誰もが「地球環境に良いことをしたい」と思うものではないでしょうか。人や地球、環境に配慮した暮らしをしたいと思っている方に、ぜひ知ってほしい「エシカル消費」。この記事では、エシカル消費についてSDGsと絡めてご紹介しています。身近なことから取り組めますので、この記事を参考にエシカルな暮らしを始めてみてください。
1.注目のエシカル消費とは?
まずはエシカル消費の基礎知識についてご紹介していきましょう。
1-1.エシカル消費の定義
エシカル(ethical)は元々「倫理的な・道徳的な」という意味の形容詞です。エシカル消費は、消費者庁の消費者基本計画によると「地域の活性化や雇用なども含む、人や社会、環境に配慮した消費行動」と定義され、倫理的消費とも表記されます。
世界的に大きな問題になっている貧困や人権、気候変動があります。これらの課題の解決には、消費者の倫理的な消費行動が必要不可欠とされています。商品を買ったり食べたり、サービスを利用したりといった消費行動は、日々の暮らしと切っても切り離せないものです。そのとき商品が手元に届くまでの背景や廃棄後の影響まで考えて選ぶ消費者の行動が、世界中で起きているさまざまな課題の解決に繋がります。
人や社会、環境、地域などに配慮した消費行動を行うことをエシカル消費と呼び、商品やサービスの選択に、これまでの安心・安全、品質や価格に加えて倫理的な消費であるかどうかの尺度を持つことが大切です。
具体的には、人や社会に配慮した障がい者支援につながる商品やフェアトレード商品の購入、環境に配慮したエコやリサイクルに関連する商品の購入などです。一人ひとりが日頃からエシカル消費を意識することが、社会的課題の解決につながるとされています。
消費者庁では、2015年から2年間にわたってエシカル消費に関する調査研究会を開催しました。研究会ではエシカル消費の普及に向けた調査や議論が行われ、それを踏まえて関係団体と連携を図りつつ普及や啓発の取り組みを行っています。
1-2.エシカル消費が注目を集めている理由
なぜ近年、エシカル消費が注目を集めているのでしょうか。その理由はさまざまですが、ひとつは先述のとおり世界的に課題とされている貧困や人権、気候変動の問題の解決にエシカル消費が有効であるとされていること。消費者庁を中心に各団体が行っている普及や啓発活動により、エシカル消費が一般消費者に認知されるようになったことが挙げられます。また、近年ではSDGsの広まりもあり、エシカル消費とあわせて関心が高まっています。
1-3.エシカル消費とSDGsの関係性と違いは?
SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」のことで、17のゴールと169のターゲットから構成されています。エシカル消費は、17のゴールの中で特に「ゴール12・つくる責任つかう責任」に関連する取り組みです。SDGsのゴール12は持続可能な消費と生産に関するゴールで、持続可能な消費生産形態を確保することを目的としています。
消費者一人ひとりが日々の暮らしの中でエシカル消費を心掛けることが、持続可能な消費形態につながります。さらにはエシカル消費につながる生産者を応援することも、ゴール12の達成につながるのです。
SDGsについてはこちらで詳しく解説しています。関連記事:SDGsの身近な例とは?国や企業、学校での取り組みをわかりやすく紹介!
2.エシカル消費を広めるには? 社会の取り組みを紹介
エシカル消費自体、注目を集めるようになったとはいえ、まだまだ広く認知されていません。この章ではエシカル消費を広めるために、社会全体で取り組んでいることをご紹介します。
2-1.エシカル消費の普及・啓発活動
消費者庁では、自治体や各関係団体とともにエシカル消費の普及・啓発活動を行っています。例えば、消費者庁では「エシカル消費特設サイト」を開設し、企業や個人のエシカル消費に関する取り組みを分かりやすく発信しています。サイト内にある「みんなのエシカル消費」では、地域ごとのエシカル消費に関する取り組みが紹介されているので、住まいの地域での取り組みに参加することも可能です。
同じく消費者庁が運営している消費教育に関する情報発信の場「消費者教育ポータルサイト」でも、エシカル消費について発信しています。教育現場で使えるエシカル消費の教材を無償提供して、子どもたちにエシカル消費を広める活動に一役買っています。
また地方自治体でも独自の取り組みを行っています。くらしに関わる東京都の情報サイト「東京くらしWEB」では、エシカル消費についてコラムや動画で楽しく学べます。また、東京都主催のイベントの開催もあり、過去にはタレントによるオンラインイベントも!イベント情報も京くらしWEBに掲載されているので、都内に在住または通勤通学している方は要チェックです。
その他関連団体や地方自治体でもイベントなどを開催しているので、気軽にエシカル消費について学べる機会が増えています。
2-2.SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」
先述のとおりSDGsのゴール12「つくる責任つかう責任」は、持続可能な消費生産形態を確保することを目標としています。このことについて、少し掘り下げてみましょう。
暮らしには商品を買ったり食べたりといった消費が欠かせませんが、そのために地球上にあるたくさんの資源やエネルギーを使って、大量に生産したり消費したりを繰り返しています。当たり前のように使っている資源やエネルギーは、無限に湧いてくるものではありません。いつか枯渇してしまう可能性もあります。
限りある資源を大切にするために、必要以上の生産や消費を控える必要があります。つくる側(生産者)は資源を有効活用しながら環境への負荷を軽減する生産方法が求められます。また、生産過程でのエネルギー効率や廃棄処分されるものを極力抑える取り組みも重要です。
つかう側(消費者)も安いからといって過剰に物を買ったり、外食で食べ切れないほど注文したりという行動は慎むべきでしょう。SDGsのゴール12「つくる責任つかう責任」は、生産者と消費者両方の努力により達成できる目標なのです。
2-3.エシカル消費に関連する認証ラベル・マークもある
商品を買うとき、「この商品は、どこで誰の手によって作られているのか?」を考えることが、エシカル消費の第一歩になります。では、エシカル消費を心掛けたいと思ったとき、何から始めれば良いのでしょうか。方法のひとつとしては、認証ラベルやマークを目安にして商品を買うことが挙げられます。第三者機関が一定の基準を満たしている証として発行しているので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
エシカル商品に関する認証ラベル・マークの例をご紹介します。
・エコマーク
生産から廃棄まで全体を通して環境への負荷が少ない環境保全に役立つ商品
・MSC認証
持続可能な環境に配慮した漁法で獲られている水産物
・FSC®認証
適切な管理を行っている森林の木材とその木材から作った製品
・国際フェアトレード認証
途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指すため、途上国の原料や製品を適正価格で継続的に取引している商品
・GOTS(オーガニック・テキスタイル世界基準)
オーガニックのコットン・リネン・シルクなどの原料から環境的社会的に配慮した方法で生産された繊維製品
このほかにもエシカル消費に関連するラベルや認証はたくさんあります。一般社団法人 日本サステナブル・ラベル協会の公式サイトで紹介されているので確認してみましょう。
一般社団法人 日本サステナブル・ラベル協会 | 私たちについて
3.エシカル消費を選択することで得られること
ここからは、エシカル消費で得られるメリットについてご紹介します。人や社会への配慮、地球への配慮、環境への配慮の3点に分けて見ていきましょう。
3-1.人や社会へ配慮できる
日常の買い物の際、その商品がどのような環境で生産・取引されているのかを確認することは、世界中の人や社会への配慮に繋がります。
途上国の貧困や飢餓などが世界的な問題となっていますが、その原因の中には適正でない取引や労働条件があります。現地で安い賃金での労働を強いたり、生産されたものを安く買い取ったりすることが、途上国の発展の妨げとなっているのです。
消費者がフェアトレード商品などの適正な取引がされた商品を買うことで、途上国の発展支援に繋がります。
3-2.地球に配慮できる
長年にわたって問題となっている地球温暖化。主な原因としてはCO2などの温室効果ガスが考えられていますが、現代の生活で排出量をゼロにするのは難しいでしょう。とはいえ、地球温暖化が加速する中、排出量を抑える努力は大切です。また、地球上の資源を必要以上に使っていることにも問題があります。
消費者一人ひとりがエシカル消費を心掛けることで、地球への配慮ができます。地球上のエネルギーや資源を有効的に活用している商品や、リサイクル商品を選ぶこともエシカル消費です。また、CO2排出を抑えた物流システムを採用している企業の商品を買うことも、間接的にCO2排出の抑制に繋がります。
3-3.環境に配慮できる
エシカル消費を続けることが、環境への配慮にも繋がります。商品を手に取るとき、原材料がどのような環境で栽培されたものなのか考えることも大切です。
木製品であれば、原材料の森林はどのような管理がされているのか、衣類の材料は環境に配慮した生産がされているのか、確認してみましょう。水産物は、乱獲をせず資源が守られる環境に配慮した漁法で獲られているかどうかは重要なポイントです。
これらを調べることは大変ですが、認証マークやラベルを目印にして商品を選ぶことが環境への配慮に繋がります。
4.エシカル消費の例は?取り組み事例を紹介
最後にエシカル消費の取り組みについて、具体例をご紹介します。日々の暮らしに取り入れられることもありますので、できることから始めてみてはいかがでしょうか。
4-1.【人・社会に配慮】フェアトレード商品を購入するなど
人や社会に配慮するエシカル消費の例として、フェアトレード商品の購入があります。途上国の原料や製品を適正価格で継続的に取引することにより、生産者や労働者の生活改善や経済的自立につながります。卸売り、小売り業者が適正価格で取引することはもちろん、消費者もその商品を購入することで間接的に途上国の発展を応援することができるのです。
フェアトレード商品は身近なところでも販売されているので、一部ご紹介しましょう。イオングループのトップバリュ商品の中には、国際フェアトレード認証を受けたチョコレートやコーヒー、紅茶などがあります。スターバックスコーヒージャパンでも、2002年から国際フェアトレード認証を受けたコーヒーの販売を始めました。いつも買っているコーヒーやチョコレートをフェアトレード商品に変えることで、エシカル消費に繋がります。
4-2.【地球に配慮】地産地消を選択するなど
地球に配慮するエシカル消費のひとつに地産地消があります。地産地消とは、その土地で生産されたものをその土地で消費をすること。生産地で消費することで、輸送にかかるエネルギーが削減されることがメリットです。輸送の際に排出されるCO2などの温室効果ガスは地球温暖化の原因とされ、世界的な問題となっています。できる範囲で地産地消を取り入れることが、地球温暖化の歯止めとなり地球に配慮したエシカル消費に繋がるのではないでしょうか。
地産地消は学校給食でも積極的な取り組みがされています。農林水産省ではこれまで「地産地消給食等メニューコンテスト」の開催や、学校給食に地産地消を取り入れるサポートをする「地産地消コーディネーター派遣事業」の補助などを行っています。
一般家庭では近所の産直市場に行ってみるなど、暮らしの中で地産地消を取り入れることもできるので気軽に始めてみてはいかがでしょうか。
4-3.【環境に配慮】再生可能エネルギーを使用するなど
環境に配慮するエシカル消費行動として、再生可能エネルギーの使用は有効的な手段です。再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、バイオマスのことで、地球温暖化の原因とされている温室効果ガスを排出せずに発電できるとして注目を集めています。
2016年4月に家庭の電力小売自由化が開始されてから、自由に電力会社を選べるようになりました。各社独自のサービスを打ち出していますが、中には再生可能エネルギーを使った発電所を持ち、電力の供給をしている会社もあります。
例えば「エバーグリーン」という電力会社では、親会社が所有するバイオマス発電所からの電力供給を行っています。エバーグリーンでは、電力使用によるCO2の排出をゼロに抑えられるプランが提供されており、1年間のCO2排出量が一般的な家庭で約1785kg-CO2削減できるとされています。これは約130本の杉の木が1年間に吸収するCO2の量です。
日々使っている家庭の電力を、再生可能エネルギーに変更することも持続的なエシカル消費につながります。さらに、そのことが環境への配慮にもつながっていくでしょう。
5.CO2の排出量を可視化してエシカル消費を意識する
クレディセゾンでは、DATAFLUCT社が展開する「becoz wallet」と連携して、CO2排出量を可視化できる日本唯一のクレジットカード「SAISON CARD Digital for becoz」の取扱いを開始しました。
このSAISON CARD Digital for becozは、従来では捉えきれなかった生活におけるCO2排出量削減アクションにより減ったCO2排出量をデータを元に可視化できるサービス「becoz wallet」と連携させることで、カードで買い物した利用明細情報からCO2排出量を算出が可能です。
このクレジットカードは、プラスチックカードは発行されません。スマートフォンアプリ「セゾンPortal」から、カード番号やセキュリティコードを確認して、オンラインショッピングが可能です。
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人間が生活するうえで、CO2の排出は切っても切れない課題であることは、認識のとおりであり、今後のライフスタイルにおいては、暮らしの中でCO2排出がより少ないモノやコトを選んだり、オフセットすることで、気候変動に配慮したライフスタイルを実践していくことが、より求められていくものとなっていくでしょう。
おわりに
今回はエシカル消費とは?について、SDGsとの関係性や取り組みについてご紹介しました。限りある資源を有効に使い、持続可能な消費や生産の形を未来に残すために、身近なことからエシカル消費を意識して取り入れてみてはいかがでしょうか。