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親が亡くなったらすること一覧|死亡後の手続きを順番に解説!

親が亡くなったらすること一覧|死亡後の手続きを順番に解説!
セゾンのくらし大研究 編集部

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親が亡くなった際、遺された家族は、深い悲しみに暮れる中でも、葬儀の準備や行政手続きなど、やるべきことが山積みとなります。「いったい何から手をつければいいの?」と途方に暮れる人も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、親が亡くなった直後から行うべき手続きを、時系列で詳しく解説します。また、最後には離れて暮らす親の「もしも」に備えて利用したいサポートサービスの検討も必要です。ぜひ参考にして、万が一の際に慌てることのないよう準備しておきましょう。
(本記事は2024年7月19日時点の情報です)

この記事を読んでわかること
  • 親が亡くなった直後から、死亡診断書の発行手続きや近親者への連絡など、やるべきことが多岐にわたる
  • 葬儀社の選定や葬儀の打ち合わせ、死亡届の提出、火葬許可証の取得など、亡くなってから7日目までに行う手続きがある
  • 世帯主変更届や健康保険・介護保険の資格喪失届、年金の受給停止、各種サービスの解約など、亡くなってから14日目までに対応すべき手続きがある
  • 相続人調査や遺産分割、相続税の申告・納付、相続登記など、遺産相続に関する手続きは死亡から14日目以降に行う

親が亡くなったらすること【1日目】

親が亡くなったらすること【1日目】

親が亡くなった当日は、大切な人を失った悲しみに暮れている暇もなく、行わなければならない手続きがたくさんあります。

ここでは、死亡当日に対応しなければならない手続きについて詳しく解説します。

死亡診断書の発行手続き

親が亡くなったら、まず死亡診断書の発行手続きを行います。一般的には亡くなった病院の医師が作成し、病院や介護施設が発行します。病気で自宅で亡くなった場合は、かかりつけ医に連絡して死亡診断書の作成について相談してみましょう。死亡診断書の発行は医療機関が独自に決めることができるため、幅があります。平均的には5,000円程度が相場とされています。

持病がなく、死因が不明の突然死や事故死、自死などの場合は、警察に連絡して死体検案書を作成してもらう必要があります。死体検案書の発行手数料は、地域差がありますが30,000〜100,000円程度が相場とされています。また、ゴールデンウィークやお盆・年末年始を含む日曜・休日・祝日などの医療機関が休診日及び夜間対応時には、割増料金となる場合がありますので注意が必要です。

近親者へ連絡

親が亡くなったという訃報は、家族や親戚など近親者にすみやかに伝える必要があります。訃報の連絡は、基本的に喪主が行います。三親等くらいまでの親族、さらに故人の親しい勤務関係者などにも連絡しましょう。

連絡はメールよりも電話が望ましく、特に年配の方はメールでの連絡を不謹慎に感じる可能性もあるため注意が必要です。

葬儀社を選ぶ・葬儀の打ち合わせ

葬儀社の選定も、死亡当日に行うべき重要なタスクです。葬儀社が未定の場合は、病院のソーシャルワーカーに相談したり、自ら複数の葬儀社に問い合わせたりして、葬儀社を決定します。

葬儀社が決まったら、以下のような項目について打ち合わせを行います。

  • 通夜・葬儀の日程、会場
  • 宗教・宗派、読経を依頼する僧侶
  • 参列者の予定人数
  • 遺体の搬送、安置、納棺
  • 祭壇や受付の設営、葬儀の進行
  • 遺影写真の手配
  • 会葬礼状の手配
  • 会計 など

遺体搬送

遺体の搬送手続きも、死亡当日に行います。病院の霊安室に安置できる時間は一般的に数時間程度なので、あらかじめ遺体の安置先を決めておく必要があります。

自宅に安置スペースがない場合や、マンションのエレベーターが使えないなどの理由で搬入が難しい場合は、葬儀社の安置施設の利用を検討しましょう。

親が亡くなったらすること【7日目まで】

親が亡くなったらすること【7日目まで】

親が亡くなってから1週間は、葬儀や火葬など、喪主を中心に慌ただしい日々が続きます。ここでは、亡くなってから7日目までに行うべき主な手続きについて解説します。

死亡届の提出・火葬許可証の取得

死亡診断書を受け取ったら、その左半分にある死亡届に必要事項を記入し、役所に提出します。死亡届の提出期限は、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡した場合は3か月以内)です。

死亡届と一緒に火葬許可申請書を提出すると、市区町村から火葬許可証が発行されます。

ただし、多くの場合、死亡届と火葬許可証の手続きは葬儀社が代行してくれます。事前に葬儀社に確認し、もし代行をお願いする場合は必要書類を渡しておきましょう。

葬儀・初七日法要

死亡から2〜3日の間に、通夜と葬儀・告別式を執り行います。一般的に、通夜は死亡2日目の夕方から夜にかけて、葬儀は3日目の午前中に行われます。

葬儀では、参列者が焼香を行い、僧侶が読経します。その後、出棺となり遺体を火葬場に移送し、荼毘に付します。

初七日法要は本来死亡から7日目に行うものですが、最近は葬儀と同日に済ませるのが一般的です。初七日では、亡くなった人の冥福を祈るとともに、49日法要や年忌法要など、その後の法要のスケジュール決めも行います。

親が亡くなったらすること【14日目まで】

親が亡くなったらすること【14日目まで】

葬儀が終わって一段落ついたら、各種行政手続きや公共料金の解約など、やるべきことがまだまだたくさん残っています。ここでは、死亡から2週間以内に行うべき主な手続きを解説します。

世帯主変更届を提出

亡くなった親が世帯主だった場合、死亡日から14日以内に市区町村の役所に「世帯主変更届」を提出します。世帯主変更届は死亡届と一緒に提出するのが一般的です。

ただし、次のような場合は手続き不要です。

  • 世帯に残ったのが1人だけで新しい世帯主が明白な場合
  • 世帯に残ったのが新たな世帯主となる人物と15歳未満の子供だけの場合
  • 亡くなった人が一人暮らしで世帯に誰も残っていない場合

健康保険の資格喪失届を提出

亡くなった人が加入していた健康保険の資格喪失届を提出する必要があります。手続きや必要書類は加入していた健康保険によって異なるため、注意が必要です。

  • 会社の健康保険に加入していた場合:勤務先に連絡し、死亡退職の手続きをしてもらう(※)
  • 国民健康保険の場合:市区町村の国民健康保険担当窓口に届出
  • 後期高齢者医療制度の場合:市区町村の後期高齢者医療担当窓口に届出

また、亡くなった人の扶養に入っていた家族は、被保険者の死亡によって資格を失うことになります。新たに自分で国民健康保険に加入するか、勤務先の健康保険の扶養に入るなどの手続きが必要になります。

※会社員の場合は「死亡後5日以内」に会社経由で資格喪失届を提出する必要があります。

介護保険の資格喪失届を提出

親が要介護認定を受けて介護保険のサービスを利用していた場合、死亡日から14日以内に市区町村の介護保険担当窓口に資格喪失の届出をする必要があります。

死亡に伴って介護保険の資格を喪失すると、介護保険料の清算が行われます。保険料の未納分は相続人が納めることになり、逆に保険料の過払いがある場合は還付されます。

年金の受給停止

故人が年金を受給していた場合、年金事務所に「受給権者死亡届」を提出し、受給の停止手続きをします。提出期限は国民年金の場合14日以内、厚生年金と共済年金の場合10日以内です。

年金受給の停止手続きを怠ると、亡くなった後も年金が支払われ続けてしまいます。知らずに使ってしまうと不正受給になるため、注意が必要です。

公共料金や電話など各種サービスを解約

役所での手続きがひと通り済んだら、亡くなった人名義の公共料金(電気・ガス・水道など)の解約や、固定・携帯電話、インターネットなどの解約手続きを進めましょう。

放置しておくと料金が発生し続けるので、できるだけ早めに手続きすることをおすすめします。ただし、火葬後に実家の片付けをする予定があるなら、その期間は電気や水道を継続しておくのもよいでしょう。

遺産相続に関する手続き【15日目以降】

遺産相続に関する手続き【15日目以降】

親の死から2週間が経過し、葬儀や早急に対応すべき行政手続きがひと段落したら、いよいよ本格的な相続手続きが始まります。

預貯金や不動産、株式など、亡くなった親の財産を相続するには、さまざまな手続きが必要です。期限を守って計画的に進めていきましょう。

相続人調査・財産調査

まずは、誰が相続人になるのかを調べる「相続人調査」と、被相続人(亡くなった人)がどのような財産を残したのかを調べる「財産調査」を行います。

相続人調査では、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本等を集めます。相続人の範囲を確定させ、相続人全員の戸籍謄本も取得しておくことが大切です。

財産調査では、被相続人名義の預貯金や株式、保険、不動産などがないか、金融機関や関係各所に問い合わせて調べます。預貯金であれば金融機関から「残高証明書」を発行してもらい、不動産であれば法務局から登記事項証明書を取得しましょう。

遺言書の有無を確認

被相続人が生前に遺言書を残していたかどうかも重要なポイントです。自宅や金融機関の貸金庫をよく探してみましょう。

もし遺言書が見つかったら、家庭裁判所で「検認」の手続きを行います。検認を経た遺言書の内容に従って財産の分配を行うため、遺産分割協議は不要になります。

相続放棄や限定承認の検討

被相続人に多額の借金があることが判明した場合など、「相続放棄」や「限定承認」といった選択肢も検討しましょう。

相続放棄とは相続そのものを拒否することで、被相続人の財産も借金も引き継がなくて済みます。限定承認とは、相続財産の範囲内でのみ被相続人の債務を弁済する手続きです。活用にはデメリットもあるため、メリット・デメリットを十分考慮して判断しましょう。

いずれも家庭裁判所に申し立てる必要があり、期限は「相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」です。

遺産分割

遺言書がない場合、相続人同士で話し合いを行い、誰がどの財産を相続するかを決める「遺産分割協議」を行う必要があります。協議の内容は「遺産分割協議書」にまとめ、相続人全員が署名・押印します。

遺産分割協議が整わない場合は、家庭裁判所に調停を申し立て、調停委員を交えて話し合う「遺産分割調停」を行います。それでも合意に至らない場合は、家庭裁判所が「遺産分割審判」で分割方法を決めることになります。

相続税の申告・納付

相続した財産の総額が「基礎控除」を超える場合には、相続税の申告と納付が必要です。申告・納付の期限は被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内です。

相続税の計算は非常に複雑で、さらに物納制度などさまざまな特例があります。申告漏れや計算誤りがあると、加算税や延滞税を課されるため、専門家に依頼することをおすすめします。

相続登記

最後に、相続した不動産の名義変更(相続登記)を行います。2024年4月からは、原則として被相続人の死亡後3年以内に相続登記をしなければ罰則が科されることになりました。必要書類を整えて、期限内に手続きを行いましょう。

おわりに 

親が亡くなった際の手続きは多岐にわたり、期限も定められているため、何から手をつけていいのかわからず不安になることも多いでしょう。しかし、この記事を参考に、死亡当日から行うべき手続きを順を追って進めていけば、漏れなく対応することができます。

また、遠方に住む親の万が一の事態に備えて、包括的なサポートサービスを利用することも検討すべきです。サポートを受けることで、いざという時に慌てることなく、親の意思を尊重しつつ、しっかりとエンディングを迎えることができるでしょう。

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