高齢者の一人暮らしや離れて暮らす親御さんの安全を見守るために、「見守り・駆けつけサービス」の需要が高まっています。緊急時の通報や定期的な訪問、さらには最新のカメラやセンサー技術を活用したサービスまで、その種類は多岐にわたります。
この記事では、各種サービスの特徴や行政と民間の違い、選び方のポイントについて詳しく解説します。大切な家族が安心して暮らせるために、最適なサービスを選ぶ参考にしてください。
- 高齢者の見守り・駆けつけサービスには、緊急通報型からGPS型まで7つの異なるタイプがあり、高齢者の状況や必要性に応じて選択できる
- 行政サービスは低コストだが条件付きであるのに対し、民間サービスは24時間対応など手厚いサポートが特徴だが費用は比較的高額となる
- サービス選びでは、必要なサポート体制、見守り頻度、利用者の希望、料金の4つのポイントを確認することが重要である
- 高齢者の見守り・駆けつけサービスは、病気やケガの早期発見、犯罪防止、生きがい創出、孤独死リスク軽減など、複数の重要な役割を果たす
高齢者見守り・駆けつけサービスとは?
近年、一人暮らしの高齢者が増加する中で、離れて暮らす家族の「もしも」への不安を解消する高齢者見守り・駆けつけサービスが注目を集めています。
このサービスは、日常的な見守りに加えて、緊急時には警備員が現場に駆けつける体制を整えた総合的な見守りシステムです。例えば、高齢者が急な体調不良や転倒事故に遭った際、専用の緊急通報ボタンを押すだけで、24時間365日体制で警備スタッフが自宅に駆けつけます。
一方、駆けつけのない見守りサービスも提供されています。これらは主にセンサーやカメラ、家電などを活用して高齢者の日常生活を確認するタイプです。例えば、冷蔵庫の開閉状況から生活リズムを把握したり、電気ポットの使用履歴から安否を確認したりすることができます。
高齢者見守り・駆けつけサービスの主な違いは、緊急時の対応力にあります。駆けつけサービス付きの場合、異常を検知した際にすぐに専門スタッフが現場へ向かい、必要に応じて救急車の手配なども行います。これに対し、駆けつけのないサービスでは、異常を検知した際は家族への通知が主な対応となります。
見守りサービスを選ぶ際は、高齢者本人の生活スタイルや健康状態、また家族が望む安心度に応じて、適切なサービスを選択することが重要です。特に、持病があったり、過去に転倒事故の経験がある場合は、駆けつけ対応付きのサービスを検討する価値があるでしょう。
高齢者見守り・駆けつけサービスの種類
高齢者の見守りサービスには、さまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。ご家族の状況や必要性に応じて、最適なサービスを選択することが大切です。
以下の表では、各サービスの特徴をまとめてみました。
タイプ | サービス内容例 | 見守る方法 | こんな方におすすめ |
---|---|---|---|
緊急通報型 | 24時間365日の緊急対応、専門スタッフの駆けつけ | ボタン一つで緊急通報 | ・持病がある方 ・転倒リスクが高い方 ・緊急時の即応を望む方 |
訪問型 | 定期的な訪問による安否確認、生活状況の確認 | スタッフの直接訪問 | ・人との交流を望む方 ・定期的な見守りを希望する方 |
コミュニケーション型 | 定期的な電話での安否確認、健康相談 | オペレーターとの電話会話 | ・会話を通じた見守りを希望する方 ・孤独感の解消を望む方 |
カメラ型 | リアルタイムでの映像確認、双方向通話 | 設置カメラによる映像確認 | ・視覚的な確認を重視する方 ・遠隔での会話を望む方 |
センサー型 | 生活動線の把握、異常の早期発見 | 各種センサーによる動作検知 | ・プライバシーを重視する方 ・さりげない見守りを望む方 |
ロボット型 | 会話機能、スケジュール管理、服薬管理 | AIロボットとの対話・管理 | ・最新技術での見守りを望む方 ・生活支援機能も欲しい方 |
GPS型 | 位置情報の把握、行動範囲の確認 | GPS端末による位置追跡 | ・徘徊の心配がある方 ・外出時の見守りを望む方 |
緊急通報型
緊急通報型サービスは、24時間365日体制で専門スタッフが待機し、緊急時にはすぐに対応する体制を整えています。高齢者が急な体調不良や転倒事故に遭った際、専用のボタンを押すだけで助けを呼べる仕組みです。
このサービスの最大の強みは、専門スタッフによる迅速な対応です。通報を受けた専門スタッフがすぐに現場へ駆けつけ、必要に応じて救急車の手配も行います。特に、一人暮らしの高齢者にとって、いざというときの心強い味方となります。
一方で、費用面では他の見守りサービスと比べて高額になる傾向があります。また、高齢者本人が遠慮してボタンを押すことをためらったり、意識を失うような状況では通報できない可能性もあるという課題があります。
訪問型
訪問型サービスでは、郵便局員や宅配事業者など、地域をよく知るスタッフが定期的に訪問し、直接対面で安否確認を行います。高齢者の健康状態や生活環境を実際に目で見て確認できることが特徴です。
人との直接的なコミュニケーションを通じて、高齢者の孤独感を軽減できる効果も期待できます。また、地域に密着したスタッフによる訪問は、高齢者にとって安心感があります。
ただし、訪問は決められた時間や曜日に限定されるため、緊急時の即時対応は難しいという制限があります。また、訪問するスタッフとの相性によっては、サービスの満足度に影響する可能性もあります。
コミュニケーション型
コミュニケーション型サービスは、専門のオペレーターが定期的に電話をかけ、安否確認や体調チェック、日常的な会話を通じて心身の状態を把握します。電話という馴染みのある手段を使うため、高齢者も抵抗なく利用できます。
日々の会話を通じて生きがいを感じられ、孤独感の解消にも効果的です。また、機械操作が不要なため、高齢者が簡単に利用できるという利点があります。
しかし、このサービスでは緊急時にすぐに対応できないことがあります。また、難聴の方は利用が難しく、電話越しでは表情が見えないため、詳しい状況把握が困難な場合もあります。
カメラ型
カメラ型サービスは、実家に設置したカメラを通じて、離れて暮らす家族がリアルタイムで様子を確認できるシステムです。映像を通じて日常生活や異変をすぐに把握でき、双方向での会話も可能です。
リアルタイムでの状況確認ができ、防犯対策としても活用できます。また、録画機能により過去の映像も確認可能で、生活パターンの変化なども把握できます。
一方で、プライバシーへの配慮が必要です。常時カメラで撮影されることに精神的な負担を感じる高齢者もいます。また、設置場所によっては死角ができる可能性もあります。
センサー型
センサー型サービスは、ドアの開閉や電気の使用状況、トイレの利用頻度などを検知し、生活の様子を間接的に把握するシステムです。カメラを使用しないため、プライバシーを守りながら見守りができます。
センサーが異常を検知すると家族に通知が届くため、普段と異なる状況をすぐに把握できます。生活リズムの変化も確認できるため、健康状態の変化にも気付きやすいでしょう。
デメリットとしては、センサーの誤作動の可能性があることや、緊急時の即時対応が難しい点が挙げられます。また、センサーの種類によっては得られる情報が限定的になることもあります。
ロボット型
ロボット型サービスは、AI搭載のコミュニケーションロボットを実家に設置し、日常会話を楽しんだり、スケジュール管理や服薬時間のお知らせなど、親の生活を総合的にサポートします。
親しみやすいデザインと対話機能により、高齢者の孤独感を解消しながら、生活をサポートできます。予定管理や情報提供、リマインド機能など、多機能な支援が可能です。
ただし、操作方法を覚えるまで時間がかかる場合があり、通信が安定しないこともあります。また、機械トラブルが発生する可能性もあるため、定期的なメンテナンスが必要です。
GPS型
GPS型サービスはGPS機能で利用者の居場所を検知するシステムで、特に認知症による徘徊が心配な方に適しています。常に位置情報を把握できるため、外出時の安全確保に役立ちます。
通常の外出時も含め、高齢者の現在位置をリアルタイムで確認できることが最大の特徴です。位置情報の履歴から、行動パターンの変化なども把握できます。
デメリットとしては、GPSデバイスを常に携帯する必要があることです。また、地下や建物内などGPS電波が届きにくい場所では、正確な位置情報が取得できない場合があります。
【高齢者見守り・駆けつけサービス】行政と民間の違い
高齢者の見守りサービスには、行政が提供する公的サービスと、民間企業が提供する商用サービスがあります。それぞれ特徴や利用条件が異なるため、ご家族の状況に応じて適切なサービスを選択することが重要です。
行政の高齢者見守り・駆けつけサービス
地方自治体では、高齢者の単身世帯や孤独死の増加に対応するため、さまざまな支援サービスを展開しています。これらのサービスは比較的低コストで利用できる一方で、利用条件が定められている場合が多いのが特徴です。
地域包括支援センターでは、高齢者の医療・福祉・介護に関する相談を受け付けており、行政サービスについての情報提供も行っています。
民生委員や地域住民のボランティア
地域に根差した見守り活動の中心となるのが、民生委員や地域住民によるボランティアです。民生委員は厚労大臣から委託された相談員として、介護や子育ての支援を行います。
定期的な訪問を通じて高齢者の安否確認を行い、異変があった場合には適切な対応につなげる役割を担っています。費用は原則として無料ですが、訪問頻度は地域によって異なります。
介護サービス
要支援・要介護認定を受けた高齢者は、介護保険を利用してサービスを受けることができます。要介護1から5の認定者は介護サービス、要支援1・2の認定者は介護予防サービスの利用が可能です。
サービスの利用を検討する際は、自治体の介護保険窓口や地域包括支援センターに相談することをおすすめします。早めに家族間で話し合い、必要に応じて認定申請を行うことが大切です。
民間の高齢者見守り・駆けつけサービス
民間企業が提供する見守りサービスは、24時間365日の対応や緊急時の駆けつけなど、より手厚いサポートが特徴です。利用料金は行政サービスと比べて高めですが、迅速な対応が可能です。
セキュリティ会社
セキュリティ会社のサービスは、センサーやカメラなどの機器を活用して24時間体制で見守りを行います。高齢者の自宅に異変を感知した際は、警備員が現場に駆けつけて状況を確認します。
必要に応じて救急車や消防車の手配も行うため、緊急時の対応力が高いことが特徴です。独居高齢者の身に異変が起きた際の早期発見と迅速な対応が期待できます。
配食会社
配食サービスを通じて、スタッフが定期的に高齢者宅を訪問し、安否確認と健康状態のチェックを行います。食事の提供と同時に見守りを行うため、自然な形でサポートができます。
高齢者向けの栄養バランスの取れた食事を提供するとともに、健康や食生活に関する相談にも応じるなど、きめ細かな対応が可能です。
郵便局や電力会社など
ライフライン事業者による見守りサービスでは、職員が定期的に高齢者宅を訪問して状況を確認します。郵便局員や電力会社のスタッフといった、普段から地域に密着した事業者による見守りは、高齢者にとって安心感があります。
自治体と連携したサービスでは、緊急時の連絡体制や駆けつけ対応を利用することも可能です。職員が異変に気付いた際は、すぐに対応できる体制が整えられています。
迷ったらここをチェック!見守り・駆けつけサービスの選び方4選
高齢者の見守りサービスには多くの選択肢があり、どのサービスを選べばよいか迷うことも多いでしょう。
ここでは、サービス選びで重要となる4つのポイントについて解説します。適切なサービスを選ぶことで、高齢者本人と家族双方が安心して過ごせる環境を整えることができます。
必要なサポート体制が整っているか
サービスを選ぶ際は、まず緊急時の対応体制を確認することが重要です。持病があったり、過去に転倒事故の経験がある方の場合は、24時間体制で専門スタッフが駆けつけるサービスの導入を検討しましょう。
緊急時の通報システムは、ボタン一つで救助を要請できる仕組みが整っているものが理想的です。また、救急車の手配や救急隊への情報提供など、万が一の事態にも対応できる体制があるかどうかも確認するポイントです。
見守り頻度は適切か
日常的な見守りの頻度は、高齢者の健康状態や生活パターンに合わせて選択する必要があります。月に数回程度の安否確認で十分な方もいれば、数時間おきの確認が必要な方もいます。
例えば、比較的元気で自立した生活を送れる方であれば、月1回程度の訪問型サービスで十分かもしれません。一方で、健康面での不安が大きい方には、センサーやカメラを活用した常時監視型のサービスが適しているでしょう。
利用者の希望に沿っているか
見守りサービスを選ぶ際は、高齢者本人の意向を尊重することが大切です。日常生活に溶け込むような自然な見守りを望む方もいれば、積極的なコミュニケーションを期待する方もいます。
カメラによる見守りに抵抗を感じる方には、センサー型や電気ポットなどの家電を活用したサービスがおすすめです。また、人との交流を望む方には、定期的な訪問や電話による見守りサービスが適しているでしょう。
料金は予算内か
見守りサービスの料金は、サービス内容や提供会社によって大きく異なります。駆けつけ対応付きの24時間見守りサービスは月額数千円から、センサー型の見守りサービスは月額千円程度からと、幅広い価格帯があります。
緊急時の対応を重視するなら、多少費用が高くても警備会社による駆けつけサービスを選ぶことをおすすめします。一方で、予算に制限がある場合は、自治体の見守りサービスや、比較的安価な民間サービスの活用を検討してみましょう。
高齢者見守り・駆けつけサービスはなぜ必要?
高齢化社会が進む中、一人暮らしの高齢者も年々増加しています。離れて暮らす家族にとって、高齢の親の健康や安全を確保することは大きな課題となっています。
ここでは、高齢者の見守り・駆けつけサービスが必要とされる理由について解説します。
病気やケガをしたときのため
一人暮らしの高齢者にとって、突然の体調不良や転倒事故は深刻な問題です。誰もそばにいない状況で倒れてしまうと、発見が遅れて症状が重症化するリスクがあります。
特に、認知症の初期症状は本人が気付きにくく、異変に気付いたときには進行している可能性もあります。見守りサービスを利用することで、日々の生活パターンから異変を早期に発見し、適切な対応につなげることができます。
高齢者を犯罪から守るため
近年、高齢者を狙った還付金詐欺や振り込め詐欺などの特殊詐欺が増加しています。65歳以上の高齢者が狙われやすく、年齢が上がるほどその危険性は高まります。
悪徳訪問販売事業者による高額商品の契約被害も後を絶ちません。地域で孤立している高齢者は、このような被害に遭っても誰にも相談できず、問題が深刻化することがあります。見守りサービスを通じて定期的な接点を持つことで、被害の予防や早期発見につながります。
生きがいのため
人との交流を持ち、社会参加することは、高齢者の生きがいづくりに重要な役割を果たします。専門家によると、社会参加の機会が多いほど生きがいを感じやすく、それが健康状態の維持・改善にもつながるといわれています。
見守りサービスを通じた定期的な訪問や会話は、高齢者の孤独感を和らげ、日々の生活に張りを持たせる効果があります。コミュニケーション型のサービスは、単なる安否確認以上の意味を持つのです。
孤独死のリスク軽減のため
一人暮らしの高齢者にとって、孤独死は身近な問題となっています。実際、60歳以上の一人暮らしの方の半数以上が孤独死を身近な問題として捉えているというデータもあります。
病気やケガの発見が遅れることで、最悪の事態を招く可能性もあります。見守りサービスを利用することで、異変の早期発見が可能となり、孤独死のリスクを大きく軽減することができます。
定期的な安否確認と緊急時の迅速な対応体制を整えることは、高齢者の安全な暮らしを支える重要な要素となっています。
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おわりに
高齢者の見守り・駆けつけサービスは、離れて暮らす家族の不安を解消する重要な支援策です。一人暮らしの高齢者が増加する現代において、病気やケガ、事故、犯罪などのリスクから大切な家族を守るために、適切なサービスの選択が求められます。サービスの種類や特徴、行政・民間の違いを理解し、高齢者本人の希望や生活スタイルに合わせた見守り体制を整えることで、離れて暮らす家族も安心して日々を過ごすことができます。24時間体制の見守りと駆けつけ対応により、高齢者の安全で豊かな生活をサポートすることができるでしょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。