あなたの資産、大丈夫ですか?(その5)

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あなたの資産、大丈夫ですか?(その5)

これまで「リスク管理」ということについてお伝えしてきましたが、そもそもの考え方や、どのようにリスクを考えるかということについていまひとつピンときていないという人がいらっしゃると思います。このコラムでは、もう少し踏み込んでお話しさせていただきます。 

1.世の中のリスクマネジメント 

世の中で「リスク管理(リスクマネジメント)」というと、一般には企業・組織の行動として示されることが多いと思います。リスク管理(マネジメント)という言葉を検索すると、多くの定義が見受けられ、また用語が混在していますが、ほとんどが企業・組織に関するものだということにお気付きいただけるでしょう。中小企業庁が発行している「中小企業白書」の2016年版*1で「リスクマネジメント」という言葉が用いられ、その後の白書においても中小企業を取り巻くリスクの説明がなされていますので参考にされても良いでしょう。 

参考:1中小企業庁 中小企業白書 2016年版

企業・組織の健全なる存続のために、企業・組織に損失(損害)を与えるもの(危機=リスク)を特定し、そのリスクについて分析・評価し、対策を講じること、そして対応のモニタリングおよび改善、このプロセス全てがリスク管理です。 

ここで大事なのは、モニタリングおよび改善です。理由はお分かりでしょうか。対策として大丈夫だと評価して取り組んだことでも、実際に行いモニタリングすることで不足していること、漏れがあることが判明することがありますし、取り巻く情勢というのは変わっているため、それまでの対応では不充分になることもあるからです。 

ご説明するまでもないことと思いますが、2020年から始まっている疫病の蔓延の発生、昨今のウクライナ情勢など、これまでも予想できることではあったものの、「まさか」という思いで受け止められるようなことが起きていますし、技術の進歩によって新たな懸念事項が浮上します。対応としての優先順位が低かったものが、いきなり対応を迫られることになったわけです。これは、デロイトトーマツが公表している「企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント 実態調査」の「優先して着手が必要と思われるリスク」を2019年版*2と2020年版*3で比較してみればよく分かることです。 

【「優先して着手が必要と思われるリスク」2019年版と2020年版の比較】 

順位  2019年  2020年 
1位  地震・風水害等、災害の発生  43.4%  疫病の蔓延(パンデミック)等の発生  34.4% 
2位  人材流失、人材獲得の困難による人材不足  31.1%  異常気象(洪水・暴風など)、 大規模な自然災害 (地震・津波・火山爆発・地磁気嵐)  30.9% 
3位  法令遵守違反  25.9%  サイバー攻撃・ウイルス感染等による情報漏えい   21.3% 

上場企業の「優先して着手が必要と思われるリスク」については日本国内と海外拠点とで分かれて回答されており、日本国内と海外拠点ではその内容に違いも見られますが、順位については大きな変更はありません。例えば、日本国内についてみた場合、2019年版の上位は、地震等の災害発生、人材不足、法令遵守違反で前年(2018年)と同じでしたが、2020年版では、疾病蔓延等の発生が前年(2019年)の24位からいきなり1位に浮上しています(2位は地震等の災害発生、3位は情報漏洩(前年(2019年)は5位))。因みに海外拠点でも疾病蔓延等の発生が1位となり前年(2019年)の27位からこちらもジャンプアップしています。 

*2企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント 実態調査 2019年版

*3企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント 実態調査 2020年版

長々とご説明してきましたが、私が「あなたの資産、大丈夫ですか?(その4)」でご説明したリスク管理と同じことを企業・組織がしていることがお分かりいただけると思います。ご自身で行うリスク管理は、企業・組織が行っているプロセスと同じものを辿れば良いのです。また、「保険の見直しを」とお伝えした理由も、企業・組織におけるリスクマネジメントの「モニタリングおよび改善」をすることと同じで必要だから、ということをご認識いただけるのではないでしょうか。  

あなたの資産、大丈夫ですか?(その4)」では、例として、収入について検討してみましたが、私の示したものが絶対的な正解ではありません。また、対策として有効なものは他にもあるはずです。このような概念、考え方に初めてふれるという方もいらっしゃることと思います。そのような方にとっては、リスクが想定できなかったり、対策が思いつかなかったりして「リスク管理は難しい」とお感じになられているのではないかと推測します。  

確かに「リスク管理」は簡単ではありません。しかし、難しいと諦めるのではなく、まずは概念やプロセスに慣れることからでも始めてみてはいかがでしょう。どのようなことにもいえることですが、最初は難しくても慣れていくことで習熟していくものです。「リスク管理」は大事な概念であり必要なことですから、「あなたの資産、大丈夫ですか」の一連のコラムをお読みいただいたことを契機として、徐々にでも身に付けていっていただけたらと思います。  

2.ユダヤ人の教え 

資産形成においては、どのように資産を形成するかを考える前にリスク管理を行うことが大事だということをお伝えしました。これは、私が自ら資産を形成していく中で培っていった考えではあるのですが、この考えは自信をもってお伝えしています。それは、「リスク管理」という概念がユダヤ人の考え方と同じだったからです。  

私は、とあるユダヤ人の大富豪から直接オファーをいただき、11日間ユダヤ人が繫栄した礎となる叡智、ノウハウを授けていただきました。それらを知って驚いたのは、彼らの思想の基礎となっているものと私が経験から構築した考えが同じだったということです。  

ユダヤ人の歴史は迫害の歴史です。第二次世界大戦時におけるホロコースト・大量虐殺の事実はご存知のことと思いますが、歴史を遡ってみてみるとユダヤ人は古代から多くの中傷や迫害を受けてきたことが分かります。古代エジプトで奴隷とされたことにはじまり、紀元前から国が他国によって滅ぼされ捕虜となるという歴史をたどり、第二次世界大戦まで何度も襲撃・迫害・差別を経験しているのです。このように何度も酷い目に遭ってきた彼らにとっては、世の中はリスクだらけであり、物事全てにリスクがあると考えるのは充分理解できるのではないでしょうか。どのような災難や危機も「想定外」ではなく「全て人生には起こりえること」と受け止め、それらに備え対策を講じる、つまり最悪の状態を常に想定し、リスク管理を怠らない、というのがユダヤ人の考え方なのです。  

このことを教えていただき、私が構築した考えが間違いではなかったという確証を得たと思いました。これまでユダヤ人が多くの富を築いてきたことによって彼らの考えの正しさが証明されており、その考えと私の考えが同じだったということで、私は自信をもってお伝えしているのです。  

ちなみに、ユダヤ人はさまざまな知恵を「タルムード」というものにまとめ、先祖代々教えていきます。そして「タルムード」の教えにまつわる説話を親が子どもに何度も語って聞かせます。この説話の内容は人生で起こりうるさまざまなトラブルについてであり、語り聞かせた後、親は子どもに「自分だったらどうするか」ということを考えさせるのです。このようにしてユダヤ人はリスクを管理し、回避するということを子どもの頃から学び自然と身に付けていきます。 

3.何に投資するか 

何に投資するか

さて、前回お伝えした収入に関するリスク回避の手段にも関連することになるのですが、ユダヤ人の教えにもあり私がリスク回避の手段にもなると考える大事なことを1つお伝えします。それは、知識やスキルを身に付けることを怠らない、ということです。  

ユダヤ人の教えであるタルムードには「人が生きている限り奪うことができないものがある。それは知識である」というものがあります。数々の迫害に遭い、所有していたもの全てを失ってきた彼らにとっては、形あるものはどれだけ所有していても奪われる(失う)リスクがあります。 

ところが、例え有形の財産の全てを奪われ失ったとしても、それを新たに生み出す「知識」があれば何度でもやり直せることができます。確かに知識(ここでいう知識はアイデアや経験、スキルなどが含まれると思います。)は、奪おうにも奪えません。またお金を払っても買うことはできません。時間を費やすことで得る(身に付ける)ものであり、有難いことに一度得れば失うことはありません。 

つまりここでお伝えしたいのは、収入を得られるような知識や経験、スキルを身に付けることは、収入に関するリスク回避の手段になるということです。万が一仕事を失ったとしても、収入を得られるような知識や経験、スキルがあれば、それらを活かして新たに仕事を生み出すことができますよね。 

このことから私が考えるのは、資産形成において「何に投資すれば良いか」という質問に対する最適解の1つは「自分に投資する」ということです。ノウハウには価値がなくなってきており、知識は無料でも手に入る時代になりました。しかし、知識があってもそれを活かし実践しなければ、収入を得られるようにはなりません。知っていることと実践することは異なるのです。スキル、経験という、積み重ねによってしか得られないものにお金を払う、つまり投資することが大事だと思います。 

おわりに

これまで5回にわたり、資産を形成する前にすべきと私が思うことについてお伝えしてきましたがいかがでしたでしょうか。他では見たり聞いたりされたことのない話が多かったかもしれませんが、少しでも参考になれば幸いです。 

岡部達磨公式サイト