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年金は条件を満たしていないともらえない!対策をチェック

年金は条件を満たしていないともらえない!対策をチェック
セゾンのくらし大研究 編集部

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経済的な理由などで年金の保険料の納付が難しい方が未納を続けると、将来、老齢年金を受け取れなくなる恐れがあります。また、保険料の免除や猶予を受けた場合、年金が受け取れたとしても減額されます。

今回は国民年金や厚生年金を老後に受け取るための条件を確認し、未納のある方が年金をもらうにはどうすれば良いかなどを解説していきましょう。自営業者などで年金を未納にしたことがある方などは、ぜひ参考にしてください。

この記事を読んでわかること

  • 老後に国民年金や厚生年金を受け取るには受給資格期間が10年以上必要
  • 経済的な理由などで国民年金保険料の納付が難しい方は、猶予や免除の手続きをするべき
  • 受給資格期間が足りない場合、60歳以降に国民年金の任意加入などの対策がある
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年金制度の基本をおさらい

年金制度の基本をおさらい

最初に、日本の年金制度の仕組みを解説します。

年金は3階建て構造

日本の年金制度は「3階建て」といわれています。1階部分は全国民が加入する国民年金(基礎年金)、2階部分は会社員・公務員が加入する厚生年金です。国民年金と厚生年金は、国が運営する公的年金です。

公的年金に上乗せする3階部分として、会社や個人で任意加入する確定給付企業年金や確定拠出年金などがあります。

 ・1階部分:国民年金(基礎年金)

国民年金は20歳以上60歳未満の全国民が加入する年金で、全ての年金の土台との意味合いから基礎年金とも呼ばれています。国民年金の被保険者には以下の3種類があります。

被保険者対象者保険料の納付
第1号被保険者自営業者・学生・農業者・無職の方など自分で納付
第2号被保険者会社員・公務員など勤務先を通じて納付
第3号被保険者第2号被保険者に扶養されている配偶者保険料負担なし
出典:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」より

 ・2階部分:厚生年金

厚生年金は会社員・公務員を対象に、国民年金への上乗せ給付をする制度です。保険料は労働者と雇用主が折半で負担し、労働者負担分の保険料は給与天引きなどで納めます。

 ・3階部分:企業年金等の私的年金

公的年金に上乗せする3階部分は、私的年金とも呼ばれます、私的年金には、企業が運営する企業年金と、個人が任意で加入する制度があります。

企業年金の種類は以下のとおりです。

  • 確定給付企業年金
  • 企業型確定拠出年金
  • 厚生年金基金

個人で加入する制度には、以下のような種類があります。

  • 国民年金基金
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)

公的年金の「国民年金」と「厚生年金」

国民年金と厚生年金は、公的年金で、老後の生活保障として給付される老齢年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金があります。

公的年金には「遺族年金」や「障害年金」もある

公的年金は老齢年金を含め以下の3種類があります。

目的国民年金厚生年金
老齢年金老後の生活保障老齢基礎年金老齢厚生年金
障害年金障害のある方の生活保障障害基礎年金障害厚生年金
遺族年金被保険者の遺族の生活保障遺族基礎年金遺族厚生年金

年金というと老後の年金をイメージするかもしれません。しかし、公的年金は上記の3つの保障がセットになった制度であることを知っておきましょう。

年金を受給するための条件

年金を受給するための条件

将来、老齢基礎年金を受け取るには、受給の要件を満たさなければなりません。どのような要件かを確認しておきましょう。

年金を受給するための条件

老齢基礎年金を受給するためには、受給資格期間が10年以上必要です。受給資格期間とは、以下の期間の合計です。

  • 保険料を納めた期間
  • 保険料の免除を受けた期間
  • 国民年金の学生納付特例を受けた期間
  • 合算対象期間(カラ期間)
  • 厚生年金の加入期間
  • 第3号被保険者の期間

基本的には国民年金に加入して保険料を納めた期間が10年以上あれば、老齢基礎年金を65歳から受け取れます。免除期間も受給資格期間に含まれますが、老後の年金が減額されます。

年金を満額受給するための条件

老齢基礎年金を満額受給するには、20歳から60歳までの40年間(480カ月)の保険料を全額納める必要があります。

老齢基礎年金の年金額は、基本的に保険料の納付月数によって決まります。2023年の老齢基礎年金の満額は67歳以下では、年額79万5,000円です。たとえば、保険料の納付月数が456カ月の方の場合、年金年額は75万5,250円(79万5,000円×456カ月/480カ月)となります。

年金がもらえないのはどんなとき?

年金がもらえないのはどんなとき?

公的年金は原則として65歳から受け取れます。ただし、以下のようなケースでは支給されません。

受給資格期間が足りていないとき

公的年金の受け取りには、受給資格期間が10年以上必要です。先述したとおり、保険料を納めた期間、保険料の免除を受けた期間などの合計が10年に満たない場合、公的年金を受け取れません。

在職老齢年金制度で支給停止となっているとき

60歳以降に、厚生年金に加入して働く場合、年金の受給額と給与や賞与によって年金の一部または全額が支給停止となる場合があります。これを、在職老齢年金制度といいます。

支給停止となる金額の計算式は以下のとおりです。

支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)×1/2

基本月額とは老齢厚生年金の年額の12分の1の金額で、総報酬月額相当額とは給与月額と賞与(直近1年分)の12分の1との合計です。

簡単にいうと、月給と厚生年金の合計が48万円を超えると、超えた金額の半分の年金額が支給停止になります。たとえば、老齢厚生年金の月額が15万円の場合、総報酬月額相当額が33万円を超えると一部支給停止、63万円以上では全額支給停止になります。

年金の受給資格を失わないためにできること

年金の受給資格を失わないためにできること

年金保険料の未納期間が長いため老齢年金の受給資格期間が10年に満たない場合、年金を受け取れません。ここでは保険料の支払いができない期間があっても、老後に年金を受け取るための対策を紹介します。

保険料免除や納付猶予制度を利用する

自営業や学生など国民年金の第1号被保険者で、経済的な理由により保険料の納付ができない方のために、免除や猶予という制度があります。免除や納付猶予の手続きをすると、その期間は受給資格期間に算入されます。

受給資格期間は老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金にも関わってくるものです。免除や猶予の手続きをしておけば、万が一のことがあっても障害年金や遺族年金を受け取れるのです。未納の状態を放置する場合とは異なる結果になることを知っておきましょう。

受給資格期間を増やす

受給資格期間が不足していて年金を受け取れない方が、受給資格を得る方法を紹介します。

 ・国民年金に任意加入する

60歳までに老齢基礎年金の受給資格を得られない方は、国民年金の任意加入制度を利用できます。任意加入制度では60歳から65歳までの間に、国民年金保険料を納めることで納付月数と年金受給額を増やせます。65歳までの任意加入でも受給資格期間を満たせない方は、70歳まで任意加入が可能です。

国民年金の任意加入は、以下の条件を全て満たす方が利用できます。

  • 日本国内在住で60歳から65歳
  • 老齢基礎年金の繰上げ受給をしていない
  • 60歳までの国民年金保険料の納付月数が480月(40年)未満
  • 厚生年金に加入していない

 ・60歳以降も厚生年金に加入して働く

60歳以降に厚生年金に加入して働くと、加入期間は受給資格期間として加算されます。厚生年金加入者は国民年金の任意加入はできません。

しかし、厚生年金は70歳まで加入できるため、60歳から70歳まで加入すれば受給資格期間を増やせるのです。60歳以上の厚生年金加入者は国民年金の保険料を納めないので、国民年金の年金額増額はできません。ただし、厚生年金の年金額を増やせます。

 ・年金を追納する

免除や猶予を受けた期間は受給資格期間に算入されますが、年金額は減額されます。免除や猶予を受けた場合、10年以内であれば保険料の納付が可能です(追納)。追納した月数分は、保険料納付済期間として老齢基礎年金の計算に反映されます。

期間内に追納できなかった方が年金額を増やしたい場合、60歳以降に国民年金に任意加入できます。

年金で気をつけたいポイント

年金で気をつけたいポイント

最後に、将来受け取る年金額を減らさないために注意すべきポイントを解説します。

納付を忘れやすいケース

国民年金保険料の未納が発生するのは、自営業、無職者などの国民年金の第1号被保険者です。

会社員や公務員などの第2号被保険者と第2号被保険者に扶養される第3号被保険者は、保険料を直接納めません。そのため、第2号被保険者と第3号被保険者に保険料の未納は発生しないのです。

第1号被保険者は納付書によって金融機関などで納めるか、口座振替またはクレジットカードによる納付が可能です。納付書で支払う場合、期限内に忘れずに納めましょう。納め忘れが心配な方は、口座振替かクレジットカードでの納付を選ぶと良いでしょう。

厚生年金を納付していてももらえないケースがある

老齢厚生年金を受け取るには、老齢基礎年金の受給資格期間を満たす必要があります。厚生年金に加入していても、受給資格期間が10年に満たないために厚生年金を受け取れないケースもあるのです。

ただし、60歳以降も厚生年金に加入して働く場合は、その加入期間が受給資格期間に含まれます。受給資格期間が10年以上かどうかを早めに確認し、年金を受け取るための対策を考えましょう。

「ねんきん定期便」の確認を怠らない

将来受け取るおおよその年金額を知るために、ねんきん定期便を確認しましょう。ねんきん定期便に記載されているのは、将来受け取れる年金額の情報です。この金額は50歳未満と50歳以上では、以下のように異なります。

年齢年金額の種類内容
50歳未満これまでの加入実績に応じた年金額ねんきん定期便作成時点の加入実績に応じた年金額
50歳以上65歳未満老齢年金の見込額現在の年金制度に60歳まで継続して加入したとして、65歳から受け取れる年金見込額
出典:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和5年度送付分)」より

50歳以上の方は現在の加入条件が60歳まで続いた場合の、老齢年金の見込額を確認できます。一方、50歳未満の方は加入実績に応じた年金額のため、将来受け取る年金額より少ない金額になっています。保険料を納め続けることで、徐々に増えていくことを知っておきましょう。

受給できるか不安になったらプロに相談を

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おわりに 

公的年金の未納期間が長い方は老齢年金の受給資格期間を満たせず、年金を受給できない恐れがあります。未納期間のある方は早めに状況を確認し、受給資格期間が足りない場合は、国民年金の任意加入などで対策を立てましょう。

現在、年金保険料の支払いが難しい方は安易に未納にせず、早めに年金事務所に相談し、免除や猶予が受けられるようにしましょう。

また、保険料を納めた期間が短い方は、将来受け取る年金が少なくなります。受け取る年金の見込額を確認し、老後資金準備を計画しましょう。

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