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新NISAを利用して退職金を運用するには?旧NISAとの違いや運用するメリットについて解説

新NISAを利用して退職金を運用するには?旧NISAとの違いや運用するメリットについて解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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退職金を運用する方法として新NISAの活用を検討している方は多いのではないでしょうか。新NISAでは、年間投資枠や非課税保有限度額が拡充されました。

このコラムでは新NISAを活用して退職金を運用する方法について解説します。いままで投資経験のない方でも簡単に理解できる内容になっているので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事を読んでわかること

  • 退職してからの生活を豊かに過ごすためには、退職金の運用を意識しておくと良い
  • 旧NISAは2023年で終了しており、2024年からは新NISAがスタートしている
  • 新NISAを活用すると、非課税のメリットを活かしつつ分散投資できる

退職金に運用は必要?理由を解説

退職金に運用は必要?理由を解説

この章では退職金を運用すると良いと考えられている理由について解説します。

退職してからも人生は長い

厚生労働省の「令和4年簡易生命表」によると、60歳の平均余命は男性で約24年、女性で約29年です。退職してから20年以上の時間がある点を踏まえると、定年後の人生を豊かに過ごすための資金を確保する必要があります。

退職後は収入が減ってしまう

現役世代と比べると、退職後は収入の確保が難しくなります。現役時代と同じように支出をしていると、資産の減るスピードは速くなるでしょう。

公的年金による収入があったとしても、老後の生活費をまかなえるかは不透明です。病気やケガによる入院・手術など、突発的な支出が発生する可能性もあります。公的年金だけに頼らず生活できるよう資産を保有しておくと安心でしょう。

今後のリスク

物価の高騰は続いており、今後インフレが加速する可能性があります。物価が上昇すると従来と同じ価格で商品やサービスを購入できなくなり、保有している資産の価値が相対的に目減りします。また少子化により年金などの手取りが減るリスクもあるでしょう。

そもそもNISAとは?

そもそもNISAとは?

NISAとは投資で得た利益が非課税になる制度を指します。旧NISAの特徴と2024年にスタートした新NISAについて解説します。

旧NISAは3種類

旧NISAには3つの種類があります。

  • 一般NISA
  • つみたてNISA
  • ジュニアNISA

退職金を運用するためには「一般NISA」もしくは「つみたてNISA」を利用するのが一般的でした。つみたてNISAと一般NISAの制度概要は、以下のとおりです。

 旧NISA
制度一般NISA・つみたてNISA (併用不可)
非課税保有期間・一般NISA:5年
・つみたてNISA:20年
口座開設期間2023年まで
年間投資枠・一般NISA:120万円
・つみたてNISA:40万円
非課税保有限度額・一般NISA:600万円(120万円×5年)
・つみたてNISA:800万円(40万円×20年)
特記事項投資枠の再利用は不可

NISA口座の運用で得た利益は原則として非課税となります。

2024年に新NISAがスタート

2024年1月1日に新NISAがスタートしました。新NISAと旧NISAを比較した表は以下のとおりです。

 新NISA旧NISA
制度つみたて投資枠・成長投資枠 (併用可)一般NISA・つみたてNISA (併用不可)
非課税保有期間無期限化・一般NISA:5年
・つみたてNISA:20年
口座開設期間恒久化2023年まで
年間投資枠・成長投資枠:240万円
・つみたて投資枠:120万円
・一般NISA:120万円
・つみたてNISA:40万円
非課税保有限度額1,800万円
(うち成長投資枠は1,200万円まで)
・一般NISA:600万円(120万円×5年)
・つみたてNISA:800万円(40万円×20年)
特記事項売却した分の投資枠(簿価分)は翌年から再利用が可能投資枠の再利用は不可

新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が設けられました。旧NISAからの主な変更点は以下のとおりです。

  • 2つの投資枠の併用が可能
  • 非課税期間が無期限
  • 年間投資枠の拡大
  • 制度の恒久化
  • 資産を売却した場合、翌年から投資枠の再利用が可能

旧NISAから年間投資枠や非課税保有限度額が拡充され、資産形成に活用しやすい制度となりました。

NISAで退職金を運用するメリット・デメリット

NISAで退職金を運用するメリット・デメリット

この章では、NISAで退職金を運用するメリットやデメリットについて解説します。

メリット

NISAで退職金を運用するメリットは以下の4つです。

  • 非課税である
  • 分散投資が可能
  • 手数料が少ない商品が多い
  • 比較的リスクの低い金融商品の中から選べる

それぞれ順番に解説します。

非課税である

NISA口座の運用で得た利益は原則として非課税のため、税金の支払いを心配する必要がありません。成長投資枠の年間投資枠は240万円で、スポット購入と積立購入が可能です。旧NISAと比べて年間投資枠が拡大しており、退職金の運用に適しています。

分散投資が可能

新NISAのつみたて投資枠の投資対象商品は、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託です。投資の基本となる「長期・積立・分散」を意識して投資することで、価格変動リスクを軽減できます。

手数料が少ない商品が多い

投資信託では、信託報酬などの手数料がかかるのが一般的です。しかしNISAの投資対象商品には、販売手数料がゼロ(ノーロード)の銘柄が含まれます。NISAの活用により、不要なコストを軽減可能です。

比較的リスクの低い金融商品の中から選べる

NISAの対象となるのは、金融庁に認められた商品のみです。ほかの投資商品に比べてリスクが低く、退職金の運用に適しているといえます。

デメリット

一方でNISAで運用するデメリットは以下の2つです。

  • 損益通算ができない
  • 元本割れの恐れがある

それぞれ順番に解説します。

損益通算ができない

NISA口座は損益通算が認められていないため、損失が発生した場合ほかの課税口座で得た利益と相殺できません。ほかの課税口座で利益が出ている場合は、その利益に対して税金が課されます。

元本割れの恐れがある

NISAは投資によって資産形成を図るため、価格変動のリスクがあります。市場の状況によっては、運用中に損失が出る可能性があります。

退職金をNISAで運用する際に気をつけたいこと

退職金をNISAで運用する際に気をつけたいこと

退職金をNISAで運用する際に気をつけるべきポイントは、以下の4つです。

  • 長期的な運用を心がける
  • リスクの高い商品は避ける
  • 一括投資ではなく分散して投資する
  • 投資する資産を見極める

それぞれ順番に解説します。

長期的な運用を心がける

NISAで退職金を運用する際は、一時的な値動きに左右されず長期的な目線で運用を続けることが大切です。投資には価格変動リスクがあります。短期的な売買は価格変動の影響を受けやすく、退職金の運用には適していません。

市場の動向を正確に予測するのは、プロのファンドマネージャーでも困難です。長期的な視点で安定したリターンを目指すのが良いでしょう。

リスクの高い商品は避ける

退職金をNISAで運用する場合は、ハイリスク・ハイリターンの商品はおすすめできません。ハイリスク商品で損失が生じた場合、生活に影響が出る可能性があるためです。

定年退職したあと、投資で被った損失を働いて補填するのは難しくなります。リスクの高い商品は避け、安定性の高い資産を選びましょう。

一括投資ではなく分散して投資する 

一括で投資してしまうと、価格が高い時に購入する「高値づかみ」のリスクがあります。高値づかみのリスクを回避するためには、金融商品を一定の金額で定期的に買い続ける「ドルコスト平均法」を用いた積立投資がおすすめです。

ドルコスト平均法を活用することで、平均購入単価の平準化が期待できます。購入金額を一定に保っているため価格が高いときには購入量が減少し、高値づかみを防げます。

投資する資産を見極める

退職金は使う時期や目的別に分け、しばらく使う予定のない資金を運用に回すと良いでしょう。すべての資金を投資に回すと資産が目減りするリスクが高くなります。

特に投資初心者の方は、どのような資産に投資したら良いかわからない場合があります。まずは少額から投資を始めて、投資についての知識を深めることが重要です。

NISAで退職金を運用するには?

NISAで退職金を運用するには?

退職金をNISAで運用する際の具体的な手順は以下のとおりです。

  • 金融機関を選択する
  • 口座を開設する
  • 投資する商品と投資額を決定する
  • 商品の購入

それぞれ順番に見ていきましょう。

金融機関を選択する

NISAの口座は以下の金融機関で開設できます。

  • 銀行
  • 証券会社
  • 信託銀行など

口座開設できるのはひとりにつき1つの金融機関のみです。金融機関の変更は1年に1回のみ認められます。

口座を開設する

多くの金融機関では、パソコンやスマホから開設の手続きが可能です。金融機関に必要書類を送付すると、審査を経てNISA口座が開設されます。なお、NISA口座の開設には法律の定めにより、マイナンバーカードもしくは通知カードが必要です。

投資する商品と投資額を決定する

口座開設後は、投資する金融商品や金額を設定しましょう。ファンドや銘柄の情報は、各証券会社のホームページで確認できます。どの商品を選んだら良いかわからない場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのがおすすめです。

商品の購入

投資する商品が決まったら、購入手続きをします。つみたて投資枠では定期購入のみ、成長投資枠では定期購入とスポット購入の両方が可能です。まずは少額から積立を始めて、投資の知識が深まった段階で投資戦略を見直すのが良いでしょう。

おわりに

退職してからの生活を豊かに過ごすためには、退職金の運用を意識しておくと良いでしょう。新NISAを活用すると、非課税のメリットを活かしつつ分散投資が可能です。長期的な運用を心がけることで、価格変動のリスク軽減につながります。ぜひ退職金の運用に、新NISA制度を活用してみてください。

※本ページは2023年10月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。最新情報については、随時金融庁の以下サイトを確認するようにしてください。

金融庁「新しいNISA」

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