住宅の購入の際には物件価格の他にもさまざまな費用がかかりますが、「手付金」が必要になることをご存知でしょうか?この記事では住宅購入時にかかる費用をはじめ、手付金とはどのようなものか詳しく解説していきます。また、手付金を支払えない場合の対応策についてもご紹介しますので、住宅購入の費用について気になっている方は、参考にしてみてください。
1.住宅購入時にかかる費用は?
住宅購入時には、具体的にどのような費用が必要なのでしょうか?契約時からかかる費用について、見ていきましょう。
1-1.購入の契約から自分名義になるまでにかかる費用
主に次のような費用が住宅を購入する際に必要になります。
手付金 | 売主に支払うお金のことで、先に物件価格の一部を支払う。 |
仲介手数料 | 仲介会社(不動産会社)に支払う費用。 物件価格の3%+60,000円+消費税を上限とし、契約時にその50%を、残りは決済時に支払う。 |
印紙代 | 契約の書類に印紙を使うため必要な費用で、現金で支払う。 1,000万円〜5,000万円の物件の場合、印紙税20,000円がかかる。 |
登記費用 | 所有権の保存や移転に、登記所へ支払う費用。 相場は300,000円〜500,000円。その他、司法書士への報酬も発生する。 |
ローン保証料 | 保証会社に支払う手数料。 借入金の2〜3%程度を支払う。 |
金融機関融資手数料 | 金融機関に支払う手数料。 30,000円〜50,000円程度が相場。 |
このように住宅購入時には、手付金以外にも手数料や登記費用などがかかります。
仲介手数料については、新築マンションでは不要の場合が多い傾向があります。一方、一戸建てでは新築・中古ともに支払いが必要です。また、新築の場合、登記には「建物表題登記」「所有権保存登記」「所有権移転登記」「抵当権設定登記」があります。抵当権設定登記は、住宅ローンを利用する場合に必要な登記のことです。登記費用のうち、約2/3程度は司法書士へ支払われる報酬となります。
支払いのタイミングがそれぞれ違い、契約の時点で必要になる費用もあります。手付金や仲介手数料、ローン保証料の具体的な金額は、購入する物件の価格によって変わってきます。それぞれの費用の相場を参考にし、必要な諸費用はどのくらいかかるのか、確認しておくことも良いでしょう。
1-2.その他の費用
住宅を購入する際には、手付金や手数料などの他にも、固定資産税や不動産取得税などの税金がかかります。固定資産税は、所有権が移された日以降から課税される税金です。年末までの日割り分を売主に支払います。「課税標準額(固定資産評価額)×標準税率」で算出され、評価額は3年に1回のペースで見直されます。
不動産取得税は、不動産を取得したことによって課税される税金です。「不動産価格(課税標準額)×税率」で算出され、およそ半年以内に納税通知書が送付されます。
さらに、新築物件を購入する場合にのみ必要になる費用もあります。一戸建ての場合は付帯工事費、建築確認申請費などがあり、付帯工事費は建築以外にかかる費用で、例えば電気工事や水道工事などです。建物本体価格とは別に工事費用が必要な場合があるため、注意しましょう。建築確認申請費は、建築基準法や条例に違反していないか確認するための申請費用です。建物の大きさによって金額が異なります。
他にも、新築マンションを購入する場合は、修繕積立基金が必要です。大規模修繕に備えるため、200,000円〜300,000円程度を購入時に支払います。
2.手付金ってどんなもの?
住宅を購入するにあたり、さまざまな費用が必要なことが分かりました。その中で、手付金とはどのようなものでしょうか?ここで、手付金の意味や相場などについても詳しく見ていきましょう。
2-1.手付金とは
上の表にもあるとおり、手付金とは物件価格の一部を先に売り主に支払うというものです。つまり、買主が住宅を購入する意思を示すためのお金ともいえます。支払った金額は、最終的には物件の購入価格から差し引かれることになっています。
2-2.申込金・内金・頭金との違い
住宅購入には契約時にかかる費用がありますが、その中でも「申込金」「内金」「頭金」は手付金と混同されやすいお金です。そのため、それぞれのお金と手付金との違いについて、理解しておきましょう。
・申込金
正確には「申込証拠金」という名前で、気に入った物件に契約を申し込む際に必要になるお金です。申し込みの意思を確認する意味があり、優先的に購入できる権利が得られます。金額は物件価格にかかわらず50,000円〜100,000円程度の場合が多いですが、申込金がかからない場合もあり、物件や不動産会社によってさまざまです。契約成立の場合は手付金などに充てられ、もしも契約に至らなかった場合は返却されます。
・内金
別名「中間金」とも呼ばれていて、契約成立後に支払うお金です。手付金とは別に、不動産売買代金の一部を売主に支払います。法的な制約がないところが手付金との違いです。一般的な不動産売買契約には、内金のやりとりをすることはあまりなく、建物の請負契約などに見られます。
・頭金
売買代金の一部を自己資金で支払うお金のことです。手付金と違い、住宅ローンの借入額を減らす目的で支払います。買い主がお金を貯めておきたい場合は頭金を減らすことも可能ですし、住宅ローンの支払いに余裕を持たせたい場合は頭金を増やすことも可能です。頭金を支払わなくても住宅は購入できますが、支払いをしておいた方が総支払額を抑えられるため、可能な場合は支払っておくと良いでしょう。
2-3.手付金の意味
手付金には、「解約手付」や「違約手付」、「証約手付」の3つの側面があります。それぞれについて確認し、手付金の意味を理解しておきましょう。
・解約手付
一度締結した契約を、後に解除することができる手付のことを「解約手付」といいます。手付金にはこの側面があり、不動産売買におけるトラブルを避けるための仕組みになっています。民法上、買い主(住宅を購入する方)は手付金を放棄することで売買契約の解除が可能です。ただし、契約締結後に購入をキャンセルしても、手付金は返ってきません。
一方、売り主側から契約解除の申し出があった場合は、売り主が受け取った手付金の2倍の金額を、買い主に支払わなければならないという制約があります。
・違約手付
買い主か売り主のどちらかに、債務不履行が起きた場合、手付が没収される、または手付の2倍額を償還するというのが「違約手付」です。買い主に約束のお金を支払えないという事態が起きた場合は手付金を売り主に、売り主に債務不履行(引渡し義務の不履行)が発生した場合は手付金の2倍の金額が買い主に償還されることとなります。違約手付には、「損害賠償の予定」としての手付と、「違約罰」としての手付があります。
・証約手付
住宅購入の売買契約をした証拠として、買い主が手付金を支払うことを「証約手付」といいます。証約手付によって買い主の購入意思が確認でき、まだ契約が締結していなかった場合の違約金としても使われます。
2-4.手付金の相場
手付金の相場は、新築と中古では少し変わってきます。新築の一戸建て、マンションを購入する際の手付金相場は、物件価格の5%程度です。一方、すでに完成している中古物件などの場合は、10%程度になることが一般的です。建築中の物件と完成している物件で手付金の相場が違うのは、建築中の場合では契約の解除になる可能性が高いためです。
ただし、手付金は売り主と買い主の合意次第で自由に設定できるため、実際は異なることもあります。なお、売り主が不動産会社の場合は、手付金の上限額が物件価格の20%と決まっています。そのため、物件が未完成である注文住宅の場合でも、手付金は物件価格の5〜20%と考えておくと良いでしょう。
手付金は現金、つまり自己資金で支払うことが必要です。貯金の中から、生活費などの手元に残すべきお金を差し引き、住宅購入時の諸費用に充てることが可能なお金を自己資金として、その中から支払います。物件価格によって手付金の金額に違いがありますので、手付金の相場を参考にして自己資金を用意しておきましょう。
3.手付金を住宅ローンに組み込むことは可能?
手付金は住宅ローンへ組み込むことはできません。手付金は売買契約を結ぶ際に支払う物件価格の一部であり、住宅を購入する際に発生する費用ではないためです。
住宅の購入費用の支払いには住宅ローンを利用できますが、住宅を購入する際の諸費用をローンに組み込む「フルローン」という方法もあります。しかし、フルローンに組み込める費用と、組み込めない費用がありますので、ここで確認しておきましょう。
3-1.フルローンに組み込める費用
フルローンに組み込める費用は以下のとおりです。
- 契約の際の印紙税(売買契約、建築請負契約、住宅ローンを借りる際の契約)
- 住宅ローンを借りる際にかかる諸費用(住宅ローン保証料、融資事務手数料)
- 登録免許税や司法書士報酬
- 火災保険料
- 仲介手数料
- 注文住宅の場合の地盤調査や地盤改良の費用、水道負担金
- フラット35の場合の住宅診断費用、太陽光設備の工事費など
ただし、フルローンが組めるのは、フルローンの住宅ローンの審査が通った場合です。銀行口座の残高がない場合や、貯金というほどのお金がない場合には、住宅ローンの審査が厳しくなるでしょう。
3-2.フルローンに組み込めない費用
次のように、フルローンに組み込めない費用があります。
- 不動産取得税
- 固定資産税
- 都市計画税
- 引っ越し費用や家具家電代
このように、住宅購入にかかる税金、引っ越し費用などはフルローンには組み込めません。金融機関や条件などによっても違いはありますが、すべてをフルローンに組み込めるわけではないということを理解しておきましょう。
4.住宅購入時に手付金を払えないときの対応策
手付金は、住宅購入の費用を一括で支払う場合を除いて、必ず支払わなければならないお金です。しかし、住宅購入の手付金は金額が大きいため、中には支払えないケースもあるかもしれません。もしも手付金が支払えない場合には、いくつか対応策がありますので確認しておきましょう。
4-1.減額交渉を行う
手付金が支払えない場合は、不動産会社の担当者や売り主に相談をしてみましょう。特に、売り主がその物件をどうしても売却したい場合には、減額の交渉に応じてくれることがあります。手付金には上限は決められていますが、下限は決められていません。そのため、買い主の購入意思が固いと判断されれば、ある程度の減額が期待できます。ただし、手付金は住宅購入において重要な役割があるため、大幅な減額の交渉は避けた方が良いでしょう。売り主とよく相談し、慎重に行うことが大切です。
4-2.手付金が安い住宅を購入する
予算の範囲内で購入する住宅を決めるというのもひとつの手です。物件の中には、あらかじめ手付金が安く設定されている物件もあります。支払える手付金の額を不動産会社の担当者などに伝えておき、条件に合った物件を紹介してもらうことも可能です。
4-3.一時的に両親などからお金を借りる
もしも、両親など協力してくれる方がいる場合は、一時的にお金を借りることも検討してみましょう。お金を借りる際に借用書を取り交わしておくことは、トラブルの予防になるため重要です。特に、借入期間が長くなったり、金額が大きくなったりする場合には、親子であっても借用書を取り交わすようにしましょう。
4-4.直系尊属から住宅取得資金などの贈与を受けた場合は非課税を申告する
両親や祖父母など直系尊属からの贈与が発生した場合は、通常は贈与税がかかることがあります。しかし、住宅購入や取得における資金の贈与を受けた場合は、申告をすれば、贈与税が非課税になる制度が適用されます。それが「非課税の特例」です。(※令和4年1月1日~令和5年12月31日)
ただし、適用には一定の要件があります。また、この制度には非課税限度額があり、贈与を受ける者ごとに省エネ等住宅であれば1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税の対象です。
申告には、非課税の特例制度を利用する旨を記載した贈与税の申告書、戸籍謄本や住宅購入などの契約書の写しなどが必要です。贈与を受けた翌年の2月1日〜3月15日までに、納税地の所轄税務署に提出します。
4-5.カードローンを利用する
カードローンとは、個人に向けた融資サービスです。銀行や消費者金融などから商品が販売されています。カードローンは、どうしてもその住宅を購入したい意思はあるものの、一時的に資金調達が難しいといった場合に利用を検討しましょう。しかし、カードローンはローン審査時には借金として申告しなければなりません。そのため、住宅ローンの審査で希望の金額を借りられなくなるなどの影響が出る可能性があります。
住宅ローンには事前審査と本審査があり、本審査は、住宅購入における契約書を取り交わした後に行います。手付金を払うためにカードローンを利用した場合、ローンが通らなくなってしまうケースも考えられます。諸費用を含めたフルローンで借りる場合でも、最低限、手付金と申込金は契約までに支払いましょう。
手付金は支払いが売買契約を結ぶ際に発生するので、カードローンを使用するには、気に入った物件を逃さないようにするためや、ボーナスが入る予定があり返済の目処が事前に付けられるような場合に使用するのが良いでしょう。
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おわりに
住宅購入時において、手付金はとても重要な役割のお金です。諸費用のようにフルローンには組み込めないため、しっかりと支払っておくことが大切になります。万が一支払えない場合には、減額の交渉など、対応策を実施してみるのもひとつの手です。住宅購入には、さまざまな費用がかかりますので、無理のない予算で購入を進められるようにしましょう。