住宅購入では住宅や土地の代金のほか、諸費用がかかります。ローンとは別に用意が必要なこともあり、何にいくらかかるのかをあらかじめ知っておくことが大切です。このコラムでは住宅購入時に必要な諸費用の種類やそれぞれの相場金額、購入後にかかる費用について解説します。
1.住宅購入は諸費用を含めて検討しよう
土地や建物を購入するときは、土地や建物の価格以外に各種税金や手数料といった諸費用を支払う必要があります。
諸費用は、売買契約や住宅ローン契約にかかる税金、不動産を登記(自分の所有であることを法的に登録する)するときの登録免許税、手続きをしてもらう司法書士への報酬など、種類も支払先もさまざまです。
購入する住宅の種類や購入方法によってはかからない費用もありますが、これから住宅を購入する場合は、諸費用にはどのようなものがあり、どのくらいの金額でいつ支払うのか把握しておきましょう。
住宅を購入するときは、物件価格や住宅ローンだけでなく、諸費用もしっかり考慮して計画的に進めることが望ましいです。
2.住宅購入の諸費用とは購入価格以外にかかる費用のこと
住宅購入の諸費用とは、物件の購入価格以外にかかる費用のことです。不動産を購入するとかかるさまざまな税金や手数料などがそれにあたります。また、引っ越し費用や新しい家具・家電の購入費用も諸費用といえるでしょう。
これから住宅を購入しようと考えたとき、諸費用の目安を知ったうえで資金計画を立てたいものです。なぜなら、多くは比較的高額であり、支払う際はあらためて用意する必要があるためです。ここでは諸費用の概算と、用意する方法について見ていきます。
2-1.購入価格の4~10%程度の諸費用が必要となる
諸費用の目安は、新築か中古か、戸建てかマンションかなど、購入する住宅の種類ごとに違います。大まかにそれぞれの目安は以下のとおりです。
- 新築一戸建て:購入価格の4%程度
- 中古一戸建て:購入価格の8〜10%程度
- 新築マンション:購入価格の4%程度
- 中古マンション:購入価格の7%程度
どちらも中古の方が新築より高めですが、新築は住宅メーカーが直接販売することが多く諸費用の一部がすでに購入価格に含まれている場合があります。また、中古では不動産業者に支払う仲介手数料がかかることが理由として挙げられます。
ただし、これはあくまで一般的な目安であり、かかる諸費用はケースバイケースであるため、実際には1つずつ詳しく調べて厳密に把握しておく必要があります。
2-2.諸費用は原則として住宅ローン以外で用意する
諸費用にはさまざまな種類がありますが、住宅ローンの借入金に含めることができない場合があるので注意しましょう。
住宅購入の手続きがある程度進んだ段階になってから「支払えない」という事態に陥らないように、購入完了までに必要となるすべての費用を確認して資金計画を立てましょう。住宅購入の際に活用できる補助金については「住宅購入時に使える補助金制度の適用条件や金額をご紹介 」を参考にしてください。
3.住宅購入時に必要な諸費用
大きく分けて住宅購入全体でかかる諸費用は、必要になるタイミングごとに住宅購入時、住宅ローン契約時、そして購入後の3種類に分けられます。
そのうち、住宅購入時に必要な諸費用は、主に住宅の購入契約と不動産を所有するためにかかる費用です。それぞれ支払先と金額の相場を知っておくと、不動産会社との打ち合わせで戸惑うことは少なくなるでしょう。
3-1.住宅購入契約にかかる印紙税
印紙税とは、印紙税法で定められた課税文書に対して課される税金です。税額は記載された契約金額に応じて次のように定められます。下記の税額は、2022年3月31日までに作成される売買契約書で受けられる軽減措置適用後の金額です。
記載された契約金額 | 印紙税額 |
500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円超1億円以下 | 30,000円 |
1億円超5億円以下 | 60,000円 |
もし印紙を貼り付け忘れると、過怠税としてもともと納めるべき税額の3倍が課される 場合があるので、注意が必要です。
3-2.不動産会社に支払う仲介手数料
不動産会社の仲介で住宅を購入すると、不動産会社に対して仲介してもらったことに対する報酬である仲介手数料がかかります。手数料額の目安は「物件の売買価格の3%+6万円」と消費税10%です。
物件価格が3,000万円であれば、3,000万円の3%+6万円=96万円(税別)です。
96万円に消費税10%を加えた105.6万円が仲介手数料です。ただし、不動産の売り手から直接購入する場合は、仲介する不動産会社がないため仲介手数料はかかりません。
3-3.不動産登記時にかかる登録免許税
登録免許税は、不動産を登記する方(不動産を購入する方)が国へ納める税金で、金額は次の計算式で求められます。
登録免許税=不動産の固定資産税評価額×税率
固定資産税評価額とは、固定資産税の基準となる価格です。固定資産税評価額=支払っている固定資産税÷1.4%で求められます。
これに次のような登記ごとに異なる税率をかけたものが登録免許税の金額です。
登記の種類 | 税率 |
土地の所有権移転登記(売買による移転) | 2.0% |
土地の所有権移転登記(相続による移転) | 0.4% |
住宅の所有権保存登記(新築住宅を取得した場合) | 0.4% |
住宅の所有権移転登記(中古住宅を売買により取得した場合) | 2.0% |
住宅の所有権移転登記(相続による移転) | 0.4% |
登録免許税は、建物と土地のそれぞれについて課されます。例えば1,500万円の土地と建っている住宅500万円の場合の登録免許税は、
土地:1,500万円の2.0%=30万円
住宅:500万円の2.0%=10万円
の合計40万円です。
3-4.登記を依頼する司法書士への報酬
不動産の登記手続きは一般的に司法書士へ依頼します。そのため司法書士にも報酬を支払うことになりますが、金額の相場は次のとおりです。
登記の種類 | 報酬金額相場 |
所有権移転登記(売買) | 4.5万円〜6.5万円 |
所有権移転登記(相続) | 6万円〜8万円 |
所有権保存登記 | 2万円〜3万円 |
「相場」としたのは、実は登記についての報酬は、司法書士がそれぞれ決めることができるためです。地域によっても相場は異なるため、実際にかかる金額を知るには司法書士に直接問い合わせると良いでしょう。
3-5.購入時にかかる不動産取得税
不動産を売買によって取得したときに課されるのが不動産取得税です。取得するときに一度だけ支払い、本来なら金額は不動産の固定資産税評価額の4%ですが、2008年4月1日から2024年3月31日までに取得した住宅は、次の軽減措置が適用されます。
土地 | 固定資産税評価額の1/2の税率3% |
建物(新築・認定長期優良) | (固定資産税評価額-1,200万円)の税率3% |
建物(上記以外) | (固定資産税評価額-100万円〜1,200万円)の税率3% |
不動産取得税の納付書は、遅ければ住宅購入後1年以上経過して届くこともあるので注意が必要です。
4.住宅ローンに関連する諸費用
住宅の購入資金として、住宅ローンを利用する方は多いでしょう。住宅ローンは資金を借り入れるための契約であり、借入には一定の条件があるため、それぞれ費用がかかります。こういった費用も、物件価格とは別にかかる諸費用の1つです。
ここでは、このような住宅ローンに関連する5つの諸費用について解説し、金額相場を示します。
4-1.住宅ローン契約にかかる印紙税
住宅ローン契約も経済取引の一種であるため、印紙税が課せられます。なお、住宅ローン契約は売買契約とは異なり、印紙税の税額の軽減措置はありません。
住宅ローンの借入金額 | 印紙税額 |
500万円超1,000万円以下 | 10,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 20,000円 |
5,000万円超1億円以下 | 60,000円 |
1億円超5億円以下 | 100,000円 |
4-2.金融機関へ支払う融資事務手数料
融資事務手数料は、住宅ローンの申込みや契約・返済手続きといった事務にかかる費用として利用する金融機関に支払います。金融機関によって定額だったり、借入金額の1〜3%程度だったりとさまざまです。
住宅ローンを利用する際は、金融機関ごとに利率と併せて融資事務手数料についてもしっかり確認し、より負担の少ない方を選ぶと良いでしょう。
4-3.保証会社へ支払うローン保証料
住宅ローンを利用するときは、万が一返済が滞った場合に備えて、契約者に変わって支払い義務を負う「保証」が必要な場合があります。その場合、保証を代行してもらう保証会社へ「ローン保証料」を支払います。
保証料の金額は審査結果によっても変わります。35年返済の場合、借入額の2〜3%程度が一般的です。
なお、住宅金融支援機構が運営する全期間固定金利住宅ローン「フラット35」では保証料は不要です。
4-4.万が一に備える団体信用生命保険料
団体信用生命保険料は、返済の途中で契約者に万が一の事態が起きた場合に備えるための保険料です。契約者が死亡または高度身体障害を負ったり、特定の病気にかかったりした場合、住宅ローン全額が返済されるため、家族は負債を抱えることなく、そのまま住み続けることができます。
民間金融機関の住宅ローンを利用する際は団体信用生命保険への加入が必須の条件となっていることが一般的です。保険料は、住宅ローンの金利に含まれていることが多いですが、金融機関が保険料を負担している場合もあります。必須条件であるため断ることはできませんが、万が一のことを考えると加入する方が安心できるため、意義のある費用といえるでしょう。
4-5.住宅ローンの条件となる火災保険料
多くの金融機関では、火災保険への加入を住宅ローン利用の条件とすることが一般的です。購入した住宅が、地震や火災などで失われてしまったら返済どころではありません。金融機関にとっても担保価値が下がる恐れがあるため、必須条件としています。
どの保険会社にするかは利用者が選べます。金融機関が提携する保険会社であれば、保険料の優待を受けられる場合もあります。
5.知っておきたい住宅購入後の諸費用
住宅購入後にも、諸費用として資金計画に入れておきたいものがあります。住宅は購入するだけでは住むことはできません。住宅購入という大イベントの前には、引っ越しやリフォーム、新しいご近所付き合いにかかる費用など、比較的少ない金額とはいえ費用がかかります。
また、毎年支払いが必要な固定資産税なども考慮しておきましょう。すべての諸費用をしっかり把握し、資金を準備しておくことが大切です。
5-1.毎年必要な固定資産税と都市計画税
住宅を購入するということは、不動産の所有者になるということです。不動産所有者は毎年、所有する不動産に応じて固定資産税を納めなくてはなりません。
固定資産税は毎年1月1日時点の不動産所有者に対して課税される税金で、毎年4月〜6月に不動産のある市区町村から税額が記載された納付書が届きます。税額は、固定資産税評価額の1.4%ですが、一定の要件を満たすと軽減措置を受けることができます。
また、所有する土地や建物が都市計画法に定める市街化区域内にある場合は、都市計画税も収めなくてはなりません。税額は固定資産税と同じ方法で計算できます。こちらも土地の面積によっては、軽減措置を受けることができます。
5-2.引っ越しやリフォームにかかる費用
実際に暮らし始めるためには引っ越しも必要です。特に遠方からの場合や、家財の量が多い場合、引っ越しの多い繁忙期の場合は費用がアップします。家財の量や移動距離はともかく、時期が選べるのであれば3月から4月の引っ越し会社の繁忙期は避けた方が良いでしょう。
引っ越し費用は、引っ越し完了後にクレジットカード決済、現金または振込みで支払うことが多いため、どのように費用を用意するか決めておくと良いでしょう。
中古住宅でリフォームが必要な場合は、その費用も資金計画に入れておく必要があります。どのくらいかかるか、リフォーム会社などに見積書を依頼してみると良いでしょう。
5-3.メンテナンス費用や自治会費
賃貸であれば、建物の雨漏りや災害被害の修理にかかる費用は原則として大家さんが負担しますが、自分の家の場合はすべて負担しなくてはなりません。庭の植栽やや外壁の塗装、室内のドアノブの修理などのメンテナンス費用はあらかじめ用意しておく必要があります。
また、地域の自治会費も必要です。自治会への入会は強制ではないものの、一定の区域に住む住民同士が助け合って住み良い地域社会を作ることを目的とした組織です。区域内にある公園やゴミ捨て場の清掃や、防災・防犯のためのさまざまな活動は、安全な暮らしに欠かせません。
マンションであれば、管理費や修繕積立金も必要となるため、見積もっておきましょう。かかる費用は地域や物件によってさまざまです。
5-4.新しい家具家電や引っ越しの挨拶品の購入費用
これから新しい暮らしを始めるなら、毎日使う家具や家電もお気に入りのものを揃えたいという方も多いでしょう。しかし、この費用はこだわると驚くほど高額になりやすいので注意が必要です。
特にエアコンは、戸建だと部屋数によっては追加で複数台が必要になる場合もあります。また、室外機が置けないときは置き台を設置するため別料金が発生します。電源やホース穴がなければ新設する費用も必要です。
この他に、カーテンや照明器具もこれまでの暮らしとは必要な数が違います。あらかじめ部屋の使い方をイメージして必要な家具や家電の費用を用意したいところです。
また引っ越し後のご近所への挨拶では挨拶品を渡すため、この費用もあらかじめ算出しておきます。これからお互いに気持ちよく暮らす第一歩です。ちょっとしたお菓子や、誰もが必要とする日用品などでも、数が多くなればそれなりに費用がかかります。費用を抑えるためにもどの範囲まで挨拶をするのかを決めておきましょう。
6.購入する住宅によって諸費用は異なる
住宅購入にかかる諸費用は、購入する住宅の種類によって変わることにも注意しましょう。
例えばマンションであれば、以下のような費用がかかってきます。
- 管理費:マンションの共用部分を維持・管理するためにかかる費用で、日常の掃除や部品交換、点検などに使われます。
- 管理準備金:新築マンション購入時にかかる、備品購入や人件費、小修繕などにかかる費用に備えて、一括払いでオーナーへ支払います。
- 修繕積立基金:新築マンション購入時にかかる、大規模修繕に備えるための費用
- 修繕積立金:13年〜16年ごとに大規模修繕するために積み立てておく費用で、修繕積立基金ではまかなえない場合に使われる
注文住宅では例えば以下のような費用がかかってきます。
- 測量費用:建築確認申請に必要な現況測量にかかる費用
- 地盤調査費用:土地の地盤の強度を測定するための費用
- 設計監理料:設計や施工のチェックにかかる費用
- 地鎮祭・上棟式:建物を建てる前に行う儀式にかかる費用
- 上下水道の加入金:新しく水道を引くときに自治体に支払う費用
他にも古い建物の解体費や、土地をかさ上げする費用など状況によって様々な費用が必要になる場合があります。これらを把握するためには、事前に詳しく調査するなどして情報を集めることが大切です。
7.住宅購入時の諸費用は「セゾンの住宅ローン」のホームアシストローンがおすすめ
住宅購入にまつわるさまざまな諸費用について解説してきました。非常に幅広く、多種にわたる上に、合計するとかなりの金額になります。住宅購入では、土地や建物の代金だけでなく、不動産の登記や住宅ローンの利用、そして実際に暮らし始めるための費用にも注意しなくてはなりません。
住宅を購入するときは、諸費用を含めたあらゆる費用を把握し、支払いの計画を立てておく必要があります。「セゾンのフラット35(買取型)」なら、諸費用向けのホームアシストローンを用意しています。住宅購入の計画にぜひご活用ください。なお、諸費用の対象となる範囲は決まっていますので事前にご確認ください。