、合意まで時間がかかり兄弟間でもめてしまうことがよくあります。

相続対策で家族円満を維持するための3ポイント

相続争い防止のために、意識しておきたい3つのポイントについて解説していきます。

遺産分割対策について

遺産分割対策の核となるのは遺言書です。遺言書がないと、相続人全員による遺産分割協議が必要になってしまい、後々非常に面倒です。特に相続人が多い場合や、家族仲が悪い場合、会ったこともないような相続人がいたりする場合では、なかなか遺産分割協議はまとまりません。相続における問題は、相続争いなど無縁だと考えているあらゆるご家庭で発生する可能性があります。例えば兄弟姉妹間の仲が良いから大丈夫だろうと思っていても、子どもの配偶者が口をはさむことも考えられます。また「私にはもめるほどの財産はない」と思っていても、少ない財産のなかでより多く勝ち取ろうとして、逆に争いが起きやすくなることもありますので、事前に防止するためには、やはり遺言書が必要です。遺言書については、詳しく後述します。

相続手続き対策について

相続税の申告・納付については、被相続人が死亡したことを相続人が知った日の翌日から10ヵ月以内に行わなくてはなりません。10ヵ月は長いように思いますが、実際にはあっという間です。相続は人生に数度しかないものなので多くの方が不慣れで、何から手を付ければ良いのか、どこにどんな財産があるのかもよくわからないことが多いのが実態でしょう。したがって、相続手続きを任された相続人には、大きなプレッシャーがかかります。

残された相続人が困らないように遺言書の作成の他、死後事務などある程度の道筋をつけておくことが、立つ鳥後を濁さずとできるのです。

相続税対策について

相続税対策は、納税資金の確保と相続税の節税の2つに分けられます。納税資金の確保では、まず遺産となる金融資産で相続税が納付できるかを試算します。不足するようなら、不動産の売却などで補うことを考えましょう。

相続税を抑えるには、相続財産自体を減らす方法と、相続税評価額を下げる方法があります。相続財産を減らす対策としてよく用いられるのが生前贈与です。

相続税評価額を下げる対策としては、財産の組み替えが挙げられます。現金を不動産に変えておく、更地にアパートやマンションを建てるなどです。また非課税財産への組み替えも有効で、これには生命保険金の非課税枠を利用することができます。

争いを防ぐ3つの相続対策は総合的に進めていく必要がありますが、最優先すべきは、あくまでも遺産分割対策です。いくら相続税を減らして納税資金が確保できたとしても、遺産をめぐって家族がバラバラになってしまっては元も子もないでしょう。

遺言書について

前述のとおり遺言書は相続争いを防ぐ決め手となります。遺言書がないと法定相続人が全員集まって遺産分割協議を行い、すべての財産において誰が何をもらうかを話し合い、全員が合意しなくてはなりません。これは相続人の確定、相続財産の確認、相続放棄の選択などを伴うため、親族だけでやろうとすると非常に手間がかかります。

例えば企業の株式と工場は、後継者の長男に遺したいというように、個々の財産の具体的な割り振りも可能で、親身に面倒を見てくれた息子の妻に現金300万円を遺贈するなど、法定相続人以外にも財産を分けることが可能となります。

遺留分と相続権

遺留分とは、配偶者、子ども、両親(兄弟姉妹以外)の相続人のために民法によって保障されている一定割合の相続財産のことです。ただし遺言によってその分配の割合を変えたり、全くの第三者に譲り渡すと定めたりすることもできます。

しかし相続は、残された家族、親族の生活を守る意味などもあることから、民法は、兄弟姉妹以外の相続人については、遺言の内容にかかわらず、法定相続分のうち一定割合(直系尊属のみが相続人である場合は法定相続分の3分の1、それ以外の場合は法定相続分の2分の1)に相当する金銭の支払いを請求することができるものと定めています。

特に遺言が必要なケースとして一例を挙げておきましょう。子どもがいない夫婦で、夫が亡くなった場合、妻は全財産を相続できるとは限りません。夫の両親が他界している場合、夫の兄弟がいればその兄弟に4分の1の相続権があります。ただし兄弟は直系尊属や直系親族ではないので遺留分がなく、全財産を妻に相続させるという遺言があれば遺言書の内容が優先されます。

法的効力が確実な公正証書遺言

遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。

自筆証書遺言は、遺言をする方が遺言の全文をすべて自筆で書き、捺印して作成することになります。これは誰にも知られずに作ることができ費用がかからないというメリットがある一方で、勝手に開封することができず家庭裁判所で検認手続きをする必要があります。また法律の定める方式に沿わず、内容に不備や不明瞭な点がある場合は、遺言書自体が無効になってしまう場合や、作成時の意思能力の有無・偽造・強要・紛失といった不安要素も存在します。

一方で公正証書遺言は公証人が作成する公文書なので、証拠力が高く安心です。原本が公証役場に保管されるので、偽造・紛失の心配もなく、検認も不要となります。デメリットといえば、基本的に公証役場に出向かなければいけないこと、立ち会い証人が2人以上必要で、作成費用がかかることなどが考えられます。

遺言書は大事な財産の行方を決める極めて重要な文書です。有効なものにするために、公正証書で作成することをおすすめします。

遺言書作成における6つのポイント

遺言書の作成にあたっては6つの留意点があります。

  1. 遺言能力がある
    認知症などで意思能力がなくなると、遺言は作ることができません。相続配分はもう少し後で決めたいと先延ばしせず、現時点で最善と思う内容で早めに作成しておきましょう。
  2. 遺言書は後から書き直せる
    一度書いても内容を改めたいと思えば、その都度書き直すことが可能です。
  3. 遺留分への配慮
    一定の相続人に認められた最低限の相続分を割り込むような遺言は、トラブルの火種になってしまいます。
  4. 付言事項を書く
    法定遺言事項には書ききれないご自身の思いを書くことで、遺産分割の真意を伝えます。付言事項は、遺言書の魂に当たる部分で、これがあることによって相続も進めやすくなります。
  5. 遺言執行者の指定
    遺言執行者とは、遺言の内容を実行してくれる方のことでどんなに立派な遺言書を作っても、相続手続きを実行する方がいなければ意味がありません。遺言執行者の指定がない場合には、相続人全員が協力して手続きをするか、家庭裁判所に選任してもらうかですが、互いに利害関係があるとトラブルの元になりかねません。そうならないためにも遺言執行者の指定は必要です。
  6. 不明点は専門家に相談する
    遺産配分に偏りがあったり、正当性が疑われたりしては、かえって相続人同士の対立を生みます。弁護士、司法書士、行政書士、税理士、信託銀行などの金融機関など、その道のプロに手伝ってもらうことをおすすめします。

相続の手続きについて

相続に関わる専門家は、司法書士、弁護士、行政書士、税理士などが挙げられます。相続の手続きでまずクリアしなければならないのが相続人の調査(戸籍騰本の取得)、相続財産の調査、遺産分割協議書の作成ですが、ここまではどの専門家でも対応可能です。戸籍謄本はご自身で取り寄せることも可能ですが、専門家に頼んでも良いでしょう。専門家は慣れていますのでご自身でやるより、はるかに早く確実に集めることができます。

相続財産に不動産がある場合は…司法書士に相談する

相続財産に不動産が含まれる場合は、登記の専門家である司法書士が適任です。司法書士は不動産の名義変更だけでなく、家庭裁判所への申し立てを行うこともできるので、スムーズに手続きをしてもらえるでしょう。ただし司法書士による戸籍謄本の職権取得は、相続登記がある場合に限られます。相続財産が預貯金など金融資産のみの場合は、戸籍謄本を取得できないので注意しましょう。

司法書士の方をお探しの方は、「セゾンの相続」にご相談ください。無料でご相談承ります。

相続税申告をする場合は…税理士に相談する

相続税の申告手続きは税理士しかできません。ただし非課税枠に収まればそもそも相続税を支払う必要はないので、本当に税理士が必要かはよく検討する必要があります。

相続争いが予想される場合は…弁護士に相談する

相続争いがある(予想される)場合は弁護士が適任となります。遺産相続紛争の代理交渉をする必要があるためで、これは他の専門家にはできない業務です。交渉がこじれて、遺産分割調停や審判など裁判所が絡む事態になっても、その弁護士が引き続き担当することができます。ただし弁護士が相続手続きに関与すると、他の相続人が身構えてしまうこともあるので気をつけましょう。

できるだけ自分でやりたい場合は…行政書士に相談する

費用をかけたくないからできるだけご自身でやりたい、でも何から始めれば良いかわからない。そんな場合は行政書士に尋ねてみると良いでしょう。行政書士は、相続手続きで関与できることが限られますが、戸籍謄本の職権取得から相続財産の調査、遺産分割協議書の作成までは対応可能です。もともと契約書など事実証明の作成は行政書士の専門分野ですから、その後の手続きの方法も助言してもらい、あとはご自身で法務局や税務署に出向いて手続きすれば良いでしょう。

おわりに

このコラムでは相続の準備で必要なことについて解説しました。ご自身が亡くなった後に親族内でのもめ事を避けるためにも、最低限、遺言書の準備をすることをおすすめします。ご紹介した内容を参考に相続の準備を始めてみてはいかがでしょうか。

おひとりさまの毎日の暮らしと終活を支援する「ひとりのミカタ」

クレディセゾングループが提供する、おひとりさま総合支援サービス「ひとりのミカタ」は、入院や高齢者施設入居時の「身元保証」、もしものときの「緊急連絡先」、ご逝去後の「エンディングサポート(死後事務手続き)」など、おひとりさまの毎日の暮らしや終活のさまざまなお悩みごとを総合的に支援するサービスです。

お問い合わせいただいた方に、エンディングメモ付きサービス資料を進呈中!

ひとりのミカタ
ひとりのミカタ

よく読まれている記事

みんなに記事をシェアする