不動産担保ローンは、所有している土地や建物などの不動産を担保とする金融商品です。無担保のローンよりも金利・融資額などが有利となる場合がありますが、どの程度有利に働くかは金融機関各社によって異なります。
できるだけ好条件を引き出すためのポイントについて解説していきます。
不動産担保ローンの金利相場とは
事業資金や教育資金など、生活をしていくうえでローンの利用を検討する場面も生じますが、その際まず気になるのはローンの金利です。
ローンの金利は、借り手の貸し倒れとなるリスクを反映しているため、無担保のものであったり、使途が限定されていないフリーローンなどは高めに設定されています。
一方で、不動産担保ローンは融資実行時に自身や親族が所有する不動産を担保としているため、万が一返済が滞った場合でも、貸し手側としては、一定の元本保全がされています。
不動産担保ローンは貸し手にとって比較的低リスクなローン契約であり、それを受けてローンの金利も低めに抑えられています。
銀行系とノンバンクの不動産担保ローンの金利相場対比表
不動産担保ローンを提供している金融機関は主に「銀行系」と「ノンバンク系」があります。両者の大きな違いは「ローン金利」「審査基準」「融資のタイミング」にあります。
銀行系の不動産担保ローンの特徴として、ローン金利がおおよそ1%〜9%と低めに設定されています。一方で、不動産担保ローン契約者の信用力や担保となる不動産の価値などを比較的厳しく審査されるため、実際にお金が振り込まれるまで時間がかかる傾向があります。
ノンバンク系ではローン金利はおおよそ2%〜15%と、銀行系に比べて高めの傾向にあります。しかし、独自の審査基準を有しているため、債務超過や税金の滞納といった信用力に懸念のある場合でも利用できる場合があります。また、振り込みまでの時間も短めになっています。
ローン金利 | 融資審査 | 融資のタイミング | |
銀行系 | おおよそ1%〜9% | 厳しめ | 時間がかかる |
ノンバンク系 | おおよそ2%〜15% | 独自基準のため、 信用力に懸念のある場合でも利用可能 | 比較的早い |
変動と固定で金利は異なってくる
不動産ローンの金利タイプは「固定金利」と「変動金利」の2種類があります。固定金利と変動金利のメリット・デメリットはそれぞれ対照的となっているため、それぞれの特徴をよく把握して金利タイプを定めると良いでしょう。
固定金利は固定期間にもよりますが、金利変動リスクを見越し、変動金利よりも高めに設定される傾向があります。ローン金利が高いと返済総額が増加するほか、融資審査の厳格化や融資額の抑制がされやすくなるデメリットがあります。
一方、返済計画が金利変動の影響を受けにくくなるなどのメリットがあります。固定金利は固定期間にもよりますが、長期金利を参考にしているため代表的な「新発10年国債利回り」などが上昇傾向であれば固定金利が有利となる可能性があります。
変動金利は通常、半年ごとに見直されるため、返済額が増加したり返済額が同一であっても元本返済の割合が減少することになり、返済計画が不安定化する可能性のデメリットがあります。変動金利は金利水準が横ばいまたは下落傾向のときに有利となる可能性があります。
不動産担保ローンの金利「○%~○%」の実際の決まり方
不動産担保ローンの金利は、銀行系・ノンバンク系ともに一定の幅をもって定められていますが、これはローン契約の諸条件によって左右されるためです。
ローン金利の主な変動要因としては、「ローン契約者の信用力」、「担保不動産の評価額と担保掛目」「担保不動産の抵当権順位」「融資期間」「資金使途」などが挙げられます。それぞれの項目について内容をよく把握しておきましょう。
ローン契約者の信用力
いわゆる与信とも呼ばれ、ローン契約者の返済能力が確認されます。一般に収入が多くほかの借り入れが少ないほど返済能力が高いと判断され、金利などの条件が有利に働きます。
担保不動産の評価額と担保掛目
担保不動産の評価額は担保価値を表し、担保掛目は融資額に対する評価額の割合となります。
不動産担保ローンの担保掛目は一般的には70%〜80%程度といわれており、担保掛目が低いほど担保売却による元金回収ができる可能性が高まり、金融機関のリスクが低くなるため、金利が下がるなどのメリットが得られます。
担保不動産の抵当権順位
不動産担保ローンを契約すると、担保として差し入れた不動産に抵当権が設定されます。抵当権には順位があり、万が一返済が滞るなどで担保不動産が売却された場合、先順位の抵当権から優先して返済を受けることができ、後順位のものは担保力が下がります。
銀行系は一番抵当以外を避ける傾向があるため、二番抵当以降となる場合はノンバンク系の利用を検討すると良いでしょう。
融資期間
融資期間は契約から完済までの期間のことで、返済期間が長いほど月々の返済額を抑えることができますが、支払利息も大きくなるため返済総額は増加します。変動金利の場合はさらに金利変動リスクのデメリットもあります。
資金使途
金融機関は融資の際、返済が滞るリスクを避けるため、不動産担保ローンの資金使途の確認をします。そのため事業用資金目的である場合、赤字経営の可能性から銀行が手控えることも。一方で事業用資金の融資を積極的に行っているノンバンクもあります。
但し、融資を受ける際にはわかりやすい資金繰り状況であることを共有する必要があります。しっかりとしたビジネス上の背景を説明できれば、不動産担保ローンの金利を低くすることができる可能性があります。
不動産担保ローンを低金利で借り入れする秘訣
不動産担保ローンに限らず、ローンは借りるのがゴールではなく、以後の返済期間を見据える必要がありますが、返済負担を軽くするためにはできるだけ低金利でローンを利用する必要があります。低金利を引き出すための条件について確認しておきましょう。
不動産担保ローン会社を比較する
不動産担保ローンを提供している金融機関には銀行系・ノンバンク系があり、それぞれに特徴があります。金融機関各社の不動産担保ローンの金利や諸費用、融資上限額、融資期間をチェックし、ご自身の信用情報と担保となる不動産価値を基に、融資条件を複数の金融機関で比較・検討しましょう。
返済額は収入に対して余裕のある金額に設定する
希望融資額が担保掛目を超過していたり、長期間の固定金利を選択するとローン金利の上昇を招いてしまいます。返済計画を確認し、返済額が担保価値や収入に対し過大な状態にならないように設定しましょう。
不動産担保ローン担当者にアピールする
不動産の評価額は原価法や収益還元法、実際の売買事例を参照するなどし、金融機関によって独自の方法で算出しています。しかし、不動産は2つとして同じものがないため、これらの方法では所有者などしか知り得ない情報は反映することができません。
建物のリフォームやメンテナンス履歴のほか、土地周辺の開発予定により利便性の向上や地価の上昇が見込まれる場合は不動産担保ローンの担当者に伝えておくと良いでしょう。
また目的が事業用資金調達である場合は、帳簿や事業計画書などしっかりとした経営状況の書類を用意のうえ、会社の運営資金が必要な理由を説明できれば、貸し手側の安心材料となり、金利を抑えた条件を引き出しやすくなります。
おわりに
不動産担保ローンは、万が一の際でも金融機関としては元金の回収が行いやすくリスクが低いため、低金利での融資をすることが可能となっています。
銀行系は、ローン金利が比較的低いですが融資審査が厳しいなどのデメリットがあり、ノンバンク系は金利がやや高めですが独自の融資基準を設けているため、ローン契約者の属性に懸念がある場合でもローンを利用できる場合があります。
また不動産担保ローンは、担保不動産の評価額や金利タイプを変動・固定のどちらを選ぶかでも変化します。検討項目が多くあり、またその時の経済情勢や担当者の判断によって金融機関各社で条件が大きく変動する可能性があるため、複数の金融機関に相談し、条件をよく比較・検討することが大切です。
セゾンファンデックスは不動産担保ローンを20年以上取り扱っており、さまざまな条件での不動産担保ローンの実績が豊富です。
ほかの金融機関に申し込んで断られた場合や、返済計画や融資期間について懸念がある場合でも柔軟な対応を受けられるため、不動産担保ローンの利用を検討されているのであれば、ご相談をしてみることをおすすめします。