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介護のお悩み相談QA(Part1):介護前~介護初期

セゾンのくらし大研究 編集部

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セゾンのくらし大研究 編集部

豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

介護は早めの準備が大切です。親の小さな変化にも目を光らせ、疑問に思ったり困ったりした時は、すぐに専門家に相談しましょう。このコラムではみなさまから寄せられたお悩みに、専門家がQ&A形式でお答えします。コラムのテーマは、「免許返納」「遠距離介護」「セカンドオピニオン」「資産管理」の全4つです。ぜひご自身の状況に置き換えて、考えてみてください。

【相談】運転に不安も、免許返納後の移動手段が…

高齢の父親に、免許の自主返納をすすめるべき?

父親(81)の車の運転のことで悩んでいます。

父親は、身の回りのことはほとんど自身でできますが、運動機能が低下しているのでしょう。車庫入れにも苦労しているようで、車体にすり傷やへこみが目立つようになりました。

最近、高齢者が事故の加害者になるニュースが続いているため、心配する母親(77)から仕事中に電話がかかってきます。早く免許証を自主返納して欲しいのですが、両親は田舎暮らしなので、移動手段に不安があります。どうすれば良いでしょうか?

【回答】自治体サービスが充実、ご家族もフォローを

最近、高齢ドライバーによる交通事故のニュースをよく目にします。免許証を自主返納する方も増えていますが、特に地方にお住まいの場合、移動手段も限られているため、なかなか車を手放せない方も多いようです。

各都道府県では、免許証を自主返納した方に対して、公共交通機関の利用を優遇するなど、高齢者の外出を支援する制度を設けています。コミュニティーバスの無料乗車券やタクシーの乗車券など、その内容はさまざまです。お住まいの自治体のWEBサイトなどをチェックしてみましょう。要介護認定を受けている方が通院する場合は、付き添いを依頼できる介護保険サービスとなる「介護タクシー」も利用できます。

万が一、死亡事故を起こしてしまうと、法的な責任を問われるだけでなく、多額の損害賠償を求められることもあります。そして運転した本人だけでなく、その家族も一生涯、被害者の家族の悲しみを背負うことになるでしょう。車以外の移動手段があることを伝えながら、ぜひ心を鬼にして、粘り強くお父さまの説得を続けてください。

一方、マイカーを手放すことで外出の機会が減り、身体機能や認知機能が低下してしまうケースもあります。免許証を返納する場合は、ご家族がしっかりとフォローアップすることが大切です。

【相談】“遠距離介護”の準備がしたい

離れて暮らす親の介護のために、今から備えておきたいことは?

最近、同期や学生時代の友人から、親の介護の話をよく聞きます。

私の両親は共に80代ですが、身の回りのことは家族でやるので、これまで介護について考えたことはありませんでした。でも、介護は突然やって来るといいます。実家から離れた場所で暮らしているので、急に介護が必要になった時、仕事が続けられるかどうか心配です。

できれば、親が元気なうちに介護の準備をしたいのですが…。何か良い方法はないでしょうか?

【回答】帰省の際、冷蔵庫は要チェック!

“遠距離介護”をスムーズに進めるためにも、ご両親が元気なうちに準備をするのは良いことです。ご本人に直接聞くという方法もありますが、子どもに心配をかけたくないと考え、本音を明かさないこともあります。

ご両親と会った際は、動作や言動、身だしなみなどが以前と変わっていないかチェックしましょう。日頃から接する機会のあるご近所の方の話を聞くのもひとつの手です。万が一に備え、保険証や印鑑、通帳などの保管場所を確認しておくのも良いと思います。

特にチェックしてほしいのが冷蔵庫です。同じ食品を何個も買っていたり、賞味期限が大幅に過ぎたものが入っていたりすると、認知機能の低下が疑われます。冷蔵庫に食品が詰まっていても、歯の状態の悪化などで食べることができず、低栄養になるケースもあるので、こちらも注意しましょう。

年末年始やお盆休みで帰省する方も多いでしょう。この機会に、ご両親の様子を確認するとともに、ご兄弟やご親戚の方と、今後の介護について話し合っておいてはいかがでしょう。

何か気になることがあれば、ひとりで悩まず、介護相談室にご連絡ください。

【相談】担当医が不安…セカンドオピニオンは必要?

母親の認知症がだんだんひどくなっている気がするけど…

母親(89)の認知症の症状が悪化しています。

1年ほど前から物忘れがひどくなり、要支援1の認定を受けましたが、本人が介護サービスの利用を拒否したため、父親(88)と一緒にごまかしながら面倒を見てきました。

かかりつけの大病院の医師は、「経過を観察しましょう」の一点張り。処方されている薬も、あまり効果がないようです。

母親は得意の料理にも手を焼く状態で、仕事から帰宅後も気を休めることができません。

正直、この担当医を信じていいのか分からなくなってきました。別の医師にセカンドオピニオンを求めた方が良いのでしょうか?何かアドバイスをお願いします。

【回答】ひとつの手として有効、サービス利用も検討を

セカンドオピニオンのために、他の医療機関を受診するのもひとつの手だと思います。

大病院の場合、待ち時間が長くなってしまううえ、治療費以外の定額負担を請求されることもあります。

認知症の症状は、その都度変化します。長期の介護に備え、気軽に相談できる「かかりつけ医」を近所に見つけておいても良いかもしれません。

【相談】親の資産管理が不安、後見人って何?

よく耳にする「成年後見制度」って?

最近、遠方で暮らす父親(80)の物忘れが増えています。どうやら、認知症のようです。医者のすすめで介護保険を申請したところ、要介護1の認定を受けました。

インターネットを見ると、お金のことでトラブルになることが多いようですね。症状が悪化すると、家族でも銀行からお金をおろせなくなるとか!?

成年後見制度を利用すれば、本人の代わりにお金を管理できるそうですが、仕組みが複雑でよくわかりません。アドバイスをお願いします。

【回答】家族が後見人になることも可能ですが、お金の使い道は厳しく制限

認知症の症状が重くなると、意思疎通が取れなくなることがあります。そうなると、親が自身のお金を管理することができなくなり、介護費用についても、家族が代わりに支払わなければなりません。親名義の通帳と印鑑が手元にあっても、委任状がなければ、銀行の窓口でお金を引き出すこともできなくなってしまいます。

成年後見制度は、認知症などで判断力が低下した方たちを支援する制度です。判断力が衰えた方を対象とした「法定後見」、判断力があるうちに利用できる「任意後見」の2種類があります。お父さまの場合、「法定後見」の対象となり、家庭裁判所に申し立てれば、お父さまに合った後見人を選んでくれます。

後見人は、ご本人の判断力に応じて、「補助」(軽度)、「保佐」(中度)、「後見」(重度)の3つに分かれ、それぞれ権限も異なります。ご家族を後見人として申し立てることも可能ですが、最終的な人選は、裁判所の判断に委ねられます。また、ご家族が後見人になった場合でも、裁判所への報告義務などがある上、実の子どもであっても、お金の使い道は厳しく制限されます。

ちょっと気になる親のコト。大丈夫かな?と思ったら

無料の相談窓口をご利用ください。専門のスタッフが状況に応じたアドバイスをいたします。

「介護保険について詳しく知りたい」「遠方に住む両親が心配」等々、お気軽にご相談ください。

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