限度額適用認定証の申請方法とは?必要書類やよくある疑問についてわかりやすく解説

入院などで医療費が高額になることが事前に分かっている場合は「限度額適用認定証」を申請するのがおすすめです。限度額適用認定証があれば、窓口での支払額を自己負担限度額まで抑えられます。
しかし、どのように申請手続きを行えば良いのか分からない方もいるでしょう。そこで、このコラムでは、限度額適用認定証の申請方法について「協会けんぽや組合健保」と「国民健康保険」に分けて解説していきます。限度額適用認定証の申請手続きに関するよくある疑問についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1.限度額適用認定証とは?概要を解説
「限度額適用認定証」とは、入院などで高額な医療費がかかることが想定されるときに利用するものです。医療機関の窓口に限度額適用認定証を提示すれば、支払い金額が自己負担限度額までになります。
限度額適用認定証は、医療機関での支払い前に申請して交付してもらう必要があります。事前に申請しておけば、病院の窓口で大きな支払いが発生しなくて済むので、お金の用意に不安がある方も安心です。
2.限度額適用認定証の申請方法
限度額適用認定証を申請する方法は、協会けんぽや組合保険などの被用者保険と、国民健康保険で異なります。ご自身が加入している保険の申請方法について、参考にしてみてください。
2-1.協会けんぽ・組合健保・共済組合・国保組合の場合
協会けんぽ、組合健保、共済組合、国保組合などの被用者保険の場合は、保険証に記載されている保険の所属支部に申請します。勤務先を通して申請を行うこともあるので、総務などに限度額適用認定証の手続きについて確認しておくと良いでしょう。主な手続きの流れは、以下のとおりです。郵送手続きのため、交付まで1週間程度かかります。
- 申請書を保険の支部に提出する(申請書はホームページなどでダウンロード可)
- 限度額適用認定証が交付される
- 病院の窓口に保険証と併せて限度額適用認定証を提示する
- 病院の窓口支払いが、自己負担限度額までで済む
2-2.国民健康保険の場合
国民健康保険に加入している方は、区役所や市役所の国民健康保険係の窓口に申請します。自治体によっては、郵送で受け付けていることもあります。
申請には、国民健康保険証と本人確認書類が必要です。ただし、自治体により申請方法や手続き窓口が異なることがあるので、不明な点がある場合は問い合わせるのがおすすめです。なお、保険税の滞納がある場合は申請できないことがあるので、ご注意ください。
3.限度額適用認定証の申請に必要な書類
限度額適用認定証の申請に必要な書類は、加入している保険により異なります。例えば、国民健康保険に加入している方が、区役所の窓口で申請する場合に必要な書類は、以下のとおりです。
- 被保険者の保険証
- 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
- マイナンバーカード
- 委任状(代理人が手続きを行う場合)
マイナンバーカードがない場合は、個人番号の通知カードや、マイナンバーの記載がある住民票が必要です。書類が不足していた場合、もう一度申請しなければならず二度手間になってしまいます。事前に、提出先に必要書類について問い合わせておくと安心です。
4.高額療養費制度の自己負担上限額をチェック
高額療養費制度は、1ヵ月の医療費が上限額を超えた場合は、その分を支給する制度です。所得や年齢により、自己負担の上限額が異なります。こちらでは「69歳以下」「70歳以上75歳未満」「75歳以上」の3つに分けて、医療費負担の上限額について紹介します。
4-1.69歳以下の方
69歳以下の方が窓口で支払う自己負担額は、以下のとおりです。

引用元:「 高額療養費制度を利用される皆さまへ(厚生労働省)」
多数回該当とは、同じ世帯で過去12ヵ月間のうち自己負担限度額に達した月が4回目になると適用される金額のことです。「旧ただし書き所得」は、既に廃止されています。しかし、国民健康保険では旧ただし書き所得に所得割料率を掛け合わせて、保険料の所得割額を計算します。70歳未満は、医療費の自己負担が一律3割です。
4-2.70歳以上の方
70歳以上、75歳未満の方が窓口で支払う自己負担額は、以下の通りです。

引用元:「 高額療養費制度を利用される皆さまへ(厚生労働省)」
70歳以上75歳未満の場合は、窓口負担割合が2割~3割です。負担割合は、所得により異なります。
4-3.75歳以上の方
75歳以上の方は、後期高齢者に区分されます。後期高齢者の窓口負担について、厚生労働省が定める窓口負担割合と高額療養費の自己負担限度額を見ていきましょう。

引用元:「後期高齢者の窓口負担の在り方について(厚生労働省)」
世帯の所得区分が「現役並み所得者」の場合、窓口で支払う自己負担は3割です。一方「一般」または「低所得者区分」の場合は、1割負担です。
5.限度額適用認定証の申請方法についてよくある疑問
限度額適用認定証を申請する際によくある疑問を5つ紹介します。疑問に思う項目がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
5-1.限度額適用認定証はいつまでに提出すれば良いか知りたい
限度額適用認定証の有効期限は、申請から最長で1年間です。定められている有効期限は、加入している保険により異なります。限度額適用認定証に有効期限が記載されています。また、期限が切れた後も引き続き限度額適用認定証が必要な方は、再度申請が必要です。
5-2.70歳以上は限度額適用認定証が必要なのか?
70歳以上の方は、所得区分により限度額適用認定証が必要になる場合があります。所得区分が現役並み所得者Ⅰ・Ⅱの方は「限度額適用認定証」が必要です。国民健康保険と協会けんぽの場合の現役並み所得者の区分は、以下の通りです。
- 現役並みⅠ:健保標準報酬月額28万~50万円、または課税所得145万円以上
- 現役並みⅡ:標準報酬月額53万~79万円、または課税所得380万円以上
- 現役並みⅢ:標準報酬月額83万円以上、または課税所得690万円以上
上記の区分は、国民健康保険及び協会けんぽの場合です。健康保険組合や共済組合の場合は、組合へお問い合わせください。「現役並みⅢ」と「一般」の区分の方は、健康保険証と高齢受給者証を提示すれば、限度額適用認定証は不要です。
5-3.「限度額適用認定証」と「高額療養費制度」の違いが分からない
高額療養費制度とは、医療費が高額になった場合に自己負担限度額を超えた分の払い戻しが受けられる制度です。限度額適用認定証との主な違いは、以下のとおりです。
・限度額適用認定証・・・高額な医療費がかかりそうな場合、あらかじめ申請しておくと窓口支払いが自己負担額のみで済む
・高額療養費制度・・・医療費の自己負担額が高額になり、限度額を超えた場合に後で金額が払い戻される
医療費が高額になった場合、一時的に窓口負担が大きくなりますが、後で払い戻しが受けられます。窓口での支払い時点で自己負担限度額に抑えたい場合は限度額適用認定証を提示すると良いでしょう。
5-4.限度額適用認定証が退院までに間に合わない場合はどうすれば良い?
限度額適用認定証の申請が退院までに間に合わない場合は、いったん窓口で支払い、後に高額医療費の支給を待つことになります。高額療養費を申請する場合、支給までは3ヵ月程度かかります。医療費が高額になりそうだと分かっている場合は、早めに手続きを行うことがおすすめです。
5-5.限度額適用認定証はいつ提出すれば良い?
限度額適用認定証は、申請を行うと1週間程度で手元に届きます。限度額適用認定証が発行されたら、入院手続き時の際に提示しましょう。窓口支払いが自己負担上限額までに抑えられます。
入院日までに間に合わない場合は、月末までに提示すれば良い場合もあります。いつまでに提示すれば間に合うかについては、病院に問い合わせてみてください。
5-6.マインナンバーカードを健康保険証とする場合の限度額適用認定証は?
マイナンバーカードを健康保険証として利用できる医療機関では限度額適用認定証がなくても、限度額を超える一時支払いが不要になります。マイナンバーカードで受診し、顔認証付きのカードリーダーで情報提供に同意するだけなので、手続きも簡単です。
マイナンバーカードが健康保険証として対応しているかどうかは「マイナ受付」のポスターやステッカーで分かります。厚生労働省のホームページ「マイナンバーカードの健康保険証利用対応の医療機関・薬局についてのお知らせ」でも確認できるので、ぜひご利用ください。
6.「限度額適用認定証」があると安心!申請方法を知っておこう
医療費が高額になりそうだと分かっている場合は、事前に限度額適用認定証を申請しておくと、窓口での一時支払いが不要になります。申請には日数がかかるので、入院などが決まっているなら、早めに手続きを行っておきましょう。
なお、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる医療機関の場合は、限度額適用認定証が無くても窓口負担が自己負担限度額になります。「手続きが難しい」と感じる場合は、病院や加入している保険の窓口に相談すると良いでしょう。