このコラムをお読みいただいている皆さまの中で、「自分なりの理想の人生」を実現し続けられている方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。自分の望む結果を手に入れることができている方とそうでない方では一体どのような違いがあるのでしょうか。私がこれまでに1,000件以上のコンサルセッションを行ってきた中で、その両者の「違い」と、それぞれにおける共通点が存在することが徐々に見えてきました。
もし、あなたが望む現実をまだ手に入れられていないとしたら、それはなぜ手に入れられていないのか、あなたが望む現実を手に入れるためにこれから何をしていけばいいのかが、このコラムを読み終わる頃にはきっと見えてくるようになるのではないかと思います。今回のコラムがあなたの望む現実を手に入れるための一助になれれば幸いです。
1.望む結果を出せていない人に共通する傾向
まずはじめに、自分が望む結果を出すためには必ず知っておかなければならない大前提があります。
それは「物事には変えられることと変えられないことがある」ということです。
「そんなこと当たり前じゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そんな当たり前の事であっても知ってはいるけど分かっていない人が少なくありません。
私がこれまで数多くの方の相談に乗らせていただいてきた中で、思うような結果を手に入れられていない人ほど、変えられないこと(定数)にフォーカスしている人が多い傾向があるということが見えてきたのです。
一方、自分の人生を思うように生きられている人は、自分のできること、変えられること(変数)にフォーカスしています。
これが望む結果を手に入れている方とそうでない方との、両者の違いのひとつです。
- 定数=自分ではどうしようもできないこと、変えられないこと
- 変数=自分のできること、変えられること
定数と変数のどちらにフォーカスするのかによって、得られる結果は大きく変わってきます。
私たちは変えられることを変えることしかできません。だからこそ、望む結果を出すためには「変数」にフォーカスする必要があります。
2.W杯ドイツ戦の決勝ゴールに見えたもの
みなさんはサッカーワールドカップをご覧になられたでしょうか。
日本は11月23日、1次リーグの初戦でドイツと対戦しました。優勝候補と目される強豪との一戦は、下馬評では不利と見られていたにもかかわらず、結果は2対1で日本代表が逆転勝利を収めました。
この試合で決勝ゴールを決めた浅野拓磨選手(以下、浅野選手)は一躍ヒーローとなりましたが、彼が今大会に出場し、華々しい決勝ゴールを決めるまでのストーリーを知ると、今回私が皆さまにお伝えしようとしていることがよりお分かりいただけるのではないかなと思います。
今から遡ること4年前、実は浅野選手はワールドカップの大会直前に日本代表メンバーから外されています。
当時のことを問われると、「本当に言葉にできないような悔しさで、今だから言えますが他の選手に対して『活躍するな』とか、チームに対しても『勝ち上がるな』とか思ってしまう自分もいた」と、当時の複雑だった心境を明かしています。
しかし浅野選手は「4年後はすぐに来る」と気持ちを切り替えると、専属のトレーナーやシェフを雇い、それまでは自己流で行ってきたトレーニングや食事を全て見直しました。
先ほどもお伝えしましたが、望む結果を出すためには「変数」にフォーカスする必要があります。
つまり、理想と(理想ではない)現実の間に、何が必要なのか、何が足りていないのかを見極めて入れ込むことで、理想とする現実を実現できるのかを考えることが大切なのです。
浅野選手は、「ワールドカップ出場メンバーに選ばれる」という理想と、「ワールドカップ出場メンバーに選ばれなかった」という理想ではない現実の間に、何を入れ込むと理想の現実を実現することができるのか、どうすれば出場メンバーに選ばれる状態になれるのかを考え、トレーニングや食事といった「変数(自分のできること、変えられること)にフォーカスし続け、この4年という歳月を過ごしてきたのです。
その結果、4年前に味わったサッカー人生最大の屈辱を晴らし、今大会では見事にワールドカップの日本代表入りという現実を手繰り寄せました。
更に、ドイツ戦では華々しく決勝ゴールを決めるという結果も出した浅野選手ですが、試合直後のインタビューで「対戦相手は関係なくて、僕は意識してなくて。どの相手でも自分がピッチに立てば100%プレーする。それだけを意識していた。チャンスがあればシュートを打つことはずっと決めていた。その前にもいくつかチャンスがあって、それが結果に最後につながったかなと思います」と語っています。
ワールドカップの日本代表選手に選出されるまでも、実際に試合に出場してからも、自分にできること・変えられることは何なのかといった「変数」に如何にフォーカスして挑んでいたのかがこのコメントからもお分かりいただけると思います。
3.望む結果を手にするための唯一の手立てとは
今回の話の中で、是非押さえておいていただきたいとても重要なポイントがあります。
それは、「変数」にフォーカスして行動したからといって、必ずしも望む結果が手に入るというわけではないということです。
私たちは、結果をコントロールすることはできません。あくまで私たちにできることというのは、自分のできることである「変数」にフォーカスすることであり、望む結果を手に入れられる確率を上げることしかできないのです。
今回の浅野選手のストーリーを見てみると、確かに「変数」にフォーカスして行動し続けてきたことが、結果的にワールドカップ出場メンバーに選ばれ、さらには決勝ゴールを決めるという理想の結果につながってはいますが、これもあくまでひとつの結果でしかありません。
もしかすると、ゴールを決められていなかったという結果や、ましてやメンバーにさえも選ばれなかったという結果が出てしまっていた可能性もあったわけです。
しかし、「変数」にフォーカスし、自分のできる限りのことを全てやり抜き、自分の望む結果を得ることができる確率を最大限に上げた結果、あの感動的な素晴らしい結果を手繰り寄せたのです。
故に浅野選手の出した今回の結果には、食事やトレーニングといった目に見える領域の影響だけではなく、「運」などといったような目に見えない領域の要素も実際には絡んできてしまうのですが、ここの部分に関しては別の機会に詳しくお伝えできればと思います。
ちなみに「変数」にフォーカスするというのは、あくまで自分でコントロールできること、自分がやろうと思ったらできるといったような、「今」この瞬間からできることを指しています。
今回の浅野選手でいえば、「代表選手に選ばれる」というのは、監督が決めることなので浅野選手自身ではコントロールできない領域です。
そんな中で「代表選手に選ばれる」という結果を得たいのであれば、監督から選ばれる確率が上がるような「何か」をする必要があります。そのときに大事なのが「変数にフォーカスする」ということなのです。
浅野選手は今すぐ自分にできることとして食事やトレーニングを見直しましたが、栄養管理をするためのシェフを雇ったからといって、トレーナーをつけたからといって、必ずしも代表選手に選ばれるという保障はありません。
それでも「代表選手に選ばれる」という結果を得るためには、自分にできること・変えられること(変数)をひたすらにやるしかないのです。
だからこそ私たちにはひたむきにやり続けるといった努力が必要であり、「変数」にフォーカスし、行動し続け、それによって得られた結果と、今やっている方法で上手くいっているのかを常に見合わせ、より望む結果を得るための確率を上げられるようにやり続けなければならないのです。
さあ、あなたが望む結果を手に入れる確率を上げるために、「今」この瞬間からできることは何でしょうか。今回のコラムがみなさんの望む結果を手に入れるためのヒントとなれば幸いです。
おわりに
今回のW杯で浅野拓磨選手が見せた素晴らしい結果からも分かるように、やはり望む結果を手に入れられている人ほど「自分にできること、変えられること」といった、「変数」にフォーカスし、とことん行動し、やり抜いていますよね。あなたが今、望む結果を手に入れられていないと感じているのであれば、日々行っている行動が「自分にできること、変えられること」にちゃんとフォーカスできているか、今一度見直してみてはいかがでしょうか。案外どうしようもできないことを何とかしようとしていることで、ストップがかかっているのかもしれません。そういう方ほど、「変数」にフォーカスした瞬間に、望む結果に向けて一気に現実が動き出すかもしれませんよ。さぁ、あなたが今やろうとしている行動は「変数」でしょうか、それとも「定数」でしょうか。あなたの望む結果を手に入れられる日が来ることを陰ながら応援しております。