人生の折り返し地点である50代になると、老後への不安をかかえる方が増えます。特に認知症はどのような方でも同様にリスクがあるので、気になる方も多いでしょう。一方長引く新型コロナの影響で日々の生活や娯楽、ライフスタイルさえもご自身の意思とは関係なく、変わらざるを得ない状況が続いています。
このコラムでは「密にならず」「コストをかけず」に、手軽で楽しみながらできる認知症予防策を3つ、紹介します。一石二鳥どころか三鳥、四鳥になる対策ばかりです。
なおこの記事は、アルツハイマー病などの認知症に焦点をあてた世界最大級の国際会議「AAIC」で発表された、最新の知見をもとにしています。
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おすすめ対策その1:アイデアレシピに挑戦
理由① 鍛えるべきは「計画力」
新型コロナの影響で、外食する機会が激減した方も多いでしょう。食べ歩きのような趣味もしづらくなりました。食費節約目的ではなくとも、自炊の頻度を多くした家庭が世界中で激増しました。
しかし「外食できないから」とか「食費節約」とか、ネガティブな動機で自炊していては、メンタル面で大きなマイナス要因となってしまいます。うつ病の既往と認知機能低下は関連しているという研究結果も報告されており、ストレスのコントロールが認知症予防には大事だということがわかっています。
自炊のポイントは『自炊をいかに楽しむか』ということです。そこでおすすめしたいのが『アイデアレシピ』です。なぜそれが認知症予防の対策なの?と思われるかもしれませんが、歴とした医学的根拠があります。認知症予防に『脳トレ』が有効とされているのはご存知の方も多いでしょう。この『脳トレ』で鍛えるべき脳の機能は、ひとつではありません。特に大事な機能は「計画力」「エピソード記憶」「注意分割機能」の3つです。
アイデアレシピに取り組むことは、脳の「計画力」機能を鍛えることになります。例えばインスタントラーメンを作る場合を考えてみましょう。ただお湯を沸かして麺を入れて3分、というこれまでの作り方ではなく、チーズを入れてみる、昨日のカレーの残りを入れてみるなど味のアレンジも含め、少し変えることが脳トレになります。大きく変える必要はありません。「もっと美味しい方法はあるかな?」と考えてみることが大事です。
理由② 食生活も一緒に改善
食事と認知機能についての研究は世界でもまだ始まって日が浅いのですが、これまでの研究でもすでに、「栄養バランスの良い食事は認知機能低下のリスクを減らす」ことがわかっています。具体的には「動物性脂肪を控えめにする」「野菜や果物を十分に摂取する」ことです。自宅で食事(自炊した食事)といっても、毎日のように焼肉をしていては、動物性脂肪の過剰摂取となり認知症のリスクが高まってしまいます。
しかし毎日バランスの良い食事を作り続けるとストレスに感じてしまう方もいるでしょう。その場合は前述したインスタントラーメンも取り入れ、どうすれば野菜も一緒に食べられるかを考えて、今日はキャベツを使ってみよう、白菜にしてみようなどと工夫するなどして、無理なく続けることができれば一石二鳥の認知症予防策になります。
理由③ 発見が楽しい
そして、認知症予防策としておすすめの最大の理由は、とにかく楽しい!ことです。実はこれがとても大事なことです。長続きしない対策は、効果も期待できません。私自身、アイデアレシピ動画をいくつもチャンネル登録していて、「これは!」と感じたものは実際に作っています。さらに自分流のアレンジも楽しんでいます。
書店にはアイデアレシピ本が山積みになっていますし、クックパッドのようなサイトもあります。さらに「料理研究家」の方々が日々、YouTubeなどに次々と新作動画をアップしています。試しに作ってみて美味しかったレシピがあれば、そのチャンネルを登録して新作動画がアップされたらをまた作ってみる。そうした普段の楽しみで認知症予防も一緒にできます。
理由④ 鼻歌混じりで二重の効果
さらに認知症予防効果を高めるために、料理をしながら鼻歌を歌うことをおすすめします。先述した、「計画力」「エピソード記憶」「注意分割機能」の3つの脳機能を鍛えるべきと説明しました。鼻歌を歌いながら料理をすることは、「注意分割機能」を鍛える効果があります。複数のことを同時並行で行うことが脳トレになるのです。
認知症予防策その2:買い物習慣を変える
楽しみながらできる認知症予防策、2つ目は『これまでの買い物習慣に変化をつける』です。コロナ渦で「日々の買い物もAmazonでする」という方も増えました。ですが認知症予防の観点からすると、いつもAmazonでショッピングという習慣は、あまり好ましくありません。
食料品の買い出しにしても、コロナ渦の中では「まとめ買いして大量保管」する方が多くなりました。これも変えられる範囲で変えたほうが、認知症予防策になります。
方法① 毎回同じお店に行かない
50代くらいになると、いつの間にか買い物するお店が固定化しているものです。その習慣を敢えて崩してみましょう。
何か新しいことをはじめると、人間は「段取り」を考えます。これがまさに先ほども触れた「計画力」です。まとめ買いをせずに、2~3日おきに別のスーパーマーケットで食料品は買いましょう。土日に割引セールをするスーパーもあれば、水曜日や木曜日に割引するスーパーもあります。割引しているお店に行けば、お財布への副次効果もあって一石二鳥です。
方法② 買い物リストを作る
スーパーで買い物するにしても、行き当たりばったりで特売品ばかり買っていませんか?
これも「計画力」を鍛える脳トレになるので、買い物リストを作りましょう。たとえばアイデアレシピ動画を見て、作ってみたい料理をいくつか選んだら、購入が必要な食材をリスト化します。1つの食材で2つのレシピに使えないか?と考えてみるのも良いです。
脳トレとして知られている「旅行の計画を立てる」と同じ効果が期待できます。新型コロナの影響でまだまだ海外旅行には行きづらい状況で、国内旅行にも毎週行けるわけでもありませんが、実際には行けなくても空想上の旅行を楽しむのも良いかもしれません。脳トレは日常的に取り入れることが良いのは申すまでもないでしょう。
方法③ 店内は一筆書きで移動
スーパーで買い物をしていて、「あっ、あれも買わなきゃいけなかった!」と同じ売り場に二度三度行ったりしませんか?これをしないように心掛けることも「計画力」のトレーニングになります。行き当たりばったりの行動ではない、計画しての行動だからです。
1軒のスーパーで、「買いたい物は何か」や「チェックしたい売り場はどこか」を考えて、一筆書きになるように移動するルートを考えましょう。計画通りに買い物ができたら、レジ横で売っている何かをご自身へのささやかなご褒美にするのも良いでしょう。自分で自分を褒めることが長続きさせる秘訣です。
さらに、この「一筆書き移動」で脳トレするためにも、先述した毎回同じ店で買い物しないという方法がさらに効果的でしょう。
方法④ 価格を比較する
毎回のように購入しているもの、たとえばビールとか牛乳、食パンとか豚小間肉でも良いです。これを一度に大量買いしないで、毎回買うようにしましょう。そのうえでお店ごとの価格を比較してみましょう。「この銘柄のビール、あっちのスーパーでは○○円だったぞ」のような感じです。
大事な脳の機能のひとつである「エピソード記憶」が上記の方法で鍛えられます。認知症対策の「一昨日の晩に食べたメニューを思い出す」とか「一昨日の日記をつける」と同じ効果です。日記をつける習慣は長続きしにくいものです。でも買い物ならどうでしょうか?
さらに「これを買うならあの店が安い」と分かれば、お財布にも優しくなります。
認知症予防策その3:ただのウォーキングにしない
健康管理意識が高まる50代前後になると、ウォーキングを始めたりやジム通いする方も増えます。コロナ禍でジム通いがままならなくても、ウォーキングはできますし、密にもなりません。
そのウォーキングにも、認知症予防効果があることはご存知でしょうか。ほんの少し工夫することで、効果をさらに高めることもできます。
方法① 会話しながら歩く
これはご夫婦でウォーキングされている皆さんや、ウォーキング仲間がいらっしゃる場合におすすめです。ただ歩くのではなくて、意識的に会話も増やしましょう。複数のことを同時に行う「注意分割機能」のトレーニングにもなるからです。
方法② 歩きながら暗算する
ウォーキングはいつもひとり、という皆さんにはこの方法もあります。例えば、100から8を引いたら92。また8を引いたら84。さらに8を引いたら、と続けていきます。歩きながら暗算することも、やはり「注意分割機能」のトレーニングになります。ついつい電卓をたたいてしまいがちな計算も、歩きながら計算してみると意外と楽しいかもしれません。
方法③ 設定タイムを達成する
「ウォーキングに飽きてしまわないように、ときどきルートを変える」これはよくあるアドバイスですが、それをさらにバージョンアップさせませんか?
いつも歩いているコースが、30分かかるとしましょう。今日はこれを25分にする。そのためには、どこをどう曲がれば5分短縮できるか、考えることが脳トレです。35分にするなら、どこでどのくらい遠回りするのか。別の方角で、またタイム設定をしてみる。このように日々、ウォーキング自体を「達成感のあるもの」にしてみてはいかがでしょうか。
おわりに
今回は認知症予防に関する最新の研究成果をベースに、一石二鳥、三鳥になる予防策を紹介いたしました。誰でも手軽に日常的にできて、費用もかからない対策です。
実際に認知症を発症してしまうと、その子どもや孫など親族が介護のために仕事を辞めたり、これまでのライフスタイルを変えざるを得ません。認知症は本人も不幸ですが、家族も巻き込んでしまいます。そうならないためにも、日々簡単にできる予防策を今からでも始めてみませんか。