不動産担保ローンを利用したい場合、審査を通過する必要があるため、”絶対に借りられる”商品は存在しません。もし「絶対借りれる」と謳っている場合は、どうして、そう言い切れるのかの根拠をしっかりと確認しましょう。ただし、銀行に比べて審査基準が緩やかな金融機関やノンバンクでは、より融資を受けやすい傾向にあります。本記事では、そうした審査が比較的通りやすい不動産担保ローン商品を幅広く紹介し、審査に通過するためのポイントやコツをお伝えします。
絶対借りれる不動産担保ローンはない
結論として、絶対借りれる不動産担保ローンはありません。金融機関によって審査基準は異なりますが、不動産担保ローンを借りる際は審査に通る必要があるため、「絶対借りれる」とはいえないでしょう。反対に「絶対借りれる」と謳っている場合は、本当にそうなのか、その根拠をしっかりと確認しましょう。
不動産担保ローンの特徴
絶対借りれる不動産担保ローンはありませんが、金融機関によって審査基準は異なるため、申し込む金融機関を変更するだけでも、審査通過の可能性は変わってきます。銀行などの金融機関に比べ、審査基準が緩和されている不動産担保ローンとして、以下の2つが挙げられます。
- 金利が高めの不動産担保ローン
- ノンバンクの不動産担保ローン
それぞれの特徴を詳しく説明していきます。
金利が高めの不動産担保ローン
一般的に不動産担保ローンでは、金利が高い商品ほど審査基準が緩やかになる傾向があります。その理由は、高金利により金融機関が得られる利益が多くなるため、一定の貸倒れリスクを見込んでいるからです。
例えば、A金融機関が年利2%の低金利商品、B金融機関が年利8%の高金利商品を提供している場合、1,000万円を10年間借りた時の金利収入は、A金融機関が200万円なのに対し、B金融機関は800万円と4倍の差があります。このため、B金融機関は審査への公平性を下げる代わりに高い金利収入を得られるので、審査を多少緩くすることができます。
金利が高い分、月々の返済額は増えてしまいますが、そもそも審査に通過できなければ借りられませんから、条件を満たす限り高金利商品に申し込むのが得策といえるでしょう。
ノンバンクの不動産担保ローン
銀行に比べてノンバンクのほうが審査が緩やかである理由は、ノンバンクが与信業務(金を貸すこと)に特化しているためです。銀行は多様な業務を行うため、リスク分散の観点から保守的な審査姿勢になりがちです。
ノンバンクの主力業務は融資なので、銀行ほどリスク分散を意識する必要がなく、収益の多くを融資から得られることから、より現実的な審査基準を設けられます。また、ノンバンクは担保物件の実勢価格で評価する傾向があり、借入希望金額に対して担保不動産の価値が見合う場合は、審査の通過も期待できるでしょう。
例えば、A銀行とBノンバンクがそれぞれ物件の査定を行った場合、担保物件の実勢価格が5,000万円なら、A銀行は路線価格の3,500万円を基準にしますが、Bノンバンクは5,000万円の実勢価格を基準とするため、より高い金額を融資できる可能性があるのです。
また、住宅ローンの返済中でも申し込めたり、抵当権の順位を不問にしていたりと、対象とする不動産の制限が緩和されているケースも多いです。ただし、ノンバンクの商品を利用する場合は、銀行に比べて金利が高くなりやすい点に注意しましょう。
不動産担保ローンの審査基準を知っておこう
不動産担保ローンの審査では、さまざまな点から「問題なく返済できるかどうか」をチェックされます。個人の場合は年齢や収入、勤続年数など、法人の場合は経営状況や将来性などが審査のポイントです。不動産担保ローンを利用したい場合は、審査で見られるポイントを知っておくことが重要です。不動産担保ローンの一般的な審査基準を以下にまとめました。
申込者の属性
不動産担保ローンの審査では、申込者の年齢、職業、年収、勤続年数などの属性が重視されます。例えば、高齢で勤続年数が浅い申込者は、返済能力に不安があると見なされ、審査に通りにくくなる可能性があります。安定した年収と長期の勤続歴があれば、その分審査を通りやすくなります。法人の場合は経営年数や業績、将来性なども考慮されます。
他社の借り入れの状況
他社からの借入状況も審査のポイントです。複数のローンを組んでいたり、過去に延滞の経験があると、返済能力に懸念が持たれ、不動産担保ローンの審査を通過しづらくなります。借入総額に対する年収の割合である「返済比率」も重要視され、一般的に35%を超えると審査に通りにくいとされています。
個人信用情報
個人信用情報機関に登録された債務の延滞状況や、自己破産・個人再生の有無なども確認されます。延滞が複数回あったり、過去に債務整理を行った経歴があると、信用力が低いと判断され、不動産担保ローンは審査落ちになる公算が高くなります。
返済負担率
これらの要素に加え返済負担率なども考慮され、借入希望額と返済負担のバランスが取れているかどうかが審査されます。返済負担率とは、収入に対して返済額が占める割合を表したものです。また、他の金融機関からの借入状況や返済実績なども審査時に確認されます。
担保価値
返済能力以外では、担保にする不動産に価値があるかどうかも重視されるポイントです。金融機関が融資可能額を決める際は、不動産にどれくらいの価値があるのかを目安にしています。そのため、不動産の評価額が高くなるほど、借入可能額も高くなる傾向があります。
不動産担保ローンの審査に通過できない原因とは?
不動産担保ローンを利用したくても、審査を通過できずに借り入れができないケースは少なくありません。審査に通過できない原因として、以下の3つが考えられます。
- 書類の不備や虚偽の申告があった
- 担保価格や信用情報に問題がある
- 固定資産税の未納・滞納がある
不動産担保ローンの審査に通過するためには、審査の妨げとなりうる要素を解消することが重要です。審査の通過が難しくなる原因を理解し、通過するための対策を講じましょう。
書類の不備や虚偽の申告があった
不動産担保ローンの審査を申し込む際は、さまざまな書類を提出しなければいけません。提出書類が不足していたり、記入内容に誤りがあったりすると、審査に通過できない可能性があります。書類を準備する際は、不足や誤りがないかをよく確認し、不備のない状態で提出することを心掛けましょう。
また、虚偽の内容を申告して嘘が発覚すると、審査に通過できなくなります。審査に通過したい気持ちが強くても、申告内容を偽ることは控えましょう。
担保価格や信用情報に問題がある
借入希望額に対して不動産の担保価格が低い場合は、審査の通過が困難です。不動産の担保価格を決める要素はさまざまですが、売却が難しいと判断されると評価が低くなる傾向があります。また、審査は他の借入状況や過去の返済履歴なども考慮のうえ実施されます。その他の原因として、収入や勤続年数なども考えられます。
固定資産税の未納・滞納がある
審査に通過できない場合にありがちな理由として、担保不動産にかかる固定資産税の未納・滞納が挙げられます。住宅や土地を所有する際は、固定資産税を支払わなければいけません。
不動産担保ローンの申込者が返済不能に陥ると、金融機関は担保不動産を売却して貸付金の回収を図ります。しかし、担保不動産の固定資産税が支払われていない場合は、売却価格から未納分の税金や延滞税が差し引かれ、金融機関の取り分が少なくなります。
金融機関にとっては貸付金を回収できないリスクが高まるため、固定資産税を未納・滞納している場合はローンの利用を認められないことが多いです。
不動産担保ローンの審査に関するよくある質問(Q&A)
不動産担保ローンを検討する場合、以下のような疑問が生じる方もいるでしょう。
- 不動産担保ローンの審査に通過するためのポイントは?
- 不動産担保ローンの審査に落ちてしまった場合、どのように対処すべき?
- 二番抵当でも借りられる不動産担保ローンはありますか?
審査に通過する可能性を上げるためには、疑問点を解消したうえで審査に臨むことが大切です。ここでは、不動産担保ローンの審査に関するよくある質問について解説します。
不動産担保ローンの審査に通過するためのポイントは?
審査を申し込む際は、以下のポイントをチェックするのがおすすめです。
- 担保不動産の場所が金融機関の対象エリアかどうかを確認する
- 不備がないことを確認してから書類を提出する
- 担保不動産の価値や住宅ローン残高、申込者の信用情報に問題がないかを確認する
前提として、担保不動産の場所が金融機関の対象エリア外の場合、不動産担保ローンは利用できません。金融機関ごとに対象エリアは異なるため、公式サイトや窓口などで確認しておきましょう。
上述のとおり、提出書類に不備がある場合は審査の通過が難しくなります。内容に問題がないかどうかを確認してから提出しましょう。担保不動産の価値は審査に大きく影響するポイントです。
築年数が経過すると価値が目減りしやすいため、築古の不動産を担保にしたい場合は注意が必要です。なお、建築基準法を満たさない物件は、そもそも担保として評価されないケースが少なくありません。
住宅ローンが残っている物件も担保にできる可能性がありますが、その場合はローン残高と借入希望額の合計が不動産の担保価格を下回っている必要があるでしょう。また、審査では申込者の信用情報も重視されやすいため、過去に滞納などの問題がないかも確認しておきましょう。
不動産担保ローンの審査に落ちてしまった場合、どのように対処すべき?
審査に落ちた場合の対処方法は大きく分けて3つあります。
担保にする不動産を変更して再度申し込む
複数の不動産を所有している場合は、審査落ちの原因が担保物件にあった可能性があります。物件の評価額が低かったり、立地が良くなかったりする場合が考えられます。そこで、別の物件を担保にして再度申し込むことで、審査を通過できる可能性が出てきます。
別の金融機関の不動産担保ローンに申し込む
審査基準は金融機関ごとに異なるため、審査落ちの金融機関を変更するだけで状況が変わる場合があります。特に銀行とノンバンクでは審査のポイントが大きく異なるので、一方で落ちても他方では通過する可能性がありますね。
不動産担保ローン以外の資金調達方法を検討する
どうしても不動産担保ローンの審査に通過できない場合は、他の資金調達方法を選ぶ必要があります。事業者向けの無担保ローンや、制度融資、不動産の売却なども選択肢として考えられます。
二番抵当でも借りられる不動産担保ローンはありますか?
はい、ノンバンクの中には二番抵当でも融資を行えるケースがあります。二番抵当とは、その物件に既に住宅ローンなどの一番抵当権が設定されている状態で、さらに別の金融機関に抵当権を設定することです。こうした二番抵当物件でも借りられる商品を探せば、追加での資金調達が可能になります。ただし、二番抵当物件での融資は、金融機関のリスクが高くなるため、審査基準はより厳しくなる傾向にあります。審査通過の可能性を高めるため、状況に応じて保証人の設定なども検討する必要があるかもしれません。
二番抵当でも借りられる不動産担保ローンをお探しなら、「セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローン」がおすすめです。審査の際に抵当権の順位が問われないため、二番抵当でも融資を受けられる可能性があります。また、独自の審査基準を設けているため、他の金融機関では審査に通過できない方でも利用できる場合があります。不動産担保ローンの審査に不安がある方や、二番抵当で融資を申し込みたい方は、セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローンの利用を検討してみましょう。
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