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年収750万円の39歳会社員「老後は余裕です」…“29歳からの10年間”で実現した「驚きの資産額」、資産のポートフォリオを見直してみませんか【FPが解説】

伊豫田 誠(FP事務所ストラット代表・不動産投資専門ファイナンシャルプランナー)

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伊豫田 誠(FP事務所ストラット代表・不動産投資専門ファイナンシャルプランナー)

1972年生まれ、愛知県出身。東証一部上場企業・外資系保険会社の勤務を経て、2005年に自動車販売修理店および保険代理店で独立する。その後、会社は年商2億・従業員数15名に成長し、個人でも不動産投資を行い経験や実績を重ね45歳のときにセミリタイヤ(FIRE)を達成する。2010年より「FP事務所ストラット」を開設し、会社員・公務員に向けて、最適な投資などを『不動産投資セミナー』を通して伝える活動を行っている。

上場企業に新卒で入社後、お金は“あればあるだけ”使う暮らしをしていた会社員A氏。29歳で結婚したものの、貯金の少なさに内心焦っていました。そんなとき、会社にかかってきた1本の電話……「不動産投資」の勧誘です。

その後、恐る恐る不動産投資を始めたA氏ですが、10年後資産推移はどのように変化したのでしょうか。FP事務所ストラット代表の伊豫田誠FPがA氏の事例をもとに、不動産投資のメリットや注意点について解説します。

お金は“あればあるだけ”使う生活

お金は“あればあるだけ”使う生活

現在39歳のA氏は、22歳のとき新卒で上場企業に入社しました。当時は年収約350万円からのスタートで、入社当初は仕事を覚えることに必死でしたが、数年もすると余裕が出てきて、交友関係も広がってきました。

仕事を終えると友人と食事に出かけたり、ジムに通ったり、車を購入して週末旅行へ行ったり……。年収は450万円ほどに増えてはいたものの、そのほとんどを使い切るという生活を満喫していました。

そんなある日のことです。Aさんが26歳のとき、取引先の女性に一目惚れ。将来を考える女性と出会ったと思い真摯にアタックしたところ、想いが通じてお付き合いをするようになりました。

しかし、「自分をかっこよく見せたい」という気持ちもあり、華やかな暮らしをやめることができません。付き合いはじめたことでより一層出費が増え、貯金ができない状態が続きました。

嬉しいことに、A氏はその女性と29歳で結婚することになりました。年収は約550万円となっていましたが、貯金は100万円しかありません。「プロポーズしたはいいけど、お金がない。どうしよう……」内心焦りながら仕事をしていたところ、会社にとある1本の電話がかかってきました。

“不動産投資が貯金代わりに”…?勧誘電話に心揺らぐ

 “不動産投資が貯金代わりに”…?勧誘電話に心揺らぐ

A氏の会社には、時々不動産投資の勧誘目的で電話がかかってきていました。いつもなら「胡散臭い」とすぐに切っていましたが、その日はなんとなく最後まで聞いてみることに。

電話口の営業マンB氏いわく、「不動産投資は、貯金ができない人にこそおすすめです!」とのこと。この一言に心を奪われたA氏は、後日改めて話を聞くことにしました。

当初は自宅近くの喫茶店で話をする予定でしたが、「不動産投資は胡散臭い」というイメージが拭い切れないA氏はその会社がどんな場所にあるのか見てみたくなりました。そこで、B氏が働く不動産投資会社のオフィスに出向いて話をすることに変更。妻も誘い、2人でオフィスへ向かいました。

会社は清潔感のあるオフィスで、イメージとかけ離れた外観に驚きましたが、「この綺麗さに騙されてはいけない」と用心して話を聞き始めました。

B氏は、次のように説明します。

「不動産投資は、投資といっても自己資金10万円から始めることができ、貯金や年金対策として不動産を購入する人も多いんです。しかも生命保険の効果もあります」

「生命保険の効果もあるんだ……」これには妻も大いに関心を示しています。いままでA氏がイメージしていた不動産投資は、価格の上下に目を光らせるギャンブルのようなものでした。しかし、実際には「老後への備え」を目的に不動産投資を始める人が多いと聞いたA氏は、より興味が湧きはじめました。

しかし「営業マンの話を鵜呑みにしてはいけない」と用心深いA氏。その後、複数の不動産投資会社の無料セミナーに参加したり、何冊か不動産投資に関連する本を購入したりして、自分なりに勉強を重ねました。

A氏は「新築ワンルームマンション」への投資を決断

A氏は「新築ワンルームマンション」への投資を決断

そこでわかったのは、不動産投資には「新築不動産投資」と「中古不動産投資」があり、アパート、ワンルームマンション、1棟マンション、テナント物件、戸建て住宅などのさまざまな種類があるということ。どの不動産を選んでもメリットとデメリットがあるようですが、情報が溢れていてなにが正しいのかA氏には判断がつきません。

アパート物件を取り扱う会社ではアパート投資のメリットを強調し、戸建て住宅を取り扱う会社では戸建て投資のメリットを強調します。“新築vs中古論争”なるものもあるようです。

また、東京オリンピック以降も、コロナショック以降も不動産価格は上がり続けているにもかかわらず、不動産の買い取り業者は常に「今後不動産価格は下がる一方ですから、今のうちに売った方がいいですよ」と言います。

A氏はひと通り情報収集を終え、「不動産は価格が大きく、いったん購入してしまうと買い直すことが難しい。自分のいまの状況にあった『新築ワンルームマンション投資』から始めよう」と決断しました。

決め手は、自己資金が少なくて済むことと、妻が関心をもっていた生命保険効果が高いことです。また、資産価値が高い、銀行融資が受けやすい、入居率が高い、長期的にメリットが得られるなどの要素も判断材料になりました。

ついに物件購入…気になる資産推移は?

ついに物件購入…気になる資産推移は?

そして、A氏が30歳のとき、1軒目の新築ワンルームマンションの購入に踏み切りました。物件概要は下記の通りです。

【A氏が購入した不動産(1軒目)】※プライバシー保護のため実際の物件とは異なります

*新築ワンルームマンション

・広さ:27.1m2
・物件価格:3,210万円
・所在地:東京都北区
 (東京メトロ南北線「王子駅」徒歩4分、JR京浜東北線「王子駅」徒歩6分、都電荒川線「王子駅前駅」徒歩7分、東京メトロ南北線「王子神谷駅」徒歩12分、JR京浜東北線「東十条駅」徒歩15分)

*資金計画

・自己資金:頭金10万円+諸費用80万円=合計90万円
・銀行融資:3,200万円(金利1.6%/35年払い)

*毎月の収支(キャッシュフロー)

契約賃料:10.7万円
ローン支払い:9.9万円
管理、積立金、設備保証等:1.2万円
管理代行手数料:0.3万円
合計収支額……▲0.7万円

不動産購入と同時に団体信用生命保険に加入するため、万一の時はローンが完済されて無借金の不動産を遺族に残すことができます。これにより、生命保険の効果が得られます。

A氏はさらに生命保険を見直したことで、月々支払う保険料を減額。こうすることで、不動産購入時の自己資金と、購入後の支出(毎月の収支、固定資産税、その他)を相殺することができました。

A氏がこの物件を購入する前後の資産推移は、それぞれ下記の通りです。

【A氏の資産推移(30歳)】

*購入前

資産:100万円(現金)
負債:0円
純資産:100万円

*購入後

資産:3,210万円(不動産1軒目)
負債:3,200万円(融資残高)
純資産※:10万円

※ 純資産=資産-負債

1軒目が軌道に乗ったA氏…36歳で2軒目を購入

1軒目の物件を購入し、うまくいきそうだと思ったAさんは、6年後36歳のときに2軒目を購入。概要は下記の通りです。

【A氏が購入した不動産(2軒目)】※プライバシー保護のため実際の物件とは異なります

*新築ワンルームマンション

・広さ:26.5m2
・物件価格:3,420万円
・所在地:東京都墨田区
 (都営大江戸線「森下駅」徒歩5分、都営新宿線「森下駅」徒歩5分、都営新宿線「菊川駅」徒歩6分、東京メトロ半蔵門線「清澄白河駅」徒歩11分、都営大江戸線「両国駅」徒歩12分)

*資金計画

・自己資金:頭金10万円+諸費用80万円=合計90万円
・銀行融資:3,410万円(金利1.6%/35年払い)

*毎月の収支(キャッシュフロー)

契約賃料:11.3万円
ローン支払い:10.6万円
管理、積立金、設備保証等:1.1万円
管理代行手数料:0.3万円
合計収支額:▲0.7万円

また、資産推移は下記のように変化しました。

【A氏の資産推移(36歳)】

*2軒目購入前

資産:3,000万円※(不動産1軒目)
負債:2,770万円(融資残高)
純資産:230万円
※ 不動産価格は予測時価

*2軒目購入後

資産:6,420万円(不動産合計)
負債:6,180万円(融資残高合計)
純資産:240万円

39歳のA氏…このままいけば「老後は余裕です」

39歳のA氏…このままいけば「老後は余裕です」

3年経ち、A氏は39歳になりました。資産推移は現在下記のようになっています。

【A氏の資産推移(39歳)】

資産:6,230万円(不動産合計)
負債:5,720万円(融資残高合計)
純資産:510万円

29歳で結婚したときは貯金が100万円しかなく焦っていたA氏でしたが、不動産投資を始めた結果、10年後の純資産は510万円に。貯金が苦手なA氏にとっては、ようやくひと安心できる数字です。

このまま2軒のワンルームマンションを保有した場合、50歳・60歳時点での資産推移はそれぞれ下記のようになる見込みです。

【A氏の資産推移(50歳)】

資産:5,500万円(不動産合計)
負債:3,860万円(融資残高合計)
純資産:1,640万円

【A氏の資産推移(60歳)】

資産:4,840万円(不動産合計)
負債:1,850万円(融資残高合計)
純資産:2,990万円

順調にいけば、A氏は60歳時点で約3,000万円の純資産額が見込めます。

ただし、ここで注意したいのが、「資産」と「純資産」の違いです。「資産」とは自分が所有している財産のこと。したがって「資産形成」には、融資を活用しながら増やしていくという方法も含まれます。

多くの人は、マイホームやマイカーは融資を活用する一方で、老後資金となると貯金や投資信託、保険商品など現金で準備するものに偏っているのが現状です。現金だけでA氏のように純資産を2,990万円まで増やすというのは、決して簡単ではありません。

まとめ

もちろん今後、不動産価格が大きく下落する可能性もありますが、一定の資産価値は保たれます。したがって、貯金や投資信託などを含めてもA氏の老後資金計画は明るいといえるでしょう。

不動産投資は大きな金額が動くため、参入障壁が高いと思っている人も少なくありません。しかし実際には、融資を活用することで自己資金が少ない人でも始めることができます。

インフレが止まらぬ今、現金(預金)の価値下がっていく一方です。他の資産についても積極的に情報収集を行い、ポートフォリオに組み入れることを検討してみてはいかがでしょうか。

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