ご遺骨を納めることを「納骨」といいます。今回はこの「納骨」を取り上げて、「そもそも納骨とは何なのか」「納骨を実施するタイミング」「納骨のときの手順」「納骨を行うときの流れ」「納骨に必要なものとは」「納骨のときの注意点」について解説していきます。
この記事のまとめ
このコラムを読むことで、まずは「納骨とはそもそもどんなものか」がわかります。また、納骨するタイミングはいつがいか、宗教による違いはあるのかも知ることができます。さらに、納骨を行うときの手順や当日の流れ、納骨を行うにあたって必要なものや気をつけなければならないこともあわせてご紹介します。
納骨とは?まずは概要を確認
納骨とは、火葬したご遺骨を何らかの形で埋葬場所に納めることを指します。日本では、亡くなった方の99.9%以上が「火葬」という形で弔われており、火葬後に残ったご遺骨は骨壺に納めて(収骨)持ち帰ります。
骨壺に入ったご遺骨は手元で供養したり、適切な方法をとれば散骨したりすることができますが、捨てることは許されていません。そのため、最終的には何らかの方法で納骨もしくは散骨をしなければならなくなります。下記では主に仏教における納骨について解説していきます。
納骨はいつ実施する?代表的なタイミング5つ
まず、「納骨を行うのに適切なタイミングはいつか」について解説していきます。なおここでは主に「仏教を信じている方」を対象とし、それ以外の宗教については後述します。
四十九日
葬儀後に行われる法要のなかで最も早い時期に訪れるのは、「四十九日法要」です。亡くなった方は、一部の宗派を除き49日間をかけて冥途を旅し、最後に裁きを受けて定められた場所に旅立つといわれています。そのため四十九日に、ご遺骨を仏壇から埋葬箇所に移すご家族がよく見られます。
しかし、49日の間に新しいお墓を建立することはかなり大変であるため、従来型のお墓への埋葬の場合はすでにあるお墓に入ることとなるでしょう。
「そもそも仏教は信仰しておらず、無宗教である」という場合で、樹木葬霊園への埋葬や他の方と一緒に眠ることになる合葬墓を希望する場合は、四十九日法要前のタイミングで埋葬が可能です。
百箇日(卒哭忌)
百箇日は、「卒哭忌(そっこくき)」とも呼ばれます。これは、「哭くこと(嘆き悲しみ、涙をこぼすこと)を卒業する日」という意味を持っています。
そのため、このタイミングで納骨を行うケースも多いといわれています。ただ現在は、百箇日法要を省略するご家庭もよく見られます。
初盆
初盆とは「故人が亡くなった後に、初めて迎えるお盆」のことをいいます。
ただし、「2023年の7月10日に亡くなった」という場合は、初盆は2023年の7月もしくは8月ではなく、2024年の7月もしくは8月となります。死後49日が経っていない時期にお盆が来ても、それは初盆としては扱われません。
初盆は他のお盆とは異なり盛大に行われますので、このタイミングで納骨を行うケースが多いといえます。
一周忌法要
故人が旅立ってから1年後の一周忌法要のタイミングで納骨を行うこともよくあります。
いわゆる「喪中」が明けるのが死後一年目だからです。また一周忌法要は、親族や、時に故人が親しくしていた友人まで呼んで行うものであるため、みんな納骨を行えるというメリットがあります。
亡くなった後の追善法要は年々参加者が少なくなっていくのが一般的なので、多くの方が集まれるこのタイミングで行うのも良いでしょう。
三周忌法要
一周忌が終わった後の納骨のタイミングとしては、「三周忌」などが挙げられます。ただし、納骨のタイミングには明確な正解はありません。「気が済むまで手元で供養していきたい」「とても長く一緒にいた人だから、自分が死んだときに一緒に納骨してほしい」と希望することももちろん可能です。
他の宗派について
仏教以外の宗派についても見ていきましょう。神道の場合、仏教の「四十九日法要」にあたるものとして「五十日祭」があります。このため、このときに納骨を済ませる方が多く見られます。
キリスト教の場合も同じく、30日目に追悼ミサ(カトリック)・召天記念日(プロテスタント)があります。ただ故人を見送ってから1ヵ月後のタイミングはまだばたばたしていることが多いことから、1年目のタイミングで納骨するケースの方が主流です。
一般的な納骨の手順
ここからは、一般的な納骨の手順について解説していきます。なおこれ以降は、特筆すべき事情がない限り、仏教を想定してお話していきます。
埋葬許可証の準備
納骨を行うためには、「埋葬許可証」が必要です。これを取得してから使用する手順は以下のとおりです。
- 役所へ死亡届・診断書および火葬埋葬許可申請書を提出する
- 火葬埋葬許可証を取る
- 火葬後に、火葬済みであることを示す印が押された埋葬許可証が出される
- 埋葬許可証を、納骨する霊園に出す
1から3までの工程は葬儀・火葬当日までに葬儀会社のスタッフおよび火葬場のスタッフによって行われるものであり、喪家が準備しなければならないものではありません(死亡診断書の取得のみ喪家が行いますが、病院で渡された書類を葬儀会社のスタッフに渡す形をとります)。
なお、火葬済みの印鑑が押された埋葬許可書は、通常骨壺の入っている袋にご遺骨と一緒に入れられています。ちなみに火葬を許可する書類と埋葬を許可する書類は一体化していることが多いのですが、まれに別になっていることもあります。また名称は、各自治体で多少異なることがあります。
墓地使用許可証(その墓地を使うときに必要とされるもので、霊園側から出される)もしっかり保管し、納骨のときに持参しましょう。
納骨する日程を調整
埋葬する霊園を決めたのならば、次は納骨する日程を調整します。新しくお墓を建立するのであればそれが建ちあがってからの納骨となりますので、石材店とよく打ち合わせをしましょう。
納骨する日は、一般的に、上記のタイミングで行います。ただし現在は49日ぴったり、100日ぴったりに行うケースは非常に少なく、多くの場合、「四十九日や百箇日の法事をもとに「前倒しをした土日」に行うことになります。なお、法事関係は前倒しは構いませんが、後ろ倒しはいけないとされていますので、これは意識するとよいでしょう。
「絶対に来て欲しい人が、その日に手術の予定があり参列できない」などの事情がある場合は、「来て欲しい人」の予定を考慮して日程を決めることをおすすめします。決まったら招待状を出し、出欠を確認します。なお会食がある場合は、納骨式の出欠をとるための招待状で事前に案内を行います。
またお盆の時期は寺院の予定が埋まっていることが多いため、寺院のスケジュールをしっかり確認しましょう。
加えて、石材店の日程も聞いておきましょう。お墓の種類はさまざまで、ご遺骨を納骨するのに個人で簡単に納骨室に至るまでの石を動かせる墓石もあれば、石材店の器具・技術を使わなければ開けられない墓石もあるからです。
お布施の準備
納骨を行う際に僧侶に来てもらうのならば、お布施を用意します。納骨式のときのお布施の金額は、30,000円~100,000円程度が相場です。
交通費である「お車代」も包みます。ただし、寺院まで歩いて行ける距離であったり、喪家が送迎する場合は不要です。また、納骨式の後に食事の席を設けるが、僧侶は参加しないということであれば、御膳に合わせた金額(5,000円~20,000円程度)を「御膳料」として包みます。
納骨法要の実施
準備が整ったら、納骨法要を実施します。初めてお墓を開く場合は、「開眼供養」を行います。これは新しいお墓を開くときに僧侶に読経してもらい、「物質としてのただの石」を、「手を合わせ拝むべき対象」とするための儀式です。
なお、仏教を前提としてお話してきましたが、納骨法要を行わなければお墓を納骨はできないという法律的な縛りがあるわけではありません。宗教者を呼ばずとも納骨はできます。
納骨当日の基本的な流れ
続いて、納骨式当日の基本的な流れを解説します。なお納骨式のときの集合場所は、ご家庭によって異なり、喪家や法要会館に集まってから全員で移動とすることもありますが、お墓の前で現地集合することもあります。
施主の挨拶
まずは施主から簡単な挨拶を行います。納骨式へ来てくださったお礼と、故人の納骨式を行うことを告げる簡単なものです。
僧侶の読経と納骨
納骨の前に僧侶による読経が行われます。その後で、納骨室へ至る石の移動を行い、喪家がご遺骨を納めます。
僧侶の読経と参列者の焼香
納骨後、再度読経を行い焼香します。一般的に焼香は、施主→家族→親族の順番で行います。
会食の場へと移動する
納骨後に会食を行う場合は、会食の会場に移動します。最後に、引き出物をお渡しして解散です。
埋葬場所探しの苦労は、専門家の手を借りるのが良い
納骨に先立ち行われる「埋葬場所(お墓など)探し」は、なかなか大変なものです。予算の兼ね合いや、故人やご家族の希望もあります。そのため、希望にかなう埋葬場所を探すのであれば、プロの手を借りるのが良いでしょう。
クレディセゾングループが提供する「セゾンの相続 お墓探しサポート」では、埋葬場所探しのお手伝いをしています。経験豊富な提携専門家のご紹介も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
おわりに
故人のご遺骨を納めることを、「納骨」といいます。納骨のタイミングやルールは、法律によって決められているものではありません。そのためご家族全員で話し合って、納得できるタイミングや形で納骨を行うようにすると良いでしょう。
ただ迷ったときは、「他の人のやり方」「従来のやり方」を踏襲するのもひとつの手です。