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住宅ローンは年収の何倍まで借りられる?借入額を考える際の注意点を知っておこう

セゾンのくらし大研究 編集部

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住宅ローンを利用して住宅購入を考えるとき、ご自身の年収ではいくらまで借りられるのか気になる方も多いのではないでしょうか。もちろん最終的な結果は金融機関の審査を待つしかありませんが、おおまかな目安として年収の7倍までが借入できる金額の目安といわれています。本コラムでは、住宅ローンを借り入れる際の基礎知識も交えて借入額についてわかりやすく解説していきます。

この記事のまとめ

一般的には年収の6~7倍程度が借入可能額の目安とされていますが、実際には返済負担率や頭金充当の有無など前提条件によってバラつきがあります。通常30年前後にもおよぶ住宅ローンの返済期間ですので、自身や家族のライフイベントも加味した無理のない資金計画が重要です。

住宅ローン相談窓口
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住宅ローンを組んでいる方の年収倍率はおよそ7倍

住宅ローンの借入可能額をはかる目安のひとつに、年収倍率があります。年収倍率とは、住宅ローン契約者の年収を基準として、その何倍まで借り入れができるかという倍率のことです。

住宅金融支援機構が発表している「2021年度 フラット35利用者調査」によると、年収のおよそ7倍の額で住宅ローンを組んでいる契約者が多いことがわかります。同調査結果をもとに、物件の種類ごとに倍率を表にまとめています。

物件倍率
土地付注文住宅7.5倍
マンション7.2倍
建売住宅7.0倍
注文住宅6.8倍
中古マンション5.8倍
中古戸建5.7倍

もっとも年収倍率が高いのは、土地付注文住宅の7.5倍で、低くても中古戸建で5.7倍です。年収400万円の例で試算してみると、7.5倍では3,000万円まで、5.7倍では2,280万円までが借入金額の目安ということになります。

土地付注文住宅とは、購入者の要望をもとに設計や設備をカスタマイズされている住宅のことで、その際に土地も一緒に購入することを指します。そのため、購入価格自体も建て売りやマンションよりも高額になる傾向にあり、比例して年収倍率も高くなっています。

年収から住宅ローンの借入額を考える際の注意点

住宅ローンの年収倍率はおよそ6~7倍と紹介しましたが、実際にはもう少し低い倍率で考えたほうが堅実です。その理由として、以下の4点についてここから解説していきます。

  • 年収は手取りではない
  • 年収倍率の内訳に頭金が入っている可能性を考慮
  • 重要なのは年収倍率よりも返済負担率
  • 住宅ローンに含まれない諸経費もある

年収は「手取り」ではない

年収倍率の「年収」とは、手元に残る「手取り」金額ではなく、税金や保険料などが引かれる前の総支給額です。

実際に毎月の住宅ローン返済額を捻出するのは手取りが基準となるため、総支給額の年収を基準とするよりも、実際に支払いに充当できる手取り額を考慮して借入額を検討する必要があります。

年収倍率の内訳に頭金が入っている可能性を考慮

先述した住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」の年収倍率には、平均で「1~2割の自己資金(頭金)が用意されている」というデータが掲載されています。

つまり、年収の7倍前後が目安であるという感覚で住宅ローン利用額を決めると、借り過ぎになってしまう可能性があるので注意が必要です。

重要なのは年収倍率より「返済負担率」

住宅ローンを借りる際に目安としたい指標のひとつに年収倍率があると紹介しました。他の指標として「返済負担率」があります。返済負担率とは、年収に対して借入金の返済に充てられる割合のことです。

この場合の返済額には、住宅ローン以外の借入も含まれます。車のローンや教育ローン、カードローンの借り入れなど、あらゆる借入額が対象となります。そのため、住宅ローンの事前審査では、必ず他の借入状況についても審査されます。

返済負担率をどこまで認めているかは、金融機関によって違います。詳細な審査基準に関わるため、各金融機関では住宅ローンに対する返済負担率を公表していません。ただし、おおむね年収に対して25~30%としているところが多いようです。なお、「2021年度 フラット35利用者調査」の結果では、返済負担率の平均は22.7%です。

住宅ローンに含まれない諸費用もある

住宅ローンでは、住宅購入に関するすべての資金をカバーできるわけではありません。借入の対象外で、自己資金で精算しなければいけない費用もあります。住宅ローンに含まれる費用と含まれない費用は次のとおりです。

【住宅ローンに含まれる主な費用】

  • 土地購入費用
  • 建築費用
  • オプション設備の工事費用

【一般的に住宅ローンに含まれない主な費用】

  • 仲介手数料
  • 火災保険料
  • 登記費用
  • 各種税金 
  • 保証料・融資事務手数料

どこまで住宅ローンに含まれるかは金融機関によって異なるため、詳しくは金融機関へ確認しましょう。住宅ローンに含まれない費用に関しては、現金払いや別途諸費用ローンを組むなどしなければならないので、諸費用の支払いも考慮して自己資金は多めに準備しておくと安心です。

住宅ローン相談窓口
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年収から住宅ローン借入額の目安を調べよう

住宅ローンの借入額の目安は、次の流れに沿って自分で試算することができます。

  1. 正確な年収を確認する
  2. 住宅ローン以外の借入金を確認する
  3. 検討している住宅ローンの金利を確認する
  4. 返済期間・返済方法を考える
  5. 借り入れ可能額を試算する

正確な年収を調べる

自身の正確な年収を確認するために、サラリーマンや公務員など給与所得者の場合は、まず源泉徴収票を準備しましょう。源泉徴収票の「支払金額」に明記されている金額が、年収にあたります。

個人事業主やフリーランスの場合は、確定申告書に記載の「所得金額」が年収にあたります。

住宅ローン以外の借入金を確認する

住宅ローン以外の負債(奨学金、自動車ローンなど)がある場合には、現在の残高と毎月の返済額がいくらであるかを調べておきましょう。残高に関して詳しくわからない場合には、借入先によっては残高照会を発行してもらえる場合があります。

検討している住宅ローンの金利を確認する

住宅ローンの金利タイプは、大きく分けて2つあります。固定金利では、借入時期から完済まで金利が一律の仕組みで、一般的に変動金利よりも高く設定されています。変動金利は、市場金利に合わせて半年ごとに金利が変動する仕組みです。

固定金利よりも低い金利が特徴ですが、今後の経済状況によっては必ずしも固定より優位とは確約できません。このような住宅ローン金利は、金融機関ごとに設定できます。そのため必ず各金融機関の金利を事前に比較検討しましょう。

参考に、フラット35の最も多い金利は年1.8880%(2023年2月25日現在)です。フラット35は固定金利型の住宅ローンですので、この金利が完済時期まで一定であるということです。

なお、住宅ローンの変動金利の例として、三菱UFJ銀行と三井住友銀行では0.475%(2023年3月15日現在)ということです。

返済期間・返済方法を考える

住宅ローンを利用して住宅購入を考える際、自身や家族の年齢やライフイベントも参考にして無理のない返済計画を立てましょう。住宅ローンの返済期間は、通常30年前後に設定することが多いです。この先30年にわたって、恒常的に返済ができる金額を把握しておくのも重要なポイントです。

また、何歳までに住宅ローンを完済したいか検討しましょう。例えば、定年時期前後に完済時期を迎えたいなど、さまざまなシミュレーションをしてみると良いでしょう。毎月どのくらいの額を住宅ローンの返済に充てられるかについても重要なポイントです。

返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」があります。元利均等返済は、毎月の返済額が一定で資金計画が立てやすいメリットがあります。元金均等返済は、借入当初の返済額は大きいですが、年数が経つにつれ返済額が減っていきます。

どちらを選ぶかはそれぞれの特徴を把握してからになりますが、金融機関によっては、いずれかしか取り扱っていないこともあるため事前に確認しましょう。

借入可能額を試算する

実際に借入可能額を計算するには、かなり複雑な仕組みです。そのため、金融機関や住宅金融支援機構のWEBサイトにあるシミュレーターを活用しましょう。おおまかな目安となる金額がわかります。

年収500万円で住宅ローン借入可能額をシミュレーションしてみよう

以下の条件で、フラット35のシミュレーターを使って試算してみます。参考にしてみてください。

【条件】

  • 年収:500万円
  • 融資金利:1.8880%
  • 返済期間:35年
  • 返済方法:元利均等返済
  • 他の借入金:毎月5万円(ボーナス払いなし)

この条件でシミュレーションすると、借入可能額は2,943万円と試算されます。年収のおよそ6倍であることがわかります。

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単純に「年収の何倍か」で住宅ローン借入額を決めるのは避けよう

住宅ローンの借入金額の目安は年収の6~7倍とされています。しかし、単純に年収だけを基準として試算すると長期にわたる住宅ローン返済が負担になるケースがあります。主に次の3点に注意しましょう。

  • 借入可能額は住宅ローンの総返済額ではない
  • 毎月の返済額を確認する
  • 変動する要素も把握しておく

借入可能額=住宅ローンの総返済額ではない

借入可能額は住宅ローンの総返済額でありません。住宅ローンの総返済額は、借入額に所定の金利が発生したあとの金額です。例えば、フラット35で2,300万円、金利1.8880%の借入についてシミュレーションしてみます。20年間で支払う総返済額は2,764万円、毎月の返済額は116,000円になります。

このように、借入額(購入金額)は2,300万円であっても、最終的に返済する総額は約400万円も上乗せされます。

毎月の返済額を確認する

住宅ローンを借りる際の目安のひとつである返済負担率は、先述のとおり金融機関や住宅ローンの種類によって異なります。全体的におおむね年収の30~35%程度を目安とするとよく、フラット35ではどの金額も一律で年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下と明示されています。

ただし、あくまで毎月「返済できる」額であるかどうか確認することは重要です。単純に、借入希望額年収の6倍以内だから借入できる、返済負担率の範囲内だから大丈夫、ということではありません。生活費や教育費、家族のライフイベントに伴う出費なども考慮し、長い返済期間でも継続的に返済できる金額を設定することは最も重要なポイントといえます。

変動する要素も把握しておく

住宅ローン金利には大きく2種類があると紹介しました。そのうち変動金利は固定よりも金利が低く人気ですが、将来的に金利が上昇するリスクは避けられません。

金利が上昇すると、おのずと返済額が増加してしまい、結果的に返済額が家計に対して負担となることも想定されます。また、年収がずっと一定または順調に昇給し続ける約束もありません。

逆に年収が下がることもあるかもしれないので、多少年収が下がったとしても、この金額までなら返済できるという安全策まで考えておくと良いでしょう。

住宅ローン相談窓口
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住宅ローンの返済負担率を軽くする5つの対処法

住宅ローンの返済負担率を少しでも軽減できる対処法について、次の5つを紹介します。

  • 頭金の額を増やす
  • 低金利の金融機関を検討する
  • 住宅ローン以外の借入金を完済する
  • 返済期間を長く設定する
  • 住宅ローンのプロに相談する

頭金の額を増やす

頭金を多く用意できれば、借入金額が減るため返済負担率の軽減につながります。また、借入総額自体も少なくて済むため審査も通りやすくなります。

ただし、どの程度まで貯蓄から住宅購入資金に充当できるかは総合的に判断しましょう。今ある貯蓄をすべて切り崩してしまうと、緊急予備資金としての備えがなくなってしまいます。

また、先述のように住宅購入に際しては現金で精算すべき費用もあります。そのため、頭金として充当できる金額と、他の用途のための貯蓄はしっかり管理しておきましょう。

低金利の金融機関を検討する

住宅ローン契約時に選んだ金利によって、住宅ローンの月々の返済額は変わります。そのことで返済負担率が変わるので、低金利の金融機関を検討するのもひとつの方法です。

なお、インターネット専業銀行は金利が低い傾向にあります。金利を比較する際には選択肢することをおすすめします。

住宅ローン以外の借入金を完済する

毎月返済している奨学金や自動車のローンなどが完済すれば、お金のやりくりに余裕が生まれます。住宅ローンを借り入れる前に完済しておくと審査へ有利に働きます。

返済期間を長く設定する

先述のフラット35のシミュレーションを使って、同じ条件で返済期間を30年に延ばした場合、毎月の返済額は84,000円になります。このことから、返済期間を長くすることで、毎月の返済額は抑えられることがわかります。

ただし、月々の返済負担は軽くなる一方、住宅ローンの総返済額は3,015万円と高くなることに注意が必要です。

住宅ローンのプロに相談する

住宅ローンのプロに相談すれば、年収はもちろんニーズや条件に合った最適な商品を提案してくれます。

クレディセゾンとiYell(いえーる)が提携する「住宅ローンの相談窓口」では、お客様の希望や条件をもとに寄り添ったアドバイスを行っています。金融のプロとして、住宅ローンに関連する情報提供もおこなっていますので、是非一度ご相談ください。

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おわりに

住宅ローンで借入できる金額は、年収の6~7倍が目安であるといわれています。実際には、頭金の有無や、総支給額ではなく手取り額だとどうなるかなど、細かい条件はさまざまであるため、一概に年収の6~7倍が正解とはいえません。住宅ローンは通常30年前後の長い返済期間になります。

そのため、住宅ローンの返済も含めて、ご自身や家族のライフイベントなども考慮し、複数の視点で検討し無理のない資金計画を立てることが重要になります。クレディセゾンとiYell(いえーる)が提携する「住宅ローンの相談窓口」では、ニーズに沿った最適なアドバイスをしています。ぜひ一度お声がけください。

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