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在職老齢年金早見表|支給額の計算例や減額分を補完する方法を解説

在職老齢年金早見表|支給額の計算例や減額分を補完する方法を解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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在職老齢年金とは、年金月額と月収入額(総報酬月額相当額)の合計が50万円を超えたときに、老齢厚生年金の一部が減額される制度です。収入総額によっては、老齢厚生年金の全額が支給停止となる場合もあります。

老齢厚生年金が減額されたとしても、老齢基礎年金は減額されません。しかし、「在職老齢年金制度の対象になると、もらえるはずの年金がすべてなくなる」と思われている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、月収入額に応じてどれだけ老齢厚生年金がもらえるのかをまとめた早見表をベースに、パターン別の計算方法を解説します。在職老齢年金により少なくなった年金を補完する方法も紹介していますので、ぜひご一読ください。

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在職老齢年金早見表

在職老齢年金早見表

在職老齢年金では、賃金額(総報酬月額相当額)と年金月額の合計額が年度ごとに定められた支給停止調整額(支給停止額)を超えると、年金総額が減ります。減額されるのは、老齢厚生年金の一部または全額です。支給停止額を超えた金額の半分に相当する老齢厚生年金が減額、もしくは支給停止となります。支給停止額は定期的に変更されており、2024年は50万円です。

具体的には、減額されるのは、賃金額(総報酬月額相当額)と1ヵ月あたりに支給される年金を合計した額のうち、50万円を超えた部分の2分の1です。

在職老齢年金が適用された後の老齢厚生年金の支給額については、「年金の月支給額」と「賃金額(総報酬月額相当額)」に基づいて、以下に早見表を用意しました。年金額と賃金額がクロスした場所が、支給される老齢厚生年金の月額になります。赤い枠は、老齢厚生年金の減額が発生する組み合わせです。例えば、基本月額が10万円の場合、収入が40万円までは減額されませんが、45万円を超えると支給額は10万円ではなく7.5万円となります。

【在職老齢年金の支給額早見表】

  総報酬月額相当額(単位:万円)
15 20 25 30 35 40 45 50 55
基本月額(単位:万円) 4 4 4 4 4 4 4 4 2 0
6 6 6 6 6 6 6 5.5 3 0.5
8 8 8 8 8 8 8 6.5 4 1.5
10 10 10 10 10 10 10 7.5 5 2.5
12 12 12 12 12 12 11 8.5 6 3.5
14 14 14 14 14 14 12 9.5 7 4.5
16 16 16 16 16 15.5 13 10.5 8 5.5
18 18 18 18 18 16.5 14 11.5 9 6.5
20 20 20 20 20 17.5 15 12.5 10 7.5
22 22 22 22 21 18.5 16 13.5 11 8.5
24 24 22 22 22 19.5 17 14.5 12 9.5

※赤い枠が減額が発生する組み合わせ

なお、本表は2024年度の支給停止額を基準にして作成しています。支給停止額は定期的に変更され、実際に2025年度以降も見直す動きがあります。そのため、最新情報や数値はご自身でもご確認ください。

在職老齢年金支給額の計算方法

在職老齢年金は、以下の式で計算できます。

基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-支給停止額)÷ 2

在職老齢年金の計算自体はさほど難しくありませんが、数式に出てくる値の計算が少し複雑です。下表は、数式に出てくる値の説明になります。

数式の用語内容
基本月額加給年金額を除いた老齢厚生年金(公務員は退職共済年金)のうち、報酬比例部分の月額
報酬比例部分・年金の加入期間や過去の報酬等に応じて決まる
・平成15(2003)年3月以前と同年4月以降で計算式が異なる
総報酬月額相当額標準報酬月額  + その月以前1年間の標準賞与額の合計 ÷ 12
支給停止額・年度ごとに変更される
・令和5(2023)年度:48万円
・令和6(2024)年度:50万円
・令和7(2025)年度も変更される見込み

とはいえ、在職老齢年金は年金そのものよりも、計算式に当てはめる前の計算が大変です。自力で求めるよりも、先ほど紹介した「早見表」で確認することをおすすめします。

支給停止額の早見表

下記は「年金の月支給額」と「賃金額(総報酬月額相当額)」から見る、支給停止額の早見表です。年金額と賃金額がクロスした場所が、支給停止額になります。先ほどの「在職老齢年金早見表」と同様に、表内の赤い枠で減額が発生します。基本月額が10万円の場合、収入が40万円までは減額されません。しかし、45万円を超えると減額が発生します。

【支給停止額の早見表】

  総報酬月額相当額(単位:万円)
15 20 25 30 35 40 45 50 55
基本月額(単位:万円) 4 2 4
6 0.5 3 5.5
8 1.5 4 6.5
10 2.5 5 7.5
12 1 3.5 6 8.5
14 2 4.5 7 9.5
16 0.5 3 5.5 8 10.5
18 1.5 4 6.5 9 11.5
20 2.5 5 7.5 10 12.5
22 1 3.5 6 8.5 11 13.5
24 2 4.5 7 9.5 12 14.5

※赤い枠が減額が発生する組み合わせ

老齢厚生年金の減額対象は、総報酬月額相当額と年金月額を足して50万円を超えた金額の2分の1です。総報酬月額相当額が50万円以上であれば、それだけで50万円を超えるため、年金月額が多く減額されてしまいます。

パターン別の支給額計算例

在職老齢年金は、以下の流れで計算します。

  1. 基本月額+総報酬月額相当額-支給停止額を計算する
  2. 1で出た金額を2で割り、減額分を算出
  3. 厚生年金の基本月額から減額分を引き、支給額を算出する

基本月額と総報酬月額相当額の合計が、支給停止額である50万円を下回っていれば、老齢厚生年金は全額支給となります。

問題は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が50万円を超えたときです。ここでは、50万円を超えたときに一部支給、および全額支給停止となるケースの計算例をそれぞれ紹介します。

基本月額の一部が支給されるケース

基本月額の一部が支給されるのは、上記1と2に表した計算式「基本月額+総報酬月額相当額-支給停止額 ÷ 2」の結果が基本月額未満となる場合です。厚生年金の基本月額が8万円、総報酬月額相当額が45万円のケースを例として、上述した計算式に当てはめて計算してみましょう。

求める額計算式金額
減額分の基礎となる金額
(基本月額+総報酬月額相当額-支給停止額)
8万円+45万円-50万円3万円
減額分3万円÷21.5万円
老齢厚生年金の支給額8万円-1.5万円6.5万円

基本月額が全額支給停止されるケース

「基本月額+総報酬月額相当額-支給停止額 ÷ 2」で算出した数値が基本月額を超えた場合、老齢厚生年金は全額支給停止となります。老齢厚生年金の基本月額が8万円、総報酬月額相当額が60万円のケースで計算した結果は下表のとおりです。

求める額計算式金額
減額分の基礎となる金額
(基本月額+総報酬月額相当額-支給停止額)
8万円+60万円-50万円18万円
減額分18万円÷29万円
老齢厚生年金の支給額8万円-9万円-1万円※

※減額分が基本月額を超えたため、支給額がマイナスとなり、全額支給停止となります。

すでに減額分が基本月額の8万円を超えているため、老齢厚生年金は全額支給停止となります。

在職老齢年金の概要

在職老齢年金の概要

在職老齢年金とは、60歳以上で年金を受給している方が、働きながら厚生年金保険に加入しているときに適用される制度です。在職老齢年金制度は、「一定以上の収入がある高齢者が働きながら年金を受給する場合、年金制度を支える側に回ってもらいたい」という考えに基づき、1965年に導入されました。

在職老齢年金により、賃金と年金の合計額が支給停止調整額(支給停止額)を超えると、停止額を超えた分の老齢厚生年金が支給停止となります。

老齢基礎年金は減額されない

年金(老齢年金)は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類で構成されています。在職老齢年金で減額されるのは「老齢厚生年金」で、「老齢基礎年金」は減額されません。

両者が分けられている理由は、年金制度にあります。日本の年金制度は「2階建て」とされており、国民が全員加入する「国民年金」=「老齢基礎年金」が1階部分です。老齢基礎年金は加入期間に応じて計算され、満額を受け取る場合は、2024年度で年額816,000円となっています。

一方、「老齢厚生年金」は、年金の2階部分です。企業の厚生年金や公務員の共済組合の加入者が受け取り、厚生年金(共済年金)に加入していた期間と報酬額に応じて増減します。

在職老齢年金制度で減額されるのは「在職中」の年金、すなわち老齢厚生年金です。在職老齢年金制度が適用されたとしても、国民年金である老齢基礎年金は減額されません。老齢厚生年金が減額された場合でも、加入期間や免除期間の有無に応じた老齢基礎年金が支払われます

パートやアルバイトでも適用される

在職老齢年金は正社員に限らず、パートやアルバイトでも厚生年金保険に加入しており、かつ厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が50万円を超える場合は適用されます。

パート・アルバイトをしていても厚生年金に未加入の場合は、在職老齢年金の対象から外れます。同様に、会社に属しておらず厚生年金に加入していない個人事業主も、対象には含まれません

なお、2024年12月現在、社会保険や厚生年金の加入対象が拡大される動きが出ています。最新情報は、厚生労働省のサイトやニュースなどでご確認ください。後述する「厚生年金に加入しない雇用形態で働く」の項目でも簡単に触れています。

支給停止になった在職老齢年金は繰下げ受給の対象外

「在職老齢年金で老齢厚生年金が減額または支給停止されるなら、繰下げ受給して数年後に増額した状態で受け取ればいいのでは?」と考える方もいるでしょう。しかし、在職老齢年金により支給停止になった金額分は、繰下げ受給の対象外となります。

繰下げ受給とは、本来は65歳になった月から受け取れる年金の支給開始を遅らせることにより、将来の支給額を増やす制度です。支給を遅らせる期間に応じて、1ヵ月ごとの支給額が0.7%増加します。増加率は支給を遅らせる期間が1年(12ヵ月)であれば8.4%(=0.7%×12ヵ月)、5年であれば42%(=0.7% × 60ヵ月)です。

繰下げ受給は、老齢基礎年金・老齢厚生年金それぞれに適用されますが、在職老齢年金で老齢厚生年金が一部支給停止になった場合、増額対象は実際に支給される分のみです。

例えば、10万円の基本月額が在職老齢年金により6万円に減額されたとします。この場合、実際に支給される6万円が繰下げ受給の対象です。6万円に繰下げ受給の増加率をかけて、将来の受給額が計算されます。繰下げ受給の手続きをしたとしても、支給停止になった4万円分は増額の対象外です

受給期間を12ヵ月繰り下げた場合の加算額および支給月額は、以下のとおりです。

区分対象金額加算額支給月額
対象6万円5,040円(=60,000×0.084)65,040円
対象外4万円0円40,000円

在職老齢年金は2025年度以降変わる見込み

在職老齢年金は2025年度以降変わる見込み

在職老齢年金は、2025年度以降に変更される見込みです。2024年11月25日に行われた第21回社会保障審議会年金部会(厚生労働省)では、現行制度に対し以下のような課題が提言されました。

  • 65歳以降も働く可能性を踏まえ、自分の人生設計に合わせて公的年金の受給期間を選択でき、選択により損得が発生しないような制度改正が必要
  • 在職老齢年金制度の廃止について、優先順位を高く考えて検討すべき
  • 就労抑制効果や48万円の壁といったものがあるのか分析し、現行制度の廃止も検討すべき

在職老齢年金に対する課題の提言を受け、2024年12月現在、制度の見直しが議論されています。2025年1月より開催される通常国会での法案提出を目指して検討中とのことです。制度改正の法案が成立した場合、2025年後半以降の施行が想定されます。

参照元:

在職老齢年金制度について|厚生労働省 第21回社会保障審議会年金部会

在職老齢年金制度の変更方針は2パターン想定されている

在職老齢年金制度の変更方針は2パターン想定されている

2024年11月25日に行われた社会保障審議会年金部会では、在職老齢年金への提言と併せて制度の見直し案が提示されました。在職老齢年金による「働き控え」を避けつつ、高齢者の活躍を後押しすることが狙いです。同部会では、見直し案として以下の2つのパターンが提示されました。

  • 支給停止額を62万円や71万円に引き上げる
  • 制度そのものを廃止する

資料によると、65歳以上で在職している年金受給権者の支給停止率は16%に及んでいるとのことです。さらに、内閣府が行った「生活設計と年金に関する世論調査」では「年金額が減らないように、就業時間を調整しながら会社などで働く」と回答した方の割合が44.4%でした。これらのデータからも、65歳以上の方が在職老齢年金の適用を避けるために就業時間を調整している傾向がうかがえます。

2024年12月には「自民党が『減額となる基準額を引き上げるべき』とする提言をまとめた」と報じられました。提言は「将来的には在職老齢年金の廃止を視野に入れつつ、見直しによって年金財政からの支出が増える影響を踏まえて、まずは減額となる基準額を引き上げるべき」という内容です。あわせて政府・与党は、基準額引き上げにより収入の増加が見込まれる高齢者に対して、手取りがマイナスにならない程度の税負担を求める案も検討しています。

在職老齢年金は1965(昭和40)年に導入された制度で、導入時点では60歳で定年退職し、老後に入る生活が一般的でした。しかし、今日では、60歳の定年を過ぎてもなお、現役世代と肩を並べて働いています。厚生労働省の「令和5年『高年齢者雇用状況等報告』」でも「60歳定年企業における定年到達者のうち87.4%が、子会社や関連会社を含む同じ企業で継続雇用されている」との結果が出ました。

若年世代が減少している近年では、企業側も高齢者の活躍に期待を寄せています。このような状況から、貴重な戦力として期待される高齢者の働き控えを抑えるために、何らかの形で在職老齢年金の改正が行われる見込みです。

参照元:

令和5年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果|厚生労働省

在職老齢年金制度について|厚生労働省 第21回社会保障審議会年金部会

在職老齢年金の減額を避ける方法2つ

在職老齢年金の減額を避ける方法2つ

約半数の年金世代が就労調整をしながら働いている今日では、在職老齢年金の減額は避けて通れない問題です。在職老齢年金による減額を避け、年金と給料を満額受け取るために取るべき方法として、以下の2つが考えられます。

  • 減額にならない範囲で働く
  • 厚生年金に加入しない雇用形態で働く

将来受け取る年金を減らされないために、ひとつずつ見ていきましょう。

減額にならない範囲で働く

在職老齢年金による減額を避ける方法として、減額にならない範囲で働くことが挙げられます。つまり、年金と総報酬月額相当額を合算した額を、在職老齢年金の停止額の基準である50万円以内に収めておくことで、在職老齢年金の支給停止を回避できます

注意点として、総報酬月額相当額は給与と賞与(ボーナス)を足して12で割った額です。給与と年金月額の合計額が50万円未満だったとしても、賞与を含めると超過する場合は、在職老齢年金の対象となります。賞与を受け取っている方は、在職老齢年金を試算する際に見落とさないように気をつけましょう

厚生年金に加入しない雇用形態で働く

厚生年金に加入しない雇用形態の方も、在職老齢年金による減額は適用されません。厚生年金に加入しない雇用形態として、業務委託やパート・アルバイトが挙げられます。

業務委託で働く場合、加入するのは国民年金です。そもそも厚生年金には加入しないため、在職老齢年金の対象外となります。

厚生年金の加入対象外であるパート・アルバイトも、在職老齢年金の対象外となる場合があります。ただし、下記の要件すべてを満たしていると厚生年金への加入義務が発生するため、確認しておきましょう。

  • 従業員が51名以上の企業で働いている
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上
  • 2ヵ月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではない

参照元:

社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について|厚生労働省

上記の項目にひとつでも当てはまらないパート・アルバイトは、厚生年金の加入対象外です。従業員が50名未満の企業で働いている場合は、1週間の所定労働時間および1ヵ月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上であり、かつ年収が130万円以上であることが条件となります。在職老齢年金で老齢厚生年金を減額されたくない場合、労働時間を減らして月額賃金を下げ、厚生年金に加入しないよう勤務すると良いでしょう。

なお、2024年12月に厚生年金の加入基準となる、いわゆる「106万円の壁」を撤廃することが厚生労働省より発表されました。上記条件に該当する週20時間以上のパート・アルバイトは、年収を問わず厚生年金の加入対象者となる方向です。とはいえ、在職老齢年金制度の支給停止額も増加することが見込まれています。したがって、厚生年金の対象者になったとしても、在職老齢年金の対象にはならない可能性は十分にあるでしょう。

在職老齢年金の減額分を補完する方法

在職老齢年金の減額分を補完する方法

在職老齢年金により、支給額を減らされると家計に支障をきたすのではないかと不安を感じている方もいるでしょう。支給額を減らされたとしても、別の方法で補完すれば老後の家計を安定させやすくなります。

在職老齢年金による減額分を補完する方法は、以下の4つです。

  1. 老齢基礎年金の繰り下げ受給をする
  2. 個人年金保険に加入する
  3. iDeCoやNISAを活用する
  4. 所有する不動産を現金化する

老後資金に対する不安を軽減するために、ひとつずつ見ていきましょう。

老齢基礎年金の繰下げ受給をする

老齢基礎年金の繰下げ受給をすることで、将来受け取れる年金額が増加します。さらに、働きながら老齢基礎年金部分を増やせる点もメリットです。

繰り返しになりますが、在職老齢年金で減額、もしくは支給停止されるのは「老齢厚生年金」部分であり、「老齢基礎年金」は対象外です。つまり、在職老齢年金の対象となっても、老齢基礎年金の繰下げ受給を行うことで将来受け取れる年金の増額が可能です。

老齢基礎年金と老齢厚生年金はそれぞれ別に繰下げできます。繰下げで増えるのは、老齢厚生年金と同じく1ヵ月あたり0.7%で、繰下げできる期間は最大10年です。最大まで繰り下げた場合、84%まで増加します。

下表は、繰下げ期間が1年・5年・10年間の場合に1ヵ月あたり支給される額の一覧です。本記事では、満額の68,000円(2024年度実績)が支給されるとして計算しています。

繰下げ期間増加率1ヵ月あたりの支給額
なし0%68,000円
1年(12ヵ月)8.4%73,712円
5年(60ヵ月)42.0%96,560円
10年(120ヵ月)84.0%125,120円

老齢基礎年金は、繰下げ期間が長いほど受給額が増える反面、デメリットもいくつかあります。

  • 繰下げ期間中に亡くなった場合、年金は受け取れません。
  • 65歳になったときに生計を維持している65歳未満の配偶者または子がいると加算される「加給年金」や、加給年金の対象となる配偶者が65歳を超えたときに付加される「振替加算」は、繰下げ受給の対象外です。
  • 繰下げ受給による損益分岐点は、80歳〜81歳あたりとされており、元を取るまでに時間がかかります。
  • 手持ち資金が潤沢でない場合、年金を受け取れない期間の生活資金が苦しくなることも考えられます。

損益分岐については、「繰り下げ受給」と「繰り上げ受給」どちらが得かの記事で計算と分析をしていますので、併せてお読みください。

個人年金保険に加入する

年金を補完するには、個人年金保険に加入するのも良いでしょう。個人年金保険とは、民間企業が提供する老後資金に備えるための商品で、払い込んだ資金を年金として受け取れます

個人年金保険のメリットは、毎月一定額を払い込むことで、計画的に老後資金を貯められることです。さらに、資金は運用されることから、貯めた元本以上に増える可能性もあります。その反面、インフレになった場合は資産価値が減少してしまう点がデメリットです。

個人年金保険は大きく分けて3種類あり、それぞれメリットとデメリットがあります。

種類特徴メリットデメリット
確定年金・契約時に決めた期間だけ年金を受け取る
・被保険者の生死は問わない
・被保険者が死亡しても、遺族が年金を受け取れる・設定した期間を超えて生存した場合、年金が終了する
有期年金・被保険者が生存している限り、契約時に定めた期間だけ年金を受け取る・保証期間付きの商品を選べば、期間中に死亡した場合でも遺族が年金を受け取れる・受取期間中に被保険者が死亡すると、以降の年金は受け取れない(遺族も受け取り不可)
・設定した期間を超えて生存した場合、年金が終了する
終身年金・被保険者が生存している限り、生涯にわたって年金を受け取れる・長生きしたとしても、ずっと年金を受け取れる
・保証期間付きの商品を選べば、期間中に死亡した場合でも遺族が年金を受け取れる
・受取期間中に被保険者が死亡すると、以降の年金は受け取れない(遺族も受け取り不可)
・確定年金や有期年金と比べて保険料が割高になる
・支払う保険料と期間が同じ場合、1回の年金額が他の種類より少なくなる
・早期に死亡した場合、支払った保険料より受取総額が少なくなる可能性がある

3種類とも年金保険料控除の対象であるため、所得税や住民税の軽減にもつながります。

iDeCoやNISAを活用する

年金を補完するのであれば、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)の活用もおすすめです。

iDeCoは一定額の掛金を積み立てつつ運用し、60歳以降に年金として受け取る制度です。対象者は20歳以上60歳未満の国民年金被保険者で、会社員や公務員、自営業者など幅広く加入できます。60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している方も対象となります。

iDeCoの掛金上限額は加入者の属性によって異なります。例えば、自営業者であれば月額68,000円まで、企業年金のない会社員や公務員であれば月額23,000円まで積み立てが可能です。

また、iDeCoの掛金は全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となるため、所得税や住民税の軽減にもつながります。

ただし、iDeCoは年金制度であるため、原則として60歳までは引き出せません。また、受け取る際には税制上の優遇措置がありますが、一時金で受け取る場合は退職所得、年金で受け取る場合は公的年金等控除の対象となり、課税される点に留意が必要です。

一方のNISAも、一定額の投資を非課税で運用できる制度です。用途に制限はないため、iDeCoと違って資金の引き出しに年齢制限がないため、年金補完以外の目的でも活用できます。

2024年からの新NISAでは、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円で、合計年間360万円まで投資可能です。さらに、累計で1,800万円までの非課税投資が可能となります。

総務省統計局が毎月行っている「家計調査(家計収支編)」によると、1ヵ月の消費支出は60~69歳の世帯で約30万円、70歳以上の世帯でも約25万円となっています。かつて「老後2,000万円問題」が話題となりましたが、60歳から10年間生活するだけでも、およそ3,600万円が必要となる計算です。つまり、NISAの上限である1,800万円と公的年金だけでは不足する可能性があり、他の方法と併用することも検討したほうがよいでしょう。

NISAについては、2024年から開始された新NISAのポイントを紹介するこちらの記事も併せてお読みください。

所有する不動産を現金化する

公的年金や私的年金を活用してもまだ老後資金が不足する場合、所有する不動産を現金化して年金を補完する方法もあります。具体的には、以下のように所有する不動産を担保にしてお金を借りる、もしくは売却して現金化する方法があります。

商品特徴
不動産担保ローン・不動産(土地や建物)を担保にしてお金を借りる
・無担保ローンと比べて低金利
・数百万円〜数億円程度の融資を受けられる
・返済期間が長く、毎月の返済額を低く抑えられる
・返済不能になると、担保にした不動産を売却して返済に充当される
リバースモーゲージ・自宅を担保にお金を借り、亡くなった後に自宅を売却して借入金を返済する
・高齢者が対象
・自宅に住み続けながら融資を受けられる
・契約期間中は利息のみを支払う
・原則的に戸建て住宅が対象
・社会福祉協議会が行う「不動産担保型生活資金」制度は生活費の用途に限定される
リースバック・自宅を売却して現金化する
・家にはそのまま住み続けられる
・自宅の売却であるため、比較的高額の資金を受け取れる
・年齢制限がなく、用途も自由
・将来的に買い戻すことが可能

ただし、いずれの方法もデメリットが存在し、生活に支障をきたす可能性もあるため、利用するか否かは慎重に判断しましょう。

在職老齢年金により老後資金が不安なときは「セゾンのリースバック」を使えば安心

在職老齢年金により老後資金が不安なときは「セゾンのリースバック」を使えば安心

在職老齢年金により年金が減り、老後の生活が不安な場合は「セゾンのリースバック」の活用もご検討ください

リースバックは、家を売却すると同時に賃借する取引方法です。売却した家の所有権は移転しますが、買主に対して家賃を払うことでそのまま住み続けられます。これにより、住み慣れた家を失うことなく、資金を手に入れることができます。また、契約内容によっては、お金ができたときには家の買戻しも可能な場合もあります。実際に、老後資金のためにリースバックを活用されたお客様も多くいらっしゃいます

セゾンのリースバックを提供するセゾンファンデックスは、クレディセゾングループの100%子会社です。東証プライム上場企業であるクレディセゾンのグループ企業であるため、安心してご利用いただけます。

在職老齢年金の早見表を活用し、安心できる老後の資金計画を立てよう

在職老齢年金の早見表を活用し、安心できる老後の資金計画を立てよう

年金月額と総報酬月額相当額が50万円を超えた場合、在職老齢年金の対象となり、老齢厚生年金が一部または全額減額となります。年金が減少する在職老齢年金制度は、働きながら年金を受け取る方にとって、特に大きな問題です。在職老齢年金の計算をする際は、本記事の早見表をぜひ活用してください。

老齢厚生年金が減額され、将来の老後資金に不安がある場合、本記事で紹介した公的な年金制度や私的年金の併用がおすすめです。年金制度だけでなく、家を活用して資金を得る方法も検討できます。例えば、本記事で紹介した「セゾンのリースバック」もそのひとつです。

本記事を参考に、老後資金に対する不安を解消し、安心して老後を過ごすための資金計画を立てておきましょう。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

【貸付条件一覧】セゾンファンデックス

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